健康志向が浸透する中国、飲料品トレンドを調査

健康志向が浸透する中国、飲料品トレンドを調査

近年、中国では人々の収入が高くなるにつれて生活の質に対する要求がますます高まっており、健康意識の向上が顕著になりました。さまざまな分野で健康志向に基づいたトレンドが生まれ、その影響は飲料品にも表れています。今回は、飲料品の流行にどのような変化が起こっているのかを紹介します。


無糖飲料の人気が上昇中

iiMedia Research(艾媒咨詢)が発表した《2024-2025年中国茶饮料行业发展及消费洞察报告》(2024-2025年中国ティードリンク産業発展及び消費洞察レポート)によると、2023年に中国新式ティードリンク市場の規模は3333.8億元に達し、前年同期比13.5%の増加となりました。また、無糖飲料市場の規模は前年同期比 101.2%増加の401.6億元となるなど健康消費の動向が際立ち、ティードリンク関連製品の市場規模がさらに拡大していくことが予想されました。

消費者がパッケージ飲料ブランドを知る主なルートはコンテンツシェアプラットフォーム、テレビ広告、ショートビデオプラットフォームとなっており、それぞれ49.3%、46.3%、45.4%を占めています。

iiMedia Research(艾媒咨詢)のデータを基にヴァリューズが作成

また同データによると、46.9%の消費者が無糖・ゼロカロリー・脂肪ゼロのパッケージ飲料を特に愛飲しています。消費者の支持を受けるこのような製品は、飲料業界における新製品のイノベーションとアップデートの人気方向となりました。

今年6 月の618 ショッピングイベントでは無糖飲料の人気が改めて明らかになり、京東スーパーの軽食飲料業務におけるデータによると、今年の618イベント期間の無糖飲料類取引額は前年同期比315%の増加となりました。

果汁飲料も人気に

無糖飲料と同時に、比較的に健康的だとされる果汁飲料もますます消費者の人気を集めています。華経産業研究院のデータによると、2023年に中国飲料市場の規模は9092元に達し、果汁類飲料市場のシェアは13.7%となりました。また紅餐産業研究院による《现制饮品创新趋势研究报告2024》(2024年現場製造飲料品創出動向研究レポート)によると、2024年上半期に売り出されたティードリンクのうち、フルーツティーの商品数が最も多く、全体の36.8%を占めました。

2024年、HPP(High Pressure Processing = 高圧殺菌技術)が施された野菜果実ジュースという種類の商品の人気が高まっています。HPPでは果汁の栄養成分が損なわれず、通常よりも野菜や果実の新鮮な口当たりや風味を保つことができます。HPP野菜果実ジュースの販売量は2年連続で2倍の増加を達成しました。そのうち、“HPP紅心りんごジュース”という名称の商品は、 今年の販売量が400%の増加率に達しました。

その他、成分クリーンを強調した100%野菜果実ジュースも消費者の注目を集めています。2023 年、“阿斯巴甜”事件と呼ばれる食品衛生の問題が起こりました。2024年ではこの影響により、消費者による飲料購入時の成分表への関心が大きく高まりました。消費者は各種の添加物や防腐剤に対してさらに敏感になり、各大手プラットフォームがおすすめする“クリーンな成分表の飲料品”という投稿がますます増えています。複数のメーカーが共同で立ち上げたブランド・胖東来DL による砂糖、着色料、防腐剤無添加の100%ジュースも、小紅書などのプラットフォームで人々の好評を博しています。このように消費者は製品の品質に対する追求を持ち続けており、良質な製品を購入できることを望んでいます。

伝統的な健康理念と植物飲料の広がり

iiMedia Research(艾媒咨詢)の《2024-2025年中国茶饮料行业发展及消费洞察报告》によると、2023年の養生茶飲市場の規模は前年同期比27.3%増加の411.6億元となりました。
2024年、“栄養健康”という消費傾向の広がりの効果が飲料消費市場の方面で表れており 、“軽養生”(手軽な健康管理)という理念が今年の飲料製品の営業普及に幅広く活用されています。中国国内で有名なコンテンツシェアプラットフォーム・小紅書では「#軽養生」というキーワードの閲覧数がすでに200万回を突破しました。

小紅書で「轻养生饮品(軽養生飲料品)」と検索した結果。
“中药”(漢方薬)、“药食同源”(医食同源)などのワードが見られる。

また、“中国式養生水”に代表される植物飲料の人気が高まっています。果物・野菜・茶・コーヒーを除く植物飲料のうち、涼茶や酸梅湯のほか、中国式養生理念に従って豆類(緑豆、小豆など)、穀物(ゴマ、ハトムギなど)、ドライフルーツ(ナツメ、クコの実)、花・植物(スイカズラ、プルメリア)など、伝統的で薬用価値もある食材を採用し、煮込・抽出などの工程を通した伝統的な養生概念をメインとするパッケージ飲料を、中国式養生飲料といいます。
益索普調研のデータによると、多くの消費者が各種の健康トラブルに見舞われた際に植物飲料に頼るようになっています。CBNDataによると、体調が悪いときに植物飲料を飲用したことがあるという消費者は79%にのぼり、その割合は2023 年よりも31%多くなっています。2024年1~5月に植物飲料の販売額は、天猫で258.89%、京東で87.64%、抖音で51.49%の増加を達成しました。

目下の市場では“養生”、“食事療法”、“医食同源”をラベルとした製品が新しい消費の形になっており、それらは“体内調整”と“外面ケア”の大きく二つに分けることができます。効果を細分化して製品を分類し、 “原材料+効果”というスタイルを採用したこれらの商品は、“健康特性”を具体化しています。
そのうち、 “体内調整”の主力製品の多くは草本植物や健康穀類を原料としています。例えば、熱冷ましの“菊花茶”・腫れと湿気を引かせる“小豆ハトムギ水”・肌の乾燥を防ぐ“杏皮茶”・肝臓機能強化の“トウモロコシのひげ茶”などです。 “外面ケア”製品はスキンケア・ダイエット・美白・目の保護などの功能をより強調しており、ビタミン・アントシアン・ニコチン酸アミドなどの成分を加えた飲料品が主となっています。

まとめ

人々の健康意識が高まっている中国における、飲料品のトレンドを紹介しました。今まで多糖・高カロリーの傾向にあった飲料の流行が、健康志向により現在は無糖・ゼロカロリー・脂肪ゼロといった正反対の傾向に転じ、さらには添加物にも注目が集まっています。また、健康志向の高まりは伝統的な“養生”という概念にも及び、各種の健康促進効果を備えた植物を使用した飲料が人気を得ています。今後も人々の健康意識が飲料品のトレンドにどのように影響していくのかが注目されます。

この記事のライター

早稲田大学大学院在学中。中国文学を学んでいます。

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