Z世代とミレニアル世代の違いとは?Web行動データとアンケートから読み解くターゲット像

Z世代とミレニアル世代の違いとは?Web行動データとアンケートから読み解くターゲット像

“デジタルネイティブ”、“SNSネイティブ”な世代と呼ばれ、注目度の高いZ世代。本記事ではZ世代とミレニアル世代の違いを、SNSやECアプリの利用実態、興味関心、視聴しているYouTubeといった、意識面(アンケート調査)と行動面(Web行動データ)から探っていきます。


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国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)

Z世代とは

“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”,“SNSネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。

本記事では、2023年10月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し、ヴァリューズが保有する消費者のアンケート調査結果とインターネット行動ログデータ(Web行動データ)の分析を行っています。

集計定義

本記事で使用するデータの集計定義は以下のとおりです。



Web行動データアンケート
対象期間2023年10月
2023年8月
対象デバイス

スマートフォン

※一部PCデータを使用

スマートフォン


【1.SNS利用実態】Z世代はTikTok、X(Twitter)、Instagramの利用が特徴

“デジタルネイティブ”や”SNSネイティブ”と呼ばれるZ世代と、ミレニアル世代のSNS利用実態を比較してみましょう。SNSアプリの起動状況を、以下のグラフに示しています。

グラフより、Z世代、ミレニアル世代はともに90%以上が「LINE」と「YouTube」を利用しており、この2つのアプリはZ世代、ミレニアル世代に共通して広く利用されていることがわかります。

一方で、「X(Twitter)」、「Instagram」、「TikTok」は世代間のリーチ差(※)が10ポイント以上開いており、ミレニアル世代と比べてZ世代が特徴的に利用していることがわかります。
「Facebook」は世代間のリーチ差が-10ポイント以上であり、ミレニアル世代と比べてZ世代が利用していないことがわかります。
(※リーチ差 = Z世代のリーチ割合 - ミレニアル世代のリーチ割合 で算出。)

『SNSアプリの利用状況』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

上記グラフ解釈の補足:
凡例の色分けによって、以下の様に解釈しています。
 ・リーチ差がプラスに大きく、赤で表示:ミレニアル世代と比べてZ世代の利用が多い。
 ・リーチ差がマイナスに大きく、青で表示:ミレニアル世代と比べてZ世代の利用が少ない。
 ・リーチ差が±5ポイント以下でグレーで表示:世代間の利用実態に大きな差はない。

また、SNSアプリの平均日次起動回数は、「Facebook」以外のアプリではミレニアル世代よりもZ世代が多くなっていました。Z世代はSNSに割いている時間が多いことがわかります。

『SNSアプリの平均日次起動回数』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)
※一日の最大起動回数が24回となる指標を使用(1時間以内の起動は1回とみなす形)

【2.情報収集行動】Z世代はミレニアル世代よりも、SNSで情報を得ている?

また、新たな情報の入手先について、Z世代とミレニアル世代のアンケート回答もみていきましょう。

Z世代とミレニアル世代はともに約50%が「SNS(LINE、Twitter、Facebook)」から情報を入手すると回答しています。前述のSNS起動状況を鑑みても、世代を問わずSNSが主な情報の入手先になっていることがわかりますね。

一方で、Z世代はミレニアル世代と比較して、「テレビ」、「インターネットの情報サイト」、「メールマガジン」、「スーパーや専門店の広告や陳列」から情報を入手すると回答した人が少ない結果となっていました。Z世代は情報の入手先としてSNSが占める割合が大きく、情報の大半をSNSから得ていることがうかがえます。

『新しい情報の入手先』
(集計期間:2023年8月、対象デバイス:スマートフォン)

上記グラフ解釈の補足:
「各セグメントの回答者割合 - ネット人口全体の回答者割合」を算出し、色分けを実施。
以下の様な解釈をしています。
 ・色が赤に近しい:世の中一般と比べてその世代が特徴的に多い。
 ・色が青に近しい:世の中一般と比べてその世代が特徴的に少ない。
 ・差分が±5以下で色がグレー:世代間の利用実態に大きな差はない。

Z世代は「X(Twitter)」、「Instagram」、「TikTok」の利用率、一日の平均起動回数がともに高く、情報の情報の大半をSNSから得ている、”SNSネイティブ”な世代であることがWeb行動データとアンケートの両面からわかります。

