アフターコロナの中国における家電購入実態を調査~リアルよりオンライン購入が優勢、 日中ブランドの購入を決するのは「憧れ」と「信頼」

アフターコロナの中国における家電購入実態を調査~リアルよりオンライン購入が優勢、 日中ブランドの購入を決するのは「憧れ」と「信頼」

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、直近1年以内に指定したブランド・価格以上の炊飯器を購入した中国人400人を対象にアンケート調査を実施し、アフターコロナにおける中国人の家電製品に対する考え方と消費行動を分析しました。


日本での爆買いが出来なくなった中国人消費者はどんな家電を買う?

コロナ禍で訪日旅行が停止し、中国人観光客による日本での爆買いも見られなくなったいま、中国人の家電製品に対する考え方と消費行動にはどのような変化がもたらされているのでしょうか。近年の中国家電メーカーは、新しい家電製品の開発を加速させ、デザイン性・機能面ともに優れた商品を中国人消費者に向けて提供しています。その結果、「中国産の家電製品が良い」という考え方が広まってきているようです。今回はそんな家電製品に注目し、中国人消費者にアンケート調査をおこないました。

炊飯器ブランドの平均認知率は中国産に軍配も、パナソニックは8割強と健闘

まず家電製品の中でも炊飯器について、日本と中国の各4ブランドの認知率および購入検討率をまとめました。全体的に中国の炊飯器ブランドの認知率が高いなか、日本ブランドではパナソニックが8割強の認知率を獲得していました。

図表1 炊飯器購入検討ブランド

「信頼」の中国ブランドと「憧れ」の日本ブランド

次に、炊飯器の購入理由について尋ね、日中ブランドで購入者を分けて回答を整理しました。グラフを見ると、「中国ブランド:ブランドへの信頼、性能の高さ」「日本ブランド:ブランドへの憧れ」といった要素が、ブランドや商品の選定に寄与していることがわかります。日本での爆買いが起こった背景には、日本製品の品質の高さや安心感、コストパフォーマンスの高さがあったと言われていますが、コロナ禍で国内ブランドに目を向けるようになった結果、中国ブランドへの信頼が高まっていると言えそうです。

さらに本レポートでは、「価格が安かったから」という理由で購入に至った割合は僅か6.8%であったという結果についても触れられています。「とにかく安いもの」よりも、「良いもの・納得できるもの」を買おうという消費者意識が伺えます。

図表2 炊飯器の購入理由

日本寄りの「ブランド重視クラスター」と中国寄りの「機能重視クラスター」

次に、アンケート回答者に対してクラスタリングをおこなったところ、5つのクラスターに分類することができました。クラスターのうち、前述の日中ブランドの棲み分けを最もよく表しているのが、「ブランド重視クラスター」と「機能重視クラスター」でした。
相対的にブランドへのこだわりが強く、価格にも敏感な「ブランド重視クラスター」については、購入ブランドの上位を日本ブランドが占めています。日本ブランドへの憧れと商品のコストパフォーマンスの高さが、選ばれる要因になっているようです。
一方で、ブランド志向に加えて機能面でのこだわりが強い「機能重視クラスター」には、中国ブランドが選ばれやすいことがわかります。中国ブランドへの信頼と商品の優れた機能が、中国人消費者に向けた主な訴求軸になっているのかもしれません。

図表3 クラスター分析結果

また、近年中国国外からも注目を浴びる下沈市場在住者にも注目した「下沈市場のプチセレブ」クラスターの詳細も見てみました。機能・ブランド・トレンドの3項目が高く出ており、価格を問わず、品質が良い家電を購入する人のイメージが浮かび上がってきます。平均個人月収が最も高いなか大都市よりも生活費が抑えられるため、金銭的な余裕があり、欲しい物にお金を惜しまない傾向にあると考えられます。
購入した炊飯器で1・3・4位を日本ブランドが占めていることからも、憧れ消費を実現するような積極的な様子が伺えます。

図表4 クラスター4 下沈市場のプチセレブ

<下沈(かしん)市場とは>
地方都市を意味する言葉で、具体的には中国の3級都市以下の都市および農村を指します。北京や上海のような大都市に比べて人口母数が大きく、消費力の向上やインフラ投資の拡大が進み、中国国内だけでなくグローバル企業からも注目を浴びるようになってきました。
下沈市場では大都市に比べて消費者が自由に使えるお金が多く、欲しいと思ったものはそのまま購入に至りやすいという消費者意識が明らかにされています。

