Webサイトの競合調査をする必要性
WebサイトのSEO担当になったら、多くの場合は月に何本記事を更新するか、計画することになります。デザインやリンク施策もありますが、全く更新せずにアクセス数を伸ばせるサイトは少ないからです。
コンテンツ更新計画をWHATの要素に分解すると、
・どのキーワードに対して
・どのくらいの品質で
・どのくらいの文字数で
・どのくらいの更新頻度で
を決める必要があります。誰がどのように作るかのHOWはその後の話です。
また、記事を更新する予算を獲得するため、検索順位なりアクセス数なりの目標を立て、社内に説明する必要があります。その根拠となる数字はどのように決めれば良いでしょうか。決め方の一つに、検索結果で上位のサイトをベンチマークとする方法があります。Googleの検索ロジックは年々複雑化していますが、上位のサイトはGoogleから評価される要素を含んでいると考えられるからです。
上位のWebサイトを競合調査し、自社サイトとのギャップを埋めるのに必要なコンテンツ量を計算すると、コンテンツ更新計画を立てたり、社内に説得力を持って話せます。
マーケティングでは競合他社との比較を行った「競合調査」を元に、市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握し、対策となる差別化戦略を立てるのに活用します。 この記事では競合調査の目的と進め方、3C分析・4P分析・SWOT分析など分析の方法論などの基本をご紹介します。
SEO上の競合サイトを見つけ方
競合のWebサイトを見つけるには、自社が重視するキーワードを見つけ、そのキーワードで検索結果上位のサイトを調べます。
■自社が重視するキーワードを決める
自社が重視するキーワードには、2種類あります。一つ目は自社サイトのアクセス流入上位のキーワード、2つ目はこれから検索上位を取りたいキーワードです。
自社サイトのアクセス流入上位を把握するには「Google Search Console」を使用します。「検索パフォーマンス」で「クリック数」上位のクエリ(キーワード)がアクセスに貢献しているキーワードです。上位のキーワードのうち、「表示回数」が多いキーワードの方が検索ボリュームが大きい可能性が高いので、より伸びしろがあると言えるでしょう。
もう一つのこれから検索上位を取りたいキーワードには補足が必要です。まずSEOのターゲットとするキーワードは1-2個に絞ります。たいていの場合リソースに制約があり、全てのキーワードを対象にSEOするのは難しいからです。
また、現在アクセス流入に貢献しているキーワードが、必ずしもこれから上位を取りたいキーワードと一致しないこともある点に注意します。上位を取れていても、売上に貢献しないキーワードはSEOの優先度を下げるべきです。
■狙っているキーワードで検索上位のサイトを「競合サイト」とする
ターゲットにするキーワードが決まったら、そのキーワードで検索結果上位のサイトを調べます。特に、複数のキーワードで登場するサイトがあれば、同じテーマを扱うサイトの可能性が高く競合サイトの候補です。Wikipediaや数ページのサイトはあまり参考にならないので、コンテンツもよくできたサイトが良いでしょう。
ブラウザで簡易的に調べる場合「プライベートブラウザ」にしてパーソナライズされていない順位を取得します。
競合調査を行う際の7つの指標
競合サイトの調査を行うにあたっては、以下の7つの指標を用います。
・流入キーワード
・アクセス数
・流入経路
・滞在時間
・被リンク先
・ドメインの強さ
・コンテンツの内容
以下、各指標について解説します。
■流入キーワード
競合サイトがどんなユーザー層で、上位の流入キーワードは何かを調査することで、自社サイトコンテンツ制作のベンチマークにできます。充実した先行サイトがある場合や、一通りコンテンツを書いてしまってネタ切れの際に役立つ手法です。
競合サイトの流入キーワードを知ることで、自社と似たサイトの成功パターンを知ることができます。ただし、結果的に流入上位なだけで、狙って取れたキーワードなのか、サイトに役立つ効果的なキーワードなのかは自分で判断しなければなりません。
