2023年春節。ゼロコロナ政策明けの、中国の新たな消費スタイルとは?

2023年春節。ゼロコロナ政策明けの、中国の新たな消費スタイルとは?

2023年、中国人は3年間ぶりにコロナ政策に別れを告げ、移動規制がない春節を迎えました。実家に戻って春節を祝う人が増え、観光客数は3年ぶりにピークに達しました。このように人々の生活に大きな変化が生まれた春節ですが、消費にはどのような変化が起こっているのでしょうか。本記事は2023年、中国の春節の消費トレンドを紹介します。


調理済み食品は依然として人気

調理済み食品とは、1つまたは複数の農産物を原材料とし、標準化された製造工程により、下処理(刻む、混ぜる、漬ける、こねる、形作る、味付けするなど)または前調理(炒める、揚げる、焼く、煮る、蒸すなど)を行い、あらかじめ容器包装した調理・半調理品のことです。
春節の連休期間、外食規制がなくなったことを背景に、中国の主要飲食店の売上は昨年より6.8%増加しましたが、一方、中国の調理済み食品の売上も持続的な増加を見せました。アイメディアリサーチによると、2023年の春節期間、中国の調理済み食品の売上は約1307億5300万人民元(約2兆55億円)で、昨年同期より約43.6%増加し、主要販売地域は華東地区、華南地区、華北地区、全国大中都市に集中しました。その中で広東省全体の消費量は中国市場の10分の1、約128億7500万人民元(約2517億円)を占めています。

アイメディアリサーチ|2023年中国春節調理済み食品消費者行為報告書
iimedia.cnの記事をもとに、ヴァリューズが翻訳

一方、調理済み食品は新年会の料理として消費されているだけでなく、親戚や友人への春節の贈り物用としても脚光を浴びています。調査によると、調理済み食品のなかで、肉料理が最も消費者に好まれており、新春の贈り物の人気商品にもなっています。地域ごとに食文化の違いはありますが、中国の家庭では食の豊かさが追求されています。そのため、贅沢な肉料理や高価な食材を使った調理済み食品が人気を集めています。

アイメディアリサーチ|2023年中国春節調理済み食品消費者行為報告書
iimedia.cnの記事をもとに、ヴァリューズが翻訳

旅行需要が生むペットシッターブーム

近年、ペット経済は急速に発展しており、『2019年中国ペット業界白書』によると、2019年、中国のペット消費市場規模は2024億人民元(約3兆9,569億円)に達しました。2024年、中国では4億4550万人がペットを飼い、市場規模は4495億人民元(約8兆7,877億円)に達すると予想されます。したがって、現在中国ではペットをめぐって様々な消費ニーズが生じています。
今年コロナ規制がない春節を迎え、多くの中国人が3年ぶりに実家に帰り春節を過ごすことができる一方で、自宅で飼っているペットは誰が世話するのかという難題に直面しています。中国の一部の大都市ではペットシッターの予約が増え、ここ数年間の最高水準に達しました。
WeChatアプリ内のペットシッターサービスも、2023年の春節期間に猫に餌を与えるサービスの予約が殺到しました。関係者によると、春節連休前に全国的に数千件のペット飼育サービスが予約されています。

出典:WeChatアプリにおけるあるペットシッターサービス 筆者自作
アクセス日:2023年2月7日

しかし、今年の春節の訪問ペットシッターが人気を集めたのは、この3年間ずっと続いていたコロナ規制がなくなり、ようやく春節の連休を迎えられたことによる帰省や旅行客の大幅増加が原因にあります。なるべく早く帰省しようとした人々によって、春節の連休が始まる前にペットシッターのニーズが相次いだのだと考えられます。したがって、このような異例の消費現象が今後も続くかどうかはまだ断言できないでしょう。

