ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


1.KPIを策定する際に押さえておくべきこと

KPIとKGI

KPIを策定するには、目的であるKGIを設定する必要があります。KPIとKGIの違いをおさえておきましょう。

1-1 KPIとは
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」です。
設定した目標をクリアするために、どのような過程を踏めば達成することができるかを洗い出すだけではなく、その過程をクリアすることができているかどうかを数値で計測するのがKPIです。


1-2 KGIとは
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要目標達成指標」です。
最終目標の達成を計測するための指標であり、マーケティングでよく使用されます。


1-3 KPIとKGIの違い
例えば、ECサイトにおいて、「売上を前年比1.5倍に増やす」ことを「目標」に設定するとします。ECサイトで売上を増やすためには、「サイト訪問者数を増やす」「購入単価をアップさせる」「購入のCVR(コンバージョンレート)を高める」などを小目標に設定します。
この場合、「売上前年比1.5倍増」がKGIで、「サイト訪問者数」「購入単価」「CVR」がKPIにあたります。
このように、KGIが明確に設定されないと、KPIを策定することができません


1-4 KPIとKGIを設定するときの注意点
効果的にPDCAをまわすためには、KPIが具体的なだけではなく、施策を実行しKPIを検証することができる内容かを精査する必要があります。

またECサイトなどにおいて注意しておきたいのが、「CPA」のみを成果指標にしてしまうゴール設定です。
実際の利益につながるコスト指標である「CPA」は、コストカットのために大切なポイントではありますが、ECサイトのCV数を向上させるための効果的な施策を発見する妨げになってしまうことも。

大切なことはKGIを達成することであり、CPAはKPIのひとつに過ぎないということを考慮しましょう。

2.課題を抱える施策を洗い出すためのポイントとは

KPIを策定するためには、以下のような手法で課題が眠る施策やポイントの洗い出しを行う必要があります。

2-1 アトリビューション分析を用いて各施策効果を洗い出す
アトリビューション分析とは、直接的に売り上げや問い合わせにつながった流入経路や広告だけではなく、成果に至った全ての顧客の行動履歴を解析し、成果への貢献度を評価することです。

アドリビューション分析を行うことで、プロモーションを効果的に組み合わせるだけではなく、予算を最適に配分したり、新しいターゲット開拓経路を発見したりすることができるので注目を集めています。

直接コンバージョン以外の間接コンバージョンを計測することで、広告の貢献度を正当に評価することができ、従来の「コストが発生しているのに広告の効果が見えない」という課題を解決してくれます。

▼アトリビューション分析の種類
オンラインアトリビューション分析では、オンライン上の施策のみの貢献度を算出します。
統合アトリビューション分析では、オンラインに加えてTVCMなどのオフライン施策も含んで分析をします。
また、成果配分モデルや数理モデルなど、多彩なアトリビューション分析のモデリングがあります。

▼アトリビューション分析の成果配分モデル
初めてアトリビューション分析をされる方でも取組みやすいのが成果配分モデルです。成果配分モデルの特徴は、タッチポイントを分類し「どのタッチポイントを評価するか」という点に注目していることです。
タッチポイントは「最初」だけではなく、「中間」や「最後」などに分類されます。

例えば終点のタッチポイントに100%の貢献度を割り振る場合は「終点モデル」と呼ばれ、販売サイクルがごく短い期間が限定されたキャンペーンに適しています。

最初の起点タッチポイントに100%の貢献度をおくのは、初期のブランド認知を目的としたキャンペーンを掲載している場合に適しており、「起点モデル」といわれます。

そして、コンバージョンに至る全てのタッチポイントを均等に評価するのが「線形モデル」と呼ばれ、最も使いやすいとされています。


2-2 競合分析を行い、どの施策が競合に対して劣っているのか洗い出す
自社への流入経路だけではなく、競合への流入経路を分析することで、どの施策が競合に対して劣っているのか洗い出しましょう。

