最新のウェルネストレンド: 腸の健康(Gut Health)
ハッシュタグ#guttokはTikTokで何億もの視聴回数を記録し、人々が腸内環境を向上させるために役立った方法を共有しています。 「Gut Reset Challenge(腸リセットチャレンジ)」からキュウリと生姜のジュースのレシピまで、「Gut Health」はSNS上のオンラインウェルネスコミュニティの中で、多くの注目を集めています。ロンドン市立大学でシニア社会学講師としてオンラインウェルネス文化を研究しているアリス・ベイカーによると、Gut Healthの人気はトレンディな自己変革コンテンツの例の1つ。腸内環境を整えるサプリメントはAmazonでの売上が88%増加しました。そして、プロバイオティクス(善玉菌)を含むピルは、2020年1月に2700万ドル、11月には5100万ドルの売上を記録しました。
腸や消化に対する意識の高まりは、一般的なウェルネスへの関心の高まり、そして新型コロナウイルスの流行下において、健康の重要性に対する認識が高まったことが影響しています。
過去数十年にわたる加工食品の消費により、過敏性腸症候群を抱える人が増加しています。バイオサイエンス企業Chr. Hansenが16カ国で16,000人の回答者に対して行った2021年の調査(*1)では、75%の人々がプロバイオティクスを知っており、48%がサプリメントまたは食品を通じて毎日またはほぼ毎日プロバイオティクスを摂取していました。また、人々がプロバイオティクスとその健康効果についてさらに学びたいと興味を持っていることもわかりました。
*1 Chr. Hansen survey on consumer understanding of probiotics: https://www.chr-hansen.com/en/food-cultures-and-enzymes/landing-page/probiotics-whitepaper
https://www.chr-hansen.com/en/media/press-releases/2022/2/new-study-of-consumer-understanding-of-probiotics-points-to-significant-opportunities-for-the-food
アメリカ人は、主にプロバイオティクスのサプリメントや製品を通じて、消化器系の健康に関心を持つようになってきています。プロバイオティクスは、ヨーグルト、コンブチャ、ザワークラウトなどの発酵製品に含まれています。興味深いことに、ヨーグルトはアメリカ人にとってプロバイオティクスを摂取する代表格であるにもかかわらず、2015年以降売上が減少しています。これは、健康上の理由から乳製品を避ける人が増えたためかもしれません。一方、2021年第1四半期には、キムチの米国輸入量が前年比80%増と急増しました。コンブチャのような機能性健康食品は10年前にはほとんど知られていませんでしたが、近年爆発的な成長を遂げました。ブライトフィールド・グループの報告書(※2)によると、コンブチャ・カテゴリーの2019年の売上高は100万ドルでしたが、2024年には18億ドルに拡大し、腸内環境に悩むミレニアル世代の20%がコンブチャを飲んでいるといいます。
*2 Brightfield Group wellness consumer insights report:https://blog.brightfieldgroup.com/digestive-gut-health-consumer-insights-2023
最近ではプロバイオティクスに加えて、「プレバイオティクス」の機能性食品が市場に参入し、ウェルネス市場を席巻しています。プレバイオティクスとは食物繊維のことで、プロバイオティクスが活動するために重要な働きをします。有名な商品としては、キャッサバの根、チコリ、根、リンゴ酢などの繊維を加えることで、プレバイオティクス成分を補うプレバイオティクス・ソーダがあります。
出典:
Are Prebiotics Important for Gut Health?
https://www.nytimes.com/2022/10/28/well/eat/prebiotic-supplements-gut-health.html
Consumer interest driving gut health innovation
https://www.foodbusinessnews.net/articles/22915-consumer-interest-driving-gut-health-innovation
Digest This: How Probiotics and Prebiotics Are Changing the Food Business
https://insights.pinto.co/digest-this-how-probiotics-and-prebiotics-are-changing-the-food-business/
The Latest Gut Health Trends in 2023
https://blog.brightfieldgroup.com/digestive-gut-health-consumer-insights-2023
Why Is Gut Health Taking Over TikTok?