若者をメインに、サプリメントがヒット

近年、健康養生の理念が中国人の生活に深く影響しています。中国人たちは老若男女を問わず、健康への関心が大きくなってきました。特に新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、中国人は栄養食品やサプリメントに対する関心が強まりました。
今年の春節期間、各種のサプリメントは贈り物としての人気が高まりました。データによると、現在、中国の健康養生市場規模はすでに1兆元を超えており、都市在住者は年平均1000元以上を健康養生に使っています。その中で、18歳~35歳の若年層が占める割合は83.7%に達しています。中国の若者層は健康食品の主要消費者になっていると言えます。

市販のサプリメント

春節の連休を迎え、各種健康食品が飛ぶように売れている中で、代表的なプロバイオティクスなどの販売量が40%増加しました。若者の養生に欠かせないクコも人気を集めており、唯品会によると、95年以降生まれの若者のクコの購入は昨年の春節より2倍以上増えました。また、アリババのデータによると、春節の一ヶ月前に免疫力を高めるビタミンCの売上が前年同期比で900%増加し、心臓の健康を維持する補酵素Q10カプセルは720%増加し、輸入プロバイオティクス、深海高純度魚油なども3桁の増加を遂げました。

総じて見ると、健康養生の観念の普及によって健康食品、美容食品がここ数年、さらには今後数十年以内に中国で最も人気のある商品の一つになると予想されています。

観光業は一気に回復

2023年の春節の連休では、中国国内の観光市場も大幅に回復しました。データによると、2023年、春節の連休期間における中国国内の旅行者数は3億800万人で、前年同期比で23.1%増加しました。

2023年中国春節連休旅行市場データ分析
記事をもとに、ヴァリューズが作成

マーファンウォー(中国最大級の旅行サイトの1つ)のデータ報告書によると、2023年、春節の連休の旅行地として人気を集めた都市のトップ5は北京、西双版納、三亜、広州、成都でした。
その中で中国のSNSで今年最も話題になっている観光地は三亜市です。三亜市は海南島の最南端に位置する都市です。
携程(中国最大級の旅行サイトの1つ)アプリによると、1月3日時点で、三亜ホテルのシングルルームの価格は最も高くて20万人民元(約387万円)以上でした。にもかかわらず、三亜市のホテルの部屋は春節期間中ネットで常に売り切れていました。三亜市が発表した旅行データによると、春節連休期間、三亜市は観光客161.29万人を記録し、旅行収入は48.68億元に達しました。三亜市の免税ショッピングも観光客に好まれて、春節期間に三亜市の4つの離島免税店の総売上は17.23億人民元に達し、2019年春節の連休前の7日より258%増加しました。海外旅行は以前制限されているため、三亜市の免税店及び国際化が人気を集めた原因だと考えられます。

三亜 免税店

まとめ

中国人は3年間続けられたゼロコロナ政策に別れを告げ、今年の春節で消費拡大の兆しを見せました。中国社会は現在消費アップグレードの段階にあり、人々は以前より心身の健康を重視し、健康食品を購入したり旅行に出かけたりすることを好んでいます。また、一人暮らしの若者たちは孤独感を解消するための様々なニーズを生んでいます。国境を完全に開放した後、中国人は海外旅行でコロナ時代前より更に強い消費力を示すでしょう。

■参考資料

艾媒咨询|2023年中国春节预制菜消费者行为监测报告
http://k.sina.com.cn/article_1850460740_6e4bca4401900zzop.html#/
春节临近,济南宠物上门喂养迎来预定高峰!宠物经济正升温
https://cj.sina.com.cn/articles/view/2011075080/77de9208020019shv
春节期间 线上养生保健品“走俏” 同比去年同期增2倍多
https://finance.sina.com.cn/jjxw/2023-01-28/doc-imyctzhe3485204.shtml
春节礼品消费回暖 中老年奶粉、燕窝等 健康产品热销
https://www.sohu.com/a/632635066_114986
2023年中国春节假期旅游市场数据分析
https://www.163.com/dy/article/HSLI8NK0051481OF.html
三亚新春旅游迎来各项数据新高  
https://new.qq.com/rain/a/20230202A04JER00.html

