【2025年】生成AIツールと活用事例7選。マーケターはどう使う?

【2025年】生成AIツールと活用事例7選。マーケターはどう使う?

生成AIは魅力的なツールであるため、ビジネスで活用したいと考える人は多いかもしれません。マーケターの方々に向けて、Google GeminiやAdobe、Canvaなどの生成AIツールと活用事例、導入ステップを紹介していきます。


生成AI活用で業務効率化と成果向上に

生成AIは、既存のデータを基に新しいコンテンツを生成する人工知能技術です。テキスト、画像、音声、動画など、さまざまな形式で新たな情報を自動的に生成することが可能です。

「生成AI」検索ユーザー数推移

図:「生成AI」検索ユーザー数推移
期間:2023年1月〜2024年12月
デバイス:PCおよびスマートフォン

ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」で「生成AI」の検索者数を見ると、2023~2024年の間で検索者数が大幅に伸びており、2024年は生成AIが広く普及した年といえるでしょう。

特に、ChatGPTは生成AIの先駆け的存在として、多くの人々に広く知られています。ビジネス面では生成AIを効果的に活用することで、仕事の効率化や成果の向上が望めます。

では、実際にはどれくらいの企業が生成AIを業務に導入しているのでしょうか。パーソルイノベーション株式会社と株式会社デジライズが行った調査では、業務において生成AIの活用状況を調査した結果、3割超が「月に1回以上活用している」と回答しました。

また、生成AIの活用者の約8割が業務効率があがったと回答しています。活用しているAIの種類としては、文章生成が最も多く、次いで画像生成や動画生成が続いています。

マーケターにおすすめの生成AIツール・活用事例

「生成AIが凄い」となんとなくは知っていても、実際に活用するとなるとどのように使えばいいのかイメージがつかない人も多いかもしれません。

ここからは、具体的にマーケターの業務と紐づけて、生成AIの具体的なツールと企業の活用事例を紹介していきます。

市場調査のツール・活用事例

市場調査のツール・活用事例

商品開発やプロモーション施策を考えるマーケターにとって、市場調査は欠かせません。適切に市場調査を行うことで、市場にマッチした戦略策定や意思決定になり、企業の競争力を高めることができます。

市場調査で生成AIを活用すれば、ユーザーのニーズの変化から競合の動向まで、幅広い情報収集・分析が短時間で効率良くできるようになります。

ChatGPT/セブンイレブン

ChatGPTサイト

「ChatGPT」は、アメリカの人工知能研究機関「Open AI」が開発したAIチャットボットで、2022年11月の公開から約2ヶ月でユーザー数が1億人を突破しました。人間のように自然でクオリティの高い回答が可能です。

実際にセブンイレブンは店舗の販売データやSNS上での消費者の反応を分析するためにChatGPTを活用しています。これにより、従来商品開発にかかっていた時間が最大90%削減され、より市場のトレンドや顧客ニーズに合った新商品の提供が実現しています。

参考:セブンイレブン、商品企画の期間10分の1に 生成AI活用 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞

文章作成のツール・活用事例

市場調査を踏まえて、マーケターはキャッチコピーの考案や記事作成を求められることがあるでしょう。これらの作業も生成AIツールを活用すれば、数十秒で広告に必要なキャッチコピーを複数考案したり、書きたい記事のアイディアを入力することで自動的に文章を作成したりすることが可能です。

Catchy/株式会社WAOCON

Catchyのサイト

「Catchy」は、マーケティングに最適な文章を自動で生成する国内最大級のAIライティングアシスタントサービスです。ChatGPTを搭載したAIシステムを採用し、広告のキャッチコピーや記事作成を筆頭に約100種類の生成機能が搭載されています。

株式会社WAOCONはサテライトサイトの記事制作のために、Catchyを導入。「従来3~5日に分けて取り組んでいた記事制作業務を1日で終えられるようになった」と言います。リード文やディスクリプションは、Catchyが生成した文章をそのまま使用できるレベルであり、記事制作にかかる業務時間の削減やライターへの外注費の削減に大きな効果があったそうです。

