調査・分析の背景
近年、男性の美容意識は徐々に高まりを見せています。コロナ禍での在宅時間も増え、可処分時間をスキンケアにあてる男性も増えており、男性専用のスキンケア用品も登場するなどメンズ美容市場も大きな注目を浴びています。
しかし美容意識を持つ男性が増えていることから、意識の高低や美容にかける費用感などに幅が出始めているのが現状です。そこでヴァリューズでは、美容意識を持つ男性たちにどのようなグループ分けがされ始めているのか、アンケート回答とWeb行動ログをもととして因子クラスター分析を実施し、「メンズ美容クラスター」を可視化しました。
6つのメンズ美容クラスター
アンケート調査で得られた男性サンプルを基に因子分析をおこない、因子得点を用いて対象者セグメントをおこなった結果、以下の6クラスターに対象者が分類されました。また、年代と美容にかける費用を軸に、クラスター分類マップを作成しました。
図表1 メンズ美容クラスター分析結果
図表2 メンズ美容クラスター分類マップ
各クラスターの特徴
■1.ミニマリストクラスター
「すぐに」「安く」を求める、清潔感第一な美容ミニマリスト。
<意識>
美容関心は低いが、最低限の「清潔感」は求めている。時短・簡便といったミニマリスト志向。
<人となり>
体の悩みは腰痛、高血圧・血糖値も特徴的。ゲーム・動画などに関心あり。
<購入商品>
ドラッグストアで、「すぐに」「安く」手に入る商品を購入。
<媒体・Amazon>
情報収集は店頭で完結。Amazon上では、ボディケア商品閲覧にやや特徴あり。
図表3 ミニマリストクラスター
■2.男前ワイルドクラスター
ボディケア意識高し。かっこいい自分を目指す男性的なクラスター。
<意識>
ボディラインや筋肉に自信を持ちたい意識あり。 「クール・かっこいい」自分を目指す。
<人となり>
口臭・体臭といった体のニオイを気にする傾向にある。接触メディアはビジネス系に特徴。
<購入商品>
ヘアケア、オーラルケア用品購入者が多い。スキンケアは「肌に合うこと」を重視。
<媒体・Amazon>
店頭・ネット検索の2つが主な情報源。Amazonではお手入れアイテムを閲覧。
図表4 男前ワイルドクラスター
■3.チャレンジャークラスター
「ラクして自信を持ちたい」が本音の、価格コンシャス派。
<意識>
美容・身だしなみ意識は低め。ただし、各パーツに自信を持ちたいという志向性は見られる。
<人となり>
肩こりや腰痛といった体の痛みが悩み。婚活・ガジェットへの興味も。
<購入商品>
ヘアケア・オーラルケアといったベーシックな商品は購入。価格コンシャスな一面あり。
<媒体・Amazon>
店頭・検索・Amazonの3つで商品を検討。Amazon内ではネイルケアへの関心も。
図表5 チャレンジャークラスター
■4.美容エキスパートクラスター
“盛れる”アプリも愛用中?最も美容意識が高いクラスター。
<意識>
「自分が好きな見た目の自分になりたい」意識が強い。中性的、優しい・可愛い志向が特徴的。
<人となり>
髪の悩みが他クラスターと比較して特徴的。また、“盛れる”カメラアプリの利用者も。
<購入商品>
ムダ毛処理などボディ・ヘアケアを追求している。総合ECや百貨店も特徴的に利用。
<媒体・Amazon>
ネット検索・Amazonで情報収集。美容関連動画、メイクアップ用品の閲覧に特徴。
図表6 美容エキスパートクラスター
■5.無関心クラスター
最低限整っていればOK。美容関心が低いクラスター。
<意識>
「見た目は最低限整っていればいい」が信条。美容・身だしなみへの関心は全体的に低い。
<人となり>
体の悩みは少ない。スマホ決済を軸としたスマートな支払い傾向が伺える。
<購入商品>
特徴的に購入している商品は見られない。ドラッグストア購入者が多く、価格コンシャス。
<媒体・Amazon>
ECサイト内での情報取集行動に特徴。日用的なケアアイテムをチェック。
図表7 無関心クラスター
■6.こだわり趣味人クラスター
身なりにしっかりお金をかける。自分に合う商品を見定めるこだわり派。
<意識>
美容・身だしなみは「楽しいもの」。時間もお金もかけて、身なりを整えている。
<人となり>
高血圧・血糖値・飲酒量などが特徴的な悩み。株・資産運用への関心が伺える。
<購入商品>
ヘア関連に特徴が見られる。自分に合うかどうかを重視。総合EC利用率が高め。
<媒体・Amazon>
店頭・検索結果・Amazonで情報収集。“こだわり”アイテムも閲覧。
図表8 こだわり趣味人クラスター
各クラスターの美容意識、人となり、購入商品、情報収集行動の詳細はオンラインセミナーでも解説いたします。アンケート結果と消費者Web行動ログを掛け合わせた分析や、ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を活用した検索キーワードの分析もご紹介いたします。
■美容エキスパートクラスターの詳細例
図表9 美容エキスパートクラスター詳細1
図表10 美容エキスパートクラスター詳細2
年代による美容意識の変わり目を調査分析
アンケート調査結果から、男性の美容意識が年代によってどのように変化するのかも浮かび上がってきました。
年齢別に美容関連商品購入のボリュームゾーンを見ると、スキンケア等は若い層、トレーニングはアラサー世代、体臭・汗ケアは30代~40代前半の購入率が高くなり、いずれも年齢を重ねるごとにピークアウトしていく傾向にありました。
また身だしなみに関する意識を聞いたところ、モテ意識は30歳ごろまでが高く、30代に入るとコスパ・ミニマルな身だしなみ意識が高まっていくことが分かりました。
図表11 年齢別商品購入事情
図表12 年齢別「気持ちの曲がり角」
調査・分析概要
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男性)を対象として、 2021年6月16日~6月23日にアンケート調査を実施。(回答者16,027人)
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
※サイト分類のカテゴリは、ヴァリューズが独自に定義。
【因子分析】
複数のデータの測定値に共通する因子(回答選択(人々の意識等)に共通して影響を与えている要素)を取り出す手法。今回のケースでは、美容や身だしなみに対する意識項目を取得し、そこでの共通要素としての因子を抽出した。
【クラスター分析】
サンプルについて観測された属性値の類似性をもとに、各サンプルをグループに分類する方法。このようにして得られる一つひとつのグループをクラスターという。クラスター分析は、多数のサンプルがある中で、各サンプルの位置関係を全体的な視点から見渡すことができるという点に特徴がある。今回のケースでは、因子分析により抽出された「因子得点」を用いて対象者の分類をおこなった。
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