「おぱんちゅうさぎ」人気に迫る!トレンドの共通点は「等身大なネガティブに対する共感性」?

「おぱんちゅうさぎ」人気に迫る!トレンドの共通点は「等身大なネガティブに対する共感性」?

若者の間で、「ちいかわ」を超えて人気に火がついていると言われる「おぱんちゅうさぎ」。なぜ人々は魅了されてしまうのか?「おぱんちゅうさぎ」がどのような人を取り込み、なぜ人気なのか、昨今のトレンド「ちいかわ」「猫ミーム」「やだなー展」などとの共通点も探りながら、分析していきます。


中高生の間でいまアツい!「おぱんちゅうさぎ」とは?

「おぱんちゅうさぎ」は、人気クリエイター「可哀想に!」さんによるキャラクター。「健気に頑張っているのに、報われない」というコンセプトで、公式X(旧Twitter)にて2コマ漫画も投稿されています。

2023年11月~12月にGMOメディアが女子中高生1,062名を対象に行った「2023年のトレンド」に関するアンケートでは、「2023年に流行ったキャラクター」として、「ちいかわ」を抑えて「おぱんちゅうさぎ」が1位に。今、若者に人気なキャラクターであることがわかります。

中高生をイノベーターとして、「おぱんちゅうさぎ」への人気は全世代的にも高まっているのでしょうか。毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて、「おぱんちゅうさぎ」検索者の動向を見ていきましょう。

8月2日「パンツの日」で注目度アップ

まずは「おぱんちゅうさぎ」の検索者数の推移です。2年間の動きを見ると、2023年8月をピーク(9万人超)に、2022年と比べると増加傾向にあることがわかります。

「おぱんちゅうさぎ」検索者数の推移
調査期間:2022年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

なぜ検索者数は、2023年8月に急増を見せているのでしょうか。
「おぱんちゅうさぎ」は、「パンツの日」とされる8月2日が誕生日。誕生日のお祝いイベントとして、ネット上にパーティ会場が特設されました。参加者が殺到した結果、公開から30分以内に、参加者の上限である9万9,999人に達してしまったそうです。

この大盛況ぶりが、2023年8月の検索者数の引き上げにも反映されていることがわかります。直近の検索者数は下降傾向にありますが、今年も「パンツの日」をきっかけに、認知が数段階引き上がるかもしれません。

検索者数は「すみっコぐらし」と同規模

次に、「おぱんちゅうさぎ」の検索者数を、同じく人気キャラクターの「ちいかわ」「すみっコぐらし」と比べてみましょう。

「おぱんちゅうさぎ」「ちいかわ」「すみっコぐらし」検索者数の推移
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

「ちいかわ」の検索者数が多く、ほぼ同水準の「おぱんちゅうさぎ」「すみっコぐらし」はそれを追う形になっています。「おぱんちゅうさぎ」の認知や人気には、まだまだ伸びしろがありそうです。

意外にも広い年代から関心を集めている

続いて、各キャラクターのファン層を分析するために、それぞれのキャラクター名を検索している人がどのような人なのかを見ていきます。

検索者の男女比率を見ると、「ちいかわ」の男性割合が約35%と、最も高くなっています。一方「おぱんちゅうさぎ」の男性は約28%。「2023年に流行ったキャラクター」で「おぱんちゅうさぎ」が1位にランクインしたアンケートも女子中高生が対象であったことから、「おぱんちゅうさぎ」は女性人気が強いキャラクターであることがうかがえます。今後さらにファン層が拡大していけば、「ちいかわ」のように、より男女のバランス良く広く愛される存在になっていくのかもしれません。

「おぱんちゅうさぎ」「ちいかわ」「すみっコぐらし」検索者の性別割合
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

検索者の年代を見てみると、「すみっコぐらし」のボリュームゾーンが30代・40代なのに対し、「おぱんちゅうさぎ」「ちいかわ」はともに20代が20%超を占めており、これはネット利用者全体と比べても高い割合であることがわかります。

「おぱんちゅうさぎ」は40代の割合が最も高いですが、20代・30代・40代の割合の差は小さく、若年寄りの比較的広い年代から検索されています。「若者のトレンド」のイメージからは、少し意外な結果かもしれませんが、「不憫なキャラクターに対する共感性」は、20代のみならず広い年代と親和性が高いのかもしれません。

「おぱんちゅうさぎ」「ちいかわ」「すみっコぐらし」検索者の年代割合
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

「好きなものには投資を惜しまない」推し活ファンが多い?

