いざ万博へ
7月の酷暑のなか大阪・関西万博へ行ってきました。マスコミの報道では入場するだけで困難との情報もあり、心して参りましたが新大阪から直行バスを選んだので、到着したのは西口ゲート。それほど混んでおらず10時頃には入場出来ました。
人気の高いアメリカ館を一目観たいと念じ、事前予約が取れなかったため約3時間待ちの行列に並びました。館内を巡るには30分程時間がかかりますが、多民族国家アメリカが夢や希望を実現するための後押しをしてくれる国であり場であることをPRしていて、予想以上に感動しました。トランプ後のアメリカは移民問題や留学生の問題に揺れていますが、アメリカンドリームの素晴らしさを語る上で相応しい内容でした。
最後にロケットの発射するシーンの動画を観ながら入場客同士でのカウントダウンは良い思い出となりました。
その後、楽しみにしていたフランス館は文字通り、人工と自然、新・旧のバランスを念頭に、文化とブランドの調和を表現した申し分ない展示でした。
ベルギー館でもサウジアラビア館でも期待していたビールやコーヒーは大変な人気で頂けませんでしたが、両館とも充実していて見応えがありました。
必ず訪問したかったスペイン、ポルトガル館では両国とも海洋国家として歴史に登場し、海を鎹(かすがい)に日本との関係が深い歴史を学べたと思います。
16時半には会場を後にしたので、予約無しでありながら6時間半で6館巡れたのはラッキーであったとしか言いようがありませんが、それなりに情報を集めて頑張ったので疲れ切ってしまい、その後訪問した京都への電車内では爆睡。到着した京都は夕立でした。
開催概要
55年ぶりに大阪・夢洲(ゆめしま)で開催された大阪・関西万博。万博としては1970年にアジアで初の開催となった「大阪万博(EXPO’70)」、2005年に愛知での開催となった「愛・地球博」に続き、日本で3度目の祭典です。2025年4月13日~10月13日の184日間。158もの国や地域、9つの国際機関が参加しています。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。持続可能な社会の実現を目指し、地球規模での人類共通の課題解決に取り組むため、世界から英知が結集し、進化した技術やモノの紹介を多種多様なパビリオンで発信しています。
サブテーマは『Saving Lives(いのちを救う)』、『Empowering Lives(いのちに力を与える)』、『Connecting Lives(いのちをつなぐ)』というように「いのちとは?」、「生きるとは?」、「幸せとは?」など人間の根源的な問題について問いかけを行い、同時に世界に生きる80億人がアイディアを交換し合い、未来社会を「共創(co-create)」しています。
今までの万博に負けず未来社会を想起させる出展・出品も多く、技術革新が進んだ未来の生活・暮らしに触れる体験が出来ます。
一周2㎞の世界最大規模の木造建築「大屋根リング」は世界的芸術家・岡本太郎がデザインした大阪万博のレガシー「太陽の塔」に匹敵するシンボルとして、閉会後も保存の方向でと話題を集めています。
大阪と博覧会
大阪は「商(笑)売の街」です。商は笑なりともいうように賑やかで明るくがめつい大阪商人の商売上手は知られています。人情泣き笑いの上方喜劇や今や笑いのメッカである芸能プロダクション吉本興業などを抱えた大阪は笑いをも商売の対象にしている懐の深さも持ち合わせています。また、面白いもの新しいものを好む独自の文化があり、博覧会との相性が抜群にいい都市といえます。
1889年にフランス革命100周年を記念して開催された第4回パリ万博は成功裡に終わりました。その最大の呼び物となったのはエッフェル塔です。1903年東京との誘致合戦に勝ち抜き、第5回内国勧業博覧会は大阪に誘致されました。そのシンボルタワーとなったのは通天閣です。
将来の万博を意識したためか、イギリスやフランス、ドイツなど十数ヵ国が出品。中でもアメリカ製の8台の自動車が注目を浴びました。この内国勧業博覧会は日清戦争の勝利と鉄道網がほぼ日本全国へ拡がったことなどから、各企業の市場拡大が進み、過去最大規模となりました。
また、入場者の活発な消費活動により、大阪に莫大な経済効果をもたらし、博覧会は都市を活性化させる手段として重要視され、万博の日本への誘致が期待されるようになりました。その後、日露戦争により財政難に陥ると第6回内国勧業博覧会は中止されました。国家的博覧会の日本での実現は、1970年の大阪万博まで待つこととなったのです。
なお、第5回内国勧業博覧会の跡地は、西側が新世界、東側が天王寺公園として整備され、新世界のネーミングはパリとニューヨークを足して2で割ったような新名所を目指したのが由来ともいわれています。
万博から学ぶ
今回は数時間だけの滞在のため、万博には触れる程度となりました。ただ、様々な民族音楽や催しの音があちこちから賑やかに聞こえ、日本人ばかりで無く多くの外国人も見かけることが出来、万博の醍醐味を感じました。国際交流の場としてだけでも十分に価値ある祭典でした。
元々興味を持っていた訳でも無く、パビリオンへの入場予約も上手くいかず、早起きして新幹線に乗り土地勘の無い大阪を目指すことに少々不安な気分でした。案の定、運営側は大量な入場者を上手く捌けているとは言い難い状況でしたし、夏の暑さ対策は不十分でした。パビリオンへと続く行列に並ぶと日差しを遮れず汗だくになり、難行苦行そのものでした。地図は予め用意して入場しましたが、会場の広さと不慣れが重なり会場内の目的地に辿り着くのに手間取りました。前もって調べ狙いすまして探し当てたレストランもあまりの混雑ぶりに諦めざるを得ませんでした。
このように踏んだり蹴ったりの万博体験でしたが、新しいものに積極的に触れてみたいと願う自分の好奇心を予想以上に満たしてくれました。様々な未来の先端技術の紹介や混迷深まる世界に平和や自由の貴さを日本なりに発信した内容に仕上がったと思います。
万博は何かが生まれてくるかもしれない出会いの場であり、ただの手段なのです。
本来人間は集まって、交わって、楽しむことに『進歩』が見つかります。
会場の皆さんが面白がって笑い合う場になってこそ、笑いの首都大阪が博覧会の聖地として万国に認められる場になったと信じて止みません。
【大阪・関西万博】注目パビリオンランキングTOP10。年代別の特徴も
https://manamina.valuesccg.com/articles/41212025年4月13日、大阪・関西万博がいよいよ開幕しました。国内はもちろん、海外からも多くのパビリオンが出展され、最先端技術や文化が体感できます。そんなパビリオンのなかで、期待度が高いパビリオンは一体どれなのでしょうか。今回は大阪・関西万博公式サイト等の訪問者数から、注目されているパビリオンをランキング形式で紹介します





株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェロー。広告・マーケティング業界に約40年従事。
日本創造学会評議員、国土交通省委員、東京富士大学経営研究所特別研究員、公益社団法人日本マーケティング協会月刊誌「ホライズン」編集委員、常任執筆者、ニューフィフティ研究会コーディネーター、CSRマーケティング会議企画委員会委員、一般社団法人日本新聞協会委員などを歴任。日本創造学会2004年第26回研究大会論文賞受賞。