YouTube視聴動画から行うセグメンテーションとは?興味関心先から親和性の高い新たな接点を探る|ウェビナーレポート

YouTube視聴動画から行うセグメンテーションとは?興味関心先から親和性の高い新たな接点を探る|ウェビナーレポート

おうち時間が増えた影響で、YouTubeの視聴時間が増えた方も多いのではないでしょうか?YouTubeのレコメンド機能により、視聴動画は同カテゴリに集中する傾向にあり、年齢や性別といった属性だけではなく、視聴している動画によってユーザーをセグメンテーションすることは効率的なアプローチにつながります。9月30日に開催されたセミナーではヴァリューズが保有するWeb行動ログを用いたYouTubeの視聴動画によるセグメンテーション、アンケートとWeb行動ログを組み合わせたセグメントの理解、施策立案方法を解説しました。※詳細なセミナー資料は無料でダウンロードできます。記事末尾のフォームよりお申し込みください。


YouTube視聴動画から行うセグメンテーションとは?

スピーカー紹介

図:スピーカー紹介

図:スピーカー紹介

Agenda

⚫︎YouTubeの閲覧状況・タコツボ化について
⚫︎ユーザーのセグメンテーション
⚫︎ユーザー像把握の事例
⚫︎まとめ

YouTubeの閲覧状況・タコツボ化について

YouTubeの閲覧状況

株式会社ヴァリューズ 松江勇志(以下、松江):「ヴァリューズの保有するWeb行動ログデータより、2021年6月の閲覧サイトのランキングを作成しました。これによると、Amazonや楽天市場といったECなどを追って、YouTubeは5番目に閲覧が多いという結果が出ています。この結果を見ても、広く利用されているコンテンツであることがわかります。

過去2年ほどのユーザー数推移を見ても、コロナ禍のおうち時間の増加なども起因してか、着実に「YouTube」の利用ユーザー数は増加しています。」

図:YouTubeの閲覧状況

図:YouTubeの閲覧状況

タコツボ化とは

松江:「ここからは「タコツボ化」についてご説明します。

例えば、「Amazon」を開くと自動的にリコメンド商品が並んでいることや、「YouTube」でもおすすめ動画が並んでいるといった現象を皆さんも体験したことがあると思います。

これを、スマホメディアの普及による最適化の波(filter bubble)と呼び、消費者が限定された情報の中だけに閉じこもってしまう状態を「タコツボ化」と言われるようになりました。」

図:タコツボ化

図:タコツボ化

サイト利用の二極化

松江:「こちらもヴァリューズの保有するデータからの資料となります。

2016年1月を「1(基準点)」として、2019年12月までの、「YouTube」「Google」「 Rakuten」「Amazon」「Ameba」「NAVERまとめ」「Yahoo!知恵袋」の7サイトの利用状況の推移をグラフ化しました。

これを見ると、「YouTube」と「Google」が上昇傾向にあり、ブログやまとめサイトは減少傾向と、コンテンツ利用について二極化している状況が現れました。特に「YouTube」は3年で2倍以上の伸び率となっており、いかに「YouTube」に触れる機会が増えているかがわかります。」

図:サイト利用の二極化

図:サイト利用の二極化

タコツボ化の情報収集

松江:「利用サイトの変遷を見て、実際に日々の情報収集は固定化されたメディアに依存しつつあるということもわかりました。そして、そこではfilter bubbleにより、個人への情報はタコツボ化しつつあります。

その一方で、「Google」などを駆使し、気になったことはすぐに検索するという行動により得る情報は増加していると言えます。言い換えれば、ユーザーが見たいものを見るといった多様性が広がり、簡単には捉えにくくなっているとも言えるでしょう。だからこそ、「どういったものを見ているのか」、「どういったことに関心があるのか」というユーザーの意識を把握することが重要となってくると考えます。」

図:タコツボ化の情報収集

図:タコツボ化の情報収集

ユーザーのセグメンテーション

従来のクラスタリング

松江:「まずは従来のクラスタリング手法についてご説明します。

基本的に従来のクラスタリング手法とは、「実際はこんなクラスターに分かれそうだな」と予測、結果をあえて意識しながら意図的にアンケートを用意します。

下図の例ですと、ダイエットの設問を策定、ある程度想定されたクラスターを回答ごとに分けていくという手法が用いられています。」

図:従来のクラスタリング

図:従来のクラスタリング

潜在的トピックモデルを用いたクラスタリング手法

松江:「次に潜在的トピックモデルを用いたクラスタリングについてご説明します。

まずヴァリューズのパネルからターゲットユーザーを抽出し、それらの「YouTube」閲覧動画に付与されているタグからトピックを見つけ出して、クラスタリング分析をかけていくという手法です。」

図:潜在的トピックモデルを用いたクラスタリング手法

図:潜在的トピックモデルを用いたクラスタリング手法

ユーザー像把握の事例

調査スキーム

松江:「それでは実際にユーザー像を把握する事例を見てみましょう。

調査スキームは下図の通りとなっています。前述の潜在的トピックモデルを用いたクラスタリングを使用して、総合ECモール内での商品閲覧・購買行動を分析し、興味関心を把握するといった目的を設定しました。」

図:調査スキーム詳細

図:調査スキーム詳細

対象ユーザーの選定

松江:「期間は2020年7月から2021年6月とし、ファッションECサイトの「ZOZOTOWN」「ユニクロ」「ベルメゾンネット」のコンバージョンユーザー(以下、CV者)をヴァリューズモニターから抽出し、対象ユーザーとして選定しました。

