中国人は「サステナブル消費」意識が高い? | ホワイトペーパー

中国人は「サステナブル消費」意識が高い? | ホワイトペーパー

近年「環境保護」の観点から、「エシカル消費」「サステナブル消費」は新しい消費スタイルとして注目されています。調査によると、中国の消費者は「サステナブル消費」に強い関心を持っているとされていますが、実際のところどうなのでしょうか? 本レポートでは、中国の消費者の環境保護に対する意識とその背景を考察し、環境に配慮したコンセプトで、中国市場において成功を収めている企業の事例を紹介します。


ソーシャルメディアで大きな注目を集める「環境保護」

まず、実際に中国人が環境保護に関心を持っているかどうか検証するため、TikTokとWeibo上で調査しました。
2022年2月の時点で、TikTokで #環境保護#のタグが付いている動画の再生回数は60.3億回に達しました。2021年12月のTikTokの月間アクティブユーザー数は6.5億人であったことからも、多くの人にとって関心の高いテーマであることがわかります。またWeiboにおいて、#一緒に地球環境を守ろう#、#毎日環境のための一つのこと#というトピックは、それぞれ3.4億1.2億の閲覧数を獲得しました。
中国のソーシャルメディアにおいて、現地生活者が気にかけている内容から、環境保護の実践に熱心な中国人が多いことが伺えました。

図表1 ソーシャルメディア

図表1 ソーシャルメディア

<TikTokとは>
バイトダンス社(ByteDance)が2016年9月にリリースした。中国で「ドウイン」と呼ばれる。ユーザーはショットムービー、個人チャット、グループチャットなどのSNSとしての利用や、ショッピング機能を利用できる。
<Weiboとは>
新浪公司(SINA Corporation)が2009年8月にリリースした。中国では「ウェイボー」と呼ばれる。2021年時点で全世界8億人以上のユーザーを抱える中華圏最大のソーシャルメディアである。ユーザーは画像投稿、個人チャット、グループチャット、ストーリーなどの機能を利用できる。

食べ残しに対するペナルティなど、CO2排出ゼロに向けた取り組み

2020年9月、習近平氏は「2060年までに中国の二酸化炭素ネット排出量ゼロ」と宣言しました。その後、中国政府と中国の各業界の企業は、環境保護のための施策を多数講じています。

図表2 中国政府の環境保護施策①

図表2 中国政府の環境保護施策①

電気自動車を例に挙げると、消費者は購入時に税制優遇措置と補助金を受けることができます。また食品業界では、過剰な注文をして食べ残した客に対して、飲食店側が処分費用を請求できます。

中国政府の二酸化炭素排出量ゼロを実現するための施策は、消費者の環境配慮型商品の購入を促し、国民の環境保護への関心を高めていると考えられます。

図表3 中国政府の環境保護施策②

図表3 中国政府の環境保護施策②

「ダブルイレブン」の機会も活用。中国ECの取り組み

さらに、中国の大手オンラインショッピングプラットフォームTmallやJingdongは、中国政府の呼びかけに応え、保護政策も積極的に推進しています。

2021年のダブルイレブンでは、TmallやJingdongはグリーン製品を助成するだけでなく、梱包からリサイクルまで、物流のあらゆるフェーズでグリーン化を推進させました。例えば、Jingdongは1億5,000万点以上のグリーン商品を消費者に提供。有機純乳、スマートトイレ、節水洗浄機などのグリーン・ローカーボン商品が人気を博しました。

図表4 Jingdong(京東)・2021年ダブルイレブン

図表4 Jingdong(京東)・2021年ダブルイレブン

<ダブルイレブンとは>
毎年11月11日に行われる中国最大のECイベントです。もともとは11月11日の独身の日(シングルデー)を祝うイベントでしたが、独身者向けのパーティーやイベントの中でプレゼントを贈り合うことに目をつけたアリババがダブルイレブンに合わせたイベントを実施したことで、近年ではアリババやタオバオをはじめとする一大ECセールイベントとなりました。

W11(ダブルイレブン)だけじゃない!中国のECセールまとめ。日本との違いは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1422

中国のECセールと聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?多くの人が毎年11月11日に行われている「独身の日(シングルデー)」を祝うイベント、「W11(ダブルイレブン)」と答えるのではないかと思いますが、実は中国のECセールはW11だけではありません。今回は、1年を通して盛り上がる中国ECセールについてご紹介します。

環境マーケティングを活用した成功事例

また、環境保護というコンセプトを自社の販売戦略として推進し、中国市場で成功している企業も多くあります。
本レポートでは、パーソナル、食品・飲料、アパレル業界の企業の事例をまとめました。その中から、ここでは食品業界の事例として、三顿半(Saturnbird)の取り組みをご紹介します。

三顿半(Saturnbird)は中国の新進気鋭のインスタントコーヒーブランドです。コーヒー缶にリサイクル可能な素材を使用していることも、このブランドの特徴の一つです。

図表5 三顿半(Saturnbird)

図表5 三顿半(Saturnbird)

2019年から三顿半(Saturnbird)は年に2回の「リターンプログラム」を実施しています。消費者はWeChatアプリで、空き缶を三顿半の商品と交換できます。2020年には約2万人がキャンペーンに参加し、140万個の空き缶が提供されました。

図表6 三顿半(Saturnbird)

図表6 三顿半(Saturnbird)

まとめ

中国では近年、政府や企業が様々な環境保護対策を推進しており、ソーシャルメディアを見ると、消費者の環境保護への関心も高まっていることがわかりました。多くの中国企業やブランドが、環境保護の概念を取り入れた商品を発売し、SDGs関連のマーケティング活動は一定の成果を上げています。

日本企業が進化し続ける中国市場で成功するためには、市場の最新トレンドや消費者のサステナブル消費の意識をトラッキングし続けることが重要でしょう。

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