自己紹介だけじゃない! 若者のトレンドから見えてくる新しいリトリン(lit.link)の使い方

自己紹介だけじゃない! 若者のトレンドから見えてくる新しいリトリン(lit.link)の使い方

様々なSNSのリンクを一つの画面にお洒落に自分好みにまとめられるということで今若者の間で流行っているlit.link(リットリンク)というサイト。ネット上での自己紹介で使用している人もいるのではないでしょうか?そんなリトリンの利用動向を調査していくと、自己紹介だけにはおさまらない新しい使い方が見えてきました。


lit.linkとは?

lit.link(リットリンク)とは株式会社Tie Upsが運営するインスタグラムやX(旧Twitter)、ブログなどのメディアのリンクを一つのページにまとめて、お洒落で自分好みにカスタマイズできる「リンクまとめサービス」です。

「Tie Ups」公式ホームページより

公式ホームページから新規登録が可能で、LINEを連携させて登録させれば約1分で簡単に利用を始めることができます。

ログインして、一通り設定を終えると次のような画面が出てきます。ここで実際に自分のSNSアカウントのリンクを貼ってプロフィール作成ができます。

「lit.link」公式ホームページより

右肩上がりの接触者数、なぜ流行り始めているのか?

これはlit.link(https://lit.link )ウェブサイトの接触者数の推移を表したグラフですが、2022年8月から2023年7月まで継続して増えていることが分かります。一体どんな人がどんな理由で利用しているのでしょうか。ここからは、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」で詳しく調査していきます。

「lit.link」サイト:接触者数推移
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

lit.linkの利用者は?

では、lit.linkサイトへの接触者属性を見ていきます。

男女比はほぼ1:1

まずは性別から。男女比は約1:1であり、性別で利用者の特徴的な点は見られません。

「lit.link」サイト:接触者男女比
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

若年層が半分以上を占める

次に年代を見てみます。20代の人たちが約35%で最も接触しており、加えて、30代の人たちもネット利用者全体の平均よりも10ptほど高い27%となっていて多く接触していることが分かります。つまり若年層だけで半分以上の割合を占めていることになります。

「lit.link」サイト:接触者年齢層
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

以上のことから、lit.linkは若年層の男女に広く使われていると考察できます。
では、なぜこの層が多いのでしょうか?もっと詳しく見ていきましょう。

利用者の興味・関心が高いのは?

ここからはなぜ若年層の男女にlit.linkが広く使われているのかを調べていきます。
なお分析には、Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」で詳しく調査します。

動画共有サイトへの関心が高い

これはlit.linkサイト接触者がどのような事柄に興味・関心があるかをグラフにしたものです。縦軸はその事柄に興味があると回答した人の割合を表したリーチ率。横軸は回答者のリーチ率から一般的なネット利用者のリーチ率を引いた値をptで表した特徴値というものです。

「lit.link」サイト:接触者の興味・関心がある物事
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

注目してほしいのはこの部分。「動画共有サイト(YouTube、ニコニコ動画など)」の特徴値が16.4ptで続く「ゲーム」と4ptほど差をつけています。

「lit.link」サイト:接触者の興味・関心がある事柄
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

リトリンの前後ではX(旧Twitter)やイラスト関連を利用

つづいて、lit.link接触者が接触前後180分の間に閲覧したサイトのランキングも見ていきましょう。

「lit.link」サイト:接触者の前後180分間の閲覧サイト
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

具体的に見ていくと、まず5位「プロフカード(プロフィールなどをきれいにまとめる)」、6位「ポイピク(イラストの管理を簡単にする)」、7位「ぷらいべったー(公開範囲を限定してテキストや画像を公開する)」、10位「マシュマロ(匿名でメッセージを送る)」、11位「ツイフィール(詳細なプロフィールを作る)」と、X(旧Twitter)と連携させて使用することが多いサイトがランクインしています。これによりlit.linkの接触者は

X(旧Twitter)を中心にSNS活動を行っている人が多い

と考察します。


また、6位「ポイピク」、8位「pictSQUARE(オンライン上で同人イベント行う)」、12位「Skeb(イラスト作成などをクリエイターに依頼)」、15位「POTOFU(クリエイター向けのプロフィールまとめサービス)」など、絵やイラスト作成のためのサイトが多数ランクインしています。ということは、

イラストを作成する人かそのイラストを見に行く人が多い

と言えます。

以上、二つの考察を合わせて考えられるlit.link接触者の実態は、

X(旧Twitter)を主に使って、自分の描いた絵などを発信するクリエイターか
好きなクリエイターの作品を探している人


ではないでしょうか。

アプリ利用からは別の考察が、lit.link接触者は配信者?