アパレルのCV者は、アパレル以外のところでの興味軸になかなか特徴が現れない、検討軸がわかりにくいと言われています。そこで、今回は「YouTube」の閲覧状況を把握することで、普段どういったことに興味を持っているかという点で差異が発見できるのではないかと考えました。」

図:対象ユーザーの選定

図:対象ユーザーの選定

クラスタリング結果

松江:「実際にクラスタリングされたものが下図の5つとなります。」

図:クラスタリング結果

図:クラスタリング結果

松江:「いかがでしょうか。それぞれのクラスターごとの動画タグの違いが興味深く現れています。

加えて、それぞれに「ZOZOTOWN」「ユニクロ」「ベルメゾンネット」のCV構成比を出しています。
「ZOZOTOWN」は「アウトドア好きさん」や「アニメ・ゲームオタクさん」の比率が高く、「ユニクロ」にも「アウトドア好きさん」の高比率が目立ちます。これは「ユニクロ」の「機能性」を打ち出した商品戦略などが、アウトドア時の機能性を求めるニーズにうまく訴求できているのではないかと推測できます。
一方、「ベルメゾンネット」では「音楽・MV好きさん」や「おうち時間充実化さん」の比率が高く現れました。

次は各クラスターの特徴をそれぞれ具体的に深掘りしていきます。」

【例1】クラスタリング詳細:K-POPマニアさん

松江:「まずは「K-POPマニアさん」ですが、若干全体の構成比としては少なめ、かつ、動画タグも少なめですが、ある意味「KPOP」「TWICE」「防弾少年団」とKPOP寄りの特徴にまとまっていることから、わかりやすいクラスターとも言えるでしょう。ネット行動の傾向としては平日の夜間・土日の昼間に多くの行動量が見られます。」

図:(例1)クラスタリング詳細:K-POPマニアさん

図:(例1)クラスタリング詳細:K-POPマニアさん

【例2】クラスタリング詳細:アウトドア好きさん

松江:「続いて「アウトドア好きさん」の動画試聴傾向を見てみると、「キャンプ」「サッカー」、「格闘技」なども見受けられます。全体的にアウトドア、スポーツ全般に興味を持っている傾向が見えてきました。
ネット行動としては、「アウトドア好き」が高じてなのか、それほど行動量はないのが特徴と言えるでしょう。土日に関してもさらにそのような傾向が見られるので、実際にアウトドアや外出を楽しんでいるのではないかと推測されます。」

図:(例2)クラスタリング詳細:アウトドア好きさん

図:(例2)クラスタリング詳細:アウトドア好きさん

アンケート|ユーザー詳細(属性)

松江:「各クラスターへのアンケート調査も合わせて行いました。結果の一部をご紹介します。

属性別の回答を見ると、「アウトドア好きさん」は男性の割合が高く、「K-POPマニアさん」「おうち時間充実化さん」は女性比率が高いことがわかりました。

同居家族と居住形態の回答を掛け合わせて読み込むと、「アニメ・ゲームオタクさん」は単身者で賃貸暮らしが比較的多い傾向にあることがわかります。」

図:ユーザー詳細(属性)

図:ユーザー詳細(属性)

アンケート|ユーザー詳細(SNS利用)

松江:「SNS利用状況を見てみると、「Twitter」の利用時間の長さで「アニメ・ゲームオタクさん」が目立っています。動画アプリの利用が多いのは「おうち時間充実化さん」となっており、あわせて「Instagram」の利用率も高く現れました。

このような結果をもとに、それぞれターゲットとするクラスターの利用が多いSNS、例えば「アニメ・ゲームオタクさん」には「Twitter」での訴求、「おうち時間充実化さん」へは動画コンテンツでの訴求が有効だと言えるのではないでしょうか。」

図:ユーザー詳細(SNS利用)

図:ユーザー詳細(SNS利用)

アンケート|ユーザー詳細(新情報入手先)

松江:「新しい情報の入手先の違いも見てみましょう。

テレビ、雑誌利用は「K-POPマニアさん」が多いとの結果に。
「アウトドア好きさん」「アニメ・ゲームオタクさん」「おうち時間充実化さん」はインターネットやSNSで情報を入手しているようです。
「音楽・MV好きさんは」新聞や雑誌広告から情報収集を多く行っているようです。

このような結果データを元に、ターゲットとするクラスターによって訴求する媒体の選択や、施策立案の際に大きなヒントとして活用していくことで、有効なマーケティングにも繋げていけるのではないかと考えます。」

図:ユーザー詳細(新情報入手先)

図:ユーザー詳細(新情報入手先)

まとめ

松江:「従来のアンケートでのクラスター分析では、想定内のクラスターしか作成することができないという問題点がありました。そこにWeb行動ログデータを用いることで、ユーザーの意識面を元にしたクラスターを作成することができるという事例をご紹介しました。

さらに、このWebログデータとアンケート調査を紐付けることで、ターゲットクラスターの特徴を深掘りすることも可能になると言う点も、様々なデータを介してご理解頂けたのではないでしょうか。

このようなWeb行動ログデータにご興味のある方、さらにこのようなデータを用い、よりターゲットへの近道となるマーケティング施策をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。」

図:まとめ

図:まとめ

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この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

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