ワードTop3はエクスペディア、クアラルンプール、ビジネスクラス
まず、海外旅行好きユーザーの関心ワードを特徴値の高い順にチェックしてみましょう。
※特徴値とは、「海外旅行が好き」と答えたユーザーを全体ユーザーと比べたときに、興味度合いを示す値です。
海外旅行好きユーザーの関心ワード1位は「EXPEDIA」でした(6位にカタカナ表記の「エクスペディア」でもランクインしています)。
エクスペディアはホテルや航空券のオンライン予約サイト。安価に部屋やチケットを取れる点が特徴と言われています。「何しにエクスペディア?」という耳に残るCMの効果もあり、その名前を知っている人も多いのではないでしょうか。
また、2位にはクアラルンプールがランクイン。クアラルンプールはマレーシアの首都で、近年急速に発展を遂げている都市です。「海外旅行が好き」とアンケート調査で答えるユーザーが特徴的に興味を持っているのは、定番の観光地ではなくクアラルンプールであったことが分かります。
ランキング全体を通してみると、「デルタ航空」「大韓航空」「エアアジア」といった航空会社に関するワードと、「クアラルンプール」「ワイキキ」といった観光地に関するワードに大別されます。海外旅行先と、その航空チケット代を比較・検討するユーザーの様子がうかがえるでしょう。
クアラルンプールに関心を持つユーザーはパリやバンコクにも興味
次に、これらのワード間の関連性を表す「ワードネットワーク」を見てみましょう。
この図では、検索行動やコンテンツの分析結果から判明した「関連性の近い」ワード同士が結ばれています。ここでも緑色のノードで示されている観光地系のワードと、赤色のノードで示されている航空会社などのワードでキーワードは2分されていました。
ではまず観光地系のワードに着目しましょう。ランキング2位のクアラルンプールには、バリとバンコクがつながっていました。このことから、旅行先としてクアラルンプールを検討する消費者は候補としてバリとバンコクも一緒に考えている傾向がありそうです。
そのほかでは、ホノルルとロサンゼルス同士もノードがつながっていました。太平洋に浮かぶ島のビーチに行くか、アメリカ西海岸のビーチに行くかという選択肢を吟味する、海外旅行好きユーザー像が浮かび上がります。
マレーシアの首都クアラルンプール。写真右に写っているのはランドマークのペトロナス・ツインタワー
次に航空会社系ワードが並ぶ赤色のワード同士の関係性を見ていきましょう。
関心ワード1位であったエクスペディアにはエアアジアがつながっており、両者の関係性が近いことが分かります。エアアジアはマレーシアの格安航空会社(LCC)で、安い航空チケットを求めてエクスペディアを訪れるユーザーと相性が良いのでしょう。
また、関心ワードで3位にランクインしていた「ビジネスクラス」が「機内食」と近接していたことも興味深い点です。ビジネスクラスで渡航をしたいユーザーは、機内食にも関心を持っていると言えます。
「入国」に関心をもつ人は「ESTA」にも関心をもっているようです。ESTAとは、ビザを持たない観光客がアメリカに入国する際に必要になった電子渡航認証システムのこと。2009年から施行されているため、比較的新しいシステムといえます。
国内大手航空会社のツアーでは、申請の手続きや費用もツアーに含まれているケースが多いのですが、エクスペディアなどで航空券を予約する場合、Webサイトから自分で申請をしなければなりません。このことから、ハワイやロサンゼルスに行く航空券をエクスペディアで購入しようとするユーザーが、ESTA申請の方法を調べているといった可能性が考えられるでしょう。
ビジネスクラスは高年代層、エクスペディアは低年代層
デモグラフィック属性別の興味度の違いはあるのでしょうか。そこで、それぞれのワードに関心を持つ人を性別・年代で分類してみましょう。
次の図では縦軸に平均年齢を、横軸に性別をとり、ワードごとにプロットしています。上にプロットされるほど当該ワードに興味を持つ人の年齢が高く、左にプロットされるほど男性の割合が高いことを表します。
まず、全体の傾向としてプロットは左半分に集中していました。「海外旅行好き」と答えるユーザーは、女性よりも男性が多いことがうかがえます。
ワードの中では「旅行記」がもっとも右にプロットされていました。このことは、グラフに示されたワードで女性がもっとも関心を持つのは「旅行記」であることを示しています。旅行先を決めるために体験談を参考にしている女性ユーザー像がイメージできるでしょう。
「ビジネスクラス」ワードは高年齢層に、「エクスペディア」ワードは低年齢層に表示されているのも興味深い点です。快適に渡航したいと考える高年齢層、安価に海外旅行に行きたいと考える低年齢層と、ユーザー層の違いがうかがえます。
リスティング広告に最適のワードは「ESTA」
最後に検索におけるワードの競合性を調べます。
次の図は縦軸にGoogle検索ボリューム、横軸に競合性をとっています(データはGoogleのキーワードプランナーから取得)。上にプロットされるほどボリュームが多く、右にプロットされるほど検索ワードのリスティング広告での競合性が高いことを意味します。
ここで「検索ボリュームは多いが競合性が低いワード」、つまりグラフの左上あたりにプロットされたワードは、リスティング広告での狙い目となります。ただ、SEOキーワードとしては他コンテンツで既に対策されている可能性もあり、一概に狙い目キーワードであるとは言えません。
では実際に図を見てみましょう。
もっともリスティング広告で費用対効果が得られそうなのは「ESTA」であると言えるでしょう。検索ニーズが高い割に、競合性は低くなっています。
一方、今回出ているワードの中で競合性が最も高いのは「海外旅行保険」でした。海外旅行に行く消費者を対象に、多くの企業がリスティング広告で保険を訴求しているようです。
観光地のワードを示す緑色のプロットを見ると、競合性が低く検索ボリュームもそこそこ多いものとしてはクアラルンプールやロサンゼルスが挙げられます。SEOのためのコンテンツとして考慮の余地があるかもしれません。
まとめ
今回は「海外旅行好き」ユーザーの関心について調査を行いました。
海外旅行好きのユーザーの関心キーワードでは、低年齢層の興味を引く「エクスペディア」が1位でした。また、ワードネットワークではクアラルンプールと一緒にバリやバンコクを検討するユーザー像が見えてきました。リスティング広告では「ESTA」のポテンシャルが高く、SEOコンテンツとしてはクアラルンプールやロサンゼルスに可能性を見い出すことができました。
本調査結果を今後のマーケティング施策に役立ててみてください。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2018年11月〜2019年4月の検索流入データ
※アンケートはインターネットを利用し興味関心項目をアンケートで聴取
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
広告代理店の1年目です。日々の業務内外でのキャッチアップを通じて、皆様のお役にたてればとおもっております。いつか頭の中にあるものを表現することを仕事にするため邁進中です。