ついに「コロナ」検索ユーザー数が「Amazon」「楽天」を抜く
新型コロナウイルスに関する情報が溢れる昨今、やはり検索ユーザー数も大幅に増加しているようです。2020年3月には「コロナ」検索ユーザー数が「Amazon」や「楽天」を抜き、4月には2280万UUを記録。関心の高さがうかがえます。
「コロナ」vs「AMAZON」vs「楽天」ユーザー数推移
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
「コロナ」検索ユーザーは30代・40代が多い
次に「コロナ」を検索したユーザーの属性を確認します。以下のグラフのとおり、男女比はほぼ半々、年代はネット利用者全体と比較して30代、40代がやや多いことがわかりました。
「コロナ」検索ユーザー属性/性別
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
「コロナ」検索ユーザー属性/年代
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
キーワードからユーザー動向を探る
続いて、「コロナ」と掛け合わせで検索されているキーワードを抽出し、特徴や動向を探っていきます。
■掛け合わせワードは「症状・感染・感染者」。都道府県では「東京」がトップ
まずは「コロナ」との掛け合わせワードの全体の状況を下の表にまとめます。コロナの症状や感染者数をオレンジ、給付金・助成金をピンク、世界でのコロナに関する情報を水色、日本国内でのコロナに関する情報を青で色分けし特徴を確認します。
検索ユーザー数1位は「症状」、2位は「東京」、3位は「感染者数」でした。
症状・感染に関するキーワードが上位に集まり、「感染者数」に関してはセッション数が最多の850万UUでした。
また、「東京」「大阪」「北海道」「福岡」「山梨」「広島」「沖縄」が20位以内にランクイン。感染者数が多かった地域、ニュースに取り上げられた地域が検索されました。
「給付金」「助成金」に関しては、平均滞在時間が長いこともわかりました。
「コロナ」掛け合わせワード TOP20(ユーザー数)
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
■感染状況をデイリーで確認するユーザーが多い
ヴァリューズの新サービス『Dockpit』では、検索ワードの関連性やつながりを可視化することが可能です。
「コロナ」検索ユーザーの検索意図は、下図のように「感染者」「給付金」「症状」「感染者数」「東京」の5パターンに大きく分けることができます。
「コロナ」ワードネットワーク
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
感染者
・東京、大阪、愛知の感染状況を知りたい
・日本、世界の感染状況を知りたい
・今日の感染者情報を知りたい
給付金
・対象者が知りたい(個人事業主、医療従事者、中小企業、大学生)
・申請について知りたい
症状
・初期症状について知りたい
・子どもの症状について知りたい
感染者数
・最新、今日の感染者数を知りたい
・各地(国内各都道府県、世界)の感染者数を知りたい
東京
・東京の最新の感染状況を知りたい
・東京のコロナ検査数が知りたい
このように、新型コロナウイルスの感染状況をデイリーで確認しているユーザーが多いことがわかります。一方で、新型コロナウイルスとは一体何か、発生源や治療薬について検索しているユーザーは少ないことも判明しました。有名人の感染情報についてもニュースになるものの、検索するまでには至っていません。
知りたいことは、“今自分や家族の目の前にある状況”や“自分のまわりの情報”が大部分を占めているようです。
■若年女性は「症状」、高齢男性は「感染者数」が気になる傾向に
掛け合わせワードをユーザー属性別(縦軸に年齢、横軸に性別)にマッピングしてみます。
新型コロナウイルスに関しては最新の感染情報や有名人の感染情報など日々さまざまな切り口でのニュースや報道がありますが、ここではユーザー数最多を記録した2020年4月と次にユーザー数が上昇した7月の2ヶ月を切り取ってみていきます。
4月:「症状」が気になる女性、「感染者数」が気になる男性
2020年4月の「コロナ」検索ユーザー属性マップです。
「コロナ」検索ユーザー属性マップ/4月
期間:2020年4月
デバイス:PCおよびスマホ
特に若年女性に多くみられるワードが「症状」です。他にも「保育園」「小学校」「学校」など、身の回りの状況把握が主な検索目的でしょう。
一方で男性は「感染者数」「助成金・補助金・融資」などの経済面での影響や数値情報を求めていることがわかりました。
