現役Z世代がSNSデータ×Web行動データから2023年を振り返る!2023年は「自分アピール」の年?(ヴァリューズ×Sucle)

現役Z世代がSNSデータ×Web行動データから2023年を振り返る!2023年は「自分アピール」の年?(ヴァリューズ×Sucle)

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第13弾となる今回は、若年女性向けSNSメディア「Sucle(シュクレ)」編集部の皆さまをゲストにお迎えし、ヴァリューズのWeb行動ログデータと、SucleのSNSデータを活かして、2023年のZ世代のトレンドや価値観を振り返りました。 「いい人すぎるよ展」などの参加型展示や季節性イベント、創作体験、「MBTI診断」「BeReal.」などの人気に焦点をあて、データとリアルな声を掛け合わせて、Z世代のニーズを読み解きます。


こんにちは、現役Z世代による“Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。本記事では、現役大学生のとりとり(01年生まれ・カフェ好き)も分析に参加し、ライティングを担当しています。

第13弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、若年女性向けSNSメディア「Sucle(シュクレ)」編集部の皆さまをお迎えし、2023年のトレンドを分析しました。

今回コラボした「Sucle」は、SNSマーケティングの戦略設計・実行支援を行う株式会社FinT(フィント)発の、Z世代女子向けSNSメディアです。「きょうのわたし、愛しいわたし」をコンセプトに、Instagram・TikTok・X(Twitter)・YouTubeでコンテンツを発信しており、SNSの総フォロワー数は100万人に及びます。

“Z世代”とは

“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。


※本記事では、2023年12月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。

Z世代とミレニアル世代の関心は?

2023年1月〜11月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。

Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前年比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前年の同期間に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2023年1月〜11月(前年比は2022年1月〜11月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2023年12月時点で16~26歳(Z世代)・27~41歳(ミレニアル世代)のモニター





まろんZ世代では、「夏祭り」「ゴールデンウィーク」「花火大会」のようなオフラインイベント系のキーワードが多くランクインしていますね。僕自身も、旅行や美術展に行ったりして、アクティブな1年でした。










とりとり:今年はコロナ明けで外出の機会も多く、私自身も、同世代の友人もオフラインイベントを楽しんでいた印象です。










Sucle編集部:SucleのSNSでも、花火などのオフラインイベントそのものの紹介や、イベントでの「フォトアイデア」「過ごし方」「楽しみ方」の紹介をしていますが、そういった投稿への反響は特に大きかったです。










まろん:なるほど、普段の外出先や消費行動を通して、Z世代は“自分らしさ”を体現しているのかもしれませんね。










とりとり:他にも、どちらの世代でも「チャットGPT」と「MBTI診断」がランクインしていますね。性格診断の他に、骨格診断・パーソナルカラー診断などが今年も継続して流行しましたよね。










まろん:診断ブームからZ世代の傾向として考えられるのは、「自分に最適なのは何か?」を求める傾向ですね。Z世代のこの傾向には、万人に共通のおすすめではなくて、自分に合った失敗のない選択をしたいという意識が表れています。










まなてぃ:たしかにそうですね。日焼け止めなどを買う時にも、TikTokやYouTubeに投稿された徹底比較系動画を観て、「自分が求める効果が得られる」という確証をもって商品を選ぶことが多いです。










Sucle編集部:2023年は去年よりも外出しやすくなったことで、花火や夏祭り、「いい人すぎるよ展」のような参加型、共感型の展示などのオフラインイベントが活発でしたね。自分がどんな場所に行ったのか、自分なりにどんな楽しみ方をしたのかをSNSで伝えるような投稿も多くみられました。Instagramでは創作体験、アート体験に関する投稿も活発で、「自分らしさ」をSNSで発信する動きが特徴的でした。このように、2023年は自分らしさを出せるようなコンテンツが特に注目されており、「#自分アピール」の年だったと捉えています。Sucleでは、合計100万人フォロワー達成記念に6年間のZ世代のトレンド変遷を振り返りました。2018年から2022年までのトレンドも振り返っていますので、ぜひご覧ください。




