代替SNSとして期待の「Bluesky」急速なユーザー拡大の背景は? | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年1月)

代替SNSとして期待の「Bluesky」急速なユーザー拡大の背景は? | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年1月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回取り上げるのは、Xに代わるSNSとして注目を集めている「Bluesky(ブルースカイ)」。世界規模でユーザー数を伸ばし続けてきた背景に注目していきます。


国内外の総ユーザー数は2590万人超え 着実に成長し続けるBluesky

2022年にイーロン・マスク氏が旧Twitterを買収しCEOに就任しました。それ以降Xへのサービス名変更から始まり、現在に至るまで様々な仕様変更が続いています。そんな中、Xから他のSNSへの移行を試みる人が続出しています。移行先の選択肢としてあがっているSNSの中でも特に2024年に飛躍を見せたのがBluesky(ブルースカイ)でした。

Bluesky公式サイト

Blueskyは2023年2月にアプリを発表した当初、ユーザー登録に招待コードが必要な招待制の形をとっていました。2024年2月に招待制が廃止され、誰でも自由に利用できるようになりました。このことが転換点となり、その後着々とユーザー数を伸ばしています。

2024年3月時点のBlueskyの国内使用状況やユーザーの特徴についてはこちらの記事をご覧ください。

その後ますますX離れが進んだことも影響し、Blueskyの総ユーザー数は増加し続け、2024年12月時点で、海外も含めると2590万人を超えました。2024年2月時点の300万人と比べると、1年以内の短期間で一気に規模が拡大したことが分かります。(※1)

(※1)BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏による投稿(Bluesky公式ブログ)
https://bsky.social/about/blog/12-30-2024-year-in-review

今回は、Blueskyがどのようにしてここまでユーザーを獲得するに至ったのか、その背景を見ていきます。

「分散型SNS」による自由度の高さが強み

そもそもBlueskyとはどのようなSNSなのでしょうか。

元々Blueskyは旧Twitterの社内プロジェクトとして始まりました。2019年に当時のCEOジャック・ドーシー氏によって立ち上げられ、従来の「中央集権型SNS」から脱却し「分散型SNS」を開発することを目的としていました。

X(旧Twitter)は、運営会社であるX社がユーザーデータを一元管理する「中央集権型SNS」の形をとっています。一方、「分散型SNS」の形をとっているBlueskyは、複数のサーバーが共存するプラットフォームになっており、ユーザー自身が利用するサーバーを選ぶことができます。

「分散型SNS」であることによって、もしBlueskyが倒産または買収されたとしてもユーザー自身がデータを保持でき、そのまま他のSNSにデータを移行することが可能になります。Threads(スレッズ)やMastodon(マストドン)もこの「分散型SNS」の形を採用しています。

また、Blueskyではユーザー自身がアルゴリズムを構築し、タイムラインを自由にカスタマイズすることができます。作成したタイムライン「カスタムフィード」を公開したり、公開されている「カスタムフィード」をユーザーは自由に選ぶことができます。サービス運営会社から与えられたアルゴリズムのタイムラインを閲覧するだけではなく、自分の興味関心に沿ったアルゴリズムを自ら作り出し、それを選択できる自由度の高さがBlueskyの大きな特徴です。

Xからの避難先として人気を獲得

では、Blueskyのユーザーが急増するきっかけとなった出来事を順番に振り返っていきましょう。

まず、2024年8月末にブラジルでXが利用停止になった際に、1週間足らずで200万人ユーザーが増加しました。

Bluesky公式による投稿(Bluesky)
「先週は新規ユーザーが200万人!あたたかく迎え入れます!」

2024年10月中旬には、Xでブロック機能の仕様変更や、AI学習に関するサービス利用規約の変更について発表がありました。このタイミングでも、Blueskyの新規ユーザーが急増しました。Xの発表があった24時間以内にBlueskyのユーザー数が50万人、2日間で120万人増加しました。