参考:記事制作業務を5日→1日以下に削減。サテライトサイトの記事制作にCatchyを活用。

SAKUBUN/オーガライフプラス株式会社

SAKUBUNのサイト

「SAKUBUN」は、SEO記事作成に特化した生成AI記事制作ツールです。競合記事を分析する機能を搭載している点が大きな特徴です。

オーガライフプラス株式会社は、文章作成業務の負担が大きいという課題を抱えていましたが、誰でも簡単に使えると感じた「SAKUBUN」を導入しました。AIが30秒で作成した文章を人間がリライトするだけでコンテンツが完成し、文章作成コストが月間3分の1になったそうです。

参考:SAKUBUN(サクブン) | マーケターのためのAIライティングツール

精度の高い文章生成のAIツールは多いため、それぞれの独自の強みを把握したうえで、自社で求められている機能を果たすツールの選択をすることが重要です。

資料や画像作成のツール・活用事例

AI画像生成を駆使することでマーケターは、魅力的な資料を一瞬で作ることができます。実際、提案資料に生成AIを活用している企業もあるようです。そのほかにも広告クリエイティブの制作やプロダクトデザインの作成時に、案出しとしても活用できるかもしれません。

Canva/株式会社ベネッセコーポレーション

Canvaのサイト

「Canva」は、デザイン初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応するオンラインデザインツールです。豊富なテンプレート、フォント、画像素材を活用し、ポスター、プレゼンテーション、SNS投稿などのビジュアルコンテンツを誰もが簡単に作成できます。

Canvaのマジック生成AI機能

なかでもCanvaの画像生成機能を利用すると、クオリティの高い画像を瞬時に手に入れることができます。マジック生成AI機能は、ユーザーが入力したテキストやアイデアをもとに、独自の画像やデザインを自動で作成するツールです。この機能を使うことで、例えば「美しいビーチの風景」といった簡単な指示を入力するだけで、瞬時に高品質なビジュアルコンテンツが生成されます。これにより、デザインの経験が少ないユーザーでも、簡単にプロフェッショナルな画像を作成でき、創造的なプロジェクトの可能性が広がります。

ベネッセコーポレーションが提供する「Udemy」のデザインは、元々外部に依頼していましたが、ディレクションが難しく、やり取りにも時間がかかることが課題でした。そこで、Canvaを活用することで、複数のチャネルで統一感を持たせつつ、クオリティを担保したデザイン制作が可能になりました。最短でも1週間はかかっていた工程を1~2時間で制作を完了できるようになったそうです。

参考:クリエイティブ内製化で、1週間の制作工数が1〜2時間に大幅短縮!ベネッセコーポレーション | Udemyが実践するCanva活用術とは

Adobe Firefly/SBC湘南美容クリニック

Adobe Fireflyのサイト

Adobeが開発した「Adobe Firefly」は、英語や日本語を含む100を超える言語に対応したAI画像生成機能で、キーワードを入力するだけで、想像を超えたクリエイティブな画像やイラストを瞬時に生成できます。著作権に関する心配が少ない画像を提供する点が大きな強みです。

SBC湘南美容クリニックでは、生成拡張機能が重宝されてます。以前は使いたい画像があっても、写真の一部が見切れていて、使用できなかったり面倒な加工をする必要がありました。しかしAdobe Firefly導入によって簡単に欠けている部分を生成することができ、納得いくまで調整が可能になりました。

素材探しからレタッチまで幅広い対応が可能で、手間の削減に大きく貢献しているそうです。

参考:美容医療における SNS マーケティングの最前線 - SBC 湘南美容クリニックが語るクリエイティブと生成 AI の活用術 | Adobe blog

画像生成AIについて詳しく知りたい方はこちら

音声作成のツール・活用事例

音声生成AIは、テキストを自然な音声に変換したり、特定の話者の声を模倣したりすることができます。広告やプロモーション、コンテンツ制作などで活用することで顧客体験の向上に繋げられるかもしれません。

