【調査リリース】YouTube・YouTubeショート・TikTok利用実態 TikTokの利用率は約4割 YouTubeは学び、TikTokはトレンドがキーワード

【調査リリース】YouTube・YouTubeショート・TikTok利用実態 TikTokの利用率は約4割 YouTubeは学び、TikTokはトレンドがキーワード

高い利用率を誇るYouTubeに対し、YouTubeショートやTikTokといった短尺動画の利用率はどれだけの追い上げを見せているのでしょうか。それぞれでよく見られている動画や、生活の中での媒体の位置づけ、使い方や使い分けとは?商品の購買に一番繋がりやすいのはどの媒体?アンケートデータから、各媒体の利用実態を調査しました。


YouTubeは毎日利用が約4割。TikTokは利用率約4割もヘビーユーザーと非利用者に二極化

まず、回答者全体に各媒体の利用頻度についてたずねたところ、「ほぼ毎日」利用する人の割合はYouTubeで約4割となっている一方で、YouTubeショートとTikTokはともに「ほぼ毎日」視聴が全体のうち約1/4に限られていることがわかりました。それに対して「全く利用していない」人の割合は、YouTube、YouTubeショート、TikTokの順に大きくなり、TikTokでは約60%の回答者が非利用者という結果になりました。

TikTokは他の媒体と比べ、毎日利用している人と、全く利用していない人との二極化が進んでいることがうかがえます。

各媒体、「全く利用していない」以外の割合を合計し、回答者内での利用率を求めると、YouTubeが約81%、YouTubeショートが約63%、TikTokが約41%となりました。

※本文内では、ショート動画を含まないYouTubeの通常動画を「YouTube」と記載しています。

続いて、1日あたりの平均利用時間について聴取しました。
全体的にどの媒体も、時間が長くなるにつれて回答者の割合は低くなる傾向にありますが、YouTubeショートのみ「1分~30分未満」単体で50%を超えているのが特徴的です。YouTubeショートは1本の動画が短いことに加え、YouTubeの通常動画の合間につまみ食い的に視聴する人が多く、ショートだけ何時間も見続ける人は少ないのかもしれません。

一方、TikTokを「3時間~4時間未満」利用すると答えた人の割合は約10%で、YouTubeの約2倍、YouTubeショートの約4倍でした。また、3時間以上利用する人をヘビーユーザーと定義して集計したところ、TikTokは20%弱と3媒体の中で最も高くなっており、TikTokのヘビー利用が目立ちます。

「ゲーム実況」はYouTubeに集中、「ペット・動物系」「料理系」は媒体関係なく人気

では、実際にユーザーは各媒体でどのようなジャンルの動画をよく見ているのでしょうか。回答者割合が高い順にランキング化し、上位15位までを掲載しました。

※選択肢は以下の計33項目
美容・メイク・ファッション系、踊ってみた系、ライフスタイル系(Vlog/モーニングルーティーンなど)、バラエティ系(やってみた/クイズ/あるあるなど)、解説/考察系、心霊系、MV/音楽系、ゲーム実況、モッパン、自己啓発系(ビジネス/マインドセットなど)、ASMR系、お笑い・モノマネ系、ニュース番組、切り抜き系、ペット・動物系、料理系、専門知識・経験談系、アウトドア系(キャンプ/釣り/登山など)、カップル系、アニメ/ドラマ、教育系(英語/数学/塾講師の解説など)、ライフハック系、Vtuber、商品紹介系、大食い系、飲食店紹介系、スポーツ系、家族・子育て系、旅行/旅/地域・国紹介系、タレント系(芸能人/声優/アイドルなど)、フィットネス・トレーニング系、その他、分からない/覚えていない

YouTubeではBGM・ながら見の需要からか、「MV/音楽系」「ゲーム実況」が20%を超えてトップとなっています。じっくり視聴したい需要が予想される「専門知識・経験談系」が、YouTubeショート(16位)やTikTok(19位)より高いのも特徴的です。

