ChatGPTユーザーはどんな人?行動データから利用実態を探る

ChatGPTユーザーはどんな人?行動データから利用実態を探る

今話題沸騰中のChatGPT。チャット欄にテキストを打ち込むだけで、質問に答えてくれたり、オリジナルの文章を作成してくれたり、プログラミングもできたりと、幅広いニーズに応える優れものです。世界的なアクティブユーザーが1億人を突破するなど、大注目のChatGPTですが、実際にはどのような人たちが利用しているのでしょうか。チャットページ接触者の行動データから、ユーザー特性を調査していきます。


ChatGPTとは?トレンドはいつまで続く?

ChatGPTはOpenAI社が提供しているサービスで、利用者が質問を打ち込むと、それに返事をするというように会話形式で応答してくれる、いわば高性能のチャットボットです。

利用に必要なのはOpenAIへの会員登録だけ。GoogleやMicrosoftのアカウントを使用することもできるため、非常に手軽です。基本利用は無料ですが、月20ドルを払うことで、文字数・リクエスト数無制限で、より高度なバージョンを利用することができます。

では、ChatGPTの利用実態を探るため、実際のチャットページへのアクセスデータを見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使用します。

2022年11月のリリース以降、利用者は着実に増加していますが、2023年2月には、前年11月の約4倍と爆発的に増えています。これは、2023年2月9日に有料版が公開され、2023年2月13日に無料版のアップデートが行われたことに加え、メディアで取り上げられることが増え、認知が急速に広がったことなどが背景として考えられます。

ChatGPT(チャットページ)接触者数の推移
Dockpitにて集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

また、1人当たりのセッション数(訪問回数)・平均滞在時間はともに、2023年3月には前年12月の約2倍に増加しています。このことから、ChatGPTは一時的なトレンドではなく、認知拡大と同時にヘビーユーザー数も増加傾向にあることが分かります。

ChatGPT(チャットページ)における1人当たりのセッション数
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

ChatGPT(チャットページ)における平均滞在時間
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

さらに、ChatGPTはAPIを公開しているため、利用できる環境はさらに増えていくと思われます。現在でもすでに、LINE、Bing、Google Chromeといった有名サービスでも利用可能となっています。こうした状況を鑑みても、ChatGPTのトレンドはまだまだ続いていくと考えられそうです。

続いて、ChatGPTユーザーの特徴についてみていきましょう。

ChatGPTユーザーの人物像とは?

まず、同じくチャットページの接触者データから、そのユーザー属性について見ていきます。グラフから、ユーザーの7割が男性であり、年代で見ると、ユーザーのおよそ半数が20代・30代からなることがわかります。特に若い男性に人気であると言えそうです。

ChatGPT(チャットページ)接触者の男女比
(点線はインターネット利用者全体)
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

ChatGPT(チャットページ)接触者の年齢層
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

次に、ユーザーがChatGPTを利用している時間帯と曜日を見ていきます。ユーザーの約1/4が9時から22時の間に利用しており、約4割が曜日問わず使用していることから、時間曜日問わず、つまり学校や仕事の時間・プライベートの時間問わず、検索エンジン的に多くの人に利用されているようです。

ChatGPT(チャットページ)への接触時間帯
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

ChatGPT(チャットページ)への接触曜日
Dockpitより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

ここまでをまとめると、トレンドに敏感な働き盛りのビジネスマンというペルソナが浮上してきます。

ここからは、このペルソナの確からしさを検証するため、Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」を使用して深掘り分析をしていきましょう。

ChatGPTユーザーは「トレンドに敏感な働き盛りのビジネスマン」?

トレンドに敏感

次の4つのグラフは、同様の分析対象者のメディア利用時間を示しています。ChatGPTユーザーは、インターネット利用者全体と比べて、テレビよりもVODや電子書籍を多く利用していることがわかります。ChatGPTユーザーが若年層に多いことを鑑みると、納得のいく結果かもしれません。

ChatGPT(チャットページ)接触者のメディア利用時間
story bankより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

しかし、新聞の利用はインターネット利用者全体と比較して大きく変わりません。新聞は、社会・経済の動向に関する、正確性の高い最新情報を得られるツール。ChatGPTユーザーは若年層が多いものの、こうした新聞ならではの特徴を活かした情報収集を行っている人物と言えそうです。