https://www.nytimes.com/2022/04/20/well/eat/tiktok-gut-health.html
Tattoo Tourism(タトゥーツーリズム、タトゥーリズム)
Z世代とミレニアル世代を専門とするマーケティング研究機関「YPulse」が2022年に行った調査(*3)によれば、13歳から39歳までのアメリカ人のほぼ半数がタトゥーを入れていることがわかりました。
世界の多くの地域では独自のタトゥー文化があり、その中には何世紀にもわたって存在しているものもあります。しかし地理的な距離や言語の壁、コミュニケーション手段の不足が障壁となり、タトゥーを入れたい人々はよく、地元のタトゥーパーラー(刺青の店)で利用可能なデザインを選ぶ、という方法を採っていました。しかし今やソーシャルメディアやコミュニケーションツールが普及しているため、タトゥーアーティストは自分の作品を公開し、ほぼ全世界の人々に宣伝することができるようになりました。
*3 YPulse Personal Care and Beauty Shopping Report:
https://www.ypulse.com/report/2022/10/05/personal-care-and-beauty-shopping-report-2/#
そのようなタトゥーアーティストが提供するデザインのタトゥーを得る手段は、現地に直接行くこと、すなわち旅行が唯一の選択肢となります。タトゥーを入れることが目的の旅行は、「タトゥーツーリズム」または「タトゥーリズム」と呼ばれます。顧客の多くは、金銭的な面でも柔軟に旅行を変更できる20代と30代、Z世代とミレニアル世代です。お気に入りのタトゥーアーティストの施術を予約し、それに合わせて旅行を計画する人もいれば、休暇中にタトゥーパーラーを見つけ、思いつきでタトゥーを入れるという人もいます。アメリカのテネシー州ナッシュビルにあるタトゥーパーラー「Black 13」を訪れるクライアントの40%は、特定のアーティストによるタトゥーを入れるために旅行しています。別の40%はもともと観光で現地を訪れ、滞在中にタトゥーを入れることを決めた人たちです。
世界的に有名なハリウッド俳優のアンジェリーナ・ジョリーは、タイの仏教僧による伝統的なサクヤン・タトゥー(魔よけの刺青)を入れました。日本においてタトゥーはときおり議論の的となりますが、日本のタトゥーの歴史、芸術、技術はタトゥー愛好家から賞賛され、非常にリスペクトされています。このように世界各国には、タトゥー愛好家を驚嘆させる独自のタトゥー文化とデザインがあります。旅行の目的地で地元の文化的なタトゥーを入れることは、旅行体験として大きく記憶に残るのです。
タトゥーツーリズムの人気を認識している旅行関連の企業は、創造的な形でタトゥーをビジネスに取り入れています。たとえば、アメリカのクルーズ会社「Virgin Voyages」では、クルーズ船内にある「Squid Ink」というタトゥースタジオで、休暇中の旅行客にタトゥーアーティストがタトゥーを施しています。ホテル業界でも顧客を引き寄せるため、世界中から有名なタトゥーアーティストを招き入れています。
出典:
Tattoos becoming hot trip souvenirs or destination draws
https://www.axios.com/2023/07/24/tattoo-tourism-gen-z-millennials
What is tattourism?