3媒体で共通しているのは、上位に「ペット・動物系」「料理系」がランクインしていることでしょう。特にTikTokでは、両者がそれぞれ1位、2位を占めています。これらは動画の長さに関わらず、人気のコンテンツのようです。

一方で、3媒体で大きな違いが見られたのは「ゲーム実況」でした。「ゲーム実況」はYouTubeで約20%(2位)であるのに対し、YouTubeショートでは約10%(7位)、TikTokでは約8%(15位)となっています。YouTubeでは作業中BGMとしてフル動画を流しっぱなしにしておきたいという心理に加え、ゲーム作品や実況そのものを楽しむためにフル動画をしっかり見たいというニーズも高いのでしょう。

ゲーム実況というと切り抜き系のショート動画も多い印象です。YouTubeショートでは3位にランクインしている「切り抜き系」ですが、「切り抜き動画を見て気になったので、フル動画を見に行く」といった動きはどれくらい起こっているのでしょうか。

「YouTubeショートの切り抜き動画から、その動画のフルバージョンを見に行く」「YouTubeショートで認知したクリエイターの、通常のYouTube 動画(ショートではないもの)を見に行く」について、YouTubeからYouTubeショートへの遷移は、いずれも「よくある」「たまにある」の合計が約半数となっており、遷移派と遷移しない派でほぼ半々になっていることがわかります。

一方「YouTubeで認知したクリエイターの動画を、TikTokに見に行く」の「よくある」「たまにある」の合計は約40%。YouTube内での遷移よりはやや低くなっています。ただ、アプリを飛び越えて遷移する手間を考えると、イメージよりも高い数値かもしれません。

タイパ重視で「コメント見ながら視聴」「スキップ視聴」か

続いて、各媒体の利用スタイルについてたずねました。
YouTubeでは、「検索して動画を探す」「いつも見ている、もしくは知っているクリエイターの動画を見る」「チャンネル登録(フォロー)をする」がそれぞれ25%超と、ほぼ同率でトップ3となっています。

一方、YouTubeショートでは「チャンネル登録(フォロー)をする」は10%弱と、ショート動画では登録が起きにくいようです。流れるように様々なクリエイターのショート動画を視聴する中では、その動画自体を楽しむことはあっても、チャンネル登録するまでのモチベーションには至りにくいのかもしれません。

YouTube・YouTubeショート・TikTokのいずれも、コメントの閲覧に関しては、「コメント欄を見ながら動画を見る」の方が「動画を見終わった後にコメント欄を見る」よりも高くなっています。特にYouTubeでは「コメント欄を見ながら動画を見る」が約17%となっており、「動画を見ているだけでは手持無沙汰に感じる」というタイパ意識層や、「とりあえず音をつけた状態で、世の中の意見が知りたい」という層が、動画とコメント欄を同時に楽しんでいる様子がうかがえます。このように、動画自体を楽しむだけでなく、同じ動画を見ているユーザーどうしで共感や意見し合う様子を見て楽しむ人も一定数いるようです。

タイパといえば、YouTubeでは「途中飛ばしながら動画を見る」が約17%で7位、「倍速再生をする」が約10%で9位にランクインしました。さらに、「途中飛ばしながら動画を見る」はYouTubeショートでも10%で6位、TikTokは約14%で6位と、短尺の動画でも飛ばしながらの視聴は割と高い割合で起こっていることがわかります。

使い分けは?YouTubeは学び、TikTokはトレンドがキーワード

YouTube・YouTubeショート・TikTokの使い分けを探るため、全ての媒体を「利用あり」と答えた回答者に対して、イメージが最も近い媒体を各項目1つずつ選んでもらいました(例. Aさんが「コンテンツの質が高い」と最も感じる媒体はYouTube)。