ヴァリューズのネット行動ログ分析サービス「Dockpit」を用いると、自社サイトと競合サイトの流入経路や流入ボリュームを比較しながら競合分析をすることができます。

例えば、競合がディスプレイ広告に注力していて、自社が競合に差をつけられている場合、ディスプレイ広告への予算配分を増やすなどが考えられます。また、競合サイトがGoogleやYahoo!などの自然検索で自社よりも多くのユーザーを集客している場合は、具体的にどのようなキーワードを検索した後にアクセスされているのか、自社サイトのSEOの弱点を洗い出すことができるのです。

Dockpitの流入元分析のイメージ
(画像は、格安EC「Temu」「SHEIN」の場合)

Dockpitでは、広告施策の内訳も詳しく見ることができる
(画像は、格安EC「Temu」「SHEIN」の場合)

3.施策ごとの課題を分析し、KPIを策定する

3-1 ロジックツリーとは
ロジックツリーとは、論理を構成するツリー状の思考ツールです。
「WHY?」を基にした原因追及ツリー、「HOW」を基にした問題解決ツリー、「WHAT」を基にした要素分解ツリーがあります。
一般的には、原因追求と問題解決が一番多く使用されています。

WHYツリーでは、原因を考えるときに「なぜ?」と考えながらツリーを描きます。
WHYツリーは、原因を広くそして深く追求するのに効果的です。
HOWツリーでは、解決策を考えるときに「どうやって」と考えながらツリーを描きます。
HOWツリーは、解決策を考えるのに効果的です。

これらのツリーを活用して、KGIを達成するためには、何が足りないのかを考えるのがKPI策定の第一歩。
議題が眠っている施策やポイントごとに、その原因と考えられる項目を、ロジックツリーを構築して探求していきましょう。

ECサイトの売上向上を目指す際には、以下の画像のようなロジックツリーを考えます。

ECサイトにおけるロジックツリーの例

3-2 ユーザーシナリオとは
集客のプランニングを考えていく上で、欠かせないのが「ユーザーシナリオ」です。
ユーザーの行動の仮説を考え、ユーザーを誘導するシナリオを作成することで、ゴールに導き商品の売り上げや問い合わせにつなげます。
ユーザーの行動の仮説に基づいて、どの段階でどんなアプローチを行うのが効果的かを考えるのです。

例えば、ボーナスがでる年末にゲーム機器を売りたい場合。
想定される需要として、「クリスマスプレゼント」や「ボーナスによる需要」があげられるだけではなく、「お正月のお年玉による需要」も高いことが考えられます。
そこで、この3点をもとにユーザーの動きを想像します。

まずは、ディスプレイ広告で「クリスマス」が近いことを認識し、子どもや家族へのプレゼントを意識します。
すると「検索」を行い、「検討」をはじめます。
ゲーム機器は種類があるので、適切なものを購入するために比較サイトなどを使用することが多いです。
そして、更に細かい「メーカー名」や「ゲームソフト名」などで検索を行い、検索結果から販売サイトへアクセスをします。

こうしたユーザーの行動・思考・課題を整理し、下記の画像のようなユーザーシナリオを考えます。

ECサイトにおけるユーザーシナリオの例

このシナリオをもとに、施策の展開を考えていきます。
検索キーワードを考えてSEO対策を行ったり、リスティング広告を行うだけではなく、検索によるリターゲティング広告を行うことで、再度ユーザーに価値情報や訴求ポイントを伝えることができます。

ユーザーの行動というのは、人の数だけ無限に存在するものですが、ユーザーが購入に至る流れに焦点を当てて仮説を立て、ユーザーの行動に沿った集客のプランニングを行うことで、効果的な集客をすることができます。

4.おわりに

KPIとKGIを意識することで、より売上をあげることができるだけではなく、ユーザーへ効果的な集客・アプローチを行うことができます。

KPIの策定は、ユーザーの行動を単に考えるだけではなく、PCDAを効果的にまわすためにも、必ず検証を行いトライアンドエラーを繰り返していくことも大切です。

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この記事のライター

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