日本上陸から丸3年、DAZN(ダゾーン)のユーザー数は? スポーツ動画配信サービスを調査しました

日本上陸から丸3年、DAZN(ダゾーン)のユーザー数は? スポーツ動画配信サービスを調査しました

国内外のスポーツを配信しているDAZN(ダゾーン)が、日本に上陸してから丸3年。現在のユーザー数はどのように推移しているのでしょうか。同じくスポーツ動画配信を行うスカパーやWOWOWとのユーザー層の違い、3サービスの特徴をまとめてみました。


DAZNなどスポーツ動画配信サービスを調査

国内外のスポーツを配信しているDAZNが、日本に上陸してから丸3年が経過しました。ネットフリックス、アマゾンプライムビデオなどの動画サブスク系サービスが消費者に浸透してきた中、現在スポーツ動画配信サービスの勢力図はどうなっているのでしょうか。

そこで今回はスポーツ動画配信を行う国内の主要3サービスのデジタルユーザーを調査してみました。使用したのはサイト分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」です。対象はDAZNに加え、同じくスポーツを配信しているスカパーとWOWOW。この2サービスはスポーツ配信のみならずドラマや映画の配信も行っています。

では、まずは3サービスの概要をまとめます。

Jリーグと独占放映契約を結んでいる「DAZN」

DAZNの日本上陸は2016年8月。国内ローンチ前からJリーグの10年間分の独占放映権を約2000億円で取得したことでも話題になりました。

DAZNではJリーグの他にも、Bリーグやプロ野球などの国内プロスポーツ、海外サッカーやMLBなども放映されており、スポーツコンテンツについては国内屈指の内容になっています。料金は2020年1月現在、月額1,750円ですべてのコンテンツが見放題となっています。

試合以外のコンテンツにも力を入れている「スカパー!」

スカパー・エンターテイメントが提供しているスカパー!は、複数のチャンネルで映画やドラマ、スポーツを配信しています。

スポーツに関してはプロ野球の他、格闘技などを配信しています。また、サッカーの海外リーグに挑戦する日本人選手を特集した番組を定期的に放送するなど、試合以外のコンテンツにも力を入れているのが特徴です。

料金はチャンネル・プランごとに異なる形態となっており、スポーツ以外のコンテンツについてもカスタマイズして選べるのがサービスの利点でしょう。

現地観戦ツアーを開催している「WOWOW」

WOWOWは、スカパー同様に、複数のチャンネルで映画やドラマ、スポーツを配信しています。スポーツではスペインのサッカーリーグであるリーガエスパニョーラを中心に、他にはテニスや格闘技などを配信しています。

現地観戦ツアーを積極的に開催していることがWOWOWの特徴のひとつです。料金は20年1月現在、月額2,300円で全チャンネルが見放題となっています。スポーツに加えてドラマなども1契約でオールインワンとなっているのがサービスの特徴と言えます。

各サービスのユーザー数推移は?

それでは、各サービスの2019年1月~2019年12月のユーザー数推移を見ていきましょう。

eMark+より集計。対象デバイスはPC&スマートフォン合算

3つのサービスを比較してみるとWOWOWが頭1つ抜けており、平均して月に約250万人ほどのユーザーが訪問しています。一方、DAZNはスポーツコンテンツの豊富さで勝負しており、2019年2月〜9月ではスカパーと同じくらいのユーザー数を獲得していました。

では次に、DAZNのユーザー数を詳しく見ていきましょう。

eMark+より集計。DAZNサイトはPC&スマートフォン合算

ここでは、DAZNのサイトとアプリの起動ユーザー数の推移をグラフにしました。PCのユーザー数とアプリのユーザー数は、毎月約100万人でほとんど同じ規模だということが分かります。冬にかけてユーザーが減少しているのは、Jリーグやプロ野球がオフシーズンに入ることと関係しているのかもしれません。

性別・年代のデモグラ属性は?

