育児系メディアの業界シェアや特徴を比較調査。あるあるマンガで読者を掴むか、検索から育児アイテムと消費者を繋ぐか

育児系メディアの業界シェアや特徴を比較調査。あるあるマンガで読者を掴むか、検索から育児アイテムと消費者を繋ぐか

昨今は父親の育休取得や新型コロナによるテレワークとの両立など育児スタイルが多様化し、育児向け商品も充実してきています。そこで本稿ではヴァリューズが提供する市場分析ツール「Dockpit」を使い、育児系メディア業界の勢力図やトレンドを把握。また、子育てを行う読者のニーズやインサイトについてもデータから分析します。食品系や日用品メーカー等での広告出稿先の検討やクリエイティブ立案に役立ててみてはいかがでしょうか。


育児系メディアの業界シェアをチェック

育児の悩み解決や役立つアイテム紹介など、育児にまつわる様々な情報を届ける育児系メディア。育児スタイルが多様化し関連商品も充実する中、育児系メディアの需要は高まり、コンテンツの拡充が進んでいます。中でも、どのようなメディアが読者の支持を集めているのか。まずはここ1年間の業界シェアを見てみましょう。

分析ツール:「Dockpit」業界分析機能、対象業界:「育児 メディア」、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

1位は「ママスタセレクト」で業界シェア約3割を占め、2位「Conobie(コノビー)」3位「HugKum(はぐくむ)」と続いています。

では、上位3メディアの集客構造と流入キーワードを深掘りしてみましょう。こちらは、ママスタセレクト、コノビー、はぐくむの集客構造の一覧です。

分析ツール:「Dockpit」競合分析機能、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

上図を見ると、青色のママスタセレクトとピンク色のコノビーは外部サイトからの流入がメインでした。

分析ツール:「Dockpit」競合分析機能、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

さらに流入の多い外部サイトのカテゴリを確認してみると、最も多いのはポータルサイトでした。ポータルサイトに記事が転載され、それがきっかけとなりメディア本体を訪問するケースが想定されます。

また、ママスタセレクトはニュース・SNSが多く、コノビーはエンタメ・ブログといったカテゴリからの流入が多い傾向が見られます。記事で取り上げるテーマやテイストから、転載メディアに違いが表れるのだと考えられます。

それでは、流入キーワードはどうでしょうか。

分析ツール:「Dockpit」競合分析機能、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

自然検索がメインだったはぐくむの「無印良品 マスク」のキーワードが目立ちます。新型コロナの影響で布マスクの需要が高まる中、環境や素材に配慮した無印良品のマスクが、子どもを気遣う読者に刺さったのでしょう。

また、3メディアの流入キーワードの上位を見てみると、ママスタセレクトはメディア名での検索が大半を占める一方、コノビーは2位と4位に育児系マンガのタイトルがランクインしていました。

分析ツール:「Dockpit」競合分析機能、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

コノビーは4コママンガやイラストで育児エピソードを描いた記事を複数掲載しており、SNSなどで読者から共感を得ています。作品タイトルを指名検索するユーザーも多いことから、マンガコンテンツがコノビーが支持されるポイントの一つと言えるでしょう。

育児系サイトのトレンドは?

続いて、育児関連でユーザーを集めているサイトをチェックし、育児業界のトレンドを探っていきます。Dockpitの「トレンド分析」で育児関連の企業・通販・メディアの3カテゴリーを指定し、先月(2020年10月)のユーザー数ランキング上位10サイトを集計した結果がこちらです。

分析ツール:「Dockpit」(サイトトレンド機能)、分析期間:2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

トップ10のうち育児系メディアが9つランクインしており、育児系メディア業界のシェア構造と類似しています。育児関連の企業や商品サイトよりも、メディアにユーザーが集まっていることが分かるでしょう。唯一企業サイトでランクインした「ベビーパーク」は、幼児教育サービスを展開しており、オンライン育児勉強会なども開催しています。

また、「育児」の検索状況を確認すると、検索キーワードに「イライラ」や「ストレス」「疲れた」など、育児の苦労が読み取れるワードが目立ちました。

分析ツール:「Dockpit」キーワード検索機能、分析期間:2019年11月〜2020年10月、対象デバイス:PC、スマートフォン

育児中は様々な悩みやストレスなどを抱えており、まずは共感できるコンテンツを求め、メディアに掲載された体験談から育児系商品やサービスの情報を入手するのではないかと推測します。そのため、通販や企業のサイトに比べてメディアの存在感が高くなっているのではないでしょうか。

人気コンテンツから読者のインサイトを探る

最後に、育児系メディアの人気コンテンツから読者のインサイトを探っていきます。代表して、業界シェア上位3メディア(ママスタセレクト、コノビー、はぐくむ)の過去1年間の人気コンテンツを確認しましょう。

Dockpitの「競合分析」で育児系3メディアに絞ってコンテンツランキングを見る

このデータによると、まず「ママスタセレクト」のサイトトップページに次ぐ人気ページは、義母とのエピソードが描かれたマンガコンテンツでした。

「ママスタセレクト」

一方コノビーでは、流入キーワードでも触れたマンガ「セブンティウイザン」の第一話がランクイン。

「コノビー」

また、はぐくむは、流入キーワードで目立っていた無印良品のマスクの記事でした。

「はぐくむ」

ママスタセレクトとコノビーは、どちらもマンガで育児体験を表したコンテンツでした。コノビーの人気コンテンツとしても触れましたが、育児系メディアはマンガを取り入れる記事が多く、読者から人気を集めています。育児の苦労話やあるあるネタをマンガでコミカルに描くことで、読者のちょっとしたストレス軽減に役立っているのかもしれません。

また、育児中は落ち着いて文章を読む時間が取りづらい環境です。文字量が少なく、イラストで理解できるマンガは育児のスキマに読みやすく、育児系メディアとマンガの相性が良いのだと考えられます。

一方で、はぐくむのような日常で役立つアイテムの記事も人気があることが分かります。はぐくむは専門家監修記事の枠が用意されており、小児科医監修の薬の選び方が解説された記事も上位にランクインしていました。

まとめ

育児メディアは体験談やあるあるエピソードを描いたコンテンツが人気を集めていることが分かりました。その背景には、「育児中の悩みやストレスを誰かと共感したい」というニーズや、「育児に使う製品は(大切な子どもに使うものなので)専門家や先輩ママの意見を参考にしたい」という心理があると捉えられます。

育児メディアは体験談などを通じて育児向けサービス・商品と消費者を繋ぐ役割を担い、双方にとって欠かせない存在になりつつあります。マンガとの相性の良さは一つ傾向として見られましたが、メディアごとの特性がどう強調されていくか、今後の展開に期待したいです。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2019年11月~2020年10月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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