2024年に英語圏で注目された流行語は?「ブレイン・ロット」「デミュア」「ロマンタジー」など | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年12月)

2024年に英語圏で注目された流行語は?「ブレイン・ロット」「デミュア」「ロマンタジー」など | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年12月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、英語圏で2024年に話題になった、「ブレイン・ロット」「デミュア」「ロマンタジー」などの流行語やその背景にあった社会現象を取り上げます。


2024年の流行語が決定!「ブレイン・ロット(Brain rot)」とは?

毎年オックスフォード大学出版局がその年の流行語を発表するthe Oxford Word of the Year(オックスフォード今年の言葉)。その年を象徴する言葉が専門家によっていくつか選出されたのち、一般投票を経てその年の流行語が決まります。昨年2023年は、「カリスマ(Charisma)」を省略した言葉「Rizz」が選出されました。

2024年はどのような流行語が登場し、またその流行の背景にはどのような現象があったのでしょうか。流行語を通じて、この1年の英語圏のトレンドを振り返っていきたいと思います。

2024年はオックスフォード大学出版局によって以下の6つの候補があがりました。

ブレイン・ロット(Brain rot)
デミュア(Demure)
ダイナミック・プライシング(Dynamic pricing)
ロア(Lore)
ロマンタジー(Romantasy)
スロップ(Slop)

そしてその中から「ブレイン・ロット(Brain rot)」が今年の流行語に選ばれました。

■ブレイン・ロット(Brain rot)

「ブレイン・ロット」とは直訳すると「脳の腐敗」。過剰なデジタル消費によってメンタルヘルスや知的能力が劣化した状態のことで、低クオリティで頭を使わなくてもいいようなオンラインコンテンツをついつい見続けてしまうことを指します。

ブレイン・ロットという言葉は聞いたことがなくても、特に目的もなく気づけば1時間以上リール動画を見続けていたり、タイムラインをスクロールし続けていた、といった経験に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

オックスフォード大学出版局によると、この言葉の使用頻度は2023年から2024年にかけて230%増加したとのこと。過度なSNS使用による悪影響を実感している人が多く、危機感が高まっている背景があると考えられます。

ベッドに横たわってスマホを見る女性

また関連する言葉として、わざと悲観的な情報ばかり延々と探し続けてしまう「ドゥーム・スクローリング(Doomscrolling)」(破滅的なスクロール)という言葉も近年注目されています。SNSとの関わり方は、メンタルヘルスや時間管理の観点で現在多くの人が共通して抱えている課題と言えます。

SNSを中心に広がったその他の流行語候補

■デミュア(Demure)

TikTokで “Very demure, very mindful.”(とても控えめで、思慮深いでしょ。)という言い回しが流行。デミュアとは、控えめで節度のある見た目や振る舞いのことを意味しています。

流行の火付け役となったのは、2024年8月にインフルエンサーのジュールズ・レブロンが投稿したTikTok動画でした。動画内では、職場へ行く時のメイクや服装は派手にせず、場をわきまえて控えめにしていると紹介しています。この動画のなんとも言えない独特な語り口調がバズり、真似をして同じような構文で動画をあげる人たちが続出。有名人やブランドもこのトレンドに乗った投稿をSNS上にアップし、さらなる盛り上がりを見せました。

ダンキンドーナツのFacebook投稿「Very demure.(とても控えめ)」

■ダイナミック・プライシング(Dynamic pricing)

ダイナミック・プライシングとは、需要や供給に合わせて価格を変動させる仕組みのこと。航空券やホテルの予約などで見られる現象です。

最近ではコンサートのチケット代に導入するケースが増えており、2024年にはイギリスのオアシス再結成コンサートのチケット代をめぐって話題となりました。当初148.5ポンドと予告されていたチケット代が、予約サイトにアクセスが殺到した結果355.2ポンドにまで跳ね上がる事態となったため、非難する声が集まりました。

■ロア(Lore)

ロアとは、背景知識や、まだあまり世に知れ渡っていない情報のことを意味しています。元々は「伝承」や「言い伝え」を意味する言葉ですが、近年ではインターネットスラングとしてより広い意味で気軽に使われる言葉となりました。例えば、有名人や映画に関する知られざる情報を紹介したり、自分自身の体験談や思い出話を紹介したりと、ロア(Lore)として取り上げる話題は様々です。

■ロマンタジー(Romantasy)

ロマンタジーとは、ロマンスとファンタジーを掛け合わせた小説ジャンルのこと。ここ数年で人気沸騰のジャンルとなっています。

人気の背景として、TikTokで本の口コミが拡散した影響が大きいと言われています。TikTok上でおすすめの本紹介やレビューをするコミュニティは#BookTokと呼ばれており、#BookTokの盛り上がりとともに書籍の売り上げが増加する経済効果が生まれています。

#BookTokでは、お気に入りの本のランキングを発表する動画や、読んだ本へのリアクションを撮った動画などがあります。全く声を出さず、表情やジェスチャーのみで本の感想を表現する「サイレントブックレビュー(Silent Book Review)」という動画のジャンルも登場しました。

読書する女性

ロマンタジー小説で特に注目を浴びた作家サラ・J・マースによる作品は、2024年2月時点で全世界で計4000万部以上売れています。中でも人気作『A Court of Thorns and Roses』 に関するTikTok動画(作品名の略称#acotarで投稿された動画)はなんと160万投稿にのぼる社会現象となりました。(2024年12月現在)

サラ・J・マースの小説を出版したブルームズベリー社は、2024年2月期の売り上げが前年比で30%アップしたと発表しており、サラ・J・マースの作品を筆頭とするロマンタジー小説の人気の高まりが大きな要因だとしています。

■スロップ(Slop)

スロップとは、必要とされていないAI生成コンテンツのこと。AIにより導き出されてしまった誤った情報や、低クオリティのコンテンツを指す言葉です。

特に話題となったのは、Facebook上にアップされたシュリンプ・ジーザス(Shrimp Jesus)というAI生成画像。身体がエビで形作られたイエス・キリストの画像に、多くのコメントやいいね!が寄せられ、その奇妙な現象に注目が集まりました。

AI技術の普及が進むにつれてインターネット上でスロップを目にすることが増え、身近な存在になりつつあります。そのような変化と同時に、スロップという言葉が徐々に浸透してきています。

まとめ

オックスフォード大学出版局が発表した2024年の流行語は「ブレイン・ロット」でした。「ブレイン・ロット」が、過度なSNS利用による悪影響を言い表した言葉でありながら、その他の候補には「デミュア」「ロア」「ロマンタジー」「スロップ」のようにSNS上で話題になった言葉も登場しました。
まさに新しいトレンドにSNSが密接に関わっている昨今の傾向が表れています。

【参考】
https://corp.oup.com/word-of-the-year/
https://www.forbes.com/sites/oliviahoskin/2024/08/30/why-taco-bell-tinder-and-more-are-being-very-cutesy-very-demure/
https://www.theguardian.com/money/2024/nov/18/happy-hour-in-reverse-where-dynamic-pricing-may-creep-further
https://www.nssmag.com/en/fashion/39102/what-does-the-word-lore-mean
https://theconversation.com/what-is-romantasy-our-experts-explain-the-bestselling-book-trend-224269
https://www.theguardian.com/books/2024/feb/07/house-of-flame-and-shadow-by-sarah-j-maas-races-to-the-top-of-bestseller-chart
https://www.nssmag.com/en/lifestyle/37026/slop-content-ai-fake-news-disinformation-image-generated

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

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