組織に顧客理解を促すデータ可視化の手法。プロトタイプから効果的にスケールするには?|「VALUESMarketingDive」レポート

組織に顧客理解を促すデータ可視化の手法。プロトタイプから効果的にスケールするには?|「VALUESMarketingDive」レポート

ヴァリューズは、“データを通じて顧客のことを深く考える”、“マーケティングの面白さに熱中する”という意味を込めたマーケティングイベント「VALUES Marketing Dive」を2023年10月25日に開催しました。 第3回目となる今回のテーマは「未来を創り出す顧客理解の力」。本講演では、データを有効活用して顧客理解につなげるためのDX支援について、実際の事例を交えてレポートしていきます。


スピーカー紹介

図:株式会社ヴァリューズ 和田尚樹

ヴァリューズのDX推進支援事業の紹介

株式会社ヴァリューズ 和田尚樹(以下、和田):ヴァリューズでは、お客様が保有しているデータをお預かりしてデータ活用を進めていく、DX推進支援事業を行っています。お客様から「データがうまく使えていない」とよくご相談いただくケースを一般化したものがこちらです。

(1)担当者がデータについて理解していない状態では、新しいツールを導入しても上手く使えません。そうすると(2)ベンダーへ依存してしまい、ベンダーに頼る部分が増えていくと、(3)基幹システムすらもベンダーに依存し、社内の人間だけではデータを扱うことが出来なくなってしまう、という状態です。

図:デジタル化(DX)における課題

和田:ここにおける課題は、(1)に示したデジタル化を進められるIT人材の育成です。ヴァリューズでは短いスパンで成果を可視化できるように短期間で伴走支援を行い、その後発展的な取り組みにつなげていく形を取っています。

まずはシステム面で可視化を行います。自分たちが今扱っているデータ(売上や社内のKPI)を構造化、すなわち、データの意味や関係性が分かるような形で整備するために、可視化プロトタイプを作ります。形が決まってきたらデータ基盤を作り、足りないデータの外部連携や、データを使った自動化などを進めていきます。

しかし、今の仕事にプラスアルファで可視化を進めていくと、社員のリソースをうまく割り当てられないことがあります。その際は、業務効率化のサポートも行い、変化を実感することで意識を変えてもらうという、組織の意識変革の支援も行っています。

図:DXプロジェクトにおける課題と可視化の位置づけ

プロトタイプ開発フェーズのケース紹介

和田:ここからは、具体的な問題と解決方法についてお話していきます。「データ活用で何ができるのか分からない」と初めてご相談いただくパターンには、(1)Excel帳票やPowerPointが散在しているけれどもうまく共有できていないというものや、(2)データを使って新しい事業に取り組むことになったが何をしたらいいかわからないというものが多いです。

図:データ活用の第一歩でご相談いただくケース

和田:この問題(1)の解決方法を、小売店を例にとって説明します。ある小売店では、管理部門が基幹システムからSQLでデータを抽出して帳票を作成し、それをExcelやPowerPointに整形して会議で参照していたものの、データに関して示唆出しもフィードバックもされないまま、管理部門は日々業務に追われているという問題がありました。

この場合、ETL(データの収集 / Extract、加工 / Transform、送出 / Load)ツールを導入して、基幹システムのデータをGoogle Cloudのビッグクエリに抽出し、それをBIツールで参照するという形に変更します。またその際、データの見方の指標も作成して提示します。

図:小売業のケース

和田:これにより、分析担当者は抽出されたデータを少々カスタマイズするだけで分析することができ、さらにTableauを使えば、毎回人を挟まず会議で直接データを参照することができるようになります。

このようにまずは仕組みを作り、担当者の方の業務負荷を減らして示唆出しに注力できるように、かつ毎回様々な会議からアウトプットを作っていけるように環境を整えます。また、データを希望する社員の方にもヒアリングを行い、具体的にどのようなデータが見たいのかも整理していきます。

また、大きなデータマートの中にデータを入れ、それをTableauで参照して可視化することにより、全体のコンテキストの中で詳細まで参照できるようになるため、話が広がり、共有した時もわかりやすくなります。

さらに、詳細なデータを直接扱う事で人単位の分析もできるため、顧客セグメントを自由に作成してユーザー像の把握やCRMの取り組みを進められるようになります。

こうした取り組みで新たな気付きを得られた実例をご紹介します。

ある産直ECサイトでは、分析の結果、売上上位1%のユーザーが全体の売上の15%を占めていることが分かり、さらに他のデータと紐付けて見ていくと、それが飲食店での利用であると推測されました。そこで、業務利用向けの企画や情報発信を行ったところ、売上やコンテンツの拡大につなげることができました。

次にある飲料小売り店では、メルマガの反応率と購入した商品を紐づけて分析したところ、ワインの購入者の反応が高かったことがわかりました。そこでワイン購入者向けの情報発信を重点的に行い、売上とリピーター拡大を実現しました。

このように、クラスターやセグメントを分けて分析することで、顧客の理解が深まり、企画につなげることができます。

図:顧客セグメントの作成・CRMへの活用

浸透拡大フェーズのケース紹介

和田:プロトタイプ開発はスモールスタートで始められるケースが多いですが、その後、全社や社外を巻き込んでデータ活用をしていくとなると以下のような悩みが生じてきます

ライセンス費用
もっと安価に利用したい
(数百店舗展開店舗している企業が1つの店舗につき2、3人の従業員にデータを見てもらう場合、ライセンス費用は年間で数千万円に上ります)

