スマートフォン決済アプリの最新動向を調査!PayPayが変わらず独走もファミペイが存在感発揮

スマートフォン決済アプリの最新動向を調査!PayPayが変わらず独走もファミペイが存在感発揮

コロナ禍で「非対面」「非接触」需要が高まり、急速に普及したスマホ決済。コンビニやタクシー、飲食店、医療機関など、利用シーンが広がり、クレジットと並ぶ決済手段として一般化しています。各社からサービスがリリースされ、政府主導のポイント還元キャンペーンが行われたスマホ決済(QRコード決済)元年の2019年から約2年が経ち、業界はどう変化したのか。本稿では、主要サービスとして、キャリア系のPayPay、d払いやauペイ、EC系の楽天Pay、コンビニ系のファミペイをピックアップし、アプリの利用ユーザー数や所持ユーザー数、アクティブ率、年代別属性などの最新動向を調査しました。


QRコード決済アプリの最新データはどうなっている?

それではまず、主要QRコード決済アプリ【PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ、ファミペイ】の過去2年のユーザー数推移を見ていきます。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2019年6月〜2021年5月、対象デバイス:スマートフォン

2021年5月時点で、PayPayが月間利用者数(MAU)3,000万を超え独占状態となっていました。PayPayは、まだ各社サービスリリースが出揃っていない頃に先行して実施した「100億円あげちゃう! キャンペーン」が起爆剤となり、それ以降、圧倒的強さでスマホ決済業界を牽引しています。

▼2019年10月の消費増税のタイミングから既にPayPayは独走状態でした。マナミナの過去記事も参考にご覧ください。

消費増税の追い風で、スマホ決済アプリPayPayが独走!1日の起動ユーザー数は900万人以上に

https://manamina.valuesccg.com/articles/653

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、一般ユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用して、消費増税前後の決済アプリ利用ログからキャッシュレス決済の利用実態を調査しました。また国内の20歳以上の男女18,517人を対象に、キャッシュレス決済やポイ活の認知度、利用意向に関するアンケート調査を実施しました。

PayPayの代名詞ともいえる大盤振る舞いのキャンペーンは周年記念や3,000万ユーザー突破記念などの節目に開催されますが、その他にも導入店とのコラボキャンペーン(特定のお店でPayPayを利用するとボーナスポイントが付与されるなど)を常時実施。話題性に長け、ユーザーの利用動機を提供し続けているところが、PayPayの強さの秘訣でしょう。

常時複数のキャンペーンを実施するPayPay

ユーザー数でPayPayの次を追うのは「d払い」です。d払いは、ドコモの基盤の強さを活かし、ポイント支払い時の還元キャンペーンを強化するなど、dポイントの汎用性を活かした企画に積極的に取り組んでいます。これらの効果もありキャリアユーザーを囲い込めていることが、d払いの強みでしょう。

dポイント支払いで1億ポイントをユーザーで山分けするキャンペーン

アプリのアクティブ率でもPayPayが1位、次にファミペイが続く

それでは次に、アプリ所持ユーザー数を比較してみます。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2019年6月〜2021年5月、対象デバイス:スマートフォン

ここでも、PayaPayが1位で、直近では約3,600万ユーザーがアプリを所持しており、先述したMAUともほとんど乖離がありません。PayPay以降の順位傾向も、MAUと類似しています。

では、アプリ所持ユーザーのうちの利用ユーザー率(アクティブ率)ではどうでしょうか。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2019年6月〜2021年5月、対象デバイス:スマートフォン

アクティブ率でも、PayPayが1位。キャンペーンで集客するだけでなく、実際の利用者も多いことが分かります。話題性に加え、導入店舗の多さや優れたUIなどから、ユーザーの満足度も高いと考えられます。

また、アクティブ率2位はファミペイでした。QRコード決済はコンビニ利用が多いと言われています。ただ大手3社のうち、セブンイレブンとローソンは、クーポンやポイント付与機能を搭載した自社アプリは運営しているものの、QR決済アプリは運営していません。

それに対し、ファミリーマートは自社運営の決済アプリファミペイを早くから導入し、特定商品購入時のポイント還元キャンペーンなどで、利用を促しています。メインのコンビニとしてファミリーマートを利用するユーザーは、毎日あるいは1日に複数回アプリを起動することも考えられ、これがアクティブ率の高さに繋がっているのでしょう。

年代別ユーザー数をチェック

次に、年代別の利用状況を確認してみましょう。こちらは、過去半年のユーザー属性です。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年12月〜2021年5月、対象デバイス:スマートフォン

若年層比率が比較的高いのはPayPayと楽天ペイ。一方、高年代比率が高いのはauPayとd払いのキャリア系サービスでした。

PayPayや楽天ペイは、オンラインサービスに慣れ親しみ、キャンペーンなどの話題性にも敏感な若年層の利用が多い傾向です。また、Yahoo!とLINEの経営統合によってLINEペイとPayPayが連携したことも、若年層の割合を増やした要因のひとつかもしれません。

一方で、高年代の比率が高かったのはキャリア系サービス。キャリア経済圏内のユーザーへのリーチに成功していると推測できます。

まとめ

スマホ決済業界は、各社が参入した2019年から約2年が経ち、PayPayが独走状態でいることが明らかになりました。アクティブ率もPayPayが最も高く、キャンペーンによる一過性の盛り上がりではなくユーザーに定着していることが分かります。

