スマート家電は生活の質を向上させる?中国におけるスマート家電の利用実態を調査

スマート家電は生活の質を向上させる?中国におけるスマート家電の利用実態を調査

近年のデジタル化や購入支援政策も相まって、中国国内でスマート家電が広く普及し始めました。スマート化によって利便性や機能性が向上すると謳われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?ヴァリューズ独自の中国定性調査サービス「ValueQIC(ヴァリュークイック)」を用いて、ユーザーの本音を明らかにしました。


世界中で成長が見込まれるスマート家電市場

スマート家電とは、インターネットやAIの技術が搭載されている家電を指します。遠隔で家電を操作できたり、家電が自動で動くことによって、生活の利便性が向上することが期待されています。

Mordor Intelligenceが行った予測によれば、世界全体のスマート家電市場は2024年の約350億ドルから、毎年9%近く成長していき、2029年には536億ドルにまで達すると示されています。スマート家電は機能面・ビジネス面において大きな可能性を秘めています。

スマート家電の市場規模

スマート家電が身近な中国

そんなスマート家電ですが、実はその普及が最も進んでいるのは中国です。リビングテック協会・RoomClip・スタティスタ・ジャパンの3社が行った調査によると中国のスマートホーム・スマート家電所有率は、92%と世界を代表する数値であり、欧州で最も普及率の高いノルウェーをはじめ、日本にも大きな差をつけていることが示されています。

各国のスマートホーム・スマート家電所有率
※リビングテック協会・RoomClip・スタティスタ・ジャパンの3社が行った調査より

このように、世界中で注目を集めているスマート家電は、中国が先導しています。

そこで、今回は中国定性調査サービス「ValueQIC(ヴァリュークイック)」を用いて、中国で実際にスマート家電を所有・利用している方々の実情を調査しました。

調査概要

調査概要

中国では大型スマート家電の普及率が高い

まずは、自宅で所有しているスマート家電の種類を調べました(複数回答)。

自宅で所有しているスマート家電の種類

自宅で所有しているスマート家電の種類

上のグラフを見ると、普及率が一番高い群は、「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」といった大型の耐久消費財であることがわかります。ユーザーは長く使うものからスマート化させていく傾向があるのかもしれません。

掃除ロボット・ドアロック・スピーカー・食器洗い器は普及率に対して満足度が高い

続いて、生活の質を効果的に向上させたスマート家電について調べました。(複数回答)下の表は、それらの家電のうち回答の多かった10つを示しています。

生活の質を効果的に向上させたスマート家電

生活の質を効果的に向上させたスマート家電

上の表を見ると、所有割合は中位ぐらいであった掃除ロボットの満足度が高くなっていることが分かります。他にも、ドアロックやスピーカー、食器洗いが普及率の割に満足度が高くなっています。

キーワードは「負担の軽減」「時間の節約」「心配事の解消」

先ほどの「生活の質を効果的に向上させたスマート家電」について、その理由も聞いてみました。(自由回答)

「生活の質を効果的に向上させたスマート家電」とその理由

調査の結果、ほとんどの人がスマート家電によって利便性が向上した旨を回答しており、特に多かったキーワードとして、「負担の軽減」「時間の節約」「心配事の解消」が挙げられました。スマート家電によって生活の質は確実に向上しているようです。

中国のスマート家電市場は今後さらに拡大か

最後に、「現在関心を持つ」または「購入の予定がある」スマート家電について質問しました。(複数回答)

「現在関心を持つ」または「購入の予定がある」スマート家電

「現在関心を持つ」または「購入の予定がある」スマート家電

グラフを見ると、普及率の低かった家電(プロジェクター・カーテン・空気清浄機・加湿器)や満足度の高かった家電(食器洗い器・掃除ロボット)が上位にランクインしており、スマート家電のユーザーは他のスマート家電に対する関心や購入意欲が高いことがわかります。このことからも、中国のスマート家電市場は今後もっと拡大していくのではないでしょうか。

まとめ

今回は、中国定性調査サービスの百路QICを用いて、中国におけるスマート家電ユーザーの実情を調査しました。その結果、以下のような特徴が見られました。


・すでに普及しているのは大型のスマート家電
・スマート家電によって「負担の軽減」・「時間の節約」・「心配事の解消」が実現した
・今後もスマート家電への関心・購入意欲は高い

スマート家電をはじめとするIOT技術は、まだまだ発展の余地を残しており、これからさらに生活が便利になっていくことが予測されます。中国だけでなく、日本や世界各国の動向からも目が離せません。

※2025年2月、お手元で簡単に中国市場トレンドの調査設計から分析までできるWeb定性調査ツール「ValueQIC」を新たにリリースいたしました。 いつでも必要な時にWeb上で、最短1週間で中国市場トレンドの調査が可能です。ご依頼の際には、AIが質問文や選択肢を補完し、現地語に精度高く翻訳します。詳しくは下記をご確認ください。

ValueQIC|お手元で簡単に調査設計から分析までできるWeb調査ツール|株式会社ヴァリューズ

https://www.valuesccg.com/valueqic/

ValueQICはお手元で簡単に調査設計から分析までできるサブスクリプション型のWeb調査ツールです

この記事のライター

2025年4月に入社予定の大学4年生です。大学では、経済学部で計量経済学を学んでいます。

関連する投稿


奥深いハイキングの世界に中国の若者が夢中

奥深いハイキングの世界に中国の若者が夢中

近年、中国の若者の間で流行している「ハイキング」。世界の中でも中国は広大な山地と壮麗な景色を擁するのが特徴で、ちょっとした散歩からハードな登山まで各種のハイキングやハイキング旅行の体験が楽しまれています。さらに、ハイキングの人気に伴って関連市場も成長しており、市場においては有名ブランドが各種の高性能製品を提供しています。この記事では、ハイキングの魅力や楽しみ方のほか、アウトドア市場のトレンドを紹介します。


