ITPとは?Cookie規制?要点を絞って分かりやすく解説!

ITPとは?Cookie規制?要点を絞って分かりやすく解説!

個人情報保護の動きが高まる中、「ITP対応」「Cookie廃止」といった言葉を耳にすることも増えてきました。今回は、そもそもCookieとは何か、ITPとは何かについて、要点を絞り、事例を交えつつわかりやすく解説します。


「Cookie削除」や「ポストCookie」「脱Cookie」といった言葉を耳にしたことはありますか?

近年、GDPR(一般データ保護規則)に代表されるように世界的に個人情報保護の取り組みが強化され、日本でもWeb上での個人情報保護の動きが高まり、Web上でのIPアドレスやCookieといった個人を特定し得る情報の規制は強くなる一方です。

GDPRのような国家や経済圏単位での法規制に始まり、企業単位でもデータ規制や制限への取り組みがなされており、中でも特にApple社による「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」はWebマーケティングに携わる方々にとっては無視できない存在でしょう。

昨今注目されている、これらのCookieやITP、よく見聞きするけれども結局何のこと?どんな影響があるの?という方がほとんどだと思います。そこで、今回はCookieやITPについての解説と、及ぼす影響範囲を皆様に身近なGoogleアナリティクスや広告を事例にお伝えしていきます。

Cookieとは?ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いを解説

Cookieとは、サイトに訪問したユーザーの情報を一時的に保存する仕組み、あるいはその保存された情報のことです。

Cookieには、以下の2つの種類があります。
ファーストパーティCookie:ユーザーが訪れたサイトが発行したCookie
サードパーティCookie:ユーザーが訪れたサイト以外が発行したCookie

ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの活用事例

ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの活用事例

ファーストパーティCookieは、みなさんにとっても非常に身近な、サイトへの自動ログインなどで活用されています。ユーザーのログイン情報や閲覧履歴、カート履歴などの情報をCookieに保存し、ユーザーの利便性を高める仕組みに利用されています。

なお、ファーストパーティCookieはユーザーが訪れたサイトから発行されており、そのサイトを離れたユーザーの情報を得る(ドメインを横断したトラッキング)ことはできません。

一方でサードパーティCookieは、主に広告配信などで活用されています。ユーザー属性、行動データなどの情報がCookieに保存され、それを元にユーザーの興味関心や属性に対してマッチ度の高い広告を配信することができます。
先ほどのファーストパーティCookieは訪問先のサイト(当事者)から発行されていますが、サードパーティCookieは外部の事業者(第三者)から発行されているというすみわけがわかりやすいでしょう。

このように、Cookieはユーザーにも事業者にも一定の便益をもたらします。しかし、リターゲティング広告やオーディエンスターゲティングなどのようなパーソナライズドされた広告は、「監視されている」「追跡されている」感覚をユーザーにあたえる場合も多く、ユーザーの間でCookieを嫌う動きが出てきました。この動きを受けて、GDPRやCCPA(カリフォルニア州 消費者プライバシー法)などの法的な規制や、Apple提供のブラウザ「Safari」に搭載されたトラッキング防止機能である「ITP」や、Google Chromeが予定しているサードパーティCookieの廃止などの技術的な制限が加速しています。

特にここで挙がっている「ITP」については、日頃webマーケティングに携わっている皆様にとって耳にする機会や話題に挙がることも多いのではないでしょうか。そして触れる機会は多いものの、どんな制限で何に影響しているのか、いまいち理解できていないというテーマの一つでもあるかと思います。

とはいえ、日本国内の「Safari」のモバイルブラウザシェアは6割を越えており、Webマーケティング活動においてITPの最新情報をキャッチアップしておくことは極めて重要です。続いて、ITPによるCookieの制限について解説していきます。

ITPとは?最新バージョンのCookie制限について解説

ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、AppleのWebブラウザ「Safari」に搭載されているトラッキング防止機能です。現在のバージョンのITPでは、サードパーティCookieが完全にブロックされており、ファーストパーティCookieの有効期限は1日に短縮されています(例外あり)。

ITPによるCookie規制

つまり、Safariにおいては、サードパーティCookieが完全にブロックされたことで、リターゲティング広告やオーディエンスターゲティングは機能しなくなっています。ユーザーの属性情報、行動データをもとにした従来のターゲティングの精度も低下するでしょう。

また、広告配信だけでなく、広告媒体の管理画面やGoogleアナリティクス上で、Cookieを使ったコンバージョン数の計測や、正確なユーザーの行動データが取得できなくなるケースもあります。(広告やアクセス解析におけるITPの具体的な影響とその対策については、後編の記事で解説します)