高齢女性が多く検索したワードに「石田純一」が含まれるのが特徴的です。本稿では対象外にした2020年2月の属性マップでは「志村けん」が高齢女性のトップキーワードの1つに上がっています。
7月:GOTOトラベルキャンペーンの影響
2020年7月の「コロナ」検索ユーザー属性マップです。
「コロナ」検索ユーザー属性マップ/7月
期間:2020年7月
デバイス:PCおよびスマホ
7月に始まった『GO TO トラベルキャンペーン』の影響からか、この月の掛け合わせワードには地名が多くみられました。
若年女性は「症状」、男性は「感染者数」をよく検索しているということは変わりませんが、男性に「東京」を検索するユーザーが増えたようです。感染のピークと言われた時期にあって、最も感染者数の多い地域である東京は注目を集めました。
「コロナ」検索後のユーザーの動き
続いて、「コロナ」と検索したユーザーの流入サイトおよび流入ページをランキングでご紹介します。
■流入サイトは「Yahoo!ニュース」が1位に
「コロナ」を検索した後にユーザーがどのサイトに推移したかを調べます。
下表のように、Yahoo!ニュースが圧倒的にユーザーを集めていることがわかります。
2位はNHK、3位に厚生労働省と続き、4位にはYahoo!知恵袋が入っています。
「コロナ」検索後流入サイトランキング(1位〜10位)
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
■厚生労働省の新型コロナQ&Aページにユーザーが集まる
続いて、「コロナ」検索後にユーザーが流入したページの人気ランキングを調べます。
1位は厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」ページでした。このページには1年間で270万UU以上のユーザーがアクセスしました。
2位、3位は以下のサイトがおよそ150万UUで並びました。
新型コロナウイルス感染症まとめ - Yahoo! JAPAN」
都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト
「コロナ」検索後流入ページランキング(1位〜10位)
期間:2019年10月〜2020年9月
デバイス:PCおよびスマホ
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)/厚生労働省
新型コロナウイルス感染症まとめ - Yahoo! JAPAN
まとめ
新型コロナウイルスに関する情報が溢れる中、「コロナ」関連の検索をするユーザー数も大幅に増加しました。2020年3月には「コロナ」検索ユーザー数が「Amazon」「楽天」を抜き、4月には2280万UUを記録。関心の高さが明らかになりました。
「コロナ」を検索したユーザーは30代、40代が多いことがわかりました。女性は「症状」、男性は「感染者数」と、属性ごとに興味の軸が異なるようです。
また、掛け合わせワードを詳しく分析すると、検索ユーザー数が多かったのは「症状」「東京」「感染者数」でした。また、感染者数が多かった都道府県も掛け合わせで多く検索されました。
「給付金」「助成金」との掛け合わせについては、平均滞在時間が他のワードより長いことも特徴としてあげられます。
さらに、特にユーザーが多かった4月と7月について特徴を見てみると、4月の検索は「症状」「感染者数」「助成金」が多く、7月は『GO TO トラベルキャンペーン』の影響で国内の都道府県・地名が多くみられました。
最後に、ユーザーの「コロナ」検索後の動きについても分析しました。
流入サイトで人気だったのがYahoo!ニュース、流入ページで圧倒的なユーザー数を獲得したのが厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」でした。
感染拡大の収束まではもう少し時間がかかるとみられる新型コロナウイルス。コロナに関する人々の興味関心も様々な軸で移り変わっており、それらを素早く察知できるのが検索キーワード分析の利点です。
「マナミナ」では様々な業界のコロナ影響を調査していますので、チェックしてみてください。
新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者の行動や意識にはどのような変化が起きているのでしょうか。「巣ごもり消費」や「ネット行動の活発化」など、Webやアプリの行動ログから変化の実態を調査。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年10月~2020年9月におけるユーザーの行動を分析しました。
フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。