2025年の中国春節消費の新トレンド 〜 Z世代が牽引する新年の風潮

2025年の中国春節消費の新トレンド 〜 Z世代が牽引する新年の風潮

2025年の春節(旧正月)が終わり、中国の都市や農村の至るところで、まだ新年の余韻が感じられます。しかし、例年と異なり、今年の中国の春節消費はより個性的でデジタル化が進んでいます。Z世代(1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代)が春節消費市場の中心となりつつあり、年貨(春節用の買い物)や贈り物の選び方、そして春節文化の楽しみ方において新たな価値観を生み出しています。本記事では2025年中国の春節の消費トレンドを詳しく分析します。


若者も黄金を好む?

2024年末から金価格の変動が続く中で、低重量の金製品が中国で人気を集め、春節期間中にはさらに需要が高まりました。従来、金のアクセサリーは主に中国の年長者の資産運用の一環として購入される傾向がありました。しかし、最近では若者の間でも金が注目されており、投資価値よりも文化的な価値が重視されています。その一例が「黄金スマホステッカー」です。わずか0.1g〜1gの金を使用した小型の装飾品で、身につけるのではなく、スマートフォンに貼るスタイルが流行しています。また、赤い封筒(ホンバオ)に入れてお年玉として贈ることも増えています。

「黄金スマホステッカー」の例

このような金のステッカーは、福を呼ぶ象徴として「財神(金運の神)」や「招き猫」「錦鯉(キンギョ:幸運を象徴する魚)」などのデザインが豊富にあり、価格も1枚19元(約400円)程度と手頃です。若者の間では「タピオカミルクティー1杯分の値段で本物の金が買える」と話題になり、SNSでシェアすることが流行しています。こうした黄金ステッカーは、装飾性とコレクション性を兼ね備え、さらに手軽な価格で購入できるため、春節の新たな贈り物として人気を集めています。

サイバーギフトの普及

従来、中国では春節に親戚や友人の家を訪れ、大きな袋を抱えて贈り物を持ち歩くのが一般的でした。しかし、今年は「サイバーギフト(デジタル贈り物)」の人気が急上昇しています。
サイバーギフトとは、オンラインプラットフォームを通じてデジタル形式のギフトを贈ることを指します。
その起源は電子お年玉(WeChatのデジタル紅包)に遡ります。すでに現金のお年玉を渡す習慣は減少し、スマートフォンを通じたデジタル送金が一般的になっています。

Wechatプラットフォームにおけるオンラインギフト機能

Wechatプラットフォームにおける
オンラインギフト機能

今年はさらに、ECサイトがオンラインギフト機能を強化し、買い物の手間を省くことで、忙しい社会人でも簡単に贈り物を届けられるようになりました。たとえば、オンラインのギフトカード、ゲーム課金カード、テーマパークチケット、美容券などが人気です。サイバーギフトは、物理的なギフトよりも手間がかからず、受取人の好みに合わせたパーソナライズが可能なため、特に若者に支持されています。

若者の新たな文化消費のニーズ

これまで、春節といえば家族の食事会や親戚訪問、家庭でのマージャン、テレビの春節特番視聴が定番の過ごし方でした。しかし、近年では「春節に漢服(ハンフー:中国伝統衣装)を着る」「博物館を訪れる」といった新しい文化体験が注目されています。
新華社のデータによると、2025年の春節期間、中国の博物館の来館者数は延べ7264.87万人に達し、1日あたりの平均来館者数は昨年比12.84%増加しました。

また、ECサイトのデータによると、年貨セール期間中に文創(ブンチュアン:文化創作関連商品)、博物館グッズ、漢服関連商品の売上はそれぞれ前年比302%、104%、53%増加しました。特に春節向けの漢服コレクションが人気で、「馬面裙(マーミェンチュン:中国伝統のスカート)」や「団花模様のマント」などがヒット商品となっています。多くの若者が漢服を着て親族訪問をしたり、写真撮影や漢服パーティーを楽しんでいます。

中国の伝統スカート馬面裙

ブランドのクロスオーバーマーケティング

IPコラボが春節のヒット商品に

近年、ブランドと人気IP(知的財産)とのコラボレーションが、春節商戦における消費促進の強力な手段となっています。今年の年貨セール(春節用の買い物シーズン)においても、多くの食品、飲料、文房具ブランドがIPコラボを展開し、話題性と売上の両面で大きな成果を上げました。

代表的な例として、「黄油小熊(Butter Bear)」「原神(Genshin Impact)」「黒神話:悟空(Black Myth:Wukong)」などの人気IPとのコラボ商品が、市場で注目を集めました。
特に、1月15日に開設された「黒神話:悟空」の天猫(Tmall)IPグッズ専門店は大きな成功を収めました。開店からわずか3日間で30種類以上のグッズの累計販売額が300万元(約6000万円)に迫り、春節の購買意欲を強く刺激しました。また、天猫の公式店では、購入特典として限定版の春聯(チュンリェン:中国の縁起の良い対句の飾り)や紅包(お年玉袋)を配布し、さらに販売促進を図りました。

Tmallにおける
Black Myth:Wukongとのコラボ商品

ECサイトのデータによると、「LABUBU」「グッズ」「Jellycat」などのIP関連商品も大きな売上増加を記録し、それぞれ前年比463.71%、186.70%、117.61%の成長率を達成しました。特に、「グッズ」と年貨市場の組み合わせは、春節商戦における消費者層の変化を象徴しています。

かつて年貨の準備は主に年長者が担当し、伝統的なナッツやキャンディー、焼き菓子などが定番でした。しかし、近年は若者が購買の主力となり、IPコラボ商品やトレンド感のあるアイテムが人気を集めるようになっています。「グッズ」をはじめとするキャラクターコラボ商品は、個性やファッション性を重視する若者層に支持され、新たな「春節の味」として受け入れられています。

こうしたIPコラボ戦略は、単なる商品販売にとどまらず、ブランドの認知度向上やファンとのエンゲージメント強化にも寄与しています。春節という伝統的な文化イベントに、ゲーム、アニメ、文化創作関連商品などの現代的な要素を融合させることで、若者世代に響く新しい消費スタイルが生まれています。

春節消費トレンドにおける未来の展望

2025年中国の春節消費トレンドは、若者の文化、テクノロジー、個性の追求を反映しています。今後数年で、春節とテクノロジーの融合がさらに進み、「VRでのオンライン年賀」「デジタル廟会(春節期間中の縁日)」などの新たな形式が普及するかもしれません。また、伝統的な年貨ブランドも、若者の嗜好に合わせた新しいデザインやコンセプトを取り入れることで、さらなる市場拡大が期待されます。

いずれにせよ、Z世代の消費スタイルは今後も春節市場に大きな影響を与え、中国の伝統的な祝祭文化をより多様でデジタル化された、さらなる個性的なものへと変えていくでしょう。

参考資料

这个春节,年轻人爆改年货
https://finance.sina.com.cn/stock/stockzmt/2025-01-25/doc-inehemze1108271.shtml
19.9元“招财神器”卖爆,年轻人“人手一个”过春节
https://36kr.com/p/3140564235426561
春节前,巨头开战“赛博送礼”
https://finance.sina.com.cn/jjxw/2025-01-20/doc-inefrhru3491750.shtml
猴年货,在蛇年成爆款
https://m.thepaper.cn/newsDetail_forward_29974367
新春走基层丨“谷子年货”掀起新春消费热潮
http://www.news.cn/20250130/d230c1b2e7d04ed4aa1ae4767a20386f/c.htm

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

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