Sucle作成資料より

Sucle 総合フォロワー100万人達成記念!6年間の歴史を振り返る「Z世代のトレンド変遷」まとめを発表。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000113.000044523.html

株式会社FinTのプレスリリース(2023年11月22日 11時00分)Sucle 総合フォロワー100万人達成記念!6年間の歴史を振り返る「Z世代のトレンド変遷」まとめを発表。





とりとり:外出機会が増え、多くのイベントが開催された「オフラインイベント」、自分らしさの表現や発信に関連して人気の「創作体験」、MBTI診断やInstagram・BeReal.などのSNSを通じた「相互理解」の3つが2023年のポイントということですね。それでは今回は、「オフラインイベント」「創作体験」「相互理解」の3つに注目し、Z世代の2023年のトレンドである「#自分アピール」を紐解いていきましょう!




トレンド①オフラインイベント

Sucle作成資料より

期間・季節“限定”の特別感がZ世代の心を掴む





Sucle編集部Z世代の女性は、「期間限定で楽しめる」という特別感があるオフラインイベントを探す人が多いようです。映画やショッピング、遊園地といったいつでも行ける“定常的なもの”に加えて、“今このときだけ楽しめるもの”を好んでいる傾向がありそうです。










まろん:Gen-Z調査隊でも、クリスマス・花火などの季節系イベントへの関心・参加率が高いZ世代は、「季節モノ消費」を好む傾向にあると認識しています。実際、Z世代の「オフラインイベント」関連の興味関心を示した以下の図を参照すると、「花火大会」「夏祭り」「バレンタイン」「ハロウィン」などの季節イベントへの関心の高さや、「ゴールデンウィーク」「夏休み」などの楽しみ方を考える様子がうかがえます。





「オフラインイベント」の興味関心マップ
調査期間・調査対象:2023年1月〜11月・Z世代
デバイス:スマートフォン





まなてぃ:周りの同世代の友人も「今しかできない体験」ができる季節イベントによく参加していた印象があります。私は明治神宮の花火大会に参加したのですが、コンビニも露天できゅうりやラムネを売っていて、夏祭り感も味わえてよかったです。










とりとり:私は、「コロナ明けの今年こそ」という思いで花火大会に2度足を運びましたが、その日にバーベキューをしたり、手持ち花火をしたりして「夏」を満喫しました!花火大会では、浴衣で参加したり屋台で飲食したりと、思い思いの過ごし方がみられました。










Sucle編集部:SucleがSNSで投稿した「クリスマスマーケットの楽しみ方」という動画は、350万回の再生数となり、特に反響が大きかったです。Z世代には、ただ季節イベントに行くだけではなく、そのなかでどんな楽しみ方をするか、という点で自分らしさを出したいという意識があるのかもしれません。




“共同体験”と“映え”の「◯◯展」





Sucle編集部:季節限定の他にも、「いい人すぎるよ展」「みんなどんな感じ?展」などの期間限定の展示が流行りました。自分の価値観を照らし合わせたり、共感したりする共同体験や、自分が一部となって写真を完成させる体験ができる参加型の展示が人気なようです。










まなてぃ:私も「いい人すぎるよ展」に行きましたが、「わかるわかる!」という感じでとても共感できる展示でした。「やだなー展」もSNSでバズっていましたよね。










とりとり:参加型の展示でいうと、私は「金曜ロードショーとジブリ展」「Immersive Museum」に行きました。そこでは、ジブリ映画のポスターや印象派絵画の一部になれるフォトスポットがあり、単に世界観に没入できて楽しいだけでなく、SNS映えにもなりました。




参加型展示の様子





まろん:どの展示も面白そうだね。こういった展示には「その日だけ味わえる特別な体験をした」感があって、年中やっているお店やテーマパークに行くのとはまた違った楽しさがあるのがいいね。




参加型展示で“目新しさ”や“自分らしさ”を求めるZ世代





まろん:そういう参加型展示って、何がきっかけで行きたいと思ったの?










