ノンエンデミック広告はリテールメディア市場の起爆剤に
リテールメディアの用途や機能が進化するにつれて、これまで取り込むことができなかった広告需要に対応できるようになった結果として、ノンエンデミック広告の取引が活性化するという事例が既に米国市場では見られ始めています。2025年以降はこうした事例が日本市場においても展開されるようになると予測されます。
ノンエンデミック広告市場の成長速度と成長規模は、現在のオンライン広告市場において大きな割合を占める動画広告市場やインフィード広告市場の10年前の動きと相似しています。
ノンエンデミック広告とは、リテールメディア広告の一形態であり、特定のECサイトやアプリ上で商品やサービスを販売していない企業が、そのECサイトやアプリ上に出稿する広告です。
一例として、ファッション/航空券/チケット/デリバリーサービスなどの販売を行うサイトやアプリ上に、動画ストリーミングサービスや保険商品などの広告が掲出される事例が該当します。
図解:エンデミック広告とノンエンデミック広告の違い
独立系EC事業者の市場規模は年平均で約3倍に
EC本体事業と比較して利益率が高い傾向にある広告事業を付帯収益源として有力視するEC事業者は多く、その広告収益を拡大及び多様化していく上ではノンエンデミック広告の導入が有効な施策となり得るとの認識が先進的な事業者の間で醸成されつつあります。
とりわけ独立系EC事業者の動向には大きな注目が集まっています。既に広告事業を一定規模にまで成長させた大手ECモールとは対照的に、ファッション/航空券/チケット/デリバリーなど専門化した商品やサービスの販売を行うこれら独立系EC事業者が形成するノンエンデミック広告市場はまだ黎明期にあります。
その結果として、少数の事業者による動向によって今後激しく変動し得るものの、全体としては市場規模が毎年3倍近くに拡大することが予測されます。
Rokt/デジタルインファクト共同調査 :独立系EC事業者によるノンエンデミック広告市場規模の成長率
ノンエンデミック広告ではレレバンシーが鍵に
ノンエンデミック広告市場規模の成長予測は、「ノンエンデミック広告がリテールメディアの新時代を切り拓く」と題した調査レポートを通じて発表されました。本レポートでは、ノンエンデミック広告を活用する上での課題と、それらを克服する上での展望が示されています。
とりわけ多くのEC事業者が、付帯収益の創出機会として広告事業に期待を示していることが市場成長にとっての好材料です。日本の人口減少が進む中で物価上昇といった環境変化にも対応しつつ、ユーザーへの価格転嫁を最小限に留めるためには付帯収益の確保が重要であるとの見方が強まってきています。
さらにデジタル広告業界全体が今、購買データを活用できるリテールメディアへの期待を高めています。サードパーティCookieの利用制限が強化されていることを受けて、今までEC出店を行ってこなかった広告主及びその広告代理店が、代替する広告配信先としてリテールメディアを選択する機会が増えることは十分に考えられます。
その結果として、リテールメディアの多様化が進み、リテールメディア広告は認知向上から購買促進まで幅広いマーケティング需要に対応できるようになるはずです。ノンエンデミック広告は、こうした新たな需要の受け皿になっていくと見込まれます。
一方でノンエンデミック広告において一番の課題となるのがユーザー体験への影響。ECサイト上で販売していない商品の広告をやみくもに表示するだけでは、ユーザーが離脱する可能性が高まります。ユーザーの気持ちに寄り添いながら、ユーザーが受け入れやすい関連性(レレバンシー)の高い広告をいかに配信できるかが、ノンエンデミック広告の成否を分けることになるでしょう。
調査概要
調査対象:リテールメディア広告関連事業者
調査手法:デジタルインファクトが保有するデータ、公開データ、リテールメディア広告事業にかかわる企業へのインタビュー調査
調査時期:2024年8月-10月
調査主体:Rokt合同会社
調査実施機関:株式会社デジタルインファクト
出典元:Rokt合同会社
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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