続いて以下の2つのグラフは、ChatGPTユーザーの普段のSNS利用時間を示しています。ChatGPTユーザーは、インターネット利用者全体と比較してTwitter、Instagramの利用者が多く、利用時間が長いです。このことから、ChatGPTユーザーは、SNSを利用してトレンドを確認しているということが分かります。

ChatGPT(チャットページ)接触者のSNS接触時間
story bankより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

また、InstagramよりもTwitterの方が、利用者が多く、利用時間も長くなっています。Twitter上では、ChatGPTの解答をシェアして楽しんでいるユーザーが見られることから、ビジュアル重視のInstagramよりも、Twitterの方がChatGPTとの相性がいいのかもしれません。普段から情報収集のメイン媒体として、Twitterを利用している様子が伺えます。

高年収の経営者

次に、職業や年収についてみていきましょう。

職業を見てみると、インターネット利用者全体とくらべてChatGPT接触者は、「会社経営」と「学生」層の割合が高いことがわかります。

ChatGPT(チャットページ)のユーザーの職業
story bankより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

さらに接触者の世帯年収も見てみると、全体的に高めであり、特に「1000万以上1500万未満」の層の割合が高いことがわかります。

以上のことから、ChatGPTユーザーは、学生や、年収の高い経営者に多い可能性があります。

ChatGPT(チャットページ)のユーザーの世帯年収
story bankより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

マーケター・営業職・エンジニアなど

続いて、ChatGPTチャットページの接触前後180分間に、接触者が閲覧している他のサイトについてみていきましょう。

上位に入っているサイトは、OpenAIのホームページなど、ChatGPTと直接関係しているものが多いです。GoogleアカウントやGmailなどは、会員登録する際に使用したものでしょう。

10位のHubSpotというのはマーケティングやカスタマーサービスを一括できるツールで、マーケターや営業職のユーザーが訪れている様子が伺えます。

また、13位のQiitaはエンジニア用のノウハウ記録サービス、14位のGithubはソフトウェア開発プラットフォームであることから、エンジニアの利用が多い可能性も考えられます。

また、12位にDeepL翻訳がランクインしていることから、ChatGPTの翻訳性能を確かめているユーザーの存在が示唆されています。

ChatGPT(チャットページ)のユーザーの閲覧しているサイトの特徴値(※)ランキング(上位15件を抜粋)
story bankより集計。対象期間:2022年4月~2023年3月

※特徴値:一般的なネット利用者と比べて、対象者がどれくらい特徴的に利用しているかを表す指標。以下の式で計算される。
 特徴値=対象者のリーチ率(※)ーネット人口全体のリーチ率
※リーチ率:抽出条件に当てはまった人のうち、当該サイトを訪問している人の割合。

以上のことから、ChatGPTを高頻度で利用しているのは、トレンドに敏感なビジネスマンの中でも、意識が高く高い年収を持っており、トレンドに乗ってビジネスを展開していく経営者や、最新技術に関心のあるエンジニアなどに多いと考えることができます。

また、学生の割合も多かった点については、個人利用のほかに、授業で利用されている可能性が考えられます。

ビジネスでも活躍していくChatGPT

ChatGPTが話題になったことで、学生がChatGPTに書かせたレポートをそのまま提出したり、小説や短歌などの公募に対して、ChatGPTに書かせたコンテンツが大量に投稿されることで作品が飽和したり、といった話を聞くことも増えました。しかし実態を見ると、ChatGPTを真剣に使用しているのは、年収が高く、トレンドをいち早く察知しなければならない経営者やエンジニアなどであると推測できます。

ChatGPTは一見あらゆる質問に的確に返答してくれるツールのように思われますが、使い方を正しく理解し、プロンプトを工夫しなければ、誤った解答をしたり、ちぐはぐな内容を返したりすることは避けられません。

しかし、既にビジネスシーンで活用されていることからも明らかなように、特徴を理解し、うまく付き合っていけば、ChatGPTは頼もしい相棒となってくれることでしょう。依然ユーザー数を伸ばしつづけるChatGPTがこれから社会にどのような影響を与えていくのか、今後の動向に注目です。



▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

2024年春にヴァリューズに入社しました。
大学では言語学を専攻していました。

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