若者vsシニア、旅行の気になりごととは?

若者vsシニア、旅行の気になりごととは?

2023年5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行したことに伴い、外出自粛などの要請がなくなりました。約3年ぶりに規制なく旅行ができるようになったため、徐々に旅行ムードも戻ってきています。 今回は「観光」というキーワードについて、20代と60代以上の検索行動や気になりごとの違いを分析しました。


20代は女性、60代以上の割合が高め

「観光」検索者について、まずは男女の比率を見ていきます。
なお今回の調査は、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて行っています。

「観光」と検索した20代、60代以上の男女比

「観光」と検索した20代、60代以上の男女比
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

20代は女性の検索者が52.6%と過半数を占めていることがわかります。対して60代以上は男性の割合が61.2%と高くなっています。シニアの方が、積極的に「観光」について検索する男性が多いようです。

20代はサイトでの滞在時間が短く、60代以上の1/2以下

では「観光」で検索して流入したサイトにはどのくらい滞在をしているのでしょうか。

「観光」と検索した20代、60代以上の基本指標

「観光」と検索した20代、60代以上の基本指標
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

20代が平均して58秒しかサイトに滞在していないのに対して、60代以上は平均して2分15秒と倍以上の時間サイトに滞在していることがわかります。60代以上の方が時間をかけて調べる傾向にあるようです。

20代の方がオンラインでの情報収集に慣れているため、サイト上で自分が欲しい情報を見つけたり、情報がないと気づくことが早いことも、滞在時間に差が出ている理由になるかもしれません。

60代以上は、週末に検索する割合が20代と比べ低め

観光について検索する曜日はどの曜日が多いのでしょうか。

「観光」と検索した20代、60代以上が検索した曜日

「観光」と検索した20代、60代以上が検索した曜日
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

20代、60代ともに土日の検索者割合が高くなっていますが、差が出ているのは平日と土日。20代は土日にぐっと割合が高くなっているのと比較して60代以上は上昇が穏やかです。

平日は仕事をしている人が多い20代と比べ、リタイアしている人が多い60代以上は、平日も土日もほぼ関係なく検討が起こると考えられます。

60代以上は日中、若者は夜に検索する傾向

曜日は土日の割合が高くなりましたが、検索する時間帯はどのようになっているのでしょうか。

「観光」と検索した20代、60代以上が検索した時間帯

「観光」と検索した20代、60代以上が検索した時間帯
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

60代以上は9時から17時の日中に検索者の割合が高くなっています。対して20代は20時から急激に割合が増えています。検索時間に関しても曜日と同じように、仕事などの1日の行動パターンが関係していそうです。

また60代以上で12時の割合が低くなっているのは、昼食の時間が影響しているのかもしれません。

広告を出す場合は、こうしたセグメントごとの行動パターンにもとづいて出稿すると効率が良さそうです。

「観光」の気になりごとは?

続いて、「観光」と掛け合わせて検索されたワードを探っていきます。掛け合わせて検索されているワードとは、メインキーワード(観光)と組み合わせて検索されているワードのことで、「観光 〇〇」の〇〇の部分を意味します。

20代は都市部の地域名で検索する傾向

20代は地域名と掛け合わせているキーワードが目立ちます。

20代が検索した「観光」との掛け合わせワード

20代が検索した「観光」との掛け合わせワード
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

地域名の中でも特に大阪、東京、名古屋、福岡をはじめとした、都市部エリアが多くなっています。
3位に「モデルコース」があることから、定番のスポットを観光したい需要もあるようです。

60代以上はモデルコースのニーズが高く、地図や車の検索も

対して60代以上は地域で検索するワードもあるものの、20代ほど多くは上位ランクインしていません。
「おすすめ」「ランキング」がランクインしていることから、観光する場所が決まっている20代とは違い、観光する場所から探すニーズがあるようです。

60代以上が検索した「観光」との掛け合わせワード

60代以上が検索した「観光」との掛け合わせワード
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

注目するのは圧倒的1位の「モデルコース」。2位と比較してユーザー数(検索者数)が約6倍あります。「モデルコース」は20代の掛け合わせワードにもありましたが、60代以上は、20代よりも定番のスポットを観光したいたい人が多いのかもしれません。

また、20代では上位ランクインしなかった7位の「地図」や9位の「車」というワードから、ドライブして回れる場所、という切り口が60代以上には人気であることもうかがえます。

「観光」検索でどのようなサイトに訪問している?

ここからは、「観光」のキーワードで検索をしてどのようなサイトに訪問しているのか見ていきます。
まず、20代、60代以上どちらも上位はホテル予約系のサイトが多いという特徴がありました。

20代の旅行には「テーマ性」が重要?

「観光」で検索した20代が流入した主なページ

「観光」で検索した20代が流入した主なページ
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

20代が訪問するサイトで特徴があったのが、お出かけ情報を発信するキュレーションサイトの「RETRIP」がランクインしていたことです。
キュレーションサイトとはテーマに絞った情報を整理したサイトです。

RETRIPのトップ画面

「関東のおしゃれカフェ」などテーマに沿って観光地やお店などの情報を記事にして発信しています。季節性のあるコンテンツやイベントなどの情報も発信しており、20代は「この地域でおしゃれなカフェならここ」のように、テーマ性のある観光情報を求める傾向にあるのかもしれません。

また、海外や国内のツアーが予約できるサイトの「旅工房」もランクインしていました。コロナ禍でなかなか行くことのできなかった海外に行きたいという需要もあるのかもしれません。

旅工房のトップ画面

60代以上はツアーなど、ある程度決まった旅程を好む傾向

「観光」で検索した60代が流入した主なページ

「観光」で検索した60代が流入した主なページ
調査期間:2022年12月〜2023年5月
デバイス:PC、スマートフォン

60代以上が訪問するサイトで特徴があったのは、グルメやレジャースポットなどお出かけスポットを探すことができるポータルサイトの「Yahoo!ロコ」がランクインしていることです。
ポータルサイトとは情報を集める際に最初に訪問するサイトです。

Yahoo!ロコのトップ画像

観光地やお店を探すという点では、20代でランクインしていた「RETRIP」と同じ目的になるのかもしれませんが、「Yahoo!ロコ」では観光スポットやお店が羅列してある形になります。

60代以上は20代とは少し違い、テーマで絞らずに地域単位でおすすめのスポットを探す傾向があるようです。

クラブツーリズムのトップ画像

また、ツアー予約サイトの「クラブツーリズム」がランクインしていました。クラブツーリズムでは国内旅行のツアーも海外旅行のツアーも予約することができます。

前述の「観光」との掛け合わせワードでも「モデルコース」が1位になっていることから、60代以上はこだわりのテーマに沿って自分たちで計画を組むというよりは、ある程度旅程の決まった観光を好むのかもしれません。

まとめ

今回は「観光」をキーワードに20代、60代以上に分けて旅行の気になりごとを調査しました。

20代にはテーマに沿った観光が好まれている傾向があり、対して60代以上はある程度旅程が決まっているモデルコースやツアーへのニーズが高いことがわかりました。
また、情報収集や検討が起こりやすいタイミングとしては、年代によって曜日や時間が異なるようです。

▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

アメリカ留学中にWebの仕事に出会い、帰国後に起業。自社で物販を行う側、ライターとして活動。アウトドアが趣味

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