主要3メディアの3月のコンテンツランキングをチェック
まず始めに、マーケター向けビジネスメディアの「マーケジン」「日経クロストレンド」「DIGIDAY」の3月のコンテンツランキングを見ていきます。マーケティング系メディアの人気記事から、マーケティング・広告業務に携わるビジネスパーソンの間で注目を集めていたトピックを調べてみましょう。
こちらは、各メディアにおいて3月に訪問者数が多かったトップ5の記事です。
「マーケジン」3月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年3月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
「日経クロストレンド」3月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年3月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
「DIGIDAY」3月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年3月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
また、それぞれのメディアにおける1位の記事は以下でした。
▼マーケジン
2020年に最も見られたYouTube動画やチャンネルは?【インフルエンサーパワーランキング】
https://markezine.jp/article/detail/35316/BitStarは、自社で開発したインフルエンサーマーケティングの分析ツール「Influencer Power Ranking(IPR)」のデータに基づき、2020年に活躍した動画クリエイターや動画チャ...
▼日経クロストレンド
【特報】コーラ500ミリがスーパーから消える 25年ぶり大改革
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00565/全国のスーパーの棚で2021年3月29日を境に、ある“異変”が起きる。見慣れた「コカ・コーラ」500ミリリットルのペットボトルがほぼ消え、350ミリリットルと700ミリリットルの2ラインが中心となる。なぜ売れ筋商品を大幅刷新するのか。その背景には客のニーズの変化を敏感に捉え、「当たり前」を疑った日本コカ・コーラの深謀遠慮があった。
▼DIGIDAY
年収数億円は本当か。元トップYouTuberが語る収入の実態 | DIGIDAY[日本版]
https://digiday.jp/publishers/bij-insider-of-youtuber/芸能人でも一般人でもないYouTuberという仕事。その年収について例えばヒカル氏は「年収5億」の勢いだと公言し話題になっていた。しかし実際のところ、億単位の収入があるとして、その内訳や生活はどんな実態なのか。「職業:YouTuber」をひも解く。
マーケターはYouTubeに注目?最も人気を集めた記事
続いて、3つのメディアの1位コンテンツを深掘りしていきます。まず、マーケジンの1位は、2020年に活躍した動画クリエイターや動画チャンネルのランキングでした。
この記事では『インフルエンサーパワーランキング」と称して項目ごとにYouTube上の影響力あるインフルエンサーをランキングにしています。ランキング対象期間は2020年1月~12月です。
チャンネル総再生数ランキングでは『Junya.じゅんや』が8億8810万回再生を記録して1位でした。
同記事によると、動画再生数ランキングでは、1億2356万回再生を記録した『【寸劇】みのちゃんはいつでも赤ちゃんになりたい!素敵なお姉ちゃんになって赤ちゃんのお世話できるかな?』を投稿した『Kota Mino Kids Channel/こたみのチャンネル』が1位となりました。
タイアップ動画(広告コンテンツ)の再生数ランキングでは、『荒野行動』が6182万回再生で1位でした。2位の『コード:ドラゴンブラッド』が1540万回再生なので大きく水をあける形となっています。
インフルエンサー、YouTuberという職業も、かなり広く認知されてきているものとみられます。緊急事態宣言などで「おうち時間」を過ごすことが長くなり、YouTubeなどのコンテンツの消費が増したり、消費するだけでなく自分自身でも何らかの形で収益化しようと考えたりする人も増えているのではないでしょうか。
続いて、日経クロストレンドの人気コンテンツを見ていきます。
日経クロストレンドで最も閲覧数を伸ばしたのは、今年3月に主力のペットボトルのサイズを変更する『日本コカ・コーラ』のマーケティング戦略を紹介する記事でした。
日本コカ・コーラは首都圏でのテスト販売の成功を受け、2021年3月29日からスーパーマーケット向けの主要ペットボトルのサイズを500ml、1500mlから、350ml、700mlに変更することを決定しました。
背景には
① スーパーとコンビニで消費者のコーラの飲用の仕方が異なる
② 米国本社でいわゆるシックスパックのように6本まとめ売りをすることで売り上げを伸ばしたなど、グローバル事例から既存製品の改善余地を見出した
ということがあります。当たり前を疑う斬新なマーケティング発想とその背景がフィーチャーされています。
最後に、DIGIDAYの1位は、YouTuberの収入に切り込む記事でした。
日本のトップYouTuberの『マックスむらい』さんがYouTuberの年収の様々なケースを紹介するインタビュー記事です。マックスむらいさんによれば、YouTuberの一般的な収支を説明することは不可能とのこと。
YouTuberの収益は基本的にグーグルからの広告収入と、タイアップ企業からの報酬からなります。これらはどちらもYouTuberごとに異なるため、再生回数などから個別のYouTuberの年収を導き出すことは難しいようです。
