Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?<後編>

Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?<後編>

Z世代は、学生時代から動画を楽しむことが当たり前な世代。短尺動画もいち早く取り入れているイメージが強いのではないでしょうか。今回は、Z世代が動画のSNS媒体をどのように使いこなしているのかを、X・Y世代と比較しながら深掘り分析。それぞれでよく見られている動画や、媒体の生活の中での位置づけ、使い方や使い分け、商品の購買に一番繋がりやすい媒体はどれかなど、各媒体の利用実態、および購買意識を徹底調査しました。


Z世代は「クリエイターを応援したい」「共感や連帯感を得たい」?

今回はアンケートで聴取したYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態を、X・Y・Z世代間での比較という切り口で深堀り分析し、現役Z世代の著者なりに考察を加えていきます。なお世代の定義については、2023年12月時点で15~26歳をZ世代、27~41歳をY世代、42歳以上をX世代としています。

アンケート回答者全体の傾向については以下の記事で分析しています。前編とあわせてご覧ください。
※本文内では、ショート動画を含まないYouTubeの通常動画を「YouTube」と記載しています。

【調査リリース】YouTube・YouTubeショート・TikTok利用実態 TikTokの利用率は約4割 YouTubeは学び、TikTokはトレンドがキーワード

https://manamina.valuesccg.com/articles/3195

高い利用率を誇るYouTubeに対し、YouTubeショートやTikTokといった短尺動画の利用率はどれだけの追い上げを見せているのでしょうか。それぞれでよく見られている動画や、生活の中での媒体の位置づけ、使い方や使い分けとは?商品の購買に一番繋がりやすいのはどの媒体?アンケートデータから、各媒体の利用実態を調査しました。

Z世代のYouTube・YouTubeショート・TikTokの利用実態をX・Y世代と比較!利用率や使い分け、広告の効果は?<前編>

https://manamina.valuesccg.com/articles/3117

Z世代は、学生時代から動画を楽しむことが当たり前な世代。短尺動画もいち早く取り入れているイメージが強いのではないでしょうか。今回は、Z世代が動画のSNS媒体をどのように使いこなしているのかを、X・Y世代と比較しながら深掘り分析。それぞれでよく見られている動画や、媒体の生活の中での位置づけ、使い方や使い分け、商品の購買に一番繋がりやすい媒体はどれかなど、各媒体の利用実態、および購買意識を徹底調査しました。

まず、各媒体の利用スタイルについて世代間で比較してみます。
Z世代で割合の高さが目立つのが、「いつも見ている、もしくは知っているクリエイターの動画を見る」「チャンネル登録(フォロー)をする」「コメント欄を見ながら動画を見る」「高評価ボタンを押す」など。

「いつも見ている、もしくは知っているクリエイターの動画を見る」については、ながら見や作業用BGMとして、そうした馴染みのあるクリエイターが候補に出てきやすいことや、「自分が好きな世界観に浸る」という推し活的要素もあるかもしれません。また、「チャンネル登録」や「高評価ボタン」については、自分が好きなクリエイターを応援したいという気持ちが強いことや、SNS上でのエンゲージメントを起こすことへの抵抗感が、上の世代よりも小さいことなどが理由として挙げられるでしょう。

「コメント欄を見ながら動画を見る」については、動画を見ながらコメントも追うタイパ意識の他に、「一緒に同じ動画を楽しんでいる視聴者同士の連帯感」を楽しんだり、「動画を見て感じる自分の気持ちを他の人も持っているか、答え合わせしたい」という共感を求める意識もあるのではないでしょうか。

各媒体の利用スタイル(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

一方、「途中飛ばしながら動画を見る」「倍速再生をする」は、X・Y・Z世代で割合に大きな差がない、という意外な結果に。こうしたタイパ行動は、YouTubeやTikTok上では世代を問わず広く起こっているようです。

2023年、マナミナで早稲田大学のアカデミックサークル「マーケティング研究会」に所属する大学生にインタビューを行った際は、以下のようなコメントが出てきていました。