とりとり:友人のInstagramストーリーや、主催者・来場者作成のショート動画・フィード投稿など、InstagramやTikTokの影響が大きいと思います。それにしても、参加型展示がZ世代で流行った背景にはなにがあるのでしょうか?










Sucle編集部:参加型の展示が流行った背景には、「自分らしさ」を追求するなかで定常的なものに飽きが出てきたことがありそうです。










まなてぃ:たしかに、最近ではSNSで共有することが前提となっているからこそ、より目新しく自分らしい体験をしたくなりますよね。










まろん:他に考えられる背景としては、コロナ禍が続いて家にこもっていた期間が長かったから、「非日常を感じたい」「五感で感じたい」「ワクワクしたい」という衝動が蓄積されていることもありそうです。










Sucle編集部:Sucleでも、一昨年まではおうち時間を充実させる方法を発信してきましたが、今年はお出かけスポットやその楽しみ方を発信するようにしています。美術館などのひとりでも楽しめる展示はコロナ禍から展示を見にいく人が増えましたが、今年流行った参加型展示は、その流れを汲みつつ、誰かと共同体験をして関係性を深めるチャンスになっていったのではないでしょうか。










まなてぃ:たしかに、展示に誘うにしても、関心を持ってくれた時点で話が合いそうだと安心できますし、展示を見てお互いに感想を語り合うことで友人との仲がさらに深まっていくような気がします。




トレンド②創作体験

Sucle作成資料より

自己表現や相互理解として





Sucle編集部:共同体験する過程を通して、自己表現をしつつ一緒に行った人との仲を深める。そんな部分がZ世代に刺さっているのが「創作体験」です。今年はラグマットづくりなどが流行ったのですが、創作の過程にある様々な選択・判断を通して相手がどんな表現をするのかを知ったり、何時間も一緒にいて会話したりすることで、自己表現をしつつ相互理解が深まっていくようです。










まろん:創作体験は、食事に行くだけでは見えないような、相手の考え方や価値観を直接見て知れる機会になるんですね。










Sucle編集部:それから、創作体験中は話の話題に困ることもなく、体験が終わればお揃いのものが手に入るというのもポイントです。アートと並行して食事も楽しめるので、行った段階ですごく仲が良いわけではなくても十分楽しめて、仲を深めることができます。










とりとり:そうですね。お揃いのペアリングをつくるのもZ世代で根強い人気ですよね。










Sucle編集部:ペアリングづくり体験はコロナ前からずっと人気ですよね。人気のある創作体験に共通しているのは、自分らしさも表現できつつ、ある程度の完成度のモノが作れる安心感があること、つまり「失敗しなさそう」なことです。Z世代は、「オリジナリティを出したい」と「失敗したくない」という気持ちをちょうどいい塩梅で昇華できる体験を求めているのではないでしょうか。










とりとり:たしかに、創作体験ができるお店に行けば、店員さんが見ていてくれるから失敗を恐れずに自分らしい表現にチャレンジできますよね。










Sucle編集部:そうなんです。アート体験でいうと、「好きな色の絵の具を混ぜて円盤やクマの人形に流し、マーブル模様に色付ける」というような創作体験もまた人気です。工程はシンプルで失敗しようがないけれど、自分ならではの表現ができるというのが、人気の秘訣だと考えられます。










まろん:なるほど、創作体験は自分らしさと相手らしさの相互理解ができる場でもあり、さらに五感をフル活用して特別な体験を求める心を満たすことができるんですね。










Sucle編集部相互理解しようにも、何もなしで手放しにされるとどうしようと困ってしまうので、創作体験を通して互いの趣味嗜好を知って、仲を深めようという意識があるのかもしれません。




推し活として





Sucle編集部公式グッズはもちろんのこと、創作体験を通して自分ならではのグッズをつくる推し活がZ世代で流行しています。推しのちびぬい(小さなぬいぐるみ)そのものをつくるキットがあったり、公式で販売されているちびぬいに着せる衣装を手作りしたり、という推し活の方法もあるんですよ。