新中華スタイル「お茶ビール」が人気急上昇

新中華スタイル「お茶ビール」が人気急上昇

中国で人気が高まっている「新中華スタイル茶ビール」をご紹介。お茶の香りとビールの爽快感を融合させたこの飲料は、「ほろ酔い」を楽しむ若者たちの間で支持を集めており、節度ある飲酒と社交的な楽しみを両立させる洗練されたライフスタイルの象徴となっています。本記事では、中国のお茶系飲料市場の急成長や、お茶ビール市場への新規参入が相次ぐ中で、各ブランド間の商標競争が激化している現状についても解説しました。


中国におけるキャラクターコンテンツ愛好者実態調査

中国におけるキャラクターコンテンツ愛好者実態調査

中国国内でも盛況なキャラクターコンテンツ市場。本資料では、どのようなキャラクターコンテンツが好まれているのか、派生商品やイベントなどの人気動向などにも注目し、中国におけるキャラクターコンテンツ愛好者の実態について行った定量・定性調査の結果をまとめました。 グッズの購入実態やコラボ商品・イベントへの意向なども聴取したことで、中国人キャラクターコンテンツ愛好者において受容度が高いコラボ施策も把握可能となっています。<br>※本資料は記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


エアコン購入の検討フローを分析。データが示す、重要な"媒体"とは

エアコン購入の検討フローを分析。データが示す、重要な"媒体"とは

購入検討のピークが近づくエアコン。夏には欠かせないアイテムですが、消費者はどのような流れで、何を軸に検討を進めているのでしょうか。エアコン検討者の行動データから、情報収集の実態を調査しました。


健康元年、中国社会はどこへ向かう? 「体重管理年」から見るフィットネスと健康食品市場

健康元年、中国社会はどこへ向かう? 「体重管理年」から見るフィットネスと健康食品市場

2024年、中国政府は「体重管理年」と銘打った3年間の国家プロジェクトを始動。「ダイエット」「低糖質」「ヘルシーライフ」などのキーワードが、SNSでも頻繁に取り上げられ、若者を中心に関心が高まり、静かな「健康ブーム」が巻き起こっています。そんな中国における健康意識の高まりと、それに伴うフィットネス、および健康食品市場の成長について考察しました。


最新の投稿


BtoB企業のデジマ課題は受注までの導線設計や顧客理解の不足、BtoC企業では複数チャネルを運用する難しさ【ナイル調査】

BtoB企業のデジマ課題は受注までの導線設計や顧客理解の不足、BtoC企業では複数チャネルを運用する難しさ【ナイル調査】

ナイル株式会社は、企業のデジタルマーケティング従事者541名を対象に、BtoB企業・BtoC企業それぞれが抱えているマーケティング課題に関するアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


企業のマーケティング担当者が考える2025年夏商戦のマーケティング施策成功のポイントの1位は「物価高騰や生活防衛意識の高まりを踏まえた価格・価値設計」【レイクルー調査】

企業のマーケティング担当者が考える2025年夏商戦のマーケティング施策成功のポイントの1位は「物価高騰や生活防衛意識の高まりを踏まえた価格・価値設計」【レイクルー調査】

株式会社レイクルーは、企業のマーケティング担当者を対象に「2025年夏商戦におけるマーケティング活動」に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


BtoBマーケ担当者の95.8%が生成AIによるコンテンツ制作で効果を実感!一方で「ブランドトーンとの不一致」など品質管理に課題も【IDEATECH調査】

BtoBマーケ担当者の95.8%が生成AIによるコンテンツ制作で効果を実感!一方で「ブランドトーンとの不一致」など品質管理に課題も【IDEATECH調査】

株式会社IDEATECHは、BtoB企業においてコンテンツ制作に関わっているBtoBマーケティング責任者・担当者を対象に、AIを活用したコンテンツ制作の実態調査を実施し、結果を公開しました。


奥深いハイキングの世界に中国の若者が夢中

奥深いハイキングの世界に中国の若者が夢中

近年、中国の若者の間で流行している「ハイキング」。世界の中でも中国は広大な山地と壮麗な景色を擁するのが特徴で、ちょっとした散歩からハードな登山まで各種のハイキングやハイキング旅行の体験が楽しまれています。さらに、ハイキングの人気に伴って関連市場も成長しており、市場においては有名ブランドが各種の高性能製品を提供しています。この記事では、ハイキングの魅力や楽しみ方のほか、アウトドア市場のトレンドを紹介します。


自己効力感 ~ サービス・マーケティングへの応用

自己効力感 ~ サービス・マーケティングへの応用

比較的よく聞く言葉として「自己肯定力」がありますが、「自己効力感」とは一体何を意味するかご存知でしょうか。行動に直結するモチベーションを生み出し、それに伴う行動に変化をもたらす先行要因とも称される「自己効力感」は、マーケティングの世界でもサービス・マーケティングという概念と密接に関係しているようです。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、「自己効力感」の詳細な意味をはじめ、そのメリット、サービス・マーケティングとの繋がりまでを解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