①英国 モンゾ銀行…ロンドンバスとのタイアップ
「消費者に馴染みのあるものとコラボすることで親しみを持ってもらう」ことはタイアップの基本と言えます。
その中でもユニークなのは、英国のMonzo Bankの行った「ロンドンバスとのタイアップ」です。
画像:Monzo Bank Twitterより
https://twitter.com/MakingMonzo/status/1455157590393040899
ロンドンの象徴でもあり、同社のカードのカラーとも合う二階建てバスをラッピングした他、「Monzo バスをフォトショップで加工し最も優秀な作品を提出した人は、Monzo バスの Twitter アカウントで紹介する」という取り組みも行いました。
こうした取り組みや銀行業務の舞台裏を紹介する同社のTwitterアカウント「Making Monzo」は2万人以上のフォロワーを獲得する等、注目を集めています。
同社は他にもユニークなキャンペーンを多く行っており、参考となる点が多くありそうです。
出典:https://thefinancialbrand.com/news/bank-marketing/13-of-the-most-innovative-bank-marketing-campaigns-in-2022-131977/
②英国 ヴァージンマネー銀行…大人から子どもまで過ごせるラウンジを設立
海外でも銀行の店舗規模は縮小傾向にあり、「支店を保管コンテナのサイズまで縮小している」と評される事もある程です。
その一方で「あなたが今まで見た事のない銀行支店」を掲げオフラインの接点強化に乗り出したのがネット銀行のVirgin Money。
ラウンジ内にはカフェからシアターや子連れ用のボーリング場まで備えられ、Virgin Moneyの顧客はこれらを無料で利用する事ができるそうです。
Virgin Moneyはかなり大規模なラウンジを複数設立しており、顧客のロイヤリティ強化と囲い込みへの同社の強い意思がうかがえます。
出典:https://thefinancialbrand.com/news/banking-branch-transformation/virgin-money-lounge-fun-cool-banking-branch-photos-68483/
③カナダ ホーム エクイティ銀行…映画のイミテーションキャンペーン
消費者の金融リテラシー向上を目的としたキャンペーンでありながら、非常に大きな宣伝効果を上げたのが、カナダのHomeEquity Bankの取り組みです。
同社は人気のハリウッド映画「キャッチミー イフ ユー キャン」のストーリーを元ネタとした「Catch the Scam(詐欺を捕まえろ)」キャンペーンを行いました。
実在の有名な詐欺師で現在はセキュリティの専門家となっている人物を起用。詐欺の電話をかける様子や心理・金融的な背景まで掘り下げて解説する動画を複数本作成し、YouTubeとFacebookで配信しました。
販促予算としては25,000 ドルほどの企画だったにもかかわらず、Catch the Scam はYouTube で 120 万回以上、Facebook で 817,000 回以上閲覧されるなど好評を博したそうです。
④米国 ステップス銀行…10代向けに社会のお得なネタを発信
10代向けの銀行という珍しいポジションを築いているのが、米国のIT企業Steps Mobileの運営するSteps Bankです。
若年層に向けたサービスを提供している他、プロモーションもやはり若年層をターゲットにしている様子がうかがえます。
Steps BankのTikTokアカウントでは、無料のドーナツを入手する方法、格安の映画チケット、車の購入のヒント、マクドナルドのハックなどがショート動画で投稿され、関心を集めています。
画像:Steps BankのTikTokアカウント
40万人以上がフォローし、毎回数百万人が投稿を再生している。
https://www.tiktok.com/@step?_t=8cc6DVOSES1&_r=1
「若者が賢くお金を使う」存在としてSteps Bankを印象付ける事も狙いにあると見られます。
ブランドの狙いたいポジションと、集客施策がうまく結びついていた好例と言えそうです。
出典:https://contentworks.agency/7-banks-winning-at-social-media-in-2022/
⑤タイ タイ生命保険…深いストーリー仕立てのCMシリーズを展開
最後はアジアのタイの例をご紹介します。
タイの生命保険会社Thai Life Insuranceは、ストーリー仕立てのCMで、消費者の興味を引きながら認知を上げる施策で有名です。
その代表が「Unsung Hero」です。
「Unsung Hero」は見返りを期待せずに無私の行為を行う若者を描いた動画で、これまでにYouTubeで1億回以上も再生される等、注目を集めました。
他にも同社は、「沈黙の愛」、「私を忘れないで」、「ゴミ人間」、「シスター」などのユニークな動画シリーズを展開しています。
「沈黙の愛」は、父親が聾唖であるためにいじめられている女子高生の物語で、最終的には父親の「沈黙の」愛の力を強調するストーリーとなっています。
簡単なストーリー仕立ての動画を目にすることは少なくありませんが、シンプルなCMストーリーの範疇に収まらない、愛や命への強いメッセージ性を持った動画は、同社のブランドを浸透させる強い後押しとなっていると思われます。
出典:https://www.ajmarketing.io/post/marketing-in-thailand-learn-from-5-most-successful-campaigns
まとめ
いかがでしたでしょうか。
金融商品・サービスは差別化や商品理解が難しいからこそ、ブランドの機能的な価値の他、情緒的な価値の醸成が重要なのは、日本でも海外でも同様と言えます。
その発想を広げるヒントに今回ご紹介した事例がお役に立てば幸いです。
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京都の大学で長らく中国哲学史を研究。現在は事業会社に対するマーケティング支援を担当。中国・東南アジアを中心にグローバルリサーチにも携わっている。趣味は旅行と文献研究。