また、その他のサービスも、キャリア系は高年代の利用が多い、コンビニ系はアクティブ率が高いなど、それぞれの傾向が目立つようになってきました。これらの特性を活かし、今後はサービス独自の展開が繰り広げられるかもしれません。1位のPayPayに対し、他社はどんな追い上げを見せるのか。今後の動向に注目です。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年6月~2021年5月のネット行動ログデータを分析しました。
※アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニター(20歳以上男女)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


Oisixとnoshの動向を調査!新生活の忙しい若者には宅配食+αがおすすめ

Oisixとnoshの動向を調査!新生活の忙しい若者には宅配食+αがおすすめ

最近、外食やテイクアウト、簡単に調理できる食品など、新しい食事スタイルを提供するサービスが人気を集めています。本記事では多くの人に利用されているOisixとnoshに焦点をあてながら、デリバリーサービスや自炊との比較を交え、現代の人々の食生活のトレンドを分析します。


マクドナルド、バーガーキングを徹底比較。メニュー,価格,アプリ利用者数

マクドナルド、バーガーキングを徹底比較。メニュー,価格,アプリ利用者数

ファストフード市場を牽引するハンバーガー市場。主なチェーン店のうち、今回は「マクドナルド」「バーガーキング」に注目し、店舗数やメニュー・価格、アプリ利用者データから、各社の集客動向や特徴を比較調査しました。


生成AIは誰がどう使っている? ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeの利用データを比較調査

生成AIは誰がどう使っている? ChatGPT、Gemini、Copilot、Claudeの利用データを比較調査

ChatGPTやGeminiをはじめとした生成AIが近年急拡大しています。生成AIではテキストのみならず画像や音声など様々なものを出力できますが、実際はどのように使われているのでしょうか。本稿では、そんな生成AIを利用するユーザーの属性や関心を比較・分析し、各AIとそのユーザーの実態を明らかにしていきます。


富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

高ランク帯のクレジットカードのなかでも特に持つ人が限られているというプレミアムなカード、通称"ブラックカード"。ブラックカードを持つことに憧れているという人も多いのではないでしょうか。本記事では、ブラックカードに関心を持つ人々の検索傾向やターゲット層の特徴を深掘りし、どのようなプロモーション施策が効果的かについて考察します。


「値上げ」の1番の注目は米、キャベツじゃなく...?検索ワードを調査

「値上げ」の1番の注目は米、キャベツじゃなく...?検索ワードを調査

物価上昇が以前と続く2025年3月。様々な分野で値上げが行われていますが、人々から特に関心を集めているのはどの物価なのでしょうか。この記事では、値上げに関連する検索ワードから、人々がどの値上げに注目しているか、2025年と2024年それぞれで分析していきます。


最新の投稿


アイスタイル、美容業界のデータドリブンな意思決定を支援する「データドリブンソリューション」を提供開始

アイスタイル、美容業界のデータドリブンな意思決定を支援する「データドリブンソリューション」を提供開始

株式会社アイスタイルは、美容業界のデータドリブンな意思決定を支援する新事業「データドリブンソリューション」を提供開始したことを発表しました。


Z世代の約8割が「SNSのまとめコンテンツ」を活用!サーチエンジン検索は"買い物に失敗しないための下調べに利用【ファストマーケティング調査】

Z世代の約8割が「SNSのまとめコンテンツ」を活用!サーチエンジン検索は"買い物に失敗しないための下調べに利用【ファストマーケティング調査】

ファストマーケティング株式会社は、Z世代(15歳〜29歳)の男女を対象に「Z世代の消費行動に関するSNS利用の実態調査【2025年版】ファッション・コスメ編」を実施し、結果を公開しました。


Oisixとnoshの動向を調査!新生活の忙しい若者には宅配食+αがおすすめ

Oisixとnoshの動向を調査!新生活の忙しい若者には宅配食+αがおすすめ

最近、外食やテイクアウト、簡単に調理できる食品など、新しい食事スタイルを提供するサービスが人気を集めています。本記事では多くの人に利用されているOisixとnoshに焦点をあてながら、デリバリーサービスや自炊との比較を交え、現代の人々の食生活のトレンドを分析します。


生成AIの認知度は横ばいで推移も利用率は1年間で9.0ポイント上昇【GMOリサーチ&AI調査】

生成AIの認知度は横ばいで推移も利用率は1年間で9.0ポイント上昇【GMOリサーチ&AI調査】

GMOリサーチ&AI株式会社は、同社が保有する国内モニターパネル「JAPAN Cloud Panel(ジャパンクラウドパネル)」のモニターを対象に、「AIトレンドに関する自主調査」を実施し、結果を公開しました。


WEBマーケティング施策でAIを活用している企業は約8割!活用領域としてDM・プレスリリースの文案作成や広告クリエイティブ生成が上位に【PRIZMA調査】

WEBマーケティング施策でAIを活用している企業は約8割!活用領域としてDM・プレスリリースの文案作成や広告クリエイティブ生成が上位に【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、マーケティング担当者、広告代理店、デジタルエージェンシーを対象に「WEBマーケティングにおけるAI活用に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