動画配信サービス市場のユーザー規模をアップデート!
まずは2022年2月公開の前回調査に引き続き、動画配信サービス業界全体の状況を確認していきましょう。
今回も、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」の「カスタム業界」機能を用いて、Netflix、Hulu、Disney+、TVer、GYAO!、dTV、U-NEXT、楽天TV、DAZN、J SPORTSの10サービスのサイトを合算して動画配信サービス全体のユーザー数とします。
■動画配信サービスのユーザー数は月間2,000万人
下のグラフが、直近1年間と前年のユーザー数の推移を比較したものです。市場全体のユーザー数は、2022年の1月(年末年始)と3月(春休み)に2,200万人に到達したものの、およそ2,000万人のまま大きな変化は見られませんでした。
2020年〜2021年(青)はコロナ影響による休校やステイホームなどの影響で、全体的にユーザー数は増加傾向にありましたが、直近1年(赤)のユーザー数の推移を見ても、この規模で落ち着くのではないかと推測されます。
動画配信サービスのユーザー数推移(2020年12月〜2021年11月と2021年12月〜2022年11月比較)
期間:2020年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
動画配信サービス業界シェア、好調なのは?
続いて、業界シェアの変化について詳しく見ていきます。
■「GYAO!」と「TVer」が業界トップ2!「Disney+」が動き出す?
下のグラフから、直近1年でGYAO!のシェアが増え、TVerがやや減っていることが読み取れます。また、2年間に渡りこの2サービスで業界のユーザーの約6割を占めていることがわかります。
動画配信サービスの業界シェア推移比較(2020年12月〜2021年11月と2021年12月〜2022年11月比較)
期間:2020年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
一方で、業界シェアは大きくないものの、Disney+が伸びているようです。
直近1年で個別のユーザー数推移で確認してみると、下のグラフのようにGYAO!、TVer、Netflixはユーザー数が減少傾向、それに対し、Disney+のユーザー数はこの1年で急増していることがわかります。
動画配信サービス5社ユーザー数推移
対象サービス:GYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+
期間:2021年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
■「Disney+」のユーザー数増加は広告効果?
ここで、Disney+のユーザー数が急増している理由を、サイト流入経路から考察します。
下のグラフのように、Disney+はディスプレイ広告、アフィリエイト広告、メールの3つのチャネルによるユーザーリーチが他サービスよりも目立っています。
他サービスの特徴をまとめると以下の通りです。
・GYAO!:外部サイト(Yahoo!)が多い
・TVer:自然検索、ソーシャルが多い。直近でリスティングに着手し始めた
・U-NEXT:リスティングが多い
サイトの集客構造(ユーザー数)/ディスプレイ広告・アフィリエイト広告・メール
対象サービス:GYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+
期間:2021年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
動画配信サービスユーザー属性比較
続いて、業界シェアやユーザー数の変化を受け、それぞれのユーザー属性を比較していきます。
比較対象は、先ほどユーザー数推移を比較したGYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+の5社です。
■TVerは女性ユーザー、Netflixは若者ユーザーが多い
まずは男女比を比較します。
下のグラフのように、動画配信サービス全体としては男性ユーザーが多いことがわかります。
中でもスポーツ動画が得意のGYAO!、マンガや雑誌などのデジタルコンテンツが多いU-NEXT、Disney+は男性比率がおよそ6割を占めました。
ドラマの見逃し配信で人気のTVerが女性比率が一番多いようです。
動画配信サービス5社ユーザー属性比較/男女比
対象サービス:GYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+
期間:2021年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
続いて、年代を比較します。
業界シェアナンバー1のGYAO!は20〜30代の若者ユーザーが少なく、反対に、Netflixは20〜30代ユーザーが多く、50〜70代ユーザーが少ないことがわかりました。
動画配信サービス5社ユーザー属性比較/年代
対象サービス:GYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+
期間:2021年12月〜2022年11月
デバイス:PCおよびスマホ(Webサイト)
Amazon Prime Videoのユーザー数推移
ここで、前回調査同様、Amazon Prime Videoのユーザー数の最新動向も確認しておきます。
前回はAmazon Prime Videoのユーザー数が増加していることを確認しましたが、その傾向は現在は終息しており、ユーザー数は1,100万〜1,200万で安定していることがわかります。
Amazon Prime Video(アプリ)ユーザー数推移
期間:2020年12月〜2022年11月
デバイス:スマホ
まとめ
今回は、動画配信サービス市場の最新動向を、業界シェア、ユーザー数、ユーザー属性などの切り口で分析しました。
まずは動画配信サービス業界の全体像として、Netflix、Hulu、Disney+、TVer、GYAO!、dTV、U-NEXT、楽天TV、DAZN、J SPORTSの10サービスのサイトを合算しおよそ2,000万人であることがわかりました。また、GYAO!とTVerの2サービスが業界のおよそ6割のシェアを占めていることも確認しました。
一方で、個別にユーザー数を分析すると、Disney+がこの1年で急成長していることがわかりました。その要因として、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告、メールの3つの広告効果だと考えられます。
また、GYAO!、TVer、U-NEXT、Netflix、Disney+の5社のユーザー属性を比較したところ、スポーツ動画が得意のGYAO!、マンガや雑誌などのデジタルコンテンツが多いU-NEXTは男性ユーザーが多く、ドラマの見逃し配信で人気のTVerが女性比率が一番多いことがわかりました。年代はNetflixが特徴的に若年層が多いことも確認しました。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。