日本でも参考にできる! 海外の金融機関のマーケティング・キャンペーン事例5選

日本でも参考にできる! 海外の金融機関のマーケティング・キャンペーン事例5選

金融商品は一般の消費者に商品の内容や自社の特徴を理解してもらうのが、特に難しい領域です。自社のイメージを浸透させる為の広告やキャンペーン企画は重要な反面、差別化に悩まれる事も多いのではないでしょうか。今回は、日本のマーケティングでも参考になりそうな、海外の金融機関の広告やキャンペーンの5つの事例をご紹介します。


①英国 モンゾ銀行…ロンドンバスとのタイアップ

「消費者に馴染みのあるものとコラボすることで親しみを持ってもらう」ことはタイアップの基本と言えます。

その中でもユニークなのは、英国のMonzo Bankの行った「ロンドンバスとのタイアップ」です。

ロンドンの象徴でもあり、同社のカードのカラーとも合う二階建てバスをラッピングした他、「Monzo バスをフォトショップで加工し最も優秀な作品を提出した人は、Monzo バスの Twitter アカウントで紹介する」という取り組みも行いました。

こうした取り組みや銀行業務の舞台裏を紹介する同社のTwitterアカウント「Making Monzo」は2万人以上のフォロワーを獲得する等、注目を集めています。

同社は他にもユニークなキャンペーンを多く行っており、参考となる点が多くありそうです。

出典:https://thefinancialbrand.com/news/bank-marketing/13-of-the-most-innovative-bank-marketing-campaigns-in-2022-131977/

②英国 ヴァージンマネー銀行…大人から子どもまで過ごせるラウンジを設立

海外でも銀行の店舗規模は縮小傾向にあり、「支店を保管コンテナのサイズまで縮小している」と評される事もある程です。

その一方で「あなたが今まで見た事のない銀行支店」を掲げオフラインの接点強化に乗り出したのがネット銀行のVirgin Money。

ラウンジ内にはカフェからシアターや子連れ用のボーリング場まで備えられ、Virgin Moneyの顧客はこれらを無料で利用する事ができるそうです。

Virgin Moneyはかなり大規模なラウンジを複数設立しており、顧客のロイヤリティ強化と囲い込みへの同社の強い意思がうかがえます。

出典:https://thefinancialbrand.com/news/banking-branch-transformation/virgin-money-lounge-fun-cool-banking-branch-photos-68483/

③カナダ ホーム エクイティ銀行…映画のイミテーションキャンペーン

消費者の金融リテラシー向上を目的としたキャンペーンでありながら、非常に大きな宣伝効果を上げたのが、カナダのHomeEquity Bankの取り組みです。

同社は人気のハリウッド映画「キャッチミー イフ ユー キャン」のストーリーを元ネタとした「Catch the Scam(詐欺を捕まえろ)」キャンペーンを行いました。

実在の有名な詐欺師で現在はセキュリティの専門家となっている人物を起用。詐欺の電話をかける様子や心理・金融的な背景まで掘り下げて解説する動画を複数本作成し、YouTubeとFacebookで配信しました。

販促予算としては25,000 ドルほどの企画だったにもかかわらず、Catch the Scam はYouTube で 120 万回以上、Facebook で 817,000 回以上閲覧されるなど好評を博したそうです。

④米国 ステップス銀行…10代向けに社会のお得なネタを発信

10代向けの銀行という珍しいポジションを築いているのが、米国のIT企業Steps Mobileの運営するSteps Bankです。

若年層に向けたサービスを提供している他、プロモーションもやはり若年層をターゲットにしている様子がうかがえます。

Steps BankのTikTokアカウントでは、無料のドーナツを入手する方法、格安の映画チケット、車の購入のヒント、マクドナルドのハックなどがショート動画で投稿され、関心を集めています。