次に、サービスごとに性別や年代に違いはあるのか確認してみましょう。性別ごとのユーザー割合は以下になります。

※対象デバイスはPC&スマートフォン合算。

DAZNがもっとも男性割合が高い結果となっています。これは、サッカー観戦者や野球観戦者の男性の割合が大きいことに加えて、フィギュアスケートなどの女性観戦者の割合が大きいスポーツがコンテンツにないことが理由かもしれません。

また、DAZNと比べると、スカパーとWOWOWは女性の割合が大きいことが分かります。これは、映画やドラマ等の放映が関係しているからだと考えられます。

続いて、年代別のグラフを見てみましょう。

※対象デバイスはPC&スマートフォン合算。

DAZNは他2つのサービスに比べると、20代~30代のユーザーが多い結果となりました。新しいサービスにも比較的積極的である若い世代の姿がうかがえます。

また、3サービスを通じて40代の割合が一番大きいことも分かります。Jリーグの観戦者が40代であることや、そもそもとして日本の人口のボリュームゾーンが40代であることを考えると妥当であるように思われます。

スカパーとWOWOWは似通った結果になりました。おそらく2つともスポーツの他にも映画やドラマを放映しているために、年代の割合が似たのかもしれません。

まとめ

最後に、各サービスの特徴をまとめて終わりたいと思います。

1.DAZN
Jリーグを中心に様々なスポーツを放映しているDAZNは、今回比較した動画サービスの中では、男性ユーザーの割合が大きく、また20代から30代の割合が大きい結果となりました。また、春にかけてユーザー数が増加し、冬には減少することが確認できました。これはJリーグやプロ野球などが、シーズン開始と終了する時期であることが関係しているのかもしれません。

2.スカパー!
見たいコンテンツのチャンネルごとに契約ができるスカパーは、ユーザー数ではDAZNとそれほど変化はありませんでした。しかし、冬季のユーザー数に減少は見られませんでした。これはシーズンが関係ないドラマチャンネルや映画チャンネルの影響かと思われます。

3.WOWOW
定額でドラマやスポーツなどすべてのコンテンツが見放題のWOWOWは、ユーザー数では他2つを圧倒していたのが特徴的でした。また、DAZNと比較すると、女性の割合が大きくなりました。スカパー同様に、スポーツだけでなく映画やドラマを放映していることが関係しているのではないでしょうか。

今回はスポーツ動画配信サービス市場を概観しました。本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit」が2020年10月にリリースされました。Dockpitの無料機能では、ユーザー数やデモグラフィック属性といった基本指標を簡単にチェックできます。今後の市場動向が気になる方は、ぜひ使ってみてください。

dockpit 無料版の登録はこちら
分析概要

全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、スポーツ動画配信サービス「DAZN」「スカパー!」「WOWOW」のユーザー数とユーザー属性を調査しました。

※対象期間:2019年1月~2019年12月
※ユーザー数:該当サイトを訪れたUnique User数
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

関連記事

新型コロナに対するAmazonプライム、Hulu、Netflixのコンテンツ無料施策でアプリユーザー数はどう変わったか

https://manamina.valuesccg.com/articles/807

新型コロナウイルスへの危機感に伴い、3月から学校が休校になり、生徒たちが自宅待機になりました。そんな中、コンテンツを一部無料公開などしていた動画サービス各社。実際にどのように利用されていたのか、Web行動ログによる市場分析ツール「<a href="https://www.valuesccg.com/service/emarkplus/" target="_blank">eMark+</a>」で調べてみました。

いくつご存知ですか?日本でメジャーなサブスクリプションサービス事例

https://manamina.valuesccg.com/articles/769

生活に定着しつつある「サブスクリプション」型のサービス。代表的な動画配信サービスといったデジタル系だけではなく、住まいや自動車、食材といった「モノ」を提供するサブスクリプションサービスも増えています。今回はさまざまなジャンルの代表的なサブスクリプションサービスの事例を紹介します。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


chocoZAP参入で、フィットネス業界各社のポジショニングはどうなった?

chocoZAP参入で、フィットネス業界各社のポジショニングはどうなった?

マナミナでは以前10社のジムを取り上げて各社のポジショニングや集客状況について分析しました。今回は特に、2022年7月の事業開始以降シェアを伸ばし続ける「chocoZAP(チョコザップ)」がフィットネス業界に与えた影響を中心に、業界の動向を追っていきます。


低価格ジムとして急成長したchocoZAPを早期に検索していたアーリーアダプターの特徴とは?

低価格ジムとして急成長したchocoZAPを早期に検索していたアーリーアダプターの特徴とは?