YouTubeの動画だけでなくVODで視聴できる映画についても、初めて見る作品であっても、早送りでなく途中で飛ばしたりします。視聴中のコンテンツ上でカーソルを合わせると、どういう場面かが見えるので、登場人物の重要なセリフが終わった後の戦闘シーンや、「これさっきもあったな」というような戦闘シーンなどは飛ばしてしまいます。

こうした「VOD上の映画作品」でのタイパ行動はZ世代独自のものなのか、気になるところです。

早稲田大学マーケティング研究会に聞く、Z世代に刺さる商品やプロモーションとは

https://manamina.valuesccg.com/articles/2521

「学生×マーケティング」を武器に、学生主催の勉強会や、企業と共催のビジネスコンテストを通して、実践的なマーケティングのインプットとアウトプットを目指す早稲田大学のアカデミックサークル、マーケティング研究会。意欲的に活動を行う「まーけん」民の熱意の裏側と、マーケターの目線をもったZ世代がいま気になる商品やプロモーションについて、幹事長の斉藤くん、渉外局長の石原くん、勉強会局長の石田さんに伺いました。

Z世代を男女で比較してみると、Z世代女性の「いつも見ている、もしくは知っているクリエイターの動画を見る」「コメント欄を見ながら動画を見る」「チャンネル登録(フォロー)をする」の割合の高さが目立ちました。好きなクリエイターを応援したい気持ちや、視聴者同士で共感したいというような気持ちは、Z世代の中でも特に女性で強いと考えられます。

各媒体の利用スタイル(Z世代男女別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

Z世代女性は約半数が、飲食店・旅行先探しにTikTokを活用

YouTube・YouTubeショート・TikTokの使い分けを探るため、全ての媒体を「利用あり」と答えた回答者に対して、イメージが最も近い媒体を各項目1つずつ選んでもらいました(例. Aさんが「コンテンツの質が高い」と最も感じる媒体はYouTube)。

まずは「手持無沙汰なときや、スマホを触っている時にまず開く」という項目について。どの世代もTikTokが40%超とボリュームゾーンになっています。Z世代の中では、Z世代男性がどの媒体も30%前後と大きな差がないのに対し、Z世代女性はTikTok単体で50%と顕著に高くなっていました。

各媒体のイメージ(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

「トレンド情報に強い」はどの世代もTikTokが1位に。TikTokの回答者割合はZ世代が最も高く、特にZ世代女性は70%超が、TikTokが最もトレンド情報に強い媒体として回答しています。

各媒体のイメージ(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

「スキマ時間に見れる」に関しても、どの世代もおよそ半数以上がTikTokを選択しています。

各媒体のイメージ(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

「飲食店や旅行先などのスポット探しに役立つ」については、世代で回答がばらける結果になりました。Z世代で最も回答者が多かったのはTikTokで、こちらもZ世代女性で非常に顕著ですが、Y世代ではYouTubeとTikTokがほぼ同率であり、X世代ではYouTubeが最も高くなっています。Z世代女性の特徴として、自分自身の生活におけるプランニングのための情報収集に、TikTokをいち早く活用している人が多いと言えるかもしれません。

各媒体のイメージ(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

最後に「ながら見できる」について。Z世代ではYouTubeが1位となっている一方、X世代ではTikTokが1位に。Z世代は長尺動画をながら見の対象にしている人が多い中で、上の世代には短尺動画が選ばれているのは興味深い結果です。

各媒体のイメージ(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

YouTubeで推しのライブ配信、ショートで推しのオフショット、TikTokで推しのファンアート

各媒体の使い分けについては、回答者にFA(自由回答)も聴取しました。ここではその中から、10代Z世代のリアルな声を一部紹介します。

「なにか分からないことがあったらまずYouTubeで調べる」(15歳男性)
「通学時のバスや電車の中ではTikTok、家に居るときはYouTube」(15歳男性)
「YouTubeは好きなYouTuberが投稿したら見る。ショートは見たい時に見る。TikTokは毎日見る」(15歳女性)
「YouTubeは時間のある時、リラックスしたいときに使う。TikTokはとりあえず見る、いつも開いている」(15歳女性)
「音楽やMVを見たい時はYouTubeで、笑いたい時はショートで、暇な時はTikTok」(15歳女性)
「暇な時にTikTok。ご飯の時にYouTube。寝る時にYouTubeショート」(16歳女性)
「時間に余裕がある時や、作業時に流すBGMとしてYouTubeを使う。YouTube使用中に、気になるサムネを見つけたらショートを少しのぞく。芸能人の推し活MADをみるときはTikTokを使う」(16歳女性)
「YouTubeはライブ配信、公式長編動画。YouTubeショートは推しのオフショ」(17歳女性)
「同じ推しの人のファンアートを見たりするのはTikTokで、推しを見るのはYouTube」(17歳女性)