参考記事:マナミナ「中国人口の7割を占める「下沈(かしん)市場」。消費者の生活と購入実態とは|ウェビナーレポート」

家電購入はオンライン優勢

続いて、炊飯器だけでなく家電一般に範囲を広げて調査をおこないました。
マルチアンサーで、直近1年間にどこで家電を購入したのかという設問に対し、オンライン購入が85%、オフライン購入が69.3%という結果になりました。

図表5 家電購入チャネルと選定理由

日本ブランドが売れやすいECとは

ブランドごとに、オンライン・オフライン含めて購入チャネルを調査したところ、日本ブランドは国美オンライン、PinduoduoといったECでよく購入されていることが分かりました。国美Onlineは家電小売企業の「国美電機」が運営しており、日本のビックカメラと提携するなど、家電領域に強いサイトと言えます。PinduoduoはPanasonicなどの日本企業も公式旗艦店を開設しているECサイトで、ここでしか販売されない商品もあるそうです。

図表6 ブランド別家電購入チャネル

調査概要

インターネットリサーチにて、2021年12月13日~12月20日にアンケート調査を実施。
対象は、直近1年以内に指定したブランドの500元以上の炊飯器を購入した中国人400人。
指定ブランド:SUPOR、Midea、Joyoung、MI、Panasonic、ZO JIRUSHI、TIGER、TOSHIBA購入者の各50人

ホワイトペーパーダウンロード【無料】|中国人の家電購入と家電クラスター調査レポート

上記に掲載した以外にも調査結果をまとめたレポートがございます。
資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


Panasonic「ラムダッシュ パームイン」ヒットに見る電気シェーバー市場の可能性

Panasonic「ラムダッシュ パームイン」ヒットに見る電気シェーバー市場の可能性

電気シェーバーは男性のヒゲ剃り用途を中心とした家電でしたが、近年さまざまなニーズに対応するグルーミング製品へと広がりを見せています。今回は、検索データなどをもとに電気シェーバー市場の今後の可能性を考察します。シェーバー関連検索者の検索キーワードや流入サイト、属性を分析し、市場の展開を探りました。


【無料レポート】タイ消費者のリアル〜美容家電・住宅設備・家具編

【無料レポート】タイ消費者のリアル〜美容家電・住宅設備・家具編

成⻑を続けるタイの消費市場。しかし、⽇本から⾒えるのはマクロ統計や店頭の⾵景までで、消費者が家の中で実際に何を使い、何にこだわって暮らしているかは⾒えにくいのが実情です 。本レポートでは、美容家電・キッチン・家具の3 領域にフォーカスし、2 つのアンケートと投稿写真の分析により、タイの暮らしの実態を調査しました。※本レポートは記事のフォームから無料でダウンロードできます。


【無料レポート】ヨーグルト購買層「4タイプ」徹底解剖〜WEB行動・意識・購買の3視点でニーズを捉える〜

【無料レポート】ヨーグルト購買層「4タイプ」徹底解剖〜WEB行動・意識・購買の3視点でニーズを捉える〜

新商品開発・新市場参入には色々な悩みがつきものです。アンケート調査を実施しても、購買実態が不透明、新商品の受容性も判断しきれないなど、詰めきれない問題もあるかと思います。そこで本レポートで提案するのが、「WEB行動・意識・購買の3視点」を活用し、どのようにして市場理解をしていけるのか、現状の既発商品のセグメントで相性の良いターゲットはどこかを明らかにするという調査手法です。新商品開発関連担当者様・マーケティング担当者様向け必見のレポートとなっています。※本レポートは記事のフォームから無料でダウンロードできます。