【3-1. 興味関心】Z世代は「学業・趣味(アニメ等)」、ミレニアル世代は「育児・キャリア」に関心がある

ではZ世代とミレニアル世代の興味関心を見ていきましょう。

Z世代、ミレニアル世代の両方の世代で、特徴値、回答率が共に高いのは「アニメ」、「マンガ」、「ゲーム」、「動画共有サイト」、「声優」であり、これらはZ世代、ミレニアル世代に共通する興味関心であると言えます。

一方、Z世代の特徴的な興味関心は「恋愛」、「アクセサリー」、「コスメ・化粧品」、「アイドル」、「音楽鑑賞」、「受験・学校」が、ミレニアル世代の特徴的な興味関心は「マネー・投資」、「育児」、「子供の教育」、「料理」などがあります。
Z世代はトレンドや学業・進路、ミレニアル世代はキャリア、家庭や生活に関心が向いているようです。

『興味関心』(アンケート聴取)
(集計期間:2023年8月、対象デバイス:スマートフォン)

※横軸は特徴値、縦軸は回答率。右上にいくほど、回答ボリュームが大きく、日本全体平均と比較して回答率が高い(対象者の興味関心ごとが高くなる)。
特徴値:セグメントの対象者が一般的なネット利用者と比べて特徴的に回答しているかを可視化するための指標(特徴値 =対象者の回答率ーネット人口全体の回答率)。

【3-2. 興味関心】サイトタグ、閲覧サイトで興味関心をさらに深掘り

続いて、接触したサイトのサイトタグからZ世代とミレニアル世代の興味関心を深ぼっていくと、同様な傾向が得られましたが、より具体的な興味関心を読み取れました。

Z世代、ミレニアル世代の両方の世代で、特徴値、リーチ率が共に高いのは「アニメ」、「マンガ」であり、Z世代、ミレニアル世代に共通して関心が高いといえます。

一方、Z世代に特徴的なサイトタグには「SNS」、「イラスト」、「PIXIV」、「同人」、「同人誌」、「動画配信」、「投稿」、「教育機関」、「大学」が、ミレニアル世代に特徴的なサイトタグには「家電」、「書籍」、「本」、「投資」、「ビジネス」、「ベビー用品」、「育児」、「ブログ」などがあります。
Z世代はクリエイティブなコンテンツや学業・進路に、ミレニアル世代は、生活や育児、自身のキャリアや社会への関心に関心が向いているようです。

『接触したサイトタグ』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

※横軸は特徴値、縦軸はリーチ率。右上に行くほど対象者の興味関心ごとが高くなる。
リーチ率:当該サイトタグに接触した人の比率。特徴値:セグメントの対象者が一般的なネット利用者と比べて特徴的に接触しているかを可視化するための指標(特徴値 =対象者のリーチ率ーネット人口全体のリーチ率)。

また、Z世代とミレニアル世代の閲覧サイトを見てみると、Z世代は「YouTube」、「モンスターストライク」、「pixiv」、「PICTLINK」、「スタディサプリ進路」、「マイナビ進学」を特徴的に閲覧しており、動画、作品や写真の共有、進路に関心があることがうかがえます。
ミレニアル世代は「楽天市場」、「dメニュー」、「Amazon」、「Yahoo!ニュース」、「Yahoo!Japan」、「楽天カード」、「auポータル」を特徴的に閲覧しており、ECサイト、ニュース情報、家計管理に関心があることがうかがえます。

『閲覧サイト』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

Z世代は意識面では最新のトレンドや学業・進路に、行動面では動画、作品や写真の共有、進路に、ミレニアル世代は意識面ではキャリア、家庭や日常生活に、行動面ではECサイト、ニュース情報、家計管理に関心があることがわかりました。
Z世代とミレニアル世代はライフステージが異なり、Z世代はトレンド、SNS、進路に、ミレニアル世代は家庭や生活に重きをおいているのではないでしょうか。

【4. 視聴YouTube】Z世代はVTuberやボカロPを視聴?