閲覧権限管理
全体の売上は共有したいが特定の店の売上は別の店舗に共有したくない。

利用状況のモニタリング
誰がどのダッシュボードを使っているのかを把握したい。
使われていない機能の利用を停止したい。

図:浸透・拡大フェーズの悩み

和田:こうした浸透・拡大フェーズにおける課題に対してヴァリューズが提供できるソリューションとして、Dockpitの仕組みを活かした自社データを可視化できるツールをご紹介します。

このツールは共有に特化しており、複雑なデータ分析機能を割愛しています。そのため、シンプルな機能で沢山の人に素早く共有できるうえ、共有されるライセンス数が多いほど安価に利用できるようになっています。

図:データ可視化・共有ソリューションのご紹介

和田:また、手間が最小化されているため、本部はURLを共有するだけでレポートが作成でき、店舗はそのURLにアクセスするだけでデータを確認することが可能です。

図:共有について

和田:さらに、エリアマネージャーは複数店舗のデータを確認でき、個別店舗の店長は自店舗だけ見ることができるといったユーザーごとの出し分けも可能です。

このように、機能は十分に広く共有でき、ライセンス費用は一般的なツールと一桁違うほどの額で始められるサービスとなっています。

図:ユーザーごとの出し分け

まとめ

今回ご紹介したように、「データで何をしたらいいか分からない」「レポートがたくさんあるので効率化したい」「バラバラなデータを統一的に整理したい」といった課題をお持ちの方、または、「セルフBIで分析共有できているが利用者を拡大する際に課題を感じている」「社内に共有するダッシュボードの利用促進があまりできてない」といったお悩みがあれば、ヴァリューズが伴走支援させていただきますのでぜひご相談ください。

図:こういう悩みがあればご相談ください

お問い合わせ

本記事や弊社サービスに関するお問い合わせはこちらから
https://www.valuesccg.com/inquiry/

下記のボタンからアーカイブ配信のお申し込みが可能です。
※2024年1月31日(水)17時まで視聴可能。お申し込み後すぐに視聴URLをお送りいたします
アーカイブ配信のお申し込みはこちら

この記事のライター

2024年春にヴァリューズに入社しました。
大学では言語学を専攻していました。

関連する投稿


DX推進は進むが、人材育成は後手に...「経営層の意識」と「現場の実態」のギャップが浮き彫りに【シナジーマーケティング調査】

DX推進は進むが、人材育成は後手に...「経営層の意識」と「現場の実態」のギャップが浮き彫りに【シナジーマーケティング調査】

シナジーマーケティング株式会社は、全国の経営者・役員を対象に「DX推進における人材育成とマーケティングスキルに関する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


AIエージェントと既存システムとの連携、複雑さに苦慮する担当者が約半数!複数エージェント間の効率的な連携に課題【クラウドエース調査】

AIエージェントと既存システムとの連携、複雑さに苦慮する担当者が約半数!複数エージェント間の効率的な連携に課題【クラウドエース調査】

クラウドエース株式会社は、AIエージェントを業務で利用している「情報システム部門」「DX推進部門」「AI推進部門」の方を対象に、AIエージェント活用に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


DXの目的は7割弱が守りの「効率化」に留まる 一方で生成AIは効率化から「高度活用」へ進化の兆し【INDUSTRIAL-X調査】

DXの目的は7割弱が守りの「効率化」に留まる 一方で生成AIは効率化から「高度活用」へ進化の兆し【INDUSTRIAL-X調査】

株式会社INDUSTRIAL-Xは、企業のDX推進/生成AI活用の実態や課題、成功企業の共通点を明らかにするため「DX推進/生成AI活用における課題と意向調査2025」を実施し、結果を公開しました。


インバウンドのリアルな動向把握とデータ活用とは 現場で活かす、人流・オープンデータの活用術と旅行実態レポート

インバウンドのリアルな動向把握とデータ活用とは 現場で活かす、人流・オープンデータの活用術と旅行実態レポート

昨今は事業成長のためのデータ活用やDXという言葉が様々な場所で耳にされるようになりました。 データ活用を通じてDXを実現するためには、段階的にステップを踏んで取り組む必要があります。段階に応じて取り組むべき内容を変化させつつ、これらのステップを繰り返していくことが事業成長に繋がるその方法とは。本レポートでは、インバウンドの現状把握や情報のキャッチアップをメイントピックとして、データの種類や活用法を解説します。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


顧客理解・創造におけるデータ活用 北海道電力「きらめくストア」の挑戦

顧客理解・創造におけるデータ活用 北海道電力「きらめくストア」の挑戦

北海道電力株式会社は、非エネルギー分野へ事業を拡大しており、DX推進によって、新たな価値創造への挑戦を続けています。ヴァリューズが伴走支援に携わっているのが、非エネルギー分野事業の一つである、北海道の隠れた逸品を発掘・販売するオンラインストア「きらめくストア」における取り組みです。同社富岡氏に取り組みの詳細をうかがいました。


ページトップへ