同様にアプリの使用状況も見ていきましょう。以下のデータはlit.link接触者が、接触前後180分の間に利用したアプリのランキングです。

「lit.link」サイト:接触者の前後180分間の利用アプリ
調査期間:2023年8月~2023年7月
デバイス:スマートフォン

具体的に見てみると、1位「ツイキャス」、2位「Pococha」、4位「ニコニコ生放送」、7位「SHOWROOM」、8位「ミクチャ」、9位「17LIVE」、10位「ニコニコ動画」など動画配信サービスのアプリが。12位「IRIAM」、14位「Voice Pococha」、15位「REALITY」と、顔出しなしでアバターや声だけで配信をするアプリがランクインしています。そうすると、lit.link接触者は興味・関心の部分で分かったことと合わせて、

配信者orその配信の視聴者

となるでしょう。

YouTube以外の動画配信サービスがなぜ多数ランクイン?

ここで疑問を持った人も多いと思いますが、私たちに最も身近で今やほとんどのネットユーザーが利用してるであろう「YouTube」以外の動画配信サービスがなぜこんなにも多くランクインしているのでしょうか。

それは配信者にとって厳しい審査条件が影響しているかもしれません。YouTubeで収益を得るにはいくつかの厳しい条件があります。それらをクリアしなければ、広告収入どころか生配信における投げ銭を受け取ることすらできません。

Youtubeのチャンネル収益化ポリシーより引用

対して、ツイキャスなどの配信サービスは、収益化の条件が比較的クリアしやすくかつ数も少なくなっています。

ツイキャスヘルプより引用

我々に最も身近な配信サービスであるYouTubeよりも他のサービスが手軽に始めやすい側面があると言えそうです。

クリエイターはlit.linkを自己紹介に使う

今の若い世代の人たちはネットが発達した時代で生きているため、簡単に有名になることも可能です。クリエイターやインフルエンサーと呼ばれるような人はSNSを使って、自分の作品を投稿しています。そんな時に何か自分の認知拡大を図れるものが欲しい、昔でいう名刺みたいなものが欲しい、と思ってこのlit.linkを自己紹介に使っているのかもしれません。

今のトレンドから考察するlit.linkの新たな使い方

さて、ここまでlit.linkの利用者がクリエイターやインフルエンサーである根拠は説明しましたが、そのクリエイターやインフルエンサーの視聴者が利用している根拠を説明をしていません。ではどのような理由で一般の人たちはlit.linkを利用しているのでしょうか。もちろん、インフルエンサーと同じで自己紹介という用途で使っている人もいるかもしれません。しかし、今若者の間で流行る ”あるトレンド” と共に考えていくと新しい使い方が見えてきました。

若年層が多い理由のもう一つの理由は推し活!?

「推し活」というものをご存じでしょうか。推し活とは自分の好きなアイドルや俳優、インフルエンサーなどを推す、つまり応援することです。具体的には推しに会いに行く、推しのグッズを買う、推しを広めるといったことが推し活の例です。その中でも、推しを広めることがこのlit.linkの流行りのもう一つの理由と考察します。

推しが自分のしたことによって今よりも人気になったら、嬉しいですよね。そういう気持ちからこのlit.linkを使う人が増えているのではないでしょうか。

また、推しを広めるという意味では他の人とつながるというのも一つの例です。昨今ネットで出会いを求める人が増えた影響で、容易に自分と同じ趣味嗜好を持つ人を見つけることができるようになりました。そこで、同じ趣味の人と推し活のグループを作ってより大きく、広い範囲に対して推しの人気拡大を図ることも考えられます。

まとめ

今回は最近接触者が増え続けているlit.linkについて調査してみました。分かったことは、

①lit.link接触者は若年層の男女
②lit.link接触者はTwitterを中心として活動するクリエイターか配信者orそのファンが多いと考えられる
③インフルエンサーなどが知名度をあげるための自己紹介として使っている
④推しの人気拡大のために使っている可能性も


でした。

Z世代の私の意見としては16Personalitiesの記事(Z世代から注目を浴びる「16Personalities」。人気の理由は「就活」と「SNS」? )でも書いたとおり、自分のことを他人に知ってもらうことは仲を深める役割を果たすので、それで使う人が今後も伸びて行くのではないかな?と思っています。ネットで出会う人の素性を知ることはなかなか難しいので、こういうプロフィール帳みたいなものは必要ですね。

今後の動きに注目です!

Z世代から注目を浴びる「16Personalities」。人気の理由は「就活」と「SNS」?

https://manamina.valuesccg.com/articles/2605

今若者の間で流行り始めている16Personalities性格診断。芸能人が自身のSNSで診断結果を共有している投稿を、見かけた方も多いのではないでしょうか。そんな16Personalitiesの利用動向を調査したところ、Z世代が就活やプロフィール作りに活用している様子が見えてきました。

この記事のライター

早稲田大学商学部1年生のハルです。愛知から上京してきて絶賛一人暮らし中。自炊にはまっています。現在マナミナにてインターン中。

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