ある程度ドメインが強いと、サイトの専門性から遠いキーワードでも上位が取れて大量のアクセスが取れてしまう場合があります。競合サイトと比較する際、こうしたノイズになる要素を除くと精度が高まります。
なお、流入キーワードの調べ方についてはこちらの記事が参考になります。
ツールも活用!競合サイト分析で「流入キーワード」を調査する方法
https://manamina.valuesccg.com/articles/877自社サイトのアクセス数を増やすには、戦略的なコンテンツ更新が必要です。たとえば競合サイトがどのようなキーワードから流入しているか、自社サイトと差分があるかは参考になります。競合サイト分析でツールを活用する流入キーワードの調べ方にスポットをあてて解説します。
■アクセス数
競合サイトのアクセス数を把握することは、自社サイトの改善に役立ちます。
とくに競合サイトのアクセス数が自社サイトよりも多いのであれば、コンテンツ数やコンテンツの内容、そしてユーザー層の違いや流入元など、自社サイトよりも優れていると思われる点を重点的に検証します。
その結果をもとに、コンテンツ数の増加や既存記事のリライトなどの対策を行います。
■流入経路
競合サイトがどのような流入経路を持っているのか調査するのも、競合調査においては欠かせない指標です。
サイトへの流入経路にはいくつも経路があります。Googleなどの検索エンジン、他サイトからのリンク、Web広告などです。
特に、検索エンジン以外の流入経路が大きい競合サイトは、Web広告などのコストをかけるだけのメリットがあると判断していることになるので、より掘り下げて分析した方が良いでしょう。
■滞在時間
滞在時間とは、ユーザーが競合サイトを閲覧した時間です。競合サイトの滞在時間をチェックし、とくに滞在時間が長いページがあればそこはユーザーにとって有益なものである可能性が高くなります。
したがって、自社サイトにそのページのコンテンツがなければ同内容のものを追加します。単体のページだけではなく、サイト全体の滞在
■被リンク先
Googleのサイト評価傾向のひとつに、被リンクが多ければそのサイトは信頼に足るというものがあるようです。したがって、競合サイトに被リンクが多く自社サイトよりも順位が上であれば、どのような被リンク先があるのかを調査します。そして、自社サイトにも同様の被リンクを獲得できるよう対策を講じます。
■ドメインの強さ
一般に、同じコンテンツのサイト同士ならドメインが強いサイトの方が検索結果上位になります。被リンクが多いドメインに加え、近年は公式ドメイン系もGoogleに評価されています。自社のドメインがだいたい競合Webサイトと同等の強さなら「戦える」と思って良いでしょう。
■コンテンツの内容
ドメインが同じ強さなら競合Webサイトと同等または上回るコンテンツを投入し続ければ、同じ順位が取れる、と期待できます。
コンテンツの中身は、サイト構成、記事の総数、記事の品質、文字数、更新頻度などに分解できます。
・サイト構成:メニュー構成を見る
・記事の総数:記事一覧があれば1ページあたりの記事数 x ページ送りの件数で計算
・記事の品質:見出しや画像の数、専門家の監修を受けている、クラウドソーシングに外注していそう、など。
・記事の文字数:各カテゴリーごとに数本ずつサンプリングして、1記事あたりの文字数を調べます。運営当初と変わっている場合があるので、最近の記事を対象にしたほうが良いでしょう。
・記事の更新頻度:月間何記事更新しているか調べます。
・競合サイトの文字数合計:記事数 x 記事の文字数で概算できます。
これらを表にまとめ、自社サイトの数字と比較し、ギャップを埋めるにはどのくらいのペースで記事投入が必要か試算します。たとえば、次のペースでサイトを更新すると年間48万文字投入されます。
・2000文字 x 月間20記事 x 12ヶ月=48万文字