なお、上記ファーストパーティCookieの制限は2019年4月の更新されたバージョンである「ITP2.2」で実装されました。サードパーティCookieの完全ブロックは、2020年3月に「ITP2.3」に追加する形で更新された「Full Third-Party Cookie Blocking and More」で実装されました。

このようにITPはiOSのバージョンアップとともに、ファーストパーティ・サードパーティに関わらず段階的に制限強化が進んでいます。ITPはあくまでも一例であり、こうしたCookieの制限を初めとする個人情報保護の動きは強まってきており、今後も強化されていくことが予想されます。

iOS15リリースによるマーケティングへの影響

ITPによるCookie制限については先に述べたような状況ですが、ITPの影響はそれだけではありません。
現時点の最新版であるiOS15のリリース(2021年9月)に伴い追加された機能のうち、マーケティング上影響を受けるであろう「メールプライバシー保護機能」についても紹介します。Cookie規制の文脈からは離れますが、マーケティング活動に携わるみなさんにとって注意が必要な機能です。

 『メールプライバシー保護機能』とは、Apple Mail (アップル社の純正メールアプリ) のメール開封、IPアドレス、位置情報などの情報を隠し、ユーザーのプライバシーを保護する機能です。

メルマガやメールを用いたキャンペーン施策を行っている場合、メール開封率を成果指標として活用するケースも多いでしょう。しかし、この「メールプライバシー保護機能」によって、Apple Mailのユーザーのメール開封率は正確に取得できなくなりました。

そもそもメール開封率の計測は、HTMLメールに埋め込まれた目に見えない小さな開封確認用画像(メールを開いた瞬間に読み込まれる)が読み込まれたかどうかで計測しています。「メールプライバシー保護機能」が有効になっている場合は、Apple Mailで受信したメールはApple側で一時的に読み込まれ、バックグラウンドで保存されます。その際に、メール確認用画像が読み込まれてしまいます。そのため、メール受信者がメールを開封する、しないに関わらず、「メールを受信したらすぐに開封した」という情報が計測されてしまう可能性があります。

これは「Apple Mail」に配信されたメールが対象であり、GmailのようなフリーアドレスであってもAppleMailを介してメールを開いた場合は、この保護機能が適用されます。普段、メールマーケティングにおいてメールの開封率を計測している場合、Appleユーザーにはこの「メールプライバシー保護機能」の影響が出ている可能性が高いことに注意しておきましょう。

現時点で2021年9月のiOS15リリースからも数か月経過しており、少しづつ開封率にも影響が出ている頃かもしれません。自社のマーケティング対象者におけるAppleユーザーの比率や過去のメール開封率等を確認し、自社のマーケティングへの影響度合いも確認してみましょう。

【関連】ITPが広告運用やWebサイト運営に与える影響を分かりやすく解説

https://manamina.valuesccg.com/articles/1726

Cookie規制、ITPがWebサイト運用や広告運用に与える影響について解説します。Googleアナリティクスの計測への影響や、リターゲティング、広告CV計測、広告の効果測定や運用時における自動入札等の広告運用周辺への影響について、詳しくご紹介します。

まとめ

前編の本記事では、Cookieの基本知識、「Safari」に搭載されているトラッキング防止機能であるITPでのCookie規制や、最新版iOSのマーケティングへの影響をご紹介しました。

これだけITPの動向が注目されているのは、「Safari」の日本国内のモバイルブラウザのシェアが6割を越えるほど、日本はiPhoneユーザーが多いためです。

また、プラウザシェアでいくとPCも含めた日本国内のブラウザシェアでトップとなるChromeの動向も無視できません。余談ですが、そのChromeにおいては、Googleが今年(2022年)予定していたChromeのサードパーティCookie廃止を2023年に延期しました。延期になったとはいえ、実装された場合にはITP同様大きな影響が出ることが予想されます。

こうした個人情報保護の動きに柔軟に対応していくために、まずは足元の、日頃のマーケティング業務のなかで、どのような影響がでているのか、その対策について考えていきましょう。こちらについては、次回の記事で詳しく解説いたしますので、是非チェックしてみてください。

【関連】ポストCookie時代のWeb広告配信を考える。顕在層とのタッチポイントをWeb行動ログデータから探ってみた

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昨今、多くの事業においてデジタルマーケティングやWeb広告の重要性が高まっていることは言うまでもありません。そんな中で、個人情報保護の背景から強化されたCookie規制はマーケターに衝撃を与えました。今回はCookie規制に影響されない、ポストCookieについて考えます。

この記事のライター

2022年4月に新卒としてヴァリューズに入社しました。それまでは大学院でダイヤモンド半導体について研究しつつ、ヴァリューズの内定者アルバイトとして働いていました。

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