YouTubeショートとTikTokでは「スキマ時間に見れる」がともに1位に。TikTokでは50%超が「スキマ時間に見れる」と回答しており、ちょっとした空き時間に手軽に楽しめるエンターテインメントとして認識されていることがうかがえます。「手持無沙汰なときや、スマホを触っている時にまず開く」もYouTubeショートとTikTokでともに3位と、上位ランクインしています。

一方で、YouTubeでは「スキマ時間に見れる」は13位となっており、代わりに「心の余裕がある時に見る」が約半数で1位となっています。長尺の動画を楽しむためにはまとまった時間と集中力が必要なため、状況やモードによって短尺動画と使い分けされている様子がうかがえます。

意外にも「ながら見できる」は、YouTubeと変わらない水準でTikTokでも35%前後と、高い割合になりました。「ショート動画に代替されにくいのは“ながら見”コンテンツ」というイメージは、TikTok単体でのながら見需要が今後さらに高まっていくことで、覆される可能性もあるかもしれません。

その他特徴的だったのは、YouTubeで「学び系のコンテンツが充実している」、TikTokで「トレンド情報に強い」がそれぞれ約半数の票を獲得していること。学びたい時はYouTube、トレンドを知りたい時はTikTokというように、用途によってYouTubeとTikTokの使い分けが起きているのかもしれません。一方、「推し活に利用できる」はYouTubeとTikTokでともに30%前後と、推し活にはどちらの媒体も同じくらい使われていることがわかりました。

「広告きっかけで商品購入」はいずれの媒体も1割以下

続いて、媒体上のプロモーションの効果などを測るため、媒体起点の行動について聴取しました。

「広告」「プロモーションを含む動画」「プロモーションを含まない動画」それぞれがどれだけ購買に繋がったのかを見てみると、いずれの媒体も商品を購入した割合は1割以下でした。
YouTube・YouTubeショート・TikTokで回答者の割合に大きな違いは見られませんが、YouTubeショートがいずれもわずかに他媒体よりも低くなっていることがわかります。やはり、YouTubeの通常動画を見ている時と少しモードが異なるのかもしれません。

3媒体全て「利用あり」と答えた人に対して、商品の購入に繋がった回数が最も多い媒体を選択してもらった結果、YouTube・TikTok・YouTubeショートの順に割合が高く、それぞれ約3割、2割強、約1割となっていました。今後TikTokでの購買経験が増えていくのか、モニタリングしていきたいところです。

本調査では、それぞれの媒体をほぼ毎日利用するヘビーユーザーについて、購買行動の意識も聴取しましたが、媒体間で大きな差はありませんでした。購買意識という面ではユーザー層が似通っているようです。

Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?

ここまで、YouTube・YouTubeショート・TikTokの利用動向や使い分けについて探ってきました。以下の調査では続編として、本調査の結果をZ世代・Y世代・X世代と分けて集計し、世代間で利用実態に違いが出るのかを深堀り調査しています。是非あわせてご覧ください。

Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?<前編>

https://manamina.valuesccg.com/articles/3117

Z世代は、学生時代から動画を楽しむことが当たり前な世代。短尺動画もいち早く取り入れているイメージが強いのではないでしょうか。今回は、Z世代が動画のSNS媒体をどのように使いこなしているのかを、X・Y世代と比較しながら深掘り分析。それぞれでよく見られている動画や、媒体の生活の中での位置づけ、使い方や使い分け、商品の購買に一番繋がりやすい媒体はどれかなど、各媒体の利用実態、および購買意識を徹底調査しました。

Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?<後編>

https://manamina.valuesccg.com/articles/3215

Z世代は、学生時代から動画を楽しむことが当たり前な世代。短尺動画もいち早く取り入れているイメージが強いのではないでしょうか。今回は、Z世代が動画のSNS媒体をどのように使いこなしているのかを、X・Y世代と比較しながら深掘り分析。それぞれでよく見られている動画や、媒体の生活の中での位置づけ、使い方や使い分け、商品の購買に一番繋がりやすい媒体はどれかなど、各媒体の利用実態、および購買意識を徹底調査しました。

