「Cookie」について把握しておく必要性
ネットを使ったマーケティングでは、広告やサイト上の行動履歴などを数値やデータで把握できることが特徴です。こうした画面遷移や成果把握などを可能にしているのが、ブラウザの「Cookie」です。技術的な話が中心となりますが、プライバシーの観点からCookie規制の流れがあり、計測漏れや成果把握の方法が変わることも想定されるため、何ができて何ができなくなるのか、マーケティング担当者も知識として把握しておく必要性が出てきています。
■Cookieとは?
Cookieは、サイトを訪問したユーザーの情報を一時的に(ユーザーの)ブラウザ内に記録しておく仕組みです。「一時的に」なので、一定期間が経過するとユーザーのブラウザからCookieは消えます。Cookieがあることで、次にアクセスしてきた時に同じユーザーと判断できます。
■Cookieを使うメリット、デメリット
Cookieを使うメリットは、第一にユーザー体験の向上です。Cookieを利用すると、ECサイトで次回買い物をする際、一度入力した氏名や住所などはCookieに保存されているので、再入力の手間がなくなります。
また、カートには入れたものの購入を悩むケースが往々にしてあります。この場合もCookieがカートの中身を記憶しているので、次回アクセス時にその商品の購入を決意する、といったようにユーザー体験を高め、離脱率を下げて購入率を高められるようになっています。
ECサイトだけではなく、SNSといったIDやパスワードが必要なサイトにおいてもCookieによってそれらの情報を保存しているので、ユーザーは不便を感じずにサイトにアクセスできるようになっています。
セッション情報を持つ以外に、パーソナライズやトラッキングにもCookieは利用されています。
デメリットは、万が一、PCやスマホが盗まれてしまった場合、Cookieに残った情報を悪用されてしまう可能性がある点です。また、共用パソコンを使った場合、ログインしたまま離席すると、ほかの人が操作できてしまうケースなどに注意が必要です。
■Cookieの技術的な仕組み
サイトにアクセスした時にWebサーバーからCookieがブラウザに送られ、保存されます。
次回同じサイトにアクセスした際、ブラウザ上のCookieがWebサーバーに送られ、サーバー側に保存されているユーザー情報とCookieが紐づいているかをチェックします。これによって、再訪時に同一ブラウザであると判定します。
Cookieと似たようなワードで「キャッシュ」がありますが、こちらは、アクセスしたサイトのページ情報を一時的に記録し、そのサイトへの再訪時、より高速で読み込めるようにするための仕組みです。
■Cookieの種類
■1st party Cookie
ユーザーがアクセスするドメインから発行されるCookieです。これによってユーザーIDなどを保存します。1st party Cookieはドメインをまたいで使えない制約があります。
■3rd party Cookie
「第3者」という意味合いで使われる「3rd party」を冠したCookieは、ユーザーがアクセスするドメイン「以外」から発行されるものです。
例として、サイト上に掲載されている広告のドメインから発行されたものが挙げられます。3rd party Cookieはドメインをまたいで認識されるので、ユーザーがどのサイトを訪問しているかを把握できます。
Cookieが利用されるシーン
■集客
インターネット広告では、3rd party Cookieを利用してユーザーを認識しています。この行動データを利用し、年齢や性別、興味や関心を推測しそれぞれのブラウザに紐付けてターゲティングしていきます。
そして、サイトを訪問したユーザーのCookieを追跡し広告を表示させるリターゲティングも行えます。こちらも3rd party Cookieを使えば、ほかのサイトに訪問していたとしても自サイトの広告をピンポイントで表示させることができます。
■接客
1st party Cookieを発行すると、面倒なログイン作業からユーザーを解放できます。また、ECサイトであれば一度離脱してもカートに購入履歴や購入を検討している商品が残っていれば、再購入や新規購入を簡単に行えるというユーザー体験の向上(=接客)につながります。
そのほかにも、おすすめ商品をアクセスごとに出し分けたりといった細かい配慮をする際にも、Cookieは利用されています。
■分析
単純にPV数を測るだけならばCookieは必要ありませんが、セッション数やページ遷移といった情報を得るためにCookieが有用です。。ユーザーの行動を可視化する「ヒートマップ」やWeb広告の効果測定ツールは、Cookieのデータを分析して描画します。
Cookieが個人情報とみなされ規制が始まっている
最近、行動履歴もプライバシーであるとして、Google Chromeが2022年までに3rd party Cookieを段階的に廃止する方針を打ち出したり、Appleの「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」規制が段階的に厳しくなるなど、マーケティングや広告施策のトラッキングができなくなる可能性が出てきています。
Cookieが使えなくなってしまうと、どうなる?
■集客面
前項でも触れましたがCookie、とくに3rd party Cookieが使えなくなると、自社サイトに訪問してくれた人や商品に興味を持ってくれた人に、リターゲティングが効かず再アプローチする手段が奪われてしまいます。
また、自社のターゲットとしている層を狙って広告を出すといった、Web上での精密な広告配信も難しくなります。
■接客面
おすすめの商品やサービスといった、ユーザーに最適化したコンテンツ、アピールしたいコンテンツを提供できなくなってしまいます。
ほかにも、1度ログインしたサイトでもアクセスごとにID・パスワードを入力する必要が出てきてしまうので、ユーザーエクスペリエンスが低下してしまいます。
■分析面
一人ひとりの訪問回数・閲覧ページ履歴がわからなくなり、計測漏れなど、広告の効果測定が不可能になります。
しかし、Cookieを使用しない、Webサイト訪問データの分析ツール、ヴァリューズの「Dockpit」というサービスもあるので、こうしたサービスの利用が必要になってきます。
Dockpit(ドックピット)は消費者のWeb行動ログデータをもとに、市場調査・ユーザー理解を実現します。直感的なダッシュボードで、誰でもカンタンに3C(自社・競合・市場)分析。短時間でデータドリブンなマーケティングを可能にします。(提供:株式会社ヴァリューズ)
まとめ
Cookieはマーケティングにおいては欠かせない機能ですが、慎重な取り扱いが要求されます。3rd party Cookieを規制する動きもありますが、そうなる前の先手としてCookieを使用しない、Webサイト訪問データ分析ツール「Dockpit」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。