SNS分析で中国マーケットを理解する
■スピーカー紹介
図:スピーカー紹介
■Agenda
・中国のSNS事情
・ソーシャルリスニング分析
・SNS分析による「広告効果測定」
中国のSNS事情
まず、中国のインターネット人口とSNS利用者数、中国のSNS事情から見ていきましょう。
■インターネット人口とメディアユーザー数
中国の「総人口」は約14億4000万人です。それに対して「インターネット利用者数」は約9億4000万人、「SNS利用者数」は約9億3000万人となっており、インターネット利用者数とSNS利用者数がほぼ変わらない人口となっているのが分かります。
■グローバルと中国のSNSプラットフォームの違い
中国市場を把握するために理解しておかなければならないことは、中国国内ではグローバルで利用されているSNSアプリやWebサイトなどが使えないということです。これは中国政府によって中国国内外を行き来する情報を遮断させ、個人情報を監視するためのインターネット規制「グレートファイヤーウォール(金盾)」があるためです。
厳しい規制があるものの、コミュニケーションや情報などさまざまなツールが中国独自で開発されているため、生活の一部となっているほど満足いくプラットフォームが用意されています。それでは、具体的にどのSNS・Webサイトが規制され、どういった代用プラットフォームがあるのでしょうか。
≪グローバルサービス≫ ≪中国独自のサービス≫
検索エンジン:Google → 百度(バイドゥ)
SNS :Instagram、Twitter、Facebook → Weibo(微博・ウェイボー)
連絡 :LINE、WhatsApp → WeChat(微信・ウィーチャット)
動画 :YouTube、 Triller、 TikTok → DouYin(抖音・ドウイン)
口コミ :Instagram、Amazon → RED(小紅書)
中国のSNSは連絡するため・動画を視聴するためといったように、シンプルなツールではありません。例えば直接商品を購入できるEC機能、決済機能、病院や映画チケットの予約機能など、中国人の生活に深く根ざした独自の発展を遂げているのが特徴です。
ソーシャルリスニング分析
続いては、ビジネス戦略におけるソーシャルリスニング分析についてです。
■ソーシャルリスニングとは
「ソーシャルリスニング(Social Listening)」とは、Facebook、Instagram、TwitterなどのSNSや、ブログ、口コミサイトなど、Web上で投稿・コメントされているデータを収集・分析し、マーケティングに役立たせる手法です。
■2つのリサーチ方法
消費者をより深く理解するためのリサーチ方法は「Asking型」と「Listening型」の2つのリサーチ方法に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
まず、質問するという意味の「Asking型リサーチ」は、アンケートやインタビューなどを用いて生活者に直接質問を行い、得られる回答データのことを言います。
聞きたい内容をピンポイントでヒアリングできることや、意識的に行動していることを調査できるのが強みです。しかし、回答者の記憶に頼るところがあるため、忘却や勘違いによって正しい検証ができない欠点があげられます。また、回答者ですら気付いていない無意識の行動データは取得しづらいことが弱みです。
次に、傾聴するという意味の「Listening型リサーチ」は、SNSやブログなどのWebに投稿されたデータを用いて、行動や言動を観察・調査することで得られる回答データのことを言います。
生活者の無意識行動や発言、記憶に残らない行動を把握できるのが強みです。また、事実データのため、確証性があることも利点です。その反面、生活者の意識や心理背景の観察・計測が難しいことが弱みにあげられます。
これを踏まえて、ソーシャルリスニング(SNS分析)の「広告効果測定」について詳しく紹介していきます。
SNS分析による「広告効果測定」
プロモーションの効果測定や消費者インサイトの把握を行い、SNSデータを活用したSNSマーケティングを導入する企業が増えています。
とはいえ、「なんとなくSNS分析を行っているが、はたして効果はあるのか」「そもそもSNSマーケティングのやり方が分からない」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。正しく分析を行わなければ、消費者のリアルな姿を理解することはできません。
