国内外の総ユーザー数は2590万人超え 着実に成長し続けるBluesky
2022年にイーロン・マスク氏が旧Twitterを買収しCEOに就任しました。それ以降Xへのサービス名変更から始まり、現在に至るまで様々な仕様変更が続いています。そんな中、Xから他のSNSへの移行を試みる人が続出しています。移行先の選択肢としてあがっているSNSの中でも特に2024年に飛躍を見せたのがBluesky(ブルースカイ)でした。
Bluesky公式サイト
Blueskyは2023年2月にアプリを発表した当初、ユーザー登録に招待コードが必要な招待制の形をとっていました。2024年2月に招待制が廃止され、誰でも自由に利用できるようになりました。このことが転換点となり、その後着々とユーザー数を伸ばしています。
2024年3月時点のBlueskyの国内使用状況やユーザーの特徴についてはこちらの記事をご覧ください。
その後ますますX離れが進んだことも影響し、Blueskyの総ユーザー数は増加し続け、2024年12月時点で、海外も含めると2590万人を超えました。2024年2月時点の300万人と比べると、1年以内の短期間で一気に規模が拡大したことが分かります。(※1)
(※1)BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏による投稿(Bluesky公式ブログ)
https://bsky.social/about/blog/12-30-2024-year-in-review
今回は、Blueskyがどのようにしてここまでユーザーを獲得するに至ったのか、その背景を見ていきます。
「分散型SNS」による自由度の高さが強み
そもそもBlueskyとはどのようなSNSなのでしょうか。
元々Blueskyは旧Twitterの社内プロジェクトとして始まりました。2019年に当時のCEOジャック・ドーシー氏によって立ち上げられ、従来の「中央集権型SNS」から脱却し「分散型SNS」を開発することを目的としていました。
X(旧Twitter)は、運営会社であるX社がユーザーデータを一元管理する「中央集権型SNS」の形をとっています。一方、「分散型SNS」の形をとっているBlueskyは、複数のサーバーが共存するプラットフォームになっており、ユーザー自身が利用するサーバーを選ぶことができます。
「分散型SNS」であることによって、もしBlueskyが倒産または買収されたとしてもユーザー自身がデータを保持でき、そのまま他のSNSにデータを移行することが可能になります。Threads(スレッズ)やMastodon(マストドン)もこの「分散型SNS」の形を採用しています。
また、Blueskyではユーザー自身がアルゴリズムを構築し、タイムラインを自由にカスタマイズすることができます。作成したタイムライン「カスタムフィード」を公開したり、公開されている「カスタムフィード」をユーザーは自由に選ぶことができます。サービス運営会社から与えられたアルゴリズムのタイムラインを閲覧するだけではなく、自分の興味関心に沿ったアルゴリズムを自ら作り出し、それを選択できる自由度の高さがBlueskyの大きな特徴です。
Xからの避難先として人気を獲得
では、Blueskyのユーザーが急増するきっかけとなった出来事を順番に振り返っていきましょう。
まず、2024年8月末にブラジルでXが利用停止になった際に、1週間足らずで200万人ユーザーが増加しました。
Bluesky公式による投稿(Bluesky)
「先週は新規ユーザーが200万人!あたたかく迎え入れます!」
2024年10月中旬には、Xでブロック機能の仕様変更や、AI学習に関するサービス利用規約の変更について発表がありました。このタイミングでも、Blueskyの新規ユーザーが急増しました。Xの発表があった24時間以内にBlueskyのユーザー数が50万人、2日間で120万人増加しました。
Bluesky公式による投稿(Bluesky)
「皆さんおめでとうございます。今Blueskyの総ユーザー数が1200万人を突破しました!!120万人を超える人がこの2日間で仲間入りしました。ようこそ!!」
同時期に、日本のApp Storeでも2位のThreadsを抑えてBlueskyが1位をとっています。
Bluesky公式による投稿(X)
そして2024年11月上旬のアメリカ大統領選の週にBlueskyは100万人の新規ユーザーを獲得。X社のCEOイーロン・マスク氏は、ドナルド・トランプ氏の支持を表明しており、ドナルド・トランプ氏の再選後もますますその関係性や支援体制を強固にしていくと考えられます。Xのプラットフォームとしての政治性が強まったことにより、不信感を覚える人が増加した背景がありそうです。
Blueskyの成長には、このようにXの状況に大きく影響を受けながらユーザー数を増やしていったという経緯があります。Xから失われてしまった機能や、「分散型SNS」ならではのユーザーの自由な選択を促す仕組みがBlueskyには用意されています。そういった要素がXから離れる人々のニーズに合致していることが、移行先として選ばれる理由だと考えられます。
Xを去り、Blueskyを利用し始めた有名人も
ブルームバーグ、米紙ワシントン・ポストなどの報道機関がBlueskyを利用し始めています。英紙ガーディアンは、Xが有害なプラットフォームになっていると指摘し、Xでの投稿を完全に止めると11月中旬に発表しました。現在はBlueskyで投稿を続けています。
また、ベン・スティラー氏、ジェイミー・リー・カーティス氏などの俳優も続々とXから退会しBlueskyに移っています。有名人のXでの更新回数が減り、アカウントの削除が相次いでいることもX離れに影響していると言えるでしょう。
XやThreadsの規模に追いつくまでの道のりは長い?
2024年に一気にユーザー数を伸ばしたBlueskyではありますが、XやThreadsと比べると、まだまだ規模は小さい状況です。月間利用者数(MAU)は、Xが2024年5月時点で約6億人(※2)、Threadsが2024年10月時点で約2.75億人(※3)と言われています。
(※2)イーロン・マスク氏による投稿(X)
https://x.com/elonmusk/status/1793779530282443086
(※3)マーク・ザッカーバーグ氏による投稿(Threads)
https://www.threads.net/@zuck/post/DBw6RdIzSEo?xmt=AQGz-B0wmaPA9ci3ukaMOL-d_RR4Av-z3DUcgR8O-V5Tmg
現在総ユーザー数が数千万人規模のBlueskyは、ユーザー拡大の急速なスピード感を継続できるかどうかが鍵となってきます。
BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏による投稿(Bluesky)
「最も規模の大きい3か国は、アメリカ、日本、ブラジル。招待制の段階からいち早く受け入れてくれた国でもありました。ここに来てくれてありがとうございます!」
また、BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏によると、ユーザー規模の大きい国はアメリカ、日本、ブラジルの3か国となっています(2024年11月20日時点)。日本を含むこの3か国を軸としながら、Blueskyは今後どのようなプラットフォームに成長していくのか、今後の動向にも注目していきたいと思います。
【参考】
https://www.cnbc.com/2024/11/26/how-bluesky-rose-out-of-twitters-ashes-to-challenge-x-and-threads.html?&qsearchterm=bluesky
https://www.cnbc.com/2024/11/21/bluesky-ceo-jay-graber-says-x-rival-is-billionaire-proof.html?&qsearchterm=bluesky
https://www.vox.com/technology/385433/what-is-bluesky-twitter-social-media-use-future
https://bsky.social/about/blog/12-30-2024-year-in-review
https://bsky.social/about/blog/2-28-2022-how-it-started
https://www.hollywoodreporter.com/business/digital/bluesky-celebrities-twitter-elon-musk-1236062723/
https://www.theguardian.com/media/2024/nov/13/why-the-guardian-is-no-longer-posting-on-x
大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
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趣味は、海外エンタメ情報の追っかけとおうちでラテアート修行をすることです。