いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

いすゞの「だれでもトラック」エルフミオは変革を起こすか? Webサイト訪問者データで初動を分析

2024年7月、いすゞ自動車は新型トラック「ELFmio」を発表しました。普通自動車免許で運転でき、「だれでもトラック」と銘打たれるこのトラック。狙いは物流を担うトラックドライバー不足の解決です。そんなエルフミオのインパクトを、Webサイト訪問者データを通じて分析しました。


いすゞ自動車の新たな戦略!新型トラック「エルフミオ(ELFmio)」とは

2024年7月24日、国内大手トラックメーカーであるいすゞ自動車は、新型トラック「エルフミオ」を発表しました。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いて「エルフミオ」の検索者数をみてみると、発表のあった7月に急激に伸びています。

キーワード「ELFmio」「エルフミオ」の検索者数

キーワード「ELFmio」「エルフミオ」の検索者数
期間:2024年3月〜2024年8月
デバイス:PC・スマートフォン

関心を集めている「エルフミオ」ですが、どのような特徴をもったトラックなのでしょうか? もっとも大きな特徴は、普通自動車免許で運転できることです。公式サイトでも大きなテーマとしている「だれでもトラック」を象徴する点といえるでしょう。

現行法では、普通自動車免許で運転することができるのは総重量が3.5トン以下の車両のみです。ほとんどの商用トラックはこの制限を上回ってしまいますが、「ELFmio」はこれをクリアし、多くの人が運転できる設計となっています。後ほど言及するように、トラックドライバー不足の課題を解決する足がかりになるかもしれません。

いつもと違う広告やオンライン完結の販売で差別化

「だれでも運転することができる商用トラック」として注目を集める「ELFmio」ですが、広告や販売方法にも工夫がみられます。

まずは広告です。いすゞ自動車といえば「はーしーれはしーれ いすゞのトラック」というフレーズが印象的なCMが有名です。

地平線と大型トラック、そんな「いすゞのCM」のイメージとは少し違ったものが、「エルフミオ」のCMでは展開されています。

こちらの映像では、主役を演じる本田翼さんが運転する「ELFmio」と、町の日常が描かれています。トラックのみに焦点が当たる従来のCMと違い、運転する人や、「だれでも運転できる」ことが強調されています。多くの登場人物が登場し、商用トラックに関わる人だけでなく一般の方にも訴求したいという狙いが感じられます。

販売方法という観点からも「ELFmio」をみてみます。いすゞは商用自動車の生産が主軸のため、建設機械メーカーなど企業への販売が基本です。しかし、「ELFmio」は一般の消費者への販売を行うため、
「ELFmioストア」という販売サイトを展開。相談・商談・注文を全てオンラインで行えることをアピールしています。普通免許で運転できる点のみならず、手軽さが一貫して感じられます。

『ELFmio』サイトをDockpitでデータ分析

ここからは「ELFmio」の商品ページや販売サイトをDockpitで分析してみます。以下のグラフは、「ELFmio」の商品ページ(桃色グラフ)と「ELFmio」の販売サイト(青色グラフ)のWebサイト訪問者数を示しています。

「ELFmio」の商品ページおよび販売サイトの訪問者数

「ELFmio」の商品ページおよび販売サイトの訪問者数
期間:2023年10月〜2024年9月
デバイス:PC・スマートフォン

どちらもサイト開設から数ヶ月で大きく訪問者数をのばしていますが、特に販売サイトは右肩上がりの曲線をえがいています。実際に購入した方や、検討している方が増えているといえるでしょう。

続いて、訪問者の年齢構成をみていきます。

「ELFmio」商品ページ及び販売サイト訪問者の年齢構成

「ELFmio」商品ページ及び販売サイト訪問者の年齢構成
期間:2023年10月〜2024年9月
デバイス:PC・スマートフォン

どちらのページも比較的高い年齢層の方の訪問が多くなっています。他産業とくらべて従業者の平均年齢が高いトラック運送業の特徴(参考:国土交通省:https://www.mlit.go.jp/common/001225739.pdf )を反映しているといえます。しかし、普段とは異なる形式の広告で訴求したいと思われる若年層の訪問はあまり多くないようです。若年層に波及させるためには、まだ時間経過や広告の内容の工夫が必要かもしれません。

ドライバー不足解消に一役?いすゞの狙いとは

普通免許で運転できるトラック、一般の方に訴求するCM、オンラインで完結する販売など、多くの新たな試みがなされている「ELFmio」には、いすゞ自動車のどんな狙いがあるのでしょうか?

以下のサイトによると、社長である南真介氏は「小売業や建築業など、これまでアプローチできていなかった客層がいる。選択肢を提供し、社会課題を解消していきたい」と語っています。

いすゞ 小型ディーゼルトラック「エルフミオ」30日発売、普通免許で運転可 – 一般社団法人 日本自動車会議所

https://www.aba-j.or.jp/info/industry/22370/

自動車関連業者による団体 一般社団法人 日本自動車会議所のウェブサイトです。活動紹介や最新情報をお届けしています。

免許の制限が小さいトラックの販売によって、新たな顧客を獲得する狙いがうかがえます。さらには、社会課題の解決にも視線をむけていることがわかります。

社会問題という観点では、運送業に関連する大きな問題のひとつに「トラックドライバー不足」があげられます。2017年に道路交通法が改正され、準中型免許が新設されました。これにより普通免許で運転することができる車両の範囲が狭まり、多くの中型トラックを普通免許で運転することができなくなりました。そのためこれによりトラックドライバーへの参入障壁が高まり、ドライバー不足に拍車がかかったとされています。この基準をクリアした「ELFmio」はネットショッピングのさらなる隆盛が予測される現代において、ドライバー不足の解消の足がかりになるかもしれません。

今回は、いすゞ自動車の新型トラック「エルフミオ」に焦点をあててリサーチを行いました。浮かび上がってきたのは普通免許なら誰でも乗れて販売もオンラインで完結する手軽なトラックと、免許制度改正などによって深刻化してきたトラックドライバー不足でした。

しかし、ドライバー不足解消に不可欠な若年層への訴求は、まだまだ伸びしろがあるといえそうです。社会課題解決を通じ、新たな顧客獲得を目指すいすゞ自動車の新しい試みにこれからも注目です。

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この記事のライター

趣味はアカペラ・ゲーム・謎解き。

大学で経済学を学びながら、マナミナのライターを務めています。
ライター歴は浅いですが、Z世代のならではの視点をお届けできるよう頑張ります!

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