「ノンアル」vs「微アル」関心層に違いはある?ヒットの背景を検索データから調査

「ノンアル」vs「微アル」関心層に違いはある?ヒットの背景を検索データから調査

コンビニでもノンアルコール(以下、ノンアル)のビールやチューハイが所狭しと並んでいます。「カロリーオフ」「プリン体0」「糖質オフ」など健康志向をうたう商品もよく見かけます。一方、CMで「0.5%でええんちゃう?」と訴えるのは、微アルコール(以下、微アル)ビール「ビアリー」を飲んで「うまい」と漏らす松本人志。今、巷では、ノンアル・微アルがブームです。少し前まではストロングが人気でしたが、なぜ今ノンアル・微アルなのでしょうか。 ノンアル・微アルは誰にうけているのか、どんな商品が人気なのか、キーワード検索ユーザーのWeb行動ログから調査します。


「よわない檸檬(れもん)堂」登場!盛り上がる「ノンアル」市場

「ノンアル」市場は「微アル」に先駆けて盛り上がっています。コンビニやスーパーでもかなりのスペースを確保し、中にはカロリーオフ、プリン体ゼロ、糖質オフなど、特保や健康志向をアピールする商品も。最近では、日本コカ・コーラが、同社人気のレモンサワー「檸檬堂」シリーズからノンアルのレモンサワー風飲料「よわない檸檬(れもん)堂」を2022年2月21日に発売し、話題になりました。

また、サントリーの調べによると、2020年のノンアル飲料市場は対前年103%と伸長し、過去最大規模に達しているそうです。

よわない檸檬堂|こだわりのノンアルコールレモンサワーテイスト|

「ビアリー」のヒットで盛り上がる「微アル」市場

「微アル」人気の立役者となったのは、アサヒビールが発売したビールテイスト飲料「ビアリー」でしょう。同社は、お酒を飲む人が、体質やその時の気分、シーンに合わせて酒やノンアルコールドリンクを自由に選ぶ飲み方「スマートドリンキング(スマドリ)」を推進しており、「ビアリー」はその一環として発売されました。これがヒットし、同社のビールテイスト飲料の同年前期の売り上げは約20%アップしました(※1)。

「ビアリー」のアルコール度数は0.5%で、通常のビールの平均5%程度をかなり下回っています。かといって、ノンアルではない、この絶妙なバランスが多くの人を引きつけているようです。

0.5%という、新しい選択肢。アサヒ 微アルのビアリー

「ノンアル」コロナ禍で好調も、検索ユーザーは減少傾向

では、「ノンアル」と「微アル」はターゲットがどう違うのか、どんな人にうけているのか、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」で詳しく見ていきましょう。

まず、「ノンアルコール / ノンアル」と「微アルコール / 微アル」の検索ユーザー数を集計しました。

以下のグラフのように、「ノンアル」検索ユーザー数は多い時で月間8万UUを超え、波がありながらも「微アル」検索ユーザー数よりは高い水準で推移しています。新型コロナ禍で飲食店での酒類の提供が制限される中で、「ノンアル」の需要は高まったと考えられます。

一方で「微アル」は「ビアリー」の販売開始から検索ユーザー数は増加したものの、2021年9月をピークに伸び悩みを見せています。

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー数推移

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー数推移

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「ノンアル」は若い女性、「微アル」は年配男性に人気

続いて、「ノンアルコール / ノンアル」と「微アルコール / 微アル」の検索ユーザーの属性を比較します。

以下の図のように、「ノンアル」は女性が多く、「微アル」は男性が多いことがわかりました。年代は、「ノンアル」は30代、「微アル」では40代の比率が最も高くなっています。

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性比較

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性比較(性別)

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性比較(年代)

「ノンアルコール / ノンアル」VS「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性比較(年代)

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

若い女性は飲料の種類を検索。男性は「運転」「比較」などの情報を検索

次に、「ノンアル」検索ユーザーの属性マップを見てみましょう。
「ノンアル」と同時に検索されたキーワードを、縦軸:年齢、横軸:性別でマッピングすると、以下のようになりました。

「ノンアルコール / ノンアル」検索ユーザー属性マップ

「ノンアルコール / ノンアル」検索ユーザー属性マップ

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「ノンアルコール / ノンアル」検索
傾向
若い女性 「ホットワイン」「モヒート」「カクテル」「レモン」「サングリア」「焼酎」「梅酒」と、様々な種類の飲料が並んでいます。また、「カルディ」「イオン」「コストコ」など店舗名も登場し、よく情報収集している様子がうかがえる。
若い男性 「サッポロ」「ドイツ」はビールか?「酔う」「酒税」「運転」など、飲料の種類で検索しているユーザーは少ない
高齢の女性 「除菌スプレー」や「ウェットティッシュ」など、飲料以外のキーワードが頻出
高齢の男性 「価格」や「ランキング」が気になっている。

続いて、「微アル」検索ユーザーの属性マップを見てみましょう。
「微アル」と同時に検索されたキーワードを、縦軸:年齢、横軸:性別でマッピングすると、以下のようになりました。

「ノンアル」と比べてユーザー数が少ないものの、掛け合わせ検索を行なっているのは男性がほとんどを占め、掛け合わされたのは「アサヒ」「ビール」でした。飲酒運転に値するかどうかも気になって検索しているようです。

「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性マップ

「微アルコール / 微アル」検索ユーザー属性マップ

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「ノンアル」検索は人気商品探し、「微アル」検索は「ビアリー」へ流入

「ノンアル」「微アル」と検索した後の流入ページを確認します(ただしノンアルコールウェットティッシュなど飲料と無関係のページは除く)。

「ノンアル」検索後には、Wikipedia、人気飲料ランキングページへの流入が多いようです。3位にノンアルチューハイの人気ランキング7が入りました。

「微アル」検索後は「ビアリー」サイトに流入していることがわかります。

「ノンアルコール/ノンアル」検索後流入ページ

「ノンアルコール/ノンアル」検索後流入ページ

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「微アルコール / 微アル」検索後流入ページ

「微アルコール / 微アル」検索後流入ページ

期間:2020年3月〜2022年2月
デバイス:PCおよびスマホ

まとめ

「ノンアル」「微アル」の人気について、キーワード検索ユーザーのWeb行動ログから分析を行いました。

「ノンアル」検索はユーザー数は多い時で月間8万UUを超え、波がありながらも一定のボリュームのユーザーがいることがわかりました。新型コロナ禍で飲食店での酒類の提供が制限される中で、「ノンアル」の需要は高まったと考えられます。また、「ノンアル」市場は2020年で対前年103%を達成、2022年2月に発売された「よわない檸檬(れもん)堂」も人気上昇に貢献していると考えられます。

一方で「微アル」は「ビアリー」の販売開始から検索ユーザー数は増加したものの、まだ「ノンアル」ほどの知名度は獲得しておらず、2021年9月をピークに伸び悩みを見せています。検索後流入サイトも「ビアリー」が上位を占めており、今後の商品展開に期待したいところです。

「ノンアル」と「微アル」の検索ユーザーの属性についても比較を行いました。その結果、「ノンアル」は女性、「微アル」は男性の検索ユーザーが多く、年代は「ノンアル」は30代、「微アル」は40代を中心に関心を集めていました。

特に若い女性は「ノンアル」と同時に様々な種類の飲料や店舗名とを掛け合わせて検索していることがわかりました。この層での「ノンアル」人気の高さがうかがえます。

ノンアル・微アル人気の背景には、ラインナップの充実で若い女性を取り込んだこと、「酔わない」「運転できる」などお酒の楽しみ方を選ぶようになったことなどが関係していそうです。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

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