Bluesky公式による投稿(Bluesky)
「皆さんおめでとうございます。今Blueskyの総ユーザー数が1200万人を突破しました!!120万人を超える人がこの2日間で仲間入りしました。ようこそ!!」

同時期に、日本のApp Storeでも2位のThreadsを抑えてBlueskyが1位をとっています。

Bluesky公式による投稿(X)

そして2024年11月上旬のアメリカ大統領選の週にBlueskyは100万人の新規ユーザーを獲得。X社のCEOイーロン・マスク氏は、ドナルド・トランプ氏の支持を表明しており、ドナルド・トランプ氏の再選後もますますその関係性や支援体制を強固にしていくと考えられます。Xのプラットフォームとしての政治性が強まったことにより、不信感を覚える人が増加した背景がありそうです。

Blueskyの成長には、このようにXの状況に大きく影響を受けながらユーザー数を増やしていったという経緯があります。Xから失われてしまった機能や、「分散型SNS」ならではのユーザーの自由な選択を促す仕組みがBlueskyには用意されています。そういった要素がXから離れる人々のニーズに合致していることが、移行先として選ばれる理由だと考えられます。

Xを去り、Blueskyを利用し始めた有名人も

ブルームバーグ、米紙ワシントン・ポストなどの報道機関がBlueskyを利用し始めています。英紙ガーディアンは、Xが有害なプラットフォームになっていると指摘し、Xでの投稿を完全に止めると11月中旬に発表しました。現在はBlueskyで投稿を続けています。

また、ベン・スティラー氏、ジェイミー・リー・カーティス氏などの俳優も続々とXから退会しBlueskyに移っています。有名人のXでの更新回数が減り、アカウントの削除が相次いでいることもX離れに影響していると言えるでしょう。

XやThreadsの規模に追いつくまでの道のりは長い?

2024年に一気にユーザー数を伸ばしたBlueskyではありますが、XやThreadsと比べると、まだまだ規模は小さい状況です。月間利用者数(MAU)は、Xが2024年5月時点で約6億人(※2)、Threadsが2024年10月時点で約2.75億人(※3)と言われています。

(※2)イーロン・マスク氏による投稿(X)
https://x.com/elonmusk/status/1793779530282443086
(※3)マーク・ザッカーバーグ氏による投稿(Threads)
https://www.threads.net/@zuck/post/DBw6RdIzSEo?xmt=AQGz-B0wmaPA9ci3ukaMOL-d_RR4Av-z3DUcgR8O-V5Tmg

現在総ユーザー数が数千万人規模のBlueskyは、ユーザー拡大の急速なスピード感を継続できるかどうかが鍵となってきます。

BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏による投稿(Bluesky)
「最も規模の大きい3か国は、アメリカ、日本、ブラジル。招待制の段階からいち早く受け入れてくれた国でもありました。ここに来てくれてありがとうございます!」

また、BlueskyのCEOジェイ・グレイバー氏によると、ユーザー規模の大きい国はアメリカ、日本、ブラジルの3か国となっています(2024年11月20日時点)。日本を含むこの3か国を軸としながら、Blueskyは今後どのようなプラットフォームに成長していくのか、今後の動向にも注目していきたいと思います。

【参考】
https://www.cnbc.com/2024/11/26/how-bluesky-rose-out-of-twitters-ashes-to-challenge-x-and-threads.html?&qsearchterm=bluesky
https://www.cnbc.com/2024/11/21/bluesky-ceo-jay-graber-says-x-rival-is-billionaire-proof.html?&qsearchterm=bluesky
https://www.vox.com/technology/385433/what-is-bluesky-twitter-social-media-use-future
https://bsky.social/about/blog/12-30-2024-year-in-review
https://bsky.social/about/blog/2-28-2022-how-it-started
https://www.hollywoodreporter.com/business/digital/bluesky-celebrities-twitter-elon-musk-1236062723/
https://www.theguardian.com/media/2024/nov/13/why-the-guardian-is-no-longer-posting-on-x

