「痛み」の検索ニーズを調査。年齢によって異なる痛み、AI搭載の症状検索エンジンが人気

「痛み」の検索ニーズを調査。年齢によって異なる痛み、AI搭載の症状検索エンジンが人気

身体に痛みを感じた時、まずはネット上で検索して病名を調べたり、対処法を探す人も多いのではないでしょうか。今回は「痛い」「痛み」というキーワードに注目し、直近1年間でどのような検索がされていたか調査しました。みんなの気になる痛みは何なのか、また痛みの種類ごとに検索者の特徴に傾向はあるのか、データから読み解いていきます。


「痛い」「痛み」の検索は女性が多く、シニア層は少ない

まずは、「痛い」「痛み」をキーワードとした検索者数の推移を確認します。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpitを用います。

グラフ

「痛い」「痛み」検索者数推移
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

2024年3月最新の統計では、「痛い」138万人、「痛み」94.3万人という月間検索者数となっていました。「痛い」を検索ワードとして使っている人の方が多いということが分かりました。

次に、「痛い」「痛み」で検索した人の属性を詳しく見ていきます。

まずは男女比です。

グラフ

「痛い」「痛み」検索者の男女比
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

検索者の6割以上を女性が占めていることが分かりました。女性の方が痛みに関してインターネットで検索する傾向が強いということがうかがえます。

次に、年代別割合です。

グラフ

「痛い」「痛み」検索者の年代別割合
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

「痛い」「痛み」のどちらの言葉で検索しているかという点で割合に少し違いがあるものの、総合的に見て検索者は20代〜50代が中心であり、意外にも60代以上の割合が低いことが明らかになりました。シニア世代は、インターネットで自分の身体の症状について調べるという使い方をあまりしない傾向にあるかもしれません。

「痛い」vs.「痛み」で関心がやや異なる

続いて、一般のネット検索者に比べて「痛い」「痛み」の検索者が関心を示したワードは以下の通りでした。

関心ワードランキング

「痛い」検索者 関心ワードランキング
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

「痛い」検索者の関心ワードは「むくむ」「ダルい」「涙が出る」のような身体の他の症状に関することや、「妊娠7ヶ月」「生理予定日」のような特に女性が痛みを感じるタイミングに関するワードが上位にあがっていました。

関心ワードランキング

「痛み」検索者 関心ワードランキング
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

一方、「痛み」検索者の関心ワードは、「左脇腹」「小指側」のような身体の部位に関するものが多いことが分かりました。「痛い」は「どのように」「いつ」痛いか、「痛み」は「どこの」痛みか、という少し異なった視点から検索される傾向にあるのかもしれません。

どんな人が調べてる?痛い場所別

最も検索者数が多いのは喉の痛み

次に、身体のどこの部分に関する検索が多いのか、「痛い」もしくは「痛み」を検索した人を合計して、実際の検索ワードを見ていきます。

検索キーワードランキング

「痛い」「痛み」検索キーワードランキング
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

最も検索者数が多かったのは、「喉」の痛みでした。「コロナ」という言葉との掛け合わせでもよく検索されています。喉の痛みをきっかけに、新型コロナウイルスを疑う人も多いのではないでしょうか。続いて、「背中」「股関節」「膝」「胃」「目」といった痛みがランクインしています。

「喉」「胃」「目」は幅広い年代、「背中」「股関節」「膝」は中高年層から

痛みの場所によってどんな人が検索しているのか、そこに傾向はあるのか、さらに詳しく見ていきたいと思います。

グラフ

「喉の痛み」「喉が痛い」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

喉の痛みを検索した人は、男女比が約3:7で、年代は40代を中心とした幅広い年齢層であることが分かりました。病院に行く行かないにかかわらず、喉のケアは幅広い人に必要とされている情報であることがうかがえます。

背中

グラフ

「背中の痛み」「背中が痛い」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

背中の痛みを検索した人は、男女比が約3:7で、年代は40代・50代が中心であることが分かりました。背中の痛みは内臓疾患の恐れもあるため、より健康が気になってくる年代のニーズが高そうです。

股関節

グラフ

「股関節痛み」「足の付け根が痛い」「股関節が痛い」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

股関節の痛みを検索した人は、男女比が約2:8で、女性の割合がさらに多い結果となりました。年代は40代〜60代が中心であることが分かりました。実際に、股関節の痛みは40〜50代女性で発症する人が多い傾向にあります。

参考: https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_293.html

グラフ

「膝の痛み」「膝が痛い」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

膝の痛みを検索した人は、男女比が約3:7で、年代は40〜60代が中心であることが分かりました。こちらは若年層と顕著な差が出ており、40代以上になると一気に割合が高くなっています。治療法やストレッチ法を紹介するページへの流入が見られました。