時間の余裕や自分のモードにあわせて媒体の使い分けが意識して行われている他、推し活においても媒体ごとにうまく使い分けがされていることがわかりますね。

プロモーションに敏感なZ世代、SNS広告の効果は?

続いて、YouTube上で得た情報をもとにどのような行動を取ったことがあるか、たずねました。

「広告がきっかけで商品を購入した」はどの世代も10%を切り、世代間で大きな差はありません。「プロモーションを含む動画で紹介されていた商品を購入した」についても、顕著な差は見られませんでした。

一方、「プロモーションを含まない動画で紹介されていた商品を購入した」「動画がきっかけで人やキャラクター、商品、作品などのファンになった」は、Z世代で高い結果に。「クリエイターがプロモーション関係なく、本当に自分が好きなものを紹介している」場合は、プロモーションに敏感なZ世代にも響きやすいのかもしれません。推しているクリエイターであれば、推しと同じような物を持ちたいという欲求が生まれることも考えられます。また、動画起点のファン化は、Z世代の中でも女性で起きやすいことが見て取れます。

YouTube起点の行動(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

購買回数が最も多いのはZ世代男性でYouTube、Z世代女性でTikTok

では、最も購買に繋がった回数が多い媒体はどれなのでしょうか。
3媒体全て「利用あり」と答えた人に対して聴取したところ、どの世代もYouTube、TikTok、YouTubeショートの順に購買回数が多くなっていますが、Z世代男性ではYouTubeが、Z世代女性ではTikTokが最も高くなっています。前述のスポット探しの件と同様、Z世代女性はTikTokと購買行動との結びつきが他のセグメントよりも強いようです。

商品購入に繋がった回数が最も多い媒体(世代別)
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女(各媒体の利用者)

Z世代は口コミのインプット・アウトプットが盛ん

最後に、各世代の購買意識について聴取しました。
上の世代よりもZ世代で割合が高くなっているのは、「自分が良いと思ったことを人に伝える」「ネット上(インフルエンサーを含まない一般ユーザー)の口コミや評判を参考にする」「好きなインフルエンサーが発信した内容を参考にする」「家族や友人などの知人が発信した内容を参考にする」といった項目。

Z世代はインフルエンサー、ネット上の一般ユーザー、自分の知人と、それぞれからの口コミ情報をバランス良く取り入れ、購買時の参考にしている様子がうかがえます。また、そのように様々な角度からの口コミ情報を重視している分、自分自身も良いものは発信するという、インプット・アウトプットの動きが他の世代よりも盛んなようです。

各媒体の毎日利用ユーザーの購買意識
実査期間:2023年12月20日~2023年12月27日
対象者:15歳以上の国内男女

【調査・分析概要】
YouTube・YouTubeショート・TikTokの利用について、全国のヴァリューズモニター(15歳以上男女)を対象として、2023年12月20日~2023年12月27日にアンケート調査を実施(回答者 27,519人)。
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。

【無料レポート】2025年最新!SNSユーザー数ランキング(全30サービス)

https://manamina.valuesccg.com/articles/4597

国内30のSNSアプリを対象とした「SNSユーザー数ランキング」調査レポートのダウンロードページ(2023年8月~2025年8月)。国内SNS市場における各サービスのMAU(月間アクティブユーザー数)やユーザー属性を明らかにしています。

この記事のライター

1997年生まれ、大阪大学卒。データアナリストを経て、Webマーケティング・リサーチを軸に、コンテンツディレクション、SNS運用、デジタル広告運用などを担当。現在はフリーで活動しています。

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