駒場公園
自宅から近い目黒区立駒場公園周辺も毎日のウオーキングコースのひとつです。駒場公園は旧加賀藩主前田家の第16代当主である前田利為侯爵の邸宅跡で、旧前田邸とも呼ばれています。2013年には国の重要文化財にも指定されていて、洋館・和館ともに昭和初期に建てられた面影が色濃く残っています。また、公園内には日本近代文学館が開設されていて、日本の近代文学に関する資料が豊富で閲覧できます。前田利為候が事故死すると、一時期は中島飛行機の本社になったり、敗戦後は米軍に接収され解除される1957年までの12年間は連合軍極東司令官の官邸として利用されるなど歴史に翻弄されてきました。1967年に東京都駒場公園として開園、1975年に目黒区に移管されました。洋館の建築様式はイギリス・チューダー様式で、東京帝国大学塚本靖教授と宮内省の髙橋貞太郎氏が設計に携わりました。
当時の個人邸宅としては東洋一と評されていたようで、和館は書院造の和風建築で海外からの賓客を前田利為候が接客するために建てられたとされています。園内には芝生広場があり、春には桜が多く咲き乱れ、花見客で賑わいます。晴れた陽気のいい日には庭から洋館を眺めながら、読書したり昼食を摂ったりすると贅沢な気分になります。この公園と建物の威厳にはいつも圧倒され、当時の華族の華やかな生活ぶりと激動の昭和期の歴史とその凄味に敬意すら感じます。興味があれば訪問されるのはいかがでしょうか。お薦めします。
国立公園・国定公園
箱根や日光、尾瀬などでハイキングする機会が増え、改めて自然の素晴らしさに触れ、感動を覚えます。日常生活から離れ、豊かな自然に向き合うと精神的に満たされた気分に浸れます。自然を活かしたアクティビティ体験により、子供から大人まで楽しめるプランも多数生まれています。野生動物や植物、歴史文化など壮大な自然に包まれ、日本の魅力に触れることができる国立公園。国立公園をはじめとする自然公園は、日本を代表する自然の風景であり、自然と人の暮らしの共存を認める場所でもあります。日本の国立公園は自然公園法に基づいて、日本を代表する自然の風景を保護し、利用を推進する目的で環境大臣が指定する自然公園です。
国定公園との違いは、国定公園は国立公園に準ずる景勝地であり都道府県に管理を委託されますが、国立公園は国(環境省)が自ら管理します。重ねて国立公園の面積の6割が国有地です。
また、国が設置・管理を行う都市公園が国営公園です。これは都市公園法という法律に基づき、国土交通大臣が指定します。1934年3月に瀬戸内海国立公園、雲仙国立公園(現:雲仙天草国立公園)、霧島国立公園(現:霧島錦江湾国立公園)の3カ所が最初に指定を受けました。今年6月25日には35カ所目となる日高山脈襟裳十勝国立公園が新しく誕生、国定公園は58カ所を数えます。都道府県立自然公園は310カ所で、自然公園の利用者数は減少傾向にあるものの年間で、のべ9億人となります。日本の自然を保護・保全するための中核となる自然公園は面積では国土の約15%を占めています。
ランチョンテクニック
気分が乗らなかったり、疲れ果てた時に美味しいものや好物を食べると気持ちが自然に和らぎ、元気が出てくることがよくあります。食事は空腹を満たすだけでなく、脳の動きに影響を及ぼします。取り巻く環境の変化により、脳の動きは無意識のうちにコントロールされるといった状況がよく起こります。例えば、よい眺めの景色が見える雰囲気のいい場所では、自然に仕事や勉強がはかどることは誰もが経験済みです。
このように元は関係が無い2つのものが関連すると錯覚してしまう現象を心理学では「連合の原理」と呼んでいます。CMで好感度の高いタレントや話題のスポーツ選手などが起用されるのも同じ現象です。この「連合の原理」を応用したものが「ランチョンテクニック」です。サミットなど国際会議などでは首脳達への食のもてなしがつきもののように、難題を効率的に議論するためには食事は必要不可欠なのです。陽気のいい時期に青空の下で公園のベンチに座って、弁当やおにぎりを食べると、より美味しさを感じて心に余裕が生まれます。食事の環境をこだわることは大切なのです。
このように「ランチョンテクニック」はメンタルヘルスの向上をも期待できます。ただ、それでも心地よさを感じない場合は休息を早めにとることをお勧めします。脳の疲れにより『休息する必要あり』とのサインと考えられます。
パークPFI
公園は自然を守るために一定の区域を指定する自然公園と国や自治体が整備する都市公園に種別できます。国土交通省によると、2022年度では都市公園は小規模なものから大規模なものまで全国に総数で11万カ所を超え、1960年度末と比べて約60年間で25倍に増加しました。総面積も約13万ヘクタールと9倍に増加、いずれも過去最大です。都市計画法の影響もあり、小規模な公園が増え続け、全体の9割を占めています。
しかし、自治体の厳しい財政事情では公園の維持管理費は増えず、ピーク時の2017年度の9割の水準です。維持管理の負担の重さは続き、人手の確保や手入れが十分に行き届かない状況です。また、都市公園法は公益上特別な必要がある場合を除き、「みだりに廃止してはならない」との規定があるため、建設から30年以上の都市公園は5割に達し、老朽化が進んでいます。
救世主ともいうべき、パークPFIは民間の資金やノウハウを活かして施設を整備し、収益の一部を公園整備に還元する仕組みです。当然、民間にもメリットがあり、参入企業も増加し、2022年末で全国131カ所と拡がりを見せています。ただ、どうしてもカフェや子供向けの施設などのハコモノが多く、住民の理解を得るためには公共性を重視し、どのような価値を生み出していくのかについての丁寧な説明が求められます。都市インフラの再整備を進める上で、予算を確保するためには都市公園を公共施設と一体で整備するなど知恵を絞り、健康・スポーツ、防災、文化・芸術など多面的な機能を発揮できるような見直しも必要です。
日本は身近で小規模な公園の整備にも力を入れていて、間違いなく海外に劣っていません。今後、公園を質量ともに充実・発展させるには市民や行政、企業が一緒に育てていくといった視点と知恵や工夫が求められています。
株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェロー。広告・マーケティング業界に約40年従事。
日本創造学会評議員、国土交通省委員、東京富士大学経営研究所特別研究員、公益社団法人日本マーケティング協会月刊誌「ホライズン」編集委員、常任執筆者、ニューフィフティ研究会コーディネーター、CSRマーケティング会議企画委員会委員、一般社団法人日本新聞協会委員などを歴任。日本創造学会2004年第26回研究大会論文賞受賞。