「コンビニジム」という呼び名としても知られるchocoZAPは、RIZAPが展開する24時間経営のジムです。2022年7月にサービスを開始してから、低価格かつ全国どこでも利用できることに加え、脱毛器やエステがセルフで利用できたり、入会で便利な機器がもらえたりと、多様なサービスによって多くの人の支持を集めています。急成長を続けるchocoZAPですが、サービス開始当初にはどのような人が興味を持っていたのでしょうか。chocoZAPというワードを早期に検索していた人を対象に、ユーザー属性を調査していきます。


プロ野球2023年の盛り上がりは?開幕初速を調査

プロ野球2023年の盛り上がりは?開幕初速を調査

3月末から開幕したプロ野球。多くのファンによって応援消費がされるプロ野球は、新聞や放送サービスにとっても重要なコンテンツです。しかし近年ではコロナ禍の影響もあり、周囲と「野球ネタ」で盛り上がる機会が少なくなり、世間の野球への関心低下が懸念されています。そこで今回は、3月の開幕初速に注目し、プロ野球に対する関心度を調査します。


chocoZAP参入でフィットネス業界各社のポジションニングはどうなる?大学生のデータドリブン就活

chocoZAP参入でフィットネス業界各社のポジションニングはどうなる?大学生のデータドリブン就活

コロナ禍の外出自粛による運動不足の懸念から、人気が伸びたフィットネス業界。様々なジムやスポーツクラブがある中、ライザップが展開するコンビニジム、chocoZAP(チョコザップ)が急成長しています。今回はそんなチョコザップを中心に、ルネサンスやカーブス、エニタイムなど計10社のジムを取り上げ、フィットネス業界の動向を調査。それぞれのジムの特徴と市場におけるポジショニング、各サイトの集客状況を分析していきます。


2022年観光関連サイト推計閲覧者数ランキング ー 都道府県別の公式観光サイトでは、全国旅行支援・県民割等の影響が顕著

2022年観光関連サイト推計閲覧者数ランキング ー 都道府県別の公式観光サイトでは、全国旅行支援・県民割等の影響が顕著

公益社団法人日本観光振興協会(本部:東京都港区、会長:山西 健一郎)と、ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は協同で、2022年の観光関連Webサイトの年間推計閲覧者数を調査しました。


最新の投稿


博報堂研究デザインセンター、生活者発想技研からメタバース生活者たちと共にメタバースの未来を考える 「メタバース生活者ラボ™」を設立

博報堂研究デザインセンター、生活者発想技研からメタバース生活者たちと共にメタバースの未来を考える 「メタバース生活者ラボ™」を設立

株式会社博報堂は、メタバース空間における新しい生活者価値の創出と、イノベーションを生み出すことを目指し、研究員全員がメタバース生活者当事者によって構成されたコミュニティ型プロジェクト「メタバース生活者ラボ™」を設立したことを発表しました。


【2024年12月2日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月2日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


SEOの失敗から学んだ教訓、「技術的な最適化の重要性」「キーワード選定の重要性」「コンテンツの質が検索順位に与える影響」が上位に【eclore調査】

SEOの失敗から学んだ教訓、「技術的な最適化の重要性」「キーワード選定の重要性」「コンテンツの質が検索順位に与える影響」が上位に【eclore調査】

株式会社ecloreは同社が運営する「ランクエスト」にて、SEO対策で実際に失敗を経験した担当者に対し、その原因や対策についてアンケートを実施し、結果を公開しました。


ゴンドラ、CXデザイン・カスタマーサクセスの最新トレンドと顧客エンゲージメントに関する調査結果を発表

ゴンドラ、CXデザイン・カスタマーサクセスの最新トレンドと顧客エンゲージメントに関する調査結果を発表

株式会社ゴンドラは、カスタマーサクセス、CRM、CXデザイン業務経験者を対象に、顧客エンゲージメントに関するアンケート調査を実施しました。


SEOにおける動画コンテンツの活用目的は検索順位・ブランド認知度向上!約8割がSEO効果を実感している結果に【eclore調査】

SEOにおける動画コンテンツの活用目的は検索順位・ブランド認知度向上!約8割がSEO効果を実感している結果に【eclore調査】

株式会社ecloreは同社が提供する「ランクエスト」にて、動画コンテンツ活用者を対象に、SEO対策としての動画の有効性について調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