YouTuber『ヒカル』さんは年収5億円を公言していますが、これに関してマックスむらいさんはタイアップ広告が1案件1500万円にもなることから、十分にあり得ると結論付けています。
マーケジンのインフルエンサーランキングの記事と同様、世間でのYouTuberという職業への関心の高さをうかがわせます。パンデミックでオンラインの働き方が定着しつつある今、オンラインワークの最たるものともいえるYouTuberという職業に関心が寄せられているのかもしれません。
マナミナ編集部が選ぶ3月の注目コンテンツ
続いて、マナミナ編集部が独自に選んだ3月の注目記事を紹介します。
まずは、松本健太郎さんによる『「顧客の解像度を高める」こそマーケティングのセンターピンになる』という記事です。
『消費者理解』をキーワードにマーケティングの要諦を説いており、『why(なぜ消費者理解が大事か)』『how(どうやって消費者理解を成し遂げるか)』という切り口で説明しています。
Why:松本さん は「解像度」という言葉を用いて消費者理解のあり方を表現しています。「大人数を細かく区分する「符号」から消費者のクラスターを作成しても、そこにいる消費者の顔は分かりません。」と筆者は語ります。性別、年代、学歴等の属性からは、個別の消費者の実際の姿、欲求が浮かび上がってこないため、これらの情報は「解像度」が低いとしています。
特定の消費者の人格、性格、ひいては消費欲求が見えてくるような情報が「解像度」が高く、有用であるというのが「why」です。また、特定の消費者についてそのような詳細かつ包括的な調査をして得られたインサイトからおおよその市場規模をつかむと言うミクロ⇒マクロのアプローチの重要性も高まっていくと予想しています。
How:ではどうやってそのような消費者理解をするかですが、この問いに対して松本さんはいくつかの答えを用意しています。まずは実際に自分が特定の消費者になりきってみること。次に、店舗や展示会で消費者を観察し、会話を聞いたりすることも挙げられています。最後に、SNSから消費者の声を拾う、ソーシャルリスニングもある程度有効としています。
続いては、下記の記事を取り上げます。
営業部長のコンテンツ能力と積み重ねでWebが会社の財産に。|稲田英資
https://note.com/inada123/n/n774f7537e78fWebマーケ支援しているBtoBのZ社様が今年に入ってから大変好調。案件の種が増えて、セールスの手がちょっと足りないくらい。一年コツコツ積み上げてきた施策が実になってきている。
企業のウェブ戦略、ウェブマーケティングのプロである稲田英資さんが、クライアントのZ社でのウェブサイトの成功事例をあげて企業の理想的なウェブサイト運営について述べた記事です。
稲田さんはZ社のケースを「Webと実務の連動」の成功例としています。このウェブサイトは、Z社の営業部長が顧客課題への返事や回答をコンテンツ化したものを掲載しています。ゼロからコンテンツ作成をするわけではないので負担も軽減され、1年間に58記事という大量の記事が入稿されました。実務がWeb運営に役立っている側面です。
さらに、そうしてできたウェブサイトは課題解決の事例集になっているので、営業の際に過去記事を使って説明を効率化していると言います。Web運営が実務に貢献している一例です。
このようにそれぞれの会社に会った方法を見つけてWebと実務を相互に連動させることで一石二鳥の環境づくりをすることが会社の財産としてのWeb運営にとって大切だと稲田さんは結論付けています。
最後に、こちらの記事をピックアップします。
エム・データ、2021年1-3月度のTV-CM会社ランキングを発表|Screens|映像メディアの価値を映す
https://www.screens-lab.jp/article/26638テレビの放送内容をテキスト化した「TVメタデータ」を提供する株式会社エム・データは、「2021年1-3月TV-CM会社ランキング」を発表。同ランキングは、2021年1月1日(金)から2021年3月31日(水)に、東京地区地上波キー局で放送されたTV-CMを対象とし、一部ランキングは、TV-CMの出稿状況を可視化したクラウド型TVデータ分析サービス「TV Rank」にて集計・可視化したもの。
こちらのWebメディア「Screens」の記事では、テレビの放送内容をテキスト化した「TVメタデータ」を提供する株式会社エム・データが発表した、「2021年1-3月TV-CM会社ランキング」について考察しています。
ランキングは当該3か月間のCM放送回数をもとに会社別にランクづけしたものです。
1位は「NTTドコモ」で、それまでの「興和」の首位を破った形となりました。また、「リクルート住まいカンパニー」「リクルートマーケティングパートナーズ」「ソフトバンク」「ニトリ」が新規ランクインしたことから、当記事では通信業界の3月にブランドや料金プランが刷新と、在宅時代の住宅への関心の高まりを反映しているのではないかという指摘がなされています。
昨年同時期の2020年1-3月からの放送回数上昇数ランキングでも「リクルート住まいカンパニー」が首位となっており、在宅時代の住宅需要をうかがわせる結果となっています。
まとめ
3月はYouTuber、インフルエンサーを取り上げた記事が2つのメディアでコンテンツランキング首位となっていました。また、Screensのランキング記事に見られたように、住宅の需要も注目が必要な状況です。まだまだ全国的にコロナ禍、緊急事態宣言などの影響があり、在宅ワーク、余暇も「おうち時間」を過ごすことが多い世相が反映されていると言えるのではないでしょうか。
<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2021年3月のネット行動ログデータを分析しました。※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。