よくあるのは更新頻度が少なすぎるパターンで、仮に競合が50万文字あるサイトだったら週1更新だと追いつくのに5年かかる試算になってしまいます。Webサイトの競合調査は、こうしたフィージビリティ(実現可能性)の検証に役立ちます。
・2000文字 x 月4記事 x 12ヶ月=9.6万文字
競合サイトを見つけるのに使えるツール5選
競合サイトの調査を行う際に便利なツールがさまざまあります。ここではその中でもおすすめの5つのツールを紹介します。
■Dockpit
「Dockpit(ドックピット)」は、企業向けの競合サイト分析に使えるツールです。おもな機能としては「競合分析」「キーワード分析」があります。この機能では、ヴァリューズが独自保有する国内250万人規模の消費者パネルから、Webマーケティングに必要な競合サイトの調査や検索キーワードの分析、市場動向把握が可能になります。
ほかにも「トレンド分析」でWeb上の消費者ニーズとトレンドの把握、さらにターゲット層のWeb行動も追えます。さらに、ブラウザ拡張機能「Dockpit lite」を利用すれば閲覧中サイトの流入数や集客構造をワンクリックで即座に確認できます。
実際どのように「Dockpit(ドックピット)」の活用方法の事例は以下のリンクよりご確認ください。
市場調査を無料でできる?マーケターのためのリサーチエンジン「Dockpit」の無料版を使ってみた
https://manamina.valuesccg.com/articles/1205Webサイト改善、SEO対策、コンテンツマーケティング、メディアプランニングなど、デジタルマーケティングに欠かせない市場調査や競合調査、検索キーワード分析。これらが1つのツールで簡単に把握できる「Dockpit(ドックピット)」から、一部機能を無料で使える無料版がリリースされました。無料でどんなことができるのか、マナミナ編集部で早速試してみることに。本稿で詳しくレポートします。
膨大な消費者Web行動ログデータを素早く可視化・分析。新リリースしたマーケターのためのリサーチエンジン『Dockpit(ドックピット)』とは
https://manamina.valuesccg.com/articles/1023マーケティングにおいて重要な3C分析(自社・競合・市場)のデータを俯瞰し、戦略へと導くダッシュボード型マーケティングツール『Dockpit(ドックピット)』が「マナミナ」を運営する株式会社ヴァリューズから新たにリリースされました。Dockpitは、消費者のWeb行動ログデータをもとに、市場調査やユーザー理解をサポート。これ一つで短時間でデータドリブンなマーケティングを可能にします。機能の特徴について詳しくご紹介します。
■SEOチェキ!
SEOチェキ!は、2009年から運営されている老舗の無料SEOツールです。「サイトSEOチェック」「検索順位チェック」「キーワード出現比率チェック」「発リンクチェック」「Whois情報チェック」の5つのツールから成り立っています。
自分で調べてもわかる情報が多いのですが、URLを入力するだけですぐ結果を返してくれる利便性の高さが特徴です。
■SEO TOOLS
SEO TOOLSは、サイトの基本的なSEO状況をレポートしてくれる無料の分析ツールです。分析項目は検索順位・インデックス数・被リンク数・キーワード率・強調タグ・ドメイン取得年月日です。
すでに廃止されたページランクが分析項目に残っているなど、最近の状況に対応していない部分もありますが、被リンク数をチェックできる点が秀逸です。
■Gyro-n SEO
Gyro-n SEO(ジャイロンSEO)は、登録から3ヶ月無料で使える有料のSEOツールです。SEO順位チェックに特化しているのが特徴で、登録したキーワードに対する自社と競合の順位変動をチェックできます。
【SEOツール】なら検索順位チェックから競合比較、内部対策管理まで、インハウスSEO担当者が行うフロー、SEO対策のノウハウを詰め込んだGyro-n SEO。効率的にSEOを管理する高機能SEOプラットフォームです。無料から利用OK!