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

関連するキーワード


海外トレンド SNS

関連する投稿


中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

2026年の中国では、ダイエット・エコノミーが劇的な二次進化を遂げています。2024年に始動した政府主導の「体重管理年」プロジェクトを経て、国民の意識はダイエットから全天候型のライフスタイルへと進化しています。本記事では、春節後の爆発的な需要を背景に、タイパを重視した「機能性食品のスナック化」や、小紅書(RED)等のコンテンツECが牽引する最新の消費トレンドを詳説。変容する中国若年層の心理を読み解き、日本企業が中国の巨大な健康市場を攻略するためのヒントを提示します。


中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国でアイロンビーズのブームが巻き起こっています。一見すると子供向けの遊びに思えますが、今や若者や大人が楽しむ趣味になっており、2025年の “不思議な趣味”ランキングのTop10に入るほどです。この記事では、アイロンビーズにはどのような魅力があり、人々にどのように楽しまれているのかを紹介します。


「スネイル・メール・クラブ」が再燃させるアナログの価値。デジタルネイティブが文通に惹かれる理由とは? | 海外トレンドに見るビジネスの種(2026年3月)

「スネイル・メール・クラブ」が再燃させるアナログの価値。デジタルネイティブが文通に惹かれる理由とは? | 海外トレンドに見るビジネスの種(2026年3月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アナログな趣味としてアメリカのZ世代やミレニアル世代を中心にブームとなっている文通コミュニティ「スネイル・メール・クラブ」について取り上げます。その楽しみ方はペンパル同士の手紙交換にとどまらず、クリエイターが毎月作品を届けるサブスクリプション型へと進化を遂げています。デジタル時代の今、なぜ「不便な郵便」が新たなビジネスの種となっているのかを紐解きます。


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

昼食代には迷う一方で、推し活には即決します。中国の若者に広がる「理感共生」は、節約と熱狂が同時に成立する新しい消費合理性です。本稿はこの概念を手がかりに、なぜ日常支出には極端に慎重でありながら、体験や感情価値には大胆に投資するのかを分析。将来不安や長期志向、補償的コントロールといった社会や心理的背景を整理し、この行動が中国の消費市場とマーケティング競争の軸をいかに変えつつあるのかを探ります。


最新の投稿


サイバーエージェント、クリエイティブ精鋭組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を設立

サイバーエージェント、クリエイティブ精鋭組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を設立

株式会社サイバーエージェントは、同社内のトップクリエイターが集結したクリエイティブ組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を新設したことを発表しました。


推し活層の遠征費は1回平均約5.9万円!最多は年2〜3回、交通費が最大コストに【Oshicoco調査】

推し活層の遠征費は1回平均約5.9万円!最多は年2〜3回、交通費が最大コストに【Oshicoco調査】

株式会社Oshicocoは、『推し活における遠征』に関するアンケートを実施し、結果を公開しました。


ADKマーケティング・ソリューションズ、Global IP Power Survey 2026 Reportを発表

ADKマーケティング・ソリューションズ、Global IP Power Survey 2026 Reportを発表

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、ADKエモーションズと共に日本・北米・中国・タイ・インドネシアの5市場、約23,000人を対象とした作品・キャラクター(IP)に関する大規模調査を実施し、「Global IP Power Survey 2026 Report」を作成、公開しました。


調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回は調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


【無料レポート】タイの最新ペット市場〜猫シフトとプレミアム化

【無料レポート】タイの最新ペット市場〜猫シフトとプレミアム化

タイのペット市場では今、都市部を中心に犬を上回る勢いで「猫シフト」が進行しています。マンション暮らしに適しているからという実利的な理由が想像されますが、実際には「日々の癒やし」や「家族としてのつながり」といった感情面が主な飼育動機であることがデータから見えてきました。こうした背景から、インフレ下でもペット関連の支出は削られにくい傾向がうかがえます。 本レポートでは、ペットへの愛情を起点とした「お金の使い方」の実態を、独自のアンケートデータと共にお届けします。TikTok等のSNSをきっかけとした「共感が最後の一押しとなる」購買プロセスについても掘り下げています。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