上位記事をリライトする効果
もしみなさんがオウンドメディアの担当者で、100本以上などある程度のコンテンツ規模に達しているなら、リライトの対象が見つかるはずです。更新性を維持するため一定の新規記事は必要ですが、サイトが大きくなればなるほど過去記事のリライトが重要になってきます。
リライトが重要な理由は、新規でもリライトでもコストは大きく変わらないのに、新規記事で100本の記事が101本になるのと、リライトで過去記事の順位が上がり検索流入が増えるのでは、後者の方が効果が大きいと期待できるからです。
たとえば、一般に検索ページ2ページ目以降の検索流入は1%未満であるのに対し、検索ページ5位以内なら1位順位が変わるだけで10%以上の検索流入増が期待できます。
したがって、
・すでに1ページ目に入っている記事
・もうすぐ1ページ目に入れそうな記事
は費用対効果が高く、積極的にリライトすべきです。
リライト対象とする記事の決め方
リライト対象の決め方をもう少し細かく見ていきましょう。多くのサイトでは、予算あるいはマンパワー的な制約から、効果が高そうな記事に絞ってリライトします。
費用対効果が高い記事の要素としてGoogle Search Consoleで「(検索結果の)表示回数」と「クリック数」が多く「検索順位」が1ページ目上位または2ページ目上位という条件が挙げられます。
大前提として「(検索結果の)表示回数」が少なければ、獲得できる検索流入も少なくなります。したがって「クリック数」が同じなら「(検索結果の)表示回数」が多い方を優先した方が良いでしょう。
競合サイトのページと比較する項目
リライト対象の記事が決まったら、その記事に流入するクエリの検索結果上位に表示される競合サイトのページを分析していきます。
Googleの検索順位を決定する要素は数百あると言われており、もはや外部の人間が簡単に理解したり想像したりできるものではなくなっています。そこで生まれてきたSEO手法が「検索上位のページにはGoogleが評価する要素がある」とみなして競合サイトの要素を自社の記事に取り入れる方法です。
■記事に対するリンク
実は、リライト対象の記事が決まっても、SEO的な難易度が高くリライトを断念する場合があります。たとえば上位の競合サイトが強すぎる場合です。公共機関や大手比較系サイト、公式サイト系だけでほぼ占められている場合、商品レビュー系の記事が上位に食い込むことは難しいでしょう。
また、競合サイトの記事がバズって大量にリンクが付いているような場合、少しリライトした程度で抜くことは困難です。
逆に上位サイトの記事より圧倒的に充実した記事を書く自信があったり、自社サイト内から大量にリンクを集めるなど、明らかな差別化要素を持っている場合は、そのままリライトに進みます。
オウンドメディアを企画したり、新たに自社サイトのSEO担当になったとき、どこから手を付けたら良いでしょう?メインの流入キーワードを見つけ、そのキーワードの競合となるWebサイトを探し、サイトの規模や更新頻度を自社サイトを比べることで、競合Webサイトに追いつくために必要なコンテンツ量や更新頻度の参考になります。
■記事の長さを比較する
リライトするときに何文字必要か決めづらいものですが、ここでも競合サイトのページ分析が役に立ちます。対抗上、検索上位ページの平均文字数くらいは準備しておくと良いでしょう。
ただしあくまで目安であり、競合サイトと同じ文字数にすれば順位が上がる、というものではありません。
■競合サイトとタイトルを比較する
検索結果上位のページのタイトルを眺め、共通点や自社記事で使っていない言葉が登場していないかチェックします。
全くリライトしていないサイトでは、記事作成時に狙ったクエリと異なるクエリで上位を取れているような事例があり、その記事で一番流入が大きいクエリにチューニングするだけで検索順位が向上する場合があります。
また、記事タイトルやdescriptionに過去の年が含まれていると、ユーザーが古い情報だと思ってクリック率が下がる要素になる場合があります。記事タイトルとdescriptionを最新年にし、本文にも最新の情報を追加します。
■競合サイトと見出し構成を比較する
検索結果1ページ目に表示されている競合サイトのページの見出し構成を、すべて洗い出します。HTMLのH2、H3などの見出し構成を眺めると、必ず自社で扱っていないトピックが見つかるはずです。
競合サイトの見出し構成を抜き出すツールはさまざまありますが、無料のものではChromeの機能拡張「SEO META in 1 CLICK」が便利です。
Displays all meta data and main SEO information for the best SEO
▲Googleニュースを「SEO META in 1 CLICK」で解析した結果
SEO対策のために、競合サイトをツールで分析する「競合調査」が一般的になりつつあります。Googleの検索ロジックが複雑化する中、競合調査では検索上位のサイトには評価される要素があるとみなして自社サイトと比較し、差分を埋めていきます。複数のツールで競合調査すれば流入キーワードや被リンク、ドメインの強さなど競合サイトのかなりのことがわかります。
■自社だけの独自要素はなにか考える
最後に考えるべきことは、自社記事に競合サイトにはないオリジナル要素があるかです。オリジナル要素はユーザーの声やFAQでも良いし、事例や統計などの一次情報があればベターです。
競合サイトのページの良い所を取り入れるSEO手法は知れ渡っており、お互いに似た記事が乱立しつつあります。そのような「最大公約数」的記事が1つ増えたときGoogleが上位にしたいだろうか、ということを考えましょう。
まとめ
オウンドメディアの運営にあたり新記事追加だけでなく、リライトも検索流入増が期待できる施策であること、「検索上位のページにはGoogleが評価する要素がある」とみなして競合サイトの要素を自社記事に取り入れるSEO手法があること、競合サイトのページを分析して見出し構成などを比較する方法などを説明しました。最後に、このようなSEO手法で作られた「最大公約数」的な記事だけでは上位は獲得できません。自社サイトならではの独自要素で差別化することが重要です。
競合分析、サイト改善に市場調査ツール『eMark+(イーマークプラス)』を活用した事例6選
https://manamina.valuesccg.com/articles/597市場調査や競合サイト分析ができるツール『eMark+(イーマークプラス)』を使って、競合分析やコンテンツ、サイト改善を実践した事例をご紹介します。
Webサイト分析ってどうやるの? 1年目の広告プランナー・坂山華がファッションECサイトを分析します
https://manamina.valuesccg.com/articles/603広告代理店の新人プランナーが競合サイト分析ツール「eMark+」を使いながら、市場・競合調査の考え方と方法を学んでいく「データマーケティング成長記」企画です。第2回となる今回は、特定サイトを分析する際に必要な視点を学び、実際にファッションEC主要3サイトの調査を行います。坂山華さんが一歩ずつ学んでいく様子を見守りましょう。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。