■SEARCH WRITE
SEARCH WRITEは、自動でキーワードごとの競合サイトの順位を取得したり、キーワードごとに検索エンジンの検索結果ページを自動で取得し、上位にある競合サイトの記事調査を効率的に行えるツールです。
なお、こちらSEARCH WRITEは有料(月額5万円)となっています。
SEARCH WRITE(サーチライト)は、SEO成果の可視化・分析・施策立案からタスク管理までを総合的にできるSEO対策支援ツールです。自社キーワードの分析からページ調査・競合分析までを1つのツールで。
競合分析を行って既存記事をリライト
自社サイトがもし検索結果1~2ページ目に入っている場合、上位サイトのページと競合分析して差分を埋めていくと、上位表示の可能性が高まります。検索結果上位のページは、よりGoogleから評価される要素を持っているはずなので、自社サイトと比較してどのような差分があるかチェックします。
■上位サイトと「タイトル」を比較する
タイトルは検索順位やクリック率、そしてSNSでの拡散力にも影響があるので見直しの対象になります。
検索エンジンはタイトルタグの内容を認識して評価するため、検索結果で上位表示されているサイトがタイトルに使っているキーワードは、検索エンジンから高評価を得ていると考えられます。したがって、こうしたキーワードを取り入れつつ、競合サイトとの差別化を図るために自社サイトのコンテンツのタイトルを見直し、最適化するようにします。
例えば、複数の上位サイトがタイトルに使っているキーワードを自社ページで使っていないなら、取り入れるべきでしょう。
■上位サイトと「コンテンツ量」を比較する
SEOは、コンテンツ量が多いほど上位に表示される単純な仕組みではありませんが、ユーザーのニーズを満たすためには一定以上のコンテンツ量は必要です。
例えば、上位サイトの文字数が自社ページより大幅に多いなら、自社ページの文字数を増やすことで検索順位が向上する期待が持てます。
■上位サイトとの「見出し構成」を比較する
検索上位にある競合サイトの見出し構成を分析し、自社サイトのページと比較します。検索上位のサイトがどのような見出し構成の分析によって、検索エンジンから評価されるコンテンツ構成を確認します。
上位サイトにあって自社サイトにない見出しがあれば、それを取り入れることによって順位向上が期待できます。同時に、上位サイトでは取り扱っていない、オリジナリティのあるコンテンツの追加も検討します。
■上位サイトと「デザイン」を比較する
上位サイトよりもコンテンツの量・質ともに遜色ない、もしくは上回っているにもかかわらず順位が上がらない場合、デザイン面で劣っている可能性があります。デザイン面の基本的なチェックポイントとしては、色・レイアウト・画像の3つです。
色はたくさん使えばよいというものではありませんし、文字や画像の配置バランス、大きさなど細かくチェックしてみましょう。デザインに関しては比較的変更しやすい要素なので、上位サイトを参考に自社サイトのデザインの見直し、ブラッシュアップを心がけましょう。
■FAQの追加
よくある質問とその回答を指す「FAQ」をコンテンツに加えると、検索結果にFAQパネルが表示され、CTRの向上が期待できます。そのためには、Googleが指定するFAQ構造化データを実装しましょう。
FAQの構造化は、確実に検索結果に表示されるので、費用対効果が高い施策です。また、実装していないサイトも多いので、競合サイトとの差別化を図りやすいこともメリットでしょう。
逆にリライト時にやらないほうがよいこと
これまで自社サイトのコンテンツ・記事を見直す4つのポイントを紹介してきました。それに沿ってどんどんリライト(書き直し)を始めたくなりますが、その前に注意すべき点を3つ紹介します。
まず、既存記事の全面的なリライトは、SEO評価がリセットされてしまう危険性があるので控えたほうがよいでしょう。特に1ページ目の上位にいるページでは、順位が下るリスクも考慮すべきです。もし、全面的にリライトしてしまいたい場合は、新規記事として追加して、順位を上げたい記事にリンクすることをおすすめします。
次に、検索結果でそれほど上位ではない(例えば数十位に位置している)記事の場合、上位との差分が大きく、ギャップが測れないため、リライトの効果が弱いと言えます。こういった場合も、新規記事として追加したほうがよいでしょう。
最後に、構造化したFAQを追加する場合ですが、検索結果の1ページにいない記事で行っても効果はありません。CTR向上型の施策のため、あまり見られない順位では効果が薄いからです。
まとめ
検索結果上位を取っている競合のWebサイトの構築方法を真似れば、同等の検索順位を取れると期待できます。競合のコンテンツを分析し、自社とのギャップを埋めるために必要な作業量を試算すれば、コンテンツの計画を立てやすくなります。これが、Webサイトの競合調査を行うメリットです。
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