とりとり推しへの愛が深まるという意味でも、自分にしかないグッズを作ることは重要らしいです。私の友人も推しのトレーディングカードを、メンバーカラーのリボンやストーンで飾ったケースに収納して部屋に飾っていて、「推しのために時間とお金を費やすことで、推しとの思い出が増えていくんだ〜」と言っていました。










まろん:推しのグッズに関しては特に、“自分なりの”愛を表現したいという気持ちがあるんですね。










Sucle編集部:トレーディングカード自体は同じでも、そのケースで個性を出したいという思いがあるんでしょうね。最近では、推しのネームタグをつくる創作体験も人気なんですよ。










とりとり:そうなんですね。推し関連の創作体験だとより共通の話題が明確なので、ファン同士の仲も深まりそうですね。




トレンド③相互理解のツール

Sucle作成資料より





Sucle編集部今年は、自己理解・他者理解のツールとして「MBTI診断」や「BeReal.」が流行しましたね。これは、コロナ期間が明けて対面のコミュニケーションの機会が増えたことで、「失敗しないコミュニケーション」を求めてお互いの性格や私生活を開示しあうようになったということだと考えています。この背景には、普段LINEやInstagramでテキストで会話している人と実際に会ったときにコミュニケーションで失敗しないように、「前提条件として自分のことや相手のことを理解しておきたい」という気持ちがあるのかもしれません。










とりとり:最近はオンラインで知り合ってから対面で会うことも多いので、私自身も、「会う前提として自分のことと相手のことを知っておきたい」「対面してがっかりされたくないのではじめから素の自分を見せておきたい」と感じます。










まろん:Z世代の「自己理解・他者理解」関連の興味関心を示した以下の図でも、「MBTI診断」関連のワードを中心に、「HSP」などのパーソナリティに関するワードが多くみられます。Gen-Z調査隊でも、Z世代は自己理解、他者理解のためのツールとして診断を活用するのが当たり前の価値観になっていると考えています。





「自己理解、他者理解」の興味関心マップ
調査期間・調査対象:2023年1月〜11月・Z世代
デバイス:スマートフォン

パーソナリティを示す言葉「MBTI」「HSP」





とりとり:まず、Z世代の自己理解・他者理解に関して今年大流行した「MBTI診断」について考察していきましょう。「MBTI診断」とは「Myers-Briggs Type Indicator」の略で、性格タイプを16に分類する、心理学的なツールです。










まろん最近では、MBTI診断の結果を自己紹介で伝える様子をよく目にするようになってきましたね。MBTIのことを知っている人が増えてきたから、MBTIはもはや共通言語になってきていると感じます。MBTI診断関連のキーワードの検索数の前年度上昇率は、Z世代・ミレニアル世代で同程度で、世代を問わずトレンドになっているようです。










Sucle編集部:そうですね。自己紹介でのMBTI診断の利用は、学校でも仕事でも、あらゆるコミュニティで使われているという印象があります。特にZ世代では「INFPはどんな性格」という詳細まで把握している人も多く、MBTI診断が相互理解の第一手段になっていると感じます。










まろん:それにしても、Z世代はどうやってパーソナリティを示す言葉の意味を知ったんでしょう?










Sucle編集部:そこで大きな役割を果たしているのが、「INFP(MBTIの一種)」「HSP」などの用語解説や、体験談に基づく「あるある」と悩みの解決方法などを発信するSNSコンテンツなのではないでしょうか。










とりとり:私もショート動画でそういったコンテンツをよく見かけます。例えば、心の土台クリエイター三栗さなえというSNSアカウントは、HSP(繊細さん)が抱える、他人に対する「コワイ」「疲れる」などの感情が起こる原理や、「周りの環境を整える」などの困り事への対処法を発信してくれています。










Sucle編集部:TikTokでもこうしたコンテンツが多く、パーソナリティに関する困りごとを抱える人たちの救いになりたいと発信しているものから、ネタっぽく扱っているものまで多岐に渡ります。こうしたSNSでの発信活動は、自己理解した上で、より生きやすい方法を模索するための情報源にもなっているようです。




