2021年トレンド予測!オンライン化が進む中スポーツLIVE配信サービスが伸びるか

2021年トレンド予測!オンライン化が進む中スポーツLIVE配信サービスが伸びるか

2021年に話題になりそうなトピックを調査・紹介する連載企画「2021年トレンド予測」。今回のテーマは「ライブ配信サービス」です。新型コロナの影響で2021年夏に延期が決まった東京オリンピック。しかし、今もなお感染拡大が止まらない中、異例の開催方針になると予想されます。大幅な入場制限や無観客となった場合、テレビ中継やLIVE配信での観戦が主流になるかもしれません。また、昨年は多くのスポーツ試合が無観客となり、スポーツLIVE配信の需要が拡大しました。そこで今回は、ここ最近興隆が目立つ「スポーツLIVE配信」を、2021年トレンドトピックとして着目。eMark+、Dockpitを使って調査し、2021年の展開を予想します。


どうなる?東京五輪

新型コロナの影響で1年延期し、2021年7月23日開会の方向で合意された東京オリンピック。しかし感染者は今もなお世界中で増え続け、来年夏にも収束は難しいという意見も耳にします。そんな中で開催予定の東京オリンピックは、これまでとは違った内容になるでしょう。

東京オリンピックで実施されるスポーツは33競技。野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの計5競技が、今大会から追加された新競技です。日本選手の活躍が期待される競技も追加されており、国民の期待が寄せられています。

しかし、コロナが収束しなければ、入場制限や無観客といった措置が取られるかもしれません。そこで活躍が期待されるのが、テレビ中継やLIVE配信です。特にスポーツLIVE配信は、コロナ禍に多くのスポーツが無観客開催されたことで需要が高まり、ここ最近の興隆が目立っています。

コロナ禍で注目されたスポーツLIVE配信。2021年のトレンドトピックとして着目し、主要サービスの動向を元に深掘りしていきます。

主要スポーツLIVE配信サービスのユーザー推移をチェック

今回は、スポーツLIVE配信を行う国内の主要3サービスとして、DAZN(ダゾーン)、スカパー、WOWOWの3サービスをピックアップ。まずは、3サービスの概要を紹介します。

2016年に日本上陸したDAZNは、野球やサッカーのほか、ゴルフや格闘技、eスポーツまで、あらゆる種目を網羅するスポーツ専門のLIVE配信サービスです。国内外のスポーツライブ中継のほか、見逃し配信や、過去の名シーンを特集したコンテンツも配信しています。

スカパーは、映画やドラマ、スポーツ、音楽など、広くエンターテイメントを扱う動画配信サービス。スポーツでは野球やサッカーを中心に、格闘技やモータースポーツなどを配信しており、選手を主人公にしたドキュメンタリーなども見応えのある独自コンテンツです。

WOWOWも、スカパーと同様、映画やドラマなど幅広いジャンルを扱い、スポーツではサッカーを中心にゴルフやテニス、格闘技などを配信しています。さらにWOWOWは、スポーツや映画と連動させたツアーを企画・販売する「WOWOWトラベル」を展開しており、現地でのスポーツ観戦ツアーを多数開催。現在はコロナの影響で休止していますが、ヨーロッパやアメリカなどでの観戦ツアーが企画されていました。

↓マナミナ「スポーツLIVE配信サービス」調査記事

日本上陸から丸3年、DAZN(ダゾーン)のユーザー数は? スポーツ動画配信サービスを調査しました

https://manamina.valuesccg.com/articles/722

国内外のスポーツを配信しているDAZN(ダゾーン)が、日本に上陸してから丸3年。現在のユーザー数はどのように推移しているのでしょうか。同じくスポーツ動画配信を行うスカパーやWOWOWとのユーザー層の違い、3サービスの特徴をまとめてみました。

それでは次に、3つのサービスにおけるPC・スマホ合算のユーザー推移を見ていきましょう。

eMark+より集計。対象期間:2019年12月~2020年11月、対象デバイス:PC&スマートフォン

WOWOWが他の2サービスと大きく差をつけて1位で、スカパー、DAZNと続きます。ただし、WOWOWとスカパーはスポーツ配信だけではありませんので、スポーツを強みとするDAZNとは、動きの要因は異なると考えられます。

