背景
「信託銀行」「投資信託」など、「信託」というキーワードには、多くの人が金融機関や金融商品を関連づけると思います。直近では、新NISA制度の開始にあたり、投資信託が話題に上がる機会も多いでしょう。
大手信託銀行として有名なのは、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行などです。では、そのなかでもWebサイトの流入首位となる「信託銀行」はどこなのでしょうか。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いて、調査・分析しました。
「信託」への関心は継続中
早速「信託」の検索ユーザー数推移を見てみましょう。2022年3月から2023年2月現在までの流れを見ると緩やかな落ち込みが認められますが、2022年6月や8月などの上昇傾向、10月に底を打って2023年1月に向けて上昇傾向にある様子などを見ると、検索者の活発な動きは途切れずにあると捉えることができそうです。もっとも、検索ユーザー数の変動だけでは、その原因を明確に把握することは難しいですが、新NISA制度の情報が公開されたり、積立NISAへの関心が高まったりしていることが少なからず影響していると考えられます。
図:「信託」検索ユーザー数推移
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
性別でみると、男性が61.1%、女性が38.9%と男性のほうが信託に関心を持っていることがわかります。
図:「信託」検索ユーザーの性別
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
年代別にみると、40代の関心がもっとも高く、およそ23%です。ついで、30代と50代がそれぞれ20%前後という結果です。20代、30代は家事や育児に忙しかったり、子どものためにお金が必要だったりと、なかなか投資に踏み切れない年代だと推測できそうです。そのため、子育てが一段落すると考えられる40代になると、「投資信託」や「信託銀行」に代表されるような「信託」への関心が高くなると考えられます。
図:「信託」検索ユーザーの年代
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
検索されているサイトやページの首位は?
■流入サイトの首位は「三井住友信託銀行」
「信託」検索後の流入サイトの首位は三井住友信託銀行でした。ついで、代表的なネット証券である楽天証券、SBI証券が並びました。
図:「信託」検索後の流入サイト
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
国内最大級の信託銀行である三井住友信託銀行は、多くの実績を持っています。資産管理残高と資産運用残高は国内金融機関で第1位、投資信託受託残高は信託で第1位など、高い実力を有しています。
■流入ページに見る検索者の関心ごととは
流入ページのランキングを見てみたところ、ユーザーは「信託銀行」よりも、「投資信託」に関心を持っていると考えられます。また、「そもそも投資信託とは?」や「ETFと投資信託の違いを教えて」など、初歩的な疑問に答えるページが目につきます。このことから、Webでの検索者は「投資信託」や「投資銀行」を利用することに対して初心者の段階であり、Webという気軽に検索できるツールを利活用して、情報を収集しているのではないかと考えることができそうです。
図:「信託」検索後の流入ページ
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
流入キーワードは指名検索で「三井住友信託銀行」が上位に
三井住友信託銀行のWebサイトへの流入キーワードを見てみると、「三井住友信託銀行」の指名検索が1位です。次いで、「三井住友信託」「住友信託銀行」です。このことから、流入キーワードは、指名検索が上位にきていることがわかります。これは、三井住友信託銀行の認知度の高さによるものだと言えるでしょう。
図:三井住友信託銀行のWebサイトへの流入キーワード
期間:2022年3月~2023年2月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン
まとめ
今回は、Webログをもとに「信託」について調査しました。
男女別にみると、「信託」への関心が高いのは男性。年代別にみると、20代から右肩上がりで、40代の関心がもっとも高いことがわかりました。
流入サイトの首位は、「三井住友信託銀行」でした。三井住友信託銀行の流入キーワードは、「三井住友銀行」「三井住友信託」など、指名検索が上位を占めています。このことから、三井住友信託銀行の認知度が高いことは明らかです。
ここで、競合する金融機関が採るべき施策としては、大きく2つの方針が考えられます。ひとつは、指名検索の利用を狙うことです。もうひとつは、一般ワードからの検索者の獲得を強化することです。いずれにせよ、認知度の向上のための更なる施策がキーとなると言えるでしょう。
▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
Webライター。転職、キャリア、美容、不動産、金融ジャンルの記事を執筆中。新卒からシステムエンジニアとして働いていました。ライティングにおいては、わかりやすい文章を書くことはもちろん、どこかくすっと笑えるような、読み手が温かい気持ちになれる記事を書くことを心がけています。