流入ページ ランキング

「膝の痛み」「膝が痛い」流入ページランキング
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

グラフ

「胃が痛い」「みぞおちの痛み」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

胃の痛みを検索した人は、男女比が約2:8で女性の割合が高く、年代は40~50代をボリュームゾーンに、幅広い年齢層に渡ることが分かりました。食事やストレスの影響によるものが多いため、年齢に関係なく発症する可能性が高いことが考えられます。

グラフ

「目の奥が痛い」「目が痛い」検索者 男女比(左)・年代割合(右)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

目の痛みを検索した人は、男女比が約2:8で、デジタルデバイスの普及も影響してか、胃の痛みと同様に幅広い年齢層に渡っていることが分かります。

女性の検索が多いのは「生理」「妊婦」「更年期」や「子供」の痛み

次に、属性別マップを使って検索キーワードと年齢・性別の関連性を見ていきます。

属性別マップ

「痛い」「痛み」属性別マップ(縦軸: 年齢、横軸: 性別)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

女性の検索者が多いため、マップを見ると全体的に女性寄りの分布になっています。例外的に男性検索者の傾向が強かったのは、「ランニング」にまつわる痛みでした。女性から強く関心を寄せられているものとしては、「更年期」「生理前」「生理」「妊婦」という女性の身体に関連するワードです。女性ホルモンの乱れが生じるタイミングで痛みを発症することが多いと考えられます。また、「子供」というワードも女性寄りの位置に分布していることから、母親が子供の症状を検索している場面も思い浮かびます。

縦軸の年齢で見た時に、若年層に多いワードとしては「親知らず」「歯」「歯茎」といった歯に関するもの、「喉」「喉痛い」「頭痛い」「風邪」のような風邪症状のものが見られました。一方、中高年層に多いワードとしては「帯状疱疹」や、「肘の痛み」「膝の痛み」「股関節の痛み」が挙げられます。帯状疱疹は50歳以上の人になりやすい病気と言われており、その他に関しては共通して関節の痛みであることから、特に中高年層に関連性のある痛みであることが分かります。

AIが病名を教えてくれる「ユビー」が人気

「痛い」「痛み」で検索した時にどのサイトへのアクセスが多かったか、流入サイトランキングで見ていきます。

流入サイトランキング

「痛い」「痛み」流入サイトランキング
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン

1位には、症状検索エンジン「ユビー」がランクインしています。病名や受診先について、一人一人の症状に合った答えが出てくるという点で、得たい情報に辿り着きやすいサービスと言えるでしょう。


ユビー

質問に答えていくことで、最も関連のある病名をAIで教えてくれるサービス

次に、2位と3位にEPARK(Medicalook、くすりの窓口)、4位NHK、5位メディカルノートと続きました。これらのサイトは、コラムや記事を通じて病気や薬の情報を提供しています。


EPARK Medicalook(メディカルック)

身体の症状に関するコラムが掲載されているサイト

流入ページ ランキング(抜粋)

(ランクインしたページ例)

「喉が痛い時」流入ページランキング(抜粋)
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC&スマートフォン


EPARK くすりの窓口

くすりに関するコラムが掲載されているサイト


NHK健康チャンネル

NHKの番組に基づいた健康・医療情報が掲載されているサイト


Medical Note

病気に関する記事を読んだり、医療相談、病院検索ができるサイト

また、7位にYahoo!知恵袋がランクインしていることも特徴的でした。自分と似たような症状の人の回答や体験談を参考にしたいというユーザーの心理が伝わってきます。

まとめ

今回は「痛い」「痛み」検索について調査してきました。

検索者には女性が多いことが明らかになりました。妊娠や生理等、痛みを伴う場面が多いことや、子供の症状について調べている母親像が浮かび上がってきました。また、年代別に検索する症状が違うことも分かりました。「喉」「胃」「目」は幅広い年齢層に、「帯状疱疹」や「肘」「膝」「股関節」などの関節に関する痛みは中高年層中心に検索される傾向があります。

流入サイトは、AIで関連のある病名を教えてもらえる「ユビー」が最も多く、次に医療や健康に関するメディア記事が続きました。また、Yahoo!知恵袋を参考にする人も一定数いることが分かりました。痛みの原因や対処法を知ることで安心したい、といった検索者のニーズが伝わってくるような結果となりました。

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この記事のライター

現在Webデザインを勉強中。
大学ではポルトガル語と言語学を学んでいました。
趣味は、海外エンタメ情報の追っかけとおうちでラテアート修行をすることです。

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