【無料レポート】2026年 ペット保険市場調査 ~加入・未加入者の実態と、アプローチすべき潜在層とは~

【無料レポート】2026年 ペット保険市場調査 ~加入・未加入者の実態と、アプローチすべき潜在層とは~

日本におけるペット飼育数は15歳未満の子どもの数を上回っていると言われる現代。また、そのペット需要の増加に伴いペットの家族化も進んでおり、ペット保険もその存在感を高めています。しかし実際の保険加入者数がペット飼育者全体の約20%にとどまっている実情を見ると、ペット保険市場は伸び代が大きい市場と言えそうです。本レポートは、新規顧客獲得に乗り出す必要がある企業・ご担当者様向けに、アンケート×行動ログという2つの手法を用いることで、意識面と無意識面両方から高い解像度のペルソナや施策案を描ける実例をご紹介しています。※本レポートは記事のフォームから無料でダウンロードできます。


【無料レポート】デンタルフロスを習慣化したきっかけは「神社参拝」「ペット」「整体」?Web行動ログから探る12のCEPと人物像

【無料レポート】デンタルフロスを習慣化したきっかけは「神社参拝」「ペット」「整体」?Web行動ログから探る12のCEPと人物像

デンタルフロスを習慣化した人は、その直前にどんなWebページを見ていたのか ——「健康意識が高まったから」「歯医者で勧められたから」。新しい習慣のきっかけを尋ねると、こうした"もっともらしい理由"が返ってきますが、本当のきっかけは本人すら自覚していないのかもしれません。 ヴァリューズでは、デンタルフロスを習慣化した人のWeb行動ログを分析し、「カテゴリーエントリーポイント(CEP)」として考えられる興味・行動を導き出しました。浮かび上がってきたのは「神社参拝」「ペットの飼育」「整体通い」など、一見無関係に見える12のCEP。その一部をご紹介します。※本レポートは記事のフォームから無料でダウンロードできます。


最新の投稿


対象や課題が曖昧なまま制作を始めたBtoBマーケターは97.3%、営業と顧客像を共同作成・更新できているのは24.3%【IDEATECH調査】

対象や課題が曖昧なまま制作を始めたBtoBマーケターは97.3%、営業と顧客像を共同作成・更新できているのは24.3%【IDEATECH調査】

株式会社IDEATECHは、株式会社Bizibl Technologiesと共同で、BtoB事業を展開する企業のマーケティング担当者かつ自社の見込み客向けコンテンツ制作に関与し、社内に営業部門が存在する方を対象に、BtoBコンテンツ企画における顧客理解状況における実態調査を実施し、結果を公開しました。


デジタルガレージとDGビジネステクノロジー、エージェンティックコマース最適化を実現する統合プラットフォーム「DG Agentic One™」を提供開始

デジタルガレージとDGビジネステクノロジー、エージェンティックコマース最適化を実現する統合プラットフォーム「DG Agentic One™」を提供開始

株式会社デジタルガレージと、その子会社の株式会社DGビジネステクノロジーは、生成AIの急速な普及に伴う購買プロセスの構造変化に対応し、エージェンティックコマース最適化トータルソリューション「DG Agentic One™」の提供を開始することを発表しました。


エビデンスを巡って ~これからの活用法

エビデンスを巡って ~これからの活用法

エビデンスとは、主張や判断を裏付ける「根拠」・「証拠」の意味であり、特に科学的あるいは客観的な裏付けデータに基づく根拠を示す際に使用される言葉ですが、現在では行政の政策立案からビジネスまで広く不可欠なものとなり、マーケティングにおいても同様と言えます。しかし、顧客データに基づくエビデンスに重きを置きすぎ、数字の鵜呑みや分析自体の「目的化」に陥るといったリスクも潜んでいます。このエビデンスの活用法について、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が解説します。


伊藤忠商事ら、「TV×リテールメディア」領域における戦略的協業を開始

伊藤忠商事ら、「TV×リテールメディア」領域における戦略的協業を開始

伊藤忠商事株式会社、日本テレビ放送網株式会社、株式会社データ・ワンの3社は、「テレビ×リテールメディア×デジタル」領域における協業基本合意書を締結。3社は今後、テレビCMの視聴データ、リアル店舗の購買データ、デジタル広告の配信・接触データを活用し、広告の購買効果を横断的に分析できる統合型広告ソリューションの展開を開始することを発表しました。


Shopify、2026年7月の国内販売動向を発表

Shopify、2026年7月の国内販売動向を発表

Shopify Japan株式会社は、日本国内のShopify事業者の販売データを集計し、2026年7月の販売動向を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