【調査・分析概要】
YouTube・YouTubeショート・TikTokの利用について、全国のヴァリューズモニター(15歳以上男女)を対象として、2023年12月20日~2023年12月27日にアンケート調査を実施(回答者 27,519人)。
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


日本のLDHとタイのGMMが一丸となって誕生した新会社G&LFH 背景とトレンドを解説

日本のLDHとタイのGMMが一丸となって誕生した新会社G&LFH 背景とトレンドを解説

2024年6月5日、EXILEを輩出した音楽事務所LDHがタイ大手音楽レーベルGMM MUSICと新エンターテイメント会社【G&LDH】開設を発表しました。タイ最大のメディア企業GMM GRAMMYの子会社であるGMM MUSICは、タイの音楽産業を牽引する存在です。 この合弁会社の設立により、両国の音楽市場の強化と相互の文化理解が期待されています。 本記事では、タイと日本の音楽文化の違いや、音楽がビジネスに与える影響、そしてG&LDH設立の背景を探っていきます。


国内外で受賞!味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」における生活者との共創ポイント

国内外で受賞!味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」における生活者との共創ポイント

味の素冷凍食品株式会社の「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトが、日本マーケティング大賞 奨励賞の他、世界有数のPRアワードである「PR Awards Asia-Pacific 2024」で3部門のゴールドを受賞しました。「冷凍ギョーザがフライパンに張り付いた」という一件のSNS投稿からはじまったという、このプロジェクト。立ち上げの背景や、取り組むうえで大事にされていたことを、同社 戦略コミュニケーション部 PRグループ長の勝村敬太氏に伺いました。


【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年7月~9月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)


最新の投稿


Z世代の4人に3人がウルトラファストファッションの購入経験あり!環境に悪いと知りながらつい購入してしまう「ごめんね消費」も【seamint.調査】

Z世代の4人に3人がウルトラファストファッションの購入経験あり!環境に悪いと知りながらつい購入してしまう「ごめんね消費」も【seamint.調査】

株式会社seamint.は、Earth hacks株式会社、LINEヤフー株式会社と共同で設立した「デカボLab」において、Z世代のウルトラファストファッションおよびサステナブルファッションのサステナブルに関する意識調査を実施し、結果を公開しました。 ※本調査は、株式会社seamint.、Earth hacks株式会社、LINEヤフー株式会社が共同で設立した研究機関、「デカボLab」によって行われました。


デジタル時代に年賀状は必要?年賀状を出す枚数は減少傾向に【フタバ調査】

デジタル時代に年賀状は必要?年賀状を出す枚数は減少傾向に【フタバ調査】

フタバ株式会社は、年賀状に関するアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


2024年のトレンドワードまとめ!新語・流行語大賞の「ふてほど」ほか、50-50、新NISAなど

2024年のトレンドワードまとめ!新語・流行語大賞の「ふてほど」ほか、50-50、新NISAなど

パリ2024オリンピックや衆議院選挙が行われた2024年は、どのような1年だったのでしょうか?2024年新語・流行語大賞の分析とヴァリューズで分析した今年1年間の週間検索キーワードランキングから2024年のトレンドを分析しました。


6割以上のマーケターが"対等なパートナーシップ"を広告代理店に期待!パートナーに求める条件は「定期的な報告・確認のコミュニケーション」が最多【イルグルム調査】

6割以上のマーケターが"対等なパートナーシップ"を広告代理店に期待!パートナーに求める条件は「定期的な報告・確認のコミュニケーション」が最多【イルグルム調査】

株式会社イルグルムは、Web広告の運用を外部に委託しており、Webマーケティングの広告運用に携わっている事業会社の担当者を対象に、Web広告運用に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


【2024年12月16日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年12月16日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