画像:Steps BankのTikTokアカウント
40万人以上がフォローし、毎回数百万人が投稿を再生している。

https://www.tiktok.com/@step?_t=8cc6DVOSES1&_r=1

「若者が賢くお金を使う」存在としてSteps Bankを印象付ける事も狙いにあると見られます。

ブランドの狙いたいポジションと、集客施策がうまく結びついていた好例と言えそうです。

出典:https://contentworks.agency/7-banks-winning-at-social-media-in-2022/

⑤タイ タイ生命保険…深いストーリー仕立てのCMシリーズを展開

最後はアジアのタイの例をご紹介します。

タイの生命保険会社Thai Life Insuranceは、ストーリー仕立てのCMで、消費者の興味を引きながら認知を上げる施策で有名です。

その代表が「Unsung Hero」です。

「Unsung Hero」は見返りを期待せずに無私の行為を行う若者を描いた動画で、これまでにYouTubeで1億回以上も再生される等、注目を集めました。

他にも同社は、「沈黙の愛」、「私を忘れないで」、「ゴミ人間」、「シスター」などのユニークな動画シリーズを展開しています。

「沈黙の愛」は、父親が聾唖であるためにいじめられている女子高生の物語で、最終的には父親の「沈黙の」愛の力を強調するストーリーとなっています。

簡単なストーリー仕立ての動画を目にすることは少なくありませんが、シンプルなCMストーリーの範疇に収まらない、愛や命への強いメッセージ性を持った動画は、同社のブランドを浸透させる強い後押しとなっていると思われます。

出典:https://www.ajmarketing.io/post/marketing-in-thailand-learn-from-5-most-successful-campaigns

まとめ

いかがでしたでしょうか。
金融商品・サービスは差別化や商品理解が難しいからこそ、ブランドの機能的な価値の他、情緒的な価値の醸成が重要なのは、日本でも海外でも同様と言えます。

その発想を広げるヒントに今回ご紹介した事例がお役に立てば幸いです。

ホワイトペーパーダウンロード【無料】|金融業界でのマーケティング事例資料

これまでヴァリューズでは、銀行・保険・損保・ローン等、様々な領域でマーケティングのご支援を行ってきました。この資料では、金融業界各社で行った、調査からプロモーションへの活用までの取組事例をご紹介します。

詳細は以下のフォームより、無料でダウンロードいただけます。

この記事のライター

京都の大学で長らく中国哲学史を研究。現在は事業会社に対するマーケティング支援を担当。中国・東南アジアを中心にグローバルリサーチにも携わっている。趣味は旅行と文献研究。

関連するキーワード


「金融」市場調査 事例

関連する投稿


JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANKの現在地。利用者数・属性をメガバンク等と比較

JRE BANK開始から、1年が経ちました。銀行取引がスマートフォンで完結する利便性はもちろん、JR関連の特典が豊富にあるのも魅力的な銀行です。実際に、どのようなユーザーが利用しているのでしょうか。今回は、JRE BANKのユーザーの属性や、興味関心を分析します。


「家計簿」の検討行動から見るユーザー像。隠れた資産形成ニーズとは

「家計簿」の検討行動から見るユーザー像。隠れた資産形成ニーズとは

近年「老後2,000万円問題」や「物価高」など、お金に関するさまざまな不安が注目を集めています。それに伴い家計を見直す中で、「家計簿」に関心を持つ人も増えているのではないでしょうか。今回は、そんな家計簿関心者の人物像や興味を持つきっかけについて分析します。


新NISA開始1年を振り返る。暴落、厚切りジェイソン、社会保険料が話題に

新NISA開始1年を振り返る。暴落、厚切りジェイソン、社会保険料が話題に

2024年1月から新NISAが始まり、資産形成が重要視される風潮も相まって高い関心を集めました。本稿では、新NISAが開始されてからの1年間をニュースやデータとともに振り返り、新NISAによって人々の関心がどのように移ろいでいったのかを調べていきます。


富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

高ランク帯のクレジットカードのなかでも特に持つ人が限られているというプレミアムなカード、通称"ブラックカード"。ブラックカードを持つことに憧れているという人も多いのではないでしょうか。本記事では、ブラックカードに関心を持つ人々の検索傾向やターゲット層の特徴を深掘りし、どのようなプロモーション施策が効果的かについて考察します。


2025年 暗号資産(仮想通貨)の現状と将来性とは。”決済”が鍵か

2025年 暗号資産(仮想通貨)の現状と将来性とは。”決済”が鍵か

ビットコインが誕生してから15年以上が経過し、暗号資産(仮想通貨)は投資対象だけでなく、実用的な決済手段としても利用されるようになっています。本記事では、暗号資産の「投資対象」としての側面と、「決済手段」としての側面の2つの観点から、その現状と今後の展開について調査します。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