https://www.sofi.com/article/money-life/tattourism-economics/
ジェンダーレスファッション
2020年12月、ファッション・ライフスタイル雑誌である「Vogue Magazine」の表紙に、イギリスの歌手・俳優であるハリー・スタイルズが「Gucci」のドレスを着て登場し、世界中で議論を巻き起こしました。有名人だけでなく普通の人々も、男性が女性らしいとされる服を、女性が男性らしいとされる服を着ることでジェンダーレスな服を提唱し、社会で構築されたジェンダーの定義の境界に挑戦しています。多くの人々は、この活動に否定的で、不快に感じています。アメリカでは、保守派と進歩派の間で議論を巻き起こすほどです。
アメリカのシンクタンク「Pew Research Center」の調査(*4)によると、アメリカの30歳以下の大人の5.1%がトランスジェンダーまたはノンバイナリー(男性・女性の枠組みを当てはめない人)として自己識別していると報告されています。ファッションは従来、ジェンダーがバイナリー(男性・女性どちらか)であるという前提のもと、ウィメンズとメンズが存在していました。しかしVogueは、「ファッションは自己表現の形態であり、人はどちらのジェンダーカテゴリーでもよい、自由な服に身を包むべきだ」と考えています。言い換えれば、なぜ男性はヒールやスカートを履けないのか? 女性はなぜメンズのズボンをはけないのか?ということです。
*4 Pew Research Center survey:
https://www.pewresearch.org/short-reads/2022/06/07/about-5-of-young-adults-in-the-u-s-say-their-gender-is-different-from-their-sex-assigned-at-birth/
「GAP」は独自のジェンダーニュートラルコレクションを展開しています。また「PacSun」や「Abercrombie and Fitch(アバクロ)」などのアメリカの小売り衣料品ブランドは、ジェンダーニュートラルな服に焦点を当てた店舗を開設し、包括的なショッピング体験を提供しています。「Gucci」「Stella McCartney」などの高級ブランドや、「De Beers」「Tiffany and Co.」などの高級ジュエリーブランドもユニセックスアイテムを展開しています。
*5 Coresight Research inclusivity trends in retail:
https://coresight.com/research/the-evolving-gender-free-category-trends-and-opportunities-in-apparel-footwear-jewelry-and-beauty/?utm_campaign=Daily%20Feed&utm_medium=email&_hsmi=219207500&_hsenc=p2ANqtz-_DYNG4YQxURxym4dRF6nV57HAOxKyt6sEvDfJC019d6Uz1RiSo50SP0u-NCXTPBxxubk0Eyfz7Z0wVB4x0kvtfL0aTIlTJifdRHL0lw_rsNof6nHY&utm_content=219207500&utm_source=hs_email
https://coresight.com/research/inclusivity-in-retail-trends-from-2021-learnings-for-2022/
学生向けの割引サイトである「UNiDAYS」が、イギリス、アメリカ、オーストラリア全体でZ世代の学生4,000人を対象に行った「Gen Z Fashion Report」によると、45%の学生はブランドにジェンダーニュートラルな服を販売するよう求めていることがわかっています。これらの若い消費者は、ジェンダーニュートラルというカテゴリーの推進に大きな影響を与えています。
*6 UNiDAYS Fashion Report: Gen Z’s Non-Binary Fashion Priorities:
https://corporate.myunidays.com/fashion-report-2022-1
ジェンダーニュートラルファッションは、従来の男性と女性の2つのカテゴリーしか存在しなかったジェンダー規範を壊す手段であり、人々が自由に自己表現できるように促すものです。しかしジェンダーニュートラルなアパレルの形成は、男性用と女性用の部門がなくなることを意味するわけではありません。ジェンダーニュートラルなアパレルは、ノンバイナリーの消費者が快適にショッピングし、ユニセックスな服を着るためのものです。そしてノンバイナリーだけでなく、バイナリーの人々にも適しています。ノンバイナリーカテゴリーはかなりニッチではありますが、それでも倫理上の価値があり、認識されるに値する市場です。
出典:
Clothing brands’ push for gender inclusive clothing ripped as ‘marketing ploy,’ ‘confusing to children’
https://nypost.com/2022/11/30/clothing-brands-push-for-gender-inclusive-clothing-ripped-as-marketing-ploy-confusing-to-children/amp/
Consumers want gender-neutral clothing. Some retailers are listening.
https://www.retaildive.com/news/consumers-want-gender-neutral-retail-clothing/630862/
The Future of Retail if Genderless
https://www.vogue.com/article/the-future-of-retail-is-genderless
Born and raised in the Bay Area, U.S.A, I was fascinated by the different social and purchasing behaviors between Japanese and American consumers. I studied communication for undergrad and international marketing for my graduate studies. My professional background is in bilingual recruitment and Japanese-English translation.