ここでは、中国でも長年愛され続けている国民的ヒーロー「ウルトラマン」を事例に、SNSのデータ分析方法を読み解いていきます。
SNSデータ分析は下記4つのプロセスで進めていきます。
①数値がどう変化したか
②どのような投稿があったか
③どのような人が反応したか
④背景に何があったのか
■プロセス①投稿数とエンゲージメント数
ウルトラマン関連の商品は、中国最大のECサイト「Taobao」で2億回を超える検索回数を獲得し、人気商品トップ10の中にランクインしたほど人気があります。ユニクロなどウルトラマンとコラボするブランドが増加したことで新たなブームを呼んでいるようです。
上のグラフは6月1日〜6月30日までの30日間で、中国版Twitterの「Weibo(ウェイボー)」にどれだけ投稿・いいね・コメント・リツイートといったアクション、いわゆる「エンゲージメント」されたかどうかを表したものです。
6月1日(左側の赤丸)は約250万件と6月の中で最も高い投稿数を記録していますが、いいねやコメントなどの反応はイマイチとなっているのが見て取れます。一方、6月20日(右側の赤丸)は約100万件の投稿数と先ほどより低いにもかかわらず、いいねの数は投稿数の倍以上にのぼっているのが分かります。
ここでお気づきになった方も多いかと思いますが、投稿した数と当日のエンゲージメント数は比例していないということです。
■プロセス②投稿内容
それではエンゲージメント数が高かった6月20日の投稿はどういった内容だったかを見ていきましょう。
6月20日は父の日であることから、ウルトラマンの公式アカウントは「ウルトラマンの父、タロウが皆さんに祝福を!全宇宙のお父さんたちへ 父の日おめでとう」と投稿したものです。
ウルトラマンの公式アカウントだけでなく、多くの企業が「子供にとってヒーローであるウルトラマン=自分の父」をコンテンツとした投稿(プロモーション)を行っていました。
■プロセス③反応した人の属性
それでは具体的にどういった属性の人が投稿に反応を示したのでしょうか。
男性(45.76%)よりも女性(54.24%)の方が多く、18歳〜25歳を中心に35歳以下の若年層が多くを占めていることが分かりました。投稿内のハッシュタグには「娘のウルトラマン」と付けられていたことから、女性に共感してもらうためのコンテンツとなっていたことが予想できるでしょう。
■プロセス④なぜ中国で人気なのか
なぜ中国では若年層、特に女性に共感されやすいキャラクターとなっているのでしょうか。ヒントはウルトラマンが中国進出した時代背景にあります。
1993年に中国・上海のテレビ局がウルトラシリーズを初めて放送したことがきっかけです。テレビの放送を見ていた現在20代〜30代は、勇気と根気を備えた「正義のヒーロー」という強いキャラクターに憧れの感情を抱くようになり、「ウルトラマン=父」をイメージする人が多いと言えます。
そのためビジネスにおいて若年層をターゲットにする場合は、小さい頃に憧れたウルトラマンを起用することで多くの共感を得て、エンゲージメントに大きな影響を与えたということです。
まとめ
今回は中国マーケットを理解するために、SNS分析の「広告効果測定」について解説しました。
SNS分析はアンケートやインタビューなどの手法と比べ、投稿(宣伝)から反応(結果)までスピーディーかつ、リアルタイムで状況を把握できるのが特徴です。また、SNSの拡散力を活用することで認知度を拡大し、新規顧客の獲得・潜在顧客の発見にも繋げることが可能です。
当メディアを運営しているヴァリューズでは
・Weibo、Wechat、Tiktokなどの「SNS分析」
・Tmal、JDなどの「EC商品レビュー分析」
といった中国マーケティング支援を強化しています。
さらに、SNS分析に加えて「アンケート」や「ECレビュー分析」を合わせて集計することで、より立体的に分析を行えます。ご興味のある方は、ぜひお声がけください。
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語学留学、国際結婚、海外移住とフィリピンに関わる暮らしをしているフリーライター。趣味は旅行で、これまでに訪れたフィリピンの島々は50以上。
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