2020年2月から5月にかけて、WOWOWとスカパーはユーザーを拡大。新型コロナが本格化した時期と重なっており、ステイホーム中の娯楽として、映画やドラマなどのエンタメコンテンツの視聴者が増えたと推測できます。

一方、スポーツを専門とするDAZNは、他の2サービスよりも試合やリーグの開催時期に大きく左右されたと推測します。今年はコロナの影響でプロ野球が例年よりも約3カ月遅れて6月に開幕。Jリーグも2月末から試合を延期して6月に再開するなど、異例のスケジュールで行われました。これらの人気スポーツの試合延期が重なったことで、DAZNは一時伸び悩みましたが、ちょうど人気プロスポーツが開幕・再開した6月ごろから大きく伸長しています。

さらに、DAZNは6月に通常1ヶ月の無料期間が2ヶ月に延長されるキャンペーンを開催しており、6月・7月の伸びはこの効果もあるでしょう。

また、こちらは3サービスの年代別比較です。

eMark+より集計。対象期間:2019年12月~2020年11月、対象デバイス:PC&スマートフォン

DAZNは他の2サービスに比べて20代の若年層比率が高い傾向です。スカパー、WOWOWの年齢層構造は類似しており、幅広い年齢層をカバーしつつ、40代~60代の中高年層が主要層という構成でした。若年層の方がスポーツのライブ配信アプリ利用率は高く、より専門性の高いスポーツコンテンツを持つDAZNを利用していると言えそうです。

スポーツLIVE配信の検索キーワードの傾向は?

続いて、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を使って、3サイトへの流入に占める自然検索の傾向をチェックします。

こちらは、直近1年間の自然検索での流入数の推移です。

Dockpitより集計。対象期間:2019年12月~2020年11月、対象デバイス:PC&スマートフォン

2020年7月はDAZNがWOWOWを抜き、最も検索流入が多い結果となっていました。その後徐々に元の順位に戻っていますが、スカパーとの差は1年前と比較してかなり縮まっています。

続いて、年間の検索キーワードランキングを見てみましょう。こちらは、直近1年で3サービスの検索に使用されたキーワードの上位10を表しています。

Dockpitより集計。対象期間:2019年12月~2020年11月、対象デバイス:PC&スマートフォン

年間の検索数で見ても、ユーザー数では2位のスカパーよりも、DAZNのサービス名が多く検索されていました。

それぞれの検索キーワードは、サービス名がほとんどでしたが、スカパーは「スカパー 無料」というキーワードが上位に入っていました。

Dockpitより集計。対象期間:2019年12月~2020年11月、対象デバイス:PC&スマートフォン

スカパーは毎月第1日曜日を「無料の日」としており、契約以外のチャンネルも視聴できるサービスを提供しています。「無料の日は必ず見る!」というユーザーも多く、検索キーワードとしても上位にランクインしているのでしょう。

2021年はどうなる?スポーツLIVE配信の今後

ここまで過去1年間のスポーツLIVE配信の動向を調査しましたが、東京オリンピックが開催される来年はどうなっているでしょうか。

DAZNは先日、飲食店やホテルなどでの利用拡大に向け、商業施設を対象にした利用契約サービスを開始しました。既に国内ではカラオケボックスやインターネットカフェなど700箇所以上で使用でき、今後も施設数を増やしていくと発表しています。既にヨーロッパやアメリカでは年間数万の商業施設で取り入れられており、東京オリンピックでの需要も意識して、日本でのサービスを開始したのかもしれません。

また、ライブ配信だけでなく、VRを活用したスポーツ観戦もここ最近注目されています。今年夏に無料トライアルが行われた、横浜DeNAベイスターズとKDDI主導の「バーチャルハマスタ」は、VR空間での観戦だけでなく、ジェット風船を飛ばしたり、選手の巨大パネルが設置されるなど、VRならではの演出が盛り込まれていたことで話題になりました。このようなテクノロジーを活かしたスポーツ観戦も、東京オリンピックに向けて来年実用化されるかもしれません。