“特別”ではなく“日常”を見せ合うSNS「BeReal.」





とりとり:特に下半期に入ってから、SNS「BeReal.」がZ世代で凄まじい人気です。私のまわりでも、多くの友人が利用しています。「BeReal.」とは、2020年に公開されたフランスのSNSアプリで、毎日ランダムな時間に来る通知に従って、2分以内に内カメラ・外カメラの両方で撮った加工なしの写真を投稿するようになっています。










Sucle編集部自分が見せれば相手の私生活も見せてもらえる仕組みになっていて、お互いの日常を開示して関係を築けるのが、相互理解への意識が高いZ世代にウケる理由だと考えます。










まろん:「キラキラした特別」を投稿するInstagramに対して、「あたりまえの日常」を載せるBeReal.は、そこでしか知ることができない相手のリアルでレアな側面を知ることができるという意味でも、相互理解に繋がりそうですね。










Sucle編集部:そうですね。BeReal.はその場で撮らなきゃいけない、嘘がつけないSNSであるため、それを見せてもいいと思える人としか相互フォローをしないようです。Instagramでいうストーリーの「親しい友達公開」と同じような感覚なのだろうと考えられます。










まなてぃ:そこに加えて、映え要素もありますよね。内カメ・外カメの両方で撮影するので、通知が来た時に映えるところに居れば、「映える体験とそれを楽しむ私たち」の両方を写せて一石二鳥です。最近では、BeReal.のスクリーンショットをそのままInstagramのストーリーに載せている友人も多いです。










Sucle編集部:Sucleでも「BeReal.のおしゃれな撮り方10選」の投稿をしましたが、非常に反響がありました。










とりとり:撮り方で言うと、外カメラ広角で自撮りするのも今年流行りましたよね。小顔かつ腕も細長く見える写真が撮れるので、周りの友人でもそうやって撮影する人が多かったです。「日常/映え」という生活の二面性が可視化されるSNS・BeReal.、今度も人気が続くのか見どころです。




まとめ

今回は、2023年1月〜11月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、「オフラインイベント」「創作体験」「自己理解・他者理解」を通して、Z世代のトレンドを分析・考察しました。

では、総括および結果とそこから見えてきた仮説をおさらいしましょう!

<総括>
2023年は「#自分アピール」の年。Z世代には、自己表現と他者理解を両立し、自分も相手も過ごしやすくなるようにしたいという思いがあるようです。
自分をさらけ出して相手を知るというような、トレード・オフ的な人間関係の築き方は、それができる手段が増えて一般化されたことで自然に生まれたものだと考えられます。また、「失敗しない」安心感を前提とした自己表現をするのも、Z世代の特徴です。総じて、心のよりどころや帰属意識の希求が強く表れた1年でした。

結果①
2023年には、「期間・季節限定のオフラインイベント」が流行し、特に参加型展示が注目されました。

仮説①
人気の背景には、コロナ明けで外出機会が増えたことや、「目新しく自分らしい共同体験の楽しみ」を追求する傾向があるようです。さらに、こうしたイベントでは、「自分で発見し、それを五感で楽しみ、SNSで共有する」という一連の流れがZ世代でルーティン化しているようです。

結果②
2023年には、「アートや日用品・推し活グッズ作成などの創作体験」が流行し、特に参加型展示が注目されました。

仮説②
創作体験は、体験の過程での判断・選択を見たり、会話をしたりするなかで、自己表現と相互理解ができるために、Z世代で人気なようです。また、推し活の一部としても創作体験が人気です。

結果③
2023年には、「MBTI診断やBeReal.を通した相互理解」が一般的になりました。

仮説③
Z世代ではパーソナリティを示す言葉を用いて互いの特性を相互理解し、補い合って人間関係を築く傾向が強いようです。また、たまに会ったりキラキラしたSNSをみるだけでは知れない普段の生活を知れるという点で、BeReal.は相互理解に役立っているようです。

Z世代のアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今後の連載にも、ぜひご注目ください。

この記事のライター

現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)

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