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

関連するキーワード


中国トレンド調査 中国市場

関連する投稿


「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

変わりゆく中国の高齢化の現状やシニア層の価値観・ライフスタイル。その変化を体系的に紹介するとともに、従来の医療・保障を中心とした「防老」(老後の備え)から、自我実現や社会参加を目的とした「享老」(老後の享受)へとシフトする消費心理および市場動向について解説。中国市場参入を計画する日本企業にとって、参考となる中国シニア市場の今をまとめました。


中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の社会人の若者の間で、「人糧」と呼ばれる食事が今、人気を集めています。「ドッグフードの人間版」のような自虐的なニュアンスの名前を持ちながら、忙しい彼らにとって生活の助けになっています。本稿では、この人糧の特徴や魅力について紹介します。


中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

2026年、中国の自動車市場は歴史的なターニングポイントを迎えました。2026年7月のデータによると、新車と中古車の取引比率が初めて1:1に達しました。この構造的変化の背景にはどのような要因が隠されているのでしょうか。そして、この変化は業界エコシステムの再構築にどのような可能性をもたらすのでしょうか。さらに、中国の中古車市場が直面する新たな機会、課題、そして取り組むべきテーマとは何なのか、この全く新しい領域についてレポートをします。


中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国では、冷蔵牛乳やチーズ、バターなどはもちろん、日本では馴染みのない、常温保存が可能で半年以上鮮度を保つロングライフの牛乳やヨーグルトも親しまれています。基礎的な栄養補給が目的だった乳製品は、消費者のニーズに伴ってより高い付加価値が求められるようになりました。この記事では、現在の中国乳製品市場のトレンドを紹介します。


中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

近年、中国の抹茶人気が高まっています。抹茶飲料だけでなく、アイス、ジェラート、チョコ、ラテ、お酒など数えきれないほどの抹茶商品が登場しており、「万物皆可抹茶(なんでも抹茶味にできる)」という言葉ができるほどです。この記事では、このような抹茶人気の背景にある要因を紹介します。


最新の投稿


日本直販、ByteDanceと提携 AI広告制作・ライブコマース展開へ

日本直販、ByteDanceと提携 AI広告制作・ライブコマース展開へ

日本直販株式会社は、TikTokなどを展開するByteDance株式会社とグローバルパートナー契約を締結したことを発表しました。TikTok ShopやAIライブコマース、動画生成AI「Seedance」を活用したCM・動画広告制作、クリエイター育成など、4領域での取り組みを検討します。


BtoB記事・資料、8割超が「既知情報中心では読む価値低下」【IDEATECH・Bizibl調査】

BtoB記事・資料、8割超が「既知情報中心では読む価値低下」【IDEATECH・Bizibl調査】

株式会社IDEATECHと株式会社Bizibl Technologiesは、直近6か月以内に勤務先で使う製品・サービスの導入・乗り換え・契約更新の検討に関与し、その検討で自らAIサービスに質問して情報収集を行った会社員・経営者211名を対象に、「AI検索時代の法人購買における情報活用の実態調査」を共同で実施し、結果を発表しました。


「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

変わりゆく中国の高齢化の現状やシニア層の価値観・ライフスタイル。その変化を体系的に紹介するとともに、従来の医療・保障を中心とした「防老」(老後の備え)から、自我実現や社会参加を目的とした「享老」(老後の享受)へとシフトする消費心理および市場動向について解説。中国市場参入を計画する日本企業にとって、参考となる中国シニア市場の今をまとめました。


AI検索対策、9割超が実施 課題は効果測定【GMO NIKKO調査】

AI検索対策、9割超が実施 課題は効果測定【GMO NIKKO調査】

GMO NIKKO株式会社は、企業のマーケティング・広報・Web領域の担当者および責任者1,003名を対象に、「AI検索時代における企業のAIO/LLMO対応の実態と課題」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


欲しい商品でも約6割が「悪い口コミ」を確認【システムリサーチ調査】

欲しい商品でも約6割が「悪い口コミ」を確認【システムリサーチ調査】

株式会社システムリサーチが運営する「創作品モールあるる」は、全国の20歳~59歳の男女250名を対象に「購入前の検索行動」に関するアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