ReadSpeaker/株式会社資生堂

ReadSpeakerのサイト

「ReadSpeaker」は、テキストを自然な音声で読み上げる「音声合成技術」を提供するサービスです。多言語対応や自然で高品質な音声生成に加え、利用目的に応じた音声のトーンやスピードの調整などのカスタマイズ性の高さが特徴的です。

株式会社資生堂は、ブランド「SHISEIDO」のデジタルツール「LEAH」の活用機会を増やすため、ブランドイメージに合った音声を生成できる「ReadSpeaker」を導入しました。いつでも音声メッセージの作成・編集が可能になり、音声によるサービス提供に関する自由度の飛躍的向上と費用の効率化、リスクの軽減を実現しました。

参考:ブランド「SHISEIDO」がReadSpeakerのAI音声(音声読み上げ)を採用、新たなCX(顧客体験)の提供へ | 【公式】ReadSpeaker(リードスピーカー) | AI音声合成ソフト,読み上げツール

これらの事例からもわかるように、記事や画像、動画などのコンテンツの作成は、人間が担当すると膨大な時間を要してしまうことが多いです。これを課題に感じている企業はたくさんあります。

しかし生成AIをうまく活用できれば、高いクオリティを担保しながらも工数が大幅に短縮し、業務の効率化・費用削減につながることがわかりました。

単純作業の補助のツール・活用事例

メール管理や資料作成、会議進行など、日々の小さなタスクに追われ、マーケティング戦略に集中する時間が奪われているマーケターは多いかもしれません。そこで、生成AI を活用すればルーティンワークの効率化が叶います。

Gemini for Google Workspace

Gemini for Google Workspaceのサイト

Geminiを活用すれば、Gmailでは受信メールの自動要約やテンプレート返信ができ、メール処理が迅速に。Google スライドでは、アイデア入力でAIがプレゼン用画像やデザインを自動生成。Google Meetでは、会議内容のリアルタイム文字起こしと翻訳が可能です。

このように普段使っているGoogle WorkspaceとGeminiを連携することで本来のマーケティング業務に、より集中できるようになるかもしれません。

生成AI導入は4つのステップで

生成AIの魅力を知ってはいるもののどのように社内に導入したらよいのでしょうか。ここからは、社内で生成AIを導入するための基本的な下記の4ステップを紹介します。

・目標・ツールの選定基準の策定
・運用ルールの策定
・導入・活用
・効果測定

目標・ツールの選定基準の策定

まず初めに生成AIを導入するにあたって目標を設定します。そのために、会社の業務プロセスや現場で直面している課題を明確にします。「コンテンツ制作のスピードが遅い」「データ分析に時間がかかりすぎている」などの課題があるかもしれません。

ここで、使用するツールを選定する基準が定まります。それぞれのツールによって機能や価格が異なるため、丁寧なリサーチや試験的な導入が必要です。

運用ルールの策定

ツールの選定が完了したら運用ルールを策定しましょう。生成AIには情報漏洩や権利侵害のリスクが伴います。そのため、社内でのAI運用におけるルールの設定や管理の仕方などのガバナンス体制を構築することが求められます。

導入・活用

続いて実際に社内で活用する段階です。従業員が生成AIツールを効果的に使えるようにサポートをすることも欠かせません。導入したツールの使い方の勉強会を開催したり、具体的な活用方法を具体的に示したりすることが求められます。

効果測定

最後に、導入後の効果を測定します。最初に設定した目標と照らし合わせながら、ツール導入による業務効率の向上やコスト削減につながっているかを確認します。ツールの使用状況において設定を変更したり、効果が大きければほかの部署や業務プロセスに導入を広げてみたりするといいでしょう。

まとめ

本記事では、マーケター向けの生成AIツール・導入事例と社内での導入ステップについて紹介してきました。

2025年も、新たな生成AIツールが登場することが予想されます。個人で活用できるところから、会社全体で導入を検討すべきものまで様々です。生成AIを活用することは、業務の効率化と成果の向上に大きく貢献します。一方で、情報漏洩のリスクや誤った情報の出力の可能性も否めません。デメリットも踏まえたうえで、うまく付き合っていく方法を模索していくことが大切です。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

2025年入社予定の大学4年生です。

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