続いて、視聴しているYouTubeチャンネルの違いについて見ていきましょう。ここでは各世代が特徴的に視聴しているチャンネルを取り上げています。

Z世代は「しぐれうい」、「DECO*27」、「Ado」、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」を特徴的に視聴しており、ミレニアル世代は「ANNニュースCHANNEL」、「TBS NEWS DIG」、「日テレNEWS」を特徴的に視聴していました。
Z世代はVTuberやボカロPへの関心が高く、ミレニアル世代はニュース系のチャンネルへの関心が高いことがわかります。

『視聴YouTubeチャンネル』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)
※PCブラウザデータを使用して集計

【5.ショッピングアプリ分析】Z世代は「SHIEN」「ZOZOTOWN」、ミレニアル世代はフリマアプリ

では、購買行動に世代の違いは出るのでしょうか。Z世代とミレニアル世代が魅力的に感じる施策についての回答をみていきましょう。

Z世代はミレニアル世代に比べて、「全員に10%ポイント還元」や「全員5%割引」が魅力的だと回答した人の割合が低く、「SNSで公式アカウントをフォローすると10%割引」、「SNSでシェアすると10%割引」が魅力的だと回答した人の割合が高い結果となりました。
Z世代には消費者全員向けの施策よりも、SNS関連の施策が刺さりやすいことがわかります。

『購買意識:魅力的な施策』
(集計期間:2023年8月、対象デバイス:スマートフォン)

続いてZ世代とミレニアル世代のECアプリの利用実態をみていきましょう。
ここでは各世代が特徴的に閲覧しているEC/ショッピングアプリを取り上げています。

Z世代は、「SHIEN」や「ZOZOTOWN」を始めとするファッション通販アプリを特徴的に利用していました。「7sGood-次世代動画ショッピング」も気になります。
ミレニアル世代は「楽天フリマ」、「Paypayフリマ」、「メルカリ」、「ヤフオク!」などのフリマアプリを特徴的に利用していました。

Z世代は服をオンラインで購入する傾向があり、これはトレンドやファッションへの興味関心が高かったことからも納得ですね。また、フリマアプリではなく「SHIEN」などを利用していることからも「安い=中古」ではなく、「安くても良いものはある」という考え方を持っていそうです。

『ショッピングアプリ利用状況』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

【6.Amazon、楽天市場分析】Z世代はAmazon派?

では、主要ECアプリであるAmazonと楽天市場の利用比率を比較してみましょう。
Z世代、ミレニアル世代ともに、Amazonの利用が多い人の割合が高いものの、ミレニアル世代と比較するとZ世代はAmazon派が多いことがわかりました。

『各ユーザーの最多起動ECのアプリ別割合』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

続いて、Amazon内でどういったカテゴリの商品を閲覧しているのかをZ世代とミレニアル世代で比較していきましょう。

「PCアクセサリ・サプライ」、「携帯電話・スマートフォン」カテゴリはZ世代とミレニアル世代の両方で上位に入っており、2つの世代が共通して関心を持っていました。
一方でZ世代は「キーワード・マウス・入力機器」と「イヤホン・ヘッドホン」が閲覧カテゴリの上位に入っており、ゲームや音楽などの娯楽やオンライン授業などの利用がうかがえます。
ミレニアル世代は「家電」、「キッチン用品」が閲覧カテゴリの上位に入っており、生活文脈がうかがえます。

『Amazonの閲覧カテゴリランキング』
(集計期間:2023年11月、対象デバイス:スマートフォン)

まとめ

Z世代とミレニアル世代の実態比較、いかがでしたでしょうか。
関心事から購買行動に至るまで、Z世代とミレニアル世代のライフステージに基づく特徴の違いがみられました。

Z世代は最新トレンドに敏感で、SNSを主な情報源として利用しており、ミレニアル世代はより生活や家庭、キャリアに関心を持っていることがわかりました。購買行動に関しては、Z世代にはSNS関連の施策が刺さりやすく、「SHIEN」や「ZOZOTOWN」などのファッション通販アプリを特徴的に利用していました。一方で、ミレニアル世代はフリマアプリを特徴的に利用していました。
Z世代とミレニアル世代はSNSやインターネットの利用方法および関心事が異なり、これが消費行動にも影響を与えていると考えられます。

意識面のデータと行動面のデータをあわせてみることで、より具体的に各世代を捉えることができたのではないでしょうか。ぜひ今回の調査を参考に、Web行動ログを活用したターゲットの分析を行ってみてはいかがでしょうか。

▼今回の調査はTarget Profile Sheetを用いて分析を行っています。
Target Profile Sheetではこのような指標を様々なターゲットセグメントに対して同様に分析できます。


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ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。今回、国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。

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この記事のライター

株式会社ヴァリューズ アシスタントデータアナリスト
1999年生まれ、東京都出身。
2023年に新卒入社後、ヴァリューズのWEBログ分析に携わっています。

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