ITP/クッキーレスで何が変わる?デジタル広告での3つの問題点と4つの対策

ITP/クッキーレスで何が変わる?デジタル広告での3つの問題点と4つの対策

個人情報保護の高まりを受け、インターネット広告で従来活用されてきたクッキー(Cookie)の廃止が進んでいます。Chromeでは2022年3月に3rdパーティークッキーは完全にサポート終了。リターゲティングなどの広告配信や効果測定に使われてきたクッキーが使えなくなるクッキーレス時代には、どんな施策を打つべきなのでしょうか。ヴァリューズの岩間さんが解説します。


こんにちは、ヴァリューズの岩間です。普段はWEB行動データやユーザーアンケート/インタビューに基づき、クライアント様のコミュニケーションをデザインする業務に携わっています。

前回は2021年上半期に起こった重要な3つのSEOトレンドについて解説しました。

【2021年上半期】売上をアップさせるのに重要な3つのSEOトレンド

https://manamina.valuesccg.com/articles/1261

2021年上半期にWebサイト担当者が抑えておくべきポイントとは? 2020年12月のコアアルゴリズムアップデート、UXの重要指標である「core web vitals(コアウェブバイタル)」、「Google Analytics4(GA4)」の3つの最新トレンドを踏まえ、SEO担当者がやるべきこと/意識すべき点について、ヴァリューズの岩間が初心者にも分かりやすく解説します。

今回のテーマは「クッキーレス」。PC/スマートフォンの各ブラウザに紐付けられるIDが「Cookie」ですが、個人情報保護の高まりを受け、時代はクッキーレスに進んでいます。そんななか、マーケターはどのようにマーケティング施策を行うべきなのでしょうか。展望を解説します。

クッキーレスが起こっている背景とは?

クッキーは広告配信のターゲティングや効果計測に用いられてきました。例えば、リターゲティングはサイト訪問者に対して広告を配信する仕組みですが、基本的にクッキーが使われています。

しかし、個人情報保護の観点から現在クッキーの利用を制限する流れになってきています。

各ブラウザの対応

Appleは2020年3月に3rd Party Cookieを完全ブロックしました。Googleも2022年3月までに3rd Party Cookieを段階的に廃止することを発表しています。

さらに、スマートフォンで広告配信用に使われていた、iOSの各端末に紐付けられたIDである「IDFA(Identifier for Advertisers)」についても、現在デフォルトでOFFになっています。広告配信に使用できるデータがますます減っている状況です。

クッキーレスでは何が問題になるのか?

具体的には、クッキーレスになると何が問題になるのでしょうか。下記の3点にまとめてみました。

ITP/クッキーレスによる3つの問題点

1:ターゲティングの精度が落ちる

まず、1つ目はこれまでのようなターゲティングができなくなることです。その理由としては、ユーザーのサイト訪問が従来のように追えなくなるためです。また、ユーザーの属性情報や行動履歴情報などを組み合わせたデータを利用して広告を配信するオーディエンスターゲティングの実施も難しくなるでしょう。

2:コンバージョン計測がより不完全になる

2つ目はコンバージョン計測ができなくなることです。広告配信においては、クリック後にクッキーがブラウザに格納されます。クッキーレス化に伴い、ブラウザに格納されたクッキーの保存期間が短くなります。そのため保存期間を過ぎた後のコンバージョンが計測できず、広告の効果が測れなくなるのです。

3:機械学習が適切に回らなくなる

3つ目として「運用型広告で機械学習が適切に回せなくなること」です。運用型広告では、過去のコンバージョンデータを元に機械学習を回し、運用効率を改善していきます。ただ、コンバージョン計測が不完全になると、学習するデータ自体が学習する意味のないものになってしまいます。

「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)」そのものです。

クッキーレス時代のターゲティングに関する主要な4つの対応策

クッキーレスの問題として、ターゲティングと計測の問題について分けて考える必要があります。ここではターゲティングにしぼってお話を進めます(計測はまた別の機会にお話しします)。

リターゲティングやオーディエンスターゲティングで、クッキー以外の手法として主に4つが現在使われています。これらはITP/クッキーレスの対策としてもよく手法として挙げられるものになります。

ITP/クッキーレスを受けての主要な対応策

コンテンツを活用する「コンテンツターゲティング」

まず1つ目は「コンテンツターゲティング」です。

ユーザー軸で広告を出すのではなく、Webにあるコンテンツでターゲティングを行うやり方です。URL内のコンテンツ(文章)や画像から、記事はおそらくこういった内容だろうと推測を行い、広告する商品に興味のあるユーザーが読みそうであれば広告を掲載するターゲティングです。

例えば、この記事をお読みの方はマーケティング情報に興味があるはずでしょう。そこで、この記事に広告掲載面(があれば)「マーケティングツールの広告」を出す……といった形です。

メディア横断データの活用

情報銀行と称されたりする、メディアを横断してデータを保有しているところを利用し、広告配信をします。これはとても注目されている手法で、各会社がシステムを構築しようと動いていますが、まだなかなか一般的にはなっていません。

保有リストを外部広告配信と接続

自社で保有している会員情報と広告媒体が持つ会員情報のメールアドレス等でマッチングし広告配信する手法です。カスタマーマッチ広告、アドレサブル広告とほぼ同義です。リターゲティングでクッキーが活用できない際の代替手段になりえます。

ただ、メールアドレスや電話番号を自社で保有する必要があるので、WEBサイトに訪れた人の情報を手に入れる仕掛けを作るといった工夫をしたいところです。この手法は、ターゲティングできるほどの十分なオーディエンス量は担保できない可能性があるのがデメリットです。

会員情報を持つメディアから配信

SNSなどの会員情報を保有しているメディアを活用し、ターゲティングを行う方法です。Facebook広告はかなり一般的だと思います。

また、「Googleファインド広告」や「Youtube広告」は、クッキーと関係なくGoogleの検索データが活用できるので、特定キーワードを検索した人だけに絞った「検索リマーケティング」のようなことができます。

これらの会員情報を持ったターゲティングは今後一般的になると思われますが、利用できるのはそのメディア内で収集しているデータだけに限られます。

まとめ

本稿ではクッキーレスによって広告配信施策の何が変わるのか、そして今後は具体的にどのような潮流になることが考えられるのかについてご紹介しました。重要なテーマになるので、ぜひ頭の片隅にでも思い出せるようにしていただければと思います。

▼Cookieに関する基礎的な情報を得たい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

Cookieとは?マーケティング担当者も知っておくべき基礎知識

https://manamina.valuesccg.com/articles/1185

ブラウザでのユーザー行動や広告の効果測定に欠かせない「Cookie(クッキー)」。Cookieの仕組みとプライバシーの関係は?マーケティング担当者が知っておくべきCookieの基礎知識を紹介します。

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この記事のライター

株式会社ヴァリューズに新卒で入社。データプロモーション局にて、WEB戦略立案、コミュニケーションデザイン設計を行っている。

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