さらに「おぱんちゅうさぎ」ファンの解像度を上げるために、検索者が月にどんなものにお金を使っているのか、支出先のデータを見ていきます。なおここでは、Web行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定の Web 行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」を用いて分析を行います。

見ると、ネット利用者全体の平均と比べ、「おぱんちゅうさぎ」検索者は「ライブ、コンサートの鑑賞」「イベント・グッズ購入」「CD・DVD購入」「動画サービスへの課金」といったカテゴリへの課金額が高くなっています。

「おぱんちゅうさぎ」検索者の月平均支出
集計期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

「自分が好きな人やモノ、コンテンツへの課金は積極的に行う」という、応援消費が活発な検索者が多いのかもしれません。好きなキャラクターのグッズを集めている様子もイメージできます。「その世界観に浸る時間を大事にしている」という人も多そうです。

トレンドの鍵は「等身大のリアルさ」「応援したくなる不憫さ」

「おぱんちゅうさぎ」人気の背景には何があるのでしょうか。最近トレンドになるモノやコンテンツには、共通点があるのでしょうか。

「ちいかわ」「猫ミーム」「やだなー展」「小さな絶望がテーマのぬいぐるみ」など、近年バズったトピックを振り返ってみましょう。

不憫さに共感できる「ちいかわ」

「ちいかわ」は、臆病で無力、それなのにトラブルに巻き込まれがちな「不憫」なキャラクターが過酷な世界を生き抜くストーリーで、世間の共感を集めているようです。

ちいかわ、なぜ現代人を魅了する? “癒し”の存在だけじゃない、過酷な世界で生き抜く姿へのシンパシー(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/aba9ccaf07653160622db4bb7cb4b453ea288ec6

  日本国内のみにとどまらず、海外でも流行の兆しがみられる『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(以下『ちいかわ』)』。   本作には“ちいかわ”の他、“ハチワレ”や“うさぎ”など、動物をモチーフ

「ちいかわ」ファンを分析!大人がハマる理由は?企業コラボで推し活促進も

https://manamina.valuesccg.com/articles/2873

近年、キャラクター「ちいかわ」が大人たちの間で急速に人気を集めています。今回は、「ちいかわ」ファンの人物像を分析することで、彼らがこの可愛らしいキャラクターに魅了されてしまう理由を探ります。さらに、様々な企業とのコラボレーションが「ちいかわ」ファンの推し活にどのような影響を与えているのか、そのマーケティング戦略や推し活実態についても考察します。

不幸なことをポップに伝える「猫ミーム」

「猫ミーム」は、猫の切り抜き動画素材を用いて作られた動画。上司に詰められている様子など、共感を誘うような不幸なシーンの再現動画が多く投稿されています。

共感してほしいけど言いづらい不幸なことを、猫ミーム特有の「可愛さ」と「ユーモア」で、柔らかくポップに伝えていることが特徴と言えるかもしれません。

あえて日常に潜むちょっと嫌な瞬間を集めた「やだなー展」

「やだなー展」は、2023年2月に1回目が開催された展示。コンセプトの斬新さと「わかる!」という共感性が話題を呼び、チケットが完売するほどの人気を集めました。

日常の「小さな絶望」を体現したぬいぐるみ

X(旧Twitter)でバズりを見せている、アカウント名「まこすん」さんの作品。「カバンの底で潰れたおにぎり」「割るのに失敗した割り箸」など、気分がちょっとダウンするようなシーンがぬいぐるみで表現されています。

これらと「おぱんちゅうさぎ」の共通点は、「日常の嫌なことを、クスッと笑えるコンテンツに昇華させていること」「共感できる不憫さやネガティブな体験」「等身大の現実感」ではないでしょうか。こうした観点は、特にキャラクターに関しては、「不憫だからもっと応援してあげたい!」という気持ちにも繋がりそうです。

こうした飾らない側面を持つコンテンツが、近年バズを生み出しやすい状況にあるものと考えられます。消費者のインサイトをうまく押さえながら、今後どのようなトレンドが新たに生まれていくのか、引き続き目が離せません。

【無料ダウンロード】総ページ数150P以上のライフスタイル・消費トレンドレポート|デジタル・トレンド白書2024

https://manamina.valuesccg.com/articles/3792

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)

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この記事のライター

1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。

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