1年間待ちわびた東京オリンピックがどんな開催内容になるのか、期待と不安が入り混じります。もしかすると、これまでにない次世代スポーツ観戦が急発進する大会になるかもしれません。その代表格として、活躍が期待されるスポーツLIVE配信サービス。2021年の展開が楽しみです。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」「Dockpit」を使用し、2019年12月~2020年11月のネット行動ログデータを分析しました。※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

dockpit 資料請求はこちら

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


新NISA開始1年を振り返る。暴落、厚切りジェイソン、社会保険料が話題に

新NISA開始1年を振り返る。暴落、厚切りジェイソン、社会保険料が話題に

2024年1月から新NISAが始まり、資産形成が重要視される風潮も相まって高い関心を集めました。本稿では、新NISAが開始されてからの1年間をニュースやデータとともに振り返り、新NISAによって人々の関心がどのように移ろいでいったのかを調べていきます。


「趣味」検索者を分析!新たな趣味に挑戦したい若者、趣味で交流したい中高年

「趣味」検索者を分析!新たな趣味に挑戦したい若者、趣味で交流したい中高年

初対面で必ずといっていいほど話題にのぼる趣味。年代によって趣味にどのような傾向があるのでしょうか。「趣味」検索者を調査しました。また「編み物」を例とし、若者と中高年の取り組み方の違いも分析しました。


【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

「時期が早い」「花粉飛散量が多い」と言われている2025年春、花粉症に悩まされている方々も多いのではないでしょうか。「花粉症」についての検索者はいつ多くなるのか、どのような人なのか、さらに注目の花粉症対策について調査しました。 ※本記事に掲載する医療情報や健康関連情報は一般的な参考情報を提供するものであり、内容の正確性や信頼性を担保するものではありません。個別の状況においては必ず医師や専門家に相談してください。


電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

申し込み殺到により一時受付を停止した、話題の新サービス「カブアンド」。電気やガス、モバイル、ネット回線などを使った分だけ株がもらえるという、革新的なビジネスモデルで注目を集めています。今回は、世間の関心が高まった背景や、同サービスがどのような人に検討されているのか、公式サイトの閲覧者データをもとに分析していきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎えます。今回は2023年下半期から2024年に公開した調査から厳選し、金融業界のデジタル動向をまとめた「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開しました。ダウンロード特典として、銀行、証券など金融各業界のサイトランキングも収録しています。(「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」ページ数|90P)


最新の投稿


約半数のBtoBマーケ担当者が「CPAの高騰」を実感!半数以上が「SNS」「SEO」の施策を強化する方針へ【IDEATECH調査】

約半数のBtoBマーケ担当者が「CPAの高騰」を実感!半数以上が「SNS」「SEO」の施策を強化する方針へ【IDEATECH調査】

株式会社IDEATECHは、BtoB企業のマーケティング担当者を対象に、【2025年版】 BtoBマーケティングの施策別CPAに関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


LINEヤフー、生成AIを活用した「LINE AI」、「LINE AIトークサジェスト」を提供開始

LINEヤフー、生成AIを活用した「LINE AI」、「LINE AIトークサジェスト」を提供開始

LINEヤフー株式会社は、同社が提供する「LINE」において、生成AIを活用した「LINE AI」、「LINE AIトークサジェスト」を新たに提供開始したことを発表しました。


アウンコンサルティング、アメリカ、中国、シンガポール、日本における生成AIツールの利用状況と検索における利用実態調査結果を公開

アウンコンサルティング、アメリカ、中国、シンガポール、日本における生成AIツールの利用状況と検索における利用実態調査結果を公開

アウンコンサルティング株式会社は、アメリカ、中国、シンガポール、日本を対象に、生成AIツールの利用状況や、Google検索におけるAI利用の実態に関する調査を実施し、結果を公開しました。


OpenAIが新世代AI「GPT-4.1」シリーズを発表

OpenAIが新世代AI「GPT-4.1」シリーズを発表

OpenAIは2025年4月、APIを通じて新しいGPTモデル「GPT-4.1」シリーズを発表しました。このシリーズには「GPT-4.1」「GPT-4.1 mini」「GPT-4.1 nano」の3つのモデルが含まれており、コーディング能力や指示への対応、長文脈理解において従来のGPT-4oシリーズを大幅に上回る性能を実現しています。


サービスブループリント(体験設計のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

サービスブループリント(体験設計のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回はサービスブループリント(体験設計のアウトプット)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