特定サイトの分析方法を学びます
こんにちは。私、坂山華は広告代理店で働いている社会人1年目の広告プランナーです。私はプラットフォームの広告運用に携わるかたわら、ご縁があって、本メディア「マナミナ」で月に1本リサーチ系の記事を書いています。
そんな中、株式会社ヴァリューズの星さんに、競合・市場分析ツール「eMark+」を使ったサイト分析の方法を教えてもらえることになりました。前回は世の中のサイトのユーザー数を概観し、ざっくりと比較する方法を教えていただきました。
第1回目の記事はこちらです。
広告代理店の新卒プランナーが、市場分析ツール「eMark+」を使いながら、市場・競合調査の考え方と方法を学んでいく企画がスタートしました。今回は世の中のサイトのユーザー数を概観し、比較する方法を「General Overview」という機能を使って学んでいきます。
マーケティングでは競合他社との比較を行った「競合調査」を元に、市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握し、対策となる差別化戦略を立てるのに活用します。 この記事では競合調査の目的と進め方、3C分析・4P分析・SWOT分析など分析の方法論などの基本をご紹介します。
そして第2回となる今回は、特定のサイトをより深く分析する方法を学んでいきます。では早速、星さんにお話を聞いてみましょう!
なぜサイト分析を行うのか?
坂山「前回に引き続き今回もよろしくお願いいたします!今回は特定サイトの分析方法について教えていただけるということなのですが、サイト分析を行う際は、まず何から始めればよいのでしょうか?」
星「そうですね、ではまず『どういったタイミングでサイト分析を行うのか』からお話しますね。」
マナミナ編集長の星さん。ユニクロのEC担当、リクルートのデータ分析グループのマネジャーを務めたのちヴァリューズに入社。広報として様々な自主調査もリリースしているそうです!
星「事業会社であれば、半年もしくは一年に一度、集客施策の計画を立てたり予算策定をするタイミングで、他社のサイト分析を行うのが一般的です。その企業の競合や参考になりそうな会社が、どのような集客施策を立てているかについて分析を行うことで、自社を客観的に見て戦略策定に役立てているんです。」
坂山「なるほど…。他社サイトを分析して客観的な視点を得るためということですね!」
星「そうです。また実際にサイト運営を行うにあたり、月次のモニタリングや社内報告資料作成にも役立てることができます。自社の施策を振り返るだけでなく、他社のサイトと比較を行うことで、自社の施策を深掘りすることができるんです。こうしてデータから客観的に自社の状況を眺めることで、課題を発見して新しい施策に繋げられます。」
坂山「確かにそうですね!広告代理店の場合だと、クライアントへの提案で仮説を立てる際に、裏付けとなるデータはとても大事だと日々感じています。サイト分析を行うことで得られるデータは仮説の裏付けとして非常に説得力のある素材となってくれそうだと思いました。」
実際にファッション業界サイトを分析しよう
星「それでは実際にサイト分析を行ってみましょう!今回はファッションECサイトを複数取り上げて、比較しながら、各サイトの分析をしていきましょう。まずファッション業界のサイトのユーザー数ランキングを見てみましょうか。」
eMark+画面より、ファッション業界サイトのユーザー数ランキング(2019年10月)
星「eMark+で『ファッション』カテゴリにチェックを付けてユーザー数を見てみると、このようなランキングになっていました。1位がユニクロ、2位はZOZOTOWN、3位はベルメゾンネットですね。」
坂山「おお〜。簡単に業界ごとのサイトランキングが見られるんですね!」
星「そうなんです。では、この上位3社のサイトを比較し、分析していきましょう。次の3つの流れで進めていくのがよいと思います。
1.誰がどのくらい見ている?
2.どうやって集客している?
3.なぜ集客できている?
この3つの観点に沿ってサイトを見ていくことで、より深い理解につながると思いますよ。」
坂山「なるほど……。観点を持って分析するのが大事ということですね。」
星「では早速、誰がどのくらい見ているかを明らかにしていきましょう!」
■1.誰がどのくらい見ている?
星「サイトの基本を把握する上では、訪れている人はどういった人で、規模はどれくらいかをチェックするのがよいでしょう。そこで指標としてはユーザー数とその属性を見ていきます。」
ユニクロ、ZOZO、ベルメゾンネットのユーザー数推移が表示されました
星「先ほどの3社のURLを入れると、それぞれのユーザー数が折れ線グラフで表されました。このeMark+の『基本指標』機能では、ユーザー数をはじめ、セッション数・ページビュー数・直帰率などが見られます。」
坂山「簡単です!サイトのボリューム感を一目で把握できてとても便利ですね。」
星「次にユーザー属性も見ていきましょう。『ユーザー属性』の機能では、サイトにどんな人が訪れているのかを知ることができます。構成比表示にすると分かりやすいですよ。」
eMark+で3サイト訪問者のデモグラ属性を比較した画面
坂山「性別や年代、地域だけでなく年収などもデータでみることができるんですね!ここまで知ることができれば、より顧客のニーズに沿った施策を立てることができそうでわくわくします(笑)」
■2.どうやって集客している?
星「さて、ここまでで各サイトの基本情報を掴むことができたと思います。PCデバイスではユニクロが約400万人、ZOZOが300万人、ベルメゾンネットが200万人ほどを集めていて、性別ではベルメゾンネットがもっとも女性割合が高いことが分かりましたね。
では次に、それぞれそのサイトがどういう風に集客しているのかをみていきましょう。eMark+の機能『流入元』に3社のURLを入れてみてください。」
3サイトの流入元がグラフで表されました…!
星「この画面では各サイトの流入元の構成を知ることができます。さらに左下の『キーワード』をクリックしてみてください。」
『キーワード』ボタンをクリックした画面。何やらリストが。
坂山「下にキーワードのリストが表示されました。これは何でしょうか……?」
星「検索キーワードのリストです。つまり、どんなワードでサイトに流入しているかをみることができるんですね。タブを切り替えれば、リスティング・自然検索別でもデータを確認できます。」
坂山「自然検索の流入ワードを知れば、コンテンツマーケティングにも使えそうですね!」
星「そうですね。では、各サイトの広告からの流入も確認してみましょう。」
一番左の青いボタン、一般広告をクリックしました
坂山「広告の流入セッション数ランキングも見られるんですね……!ウェブ広告は一般的にGDNとYDNが最強なのかなと思っていたのですが、意外とアパレルはcriteoが強いんですね。」
星「外部サイトからの流入はどんな構成なんでしょうね。青いボタンの『外部サイト』をクリックしてみてましょう。」
「外部サイト」をクリック。1位はジーユー。
星「どんなサイトから遷移して流入しているかが表示されました。ユニクロは外部サイトだとジーユーからの流入がもっとも多く、一方ZOZOはファッションスタイルのサイト『WEAR』からが多いという結果ですね。面白いです。」
坂山「こんなに丸わかりなんですね……!WebからTwitterを見ている人が一定層いそうなことも分かり、少し驚きました。」
■3.なぜ集客できている?
星「ここまで見てきて、サイト全体の中でどのページが見られているのか知りたくなりませんか? そんな時に使えるのが、『Site Analyzer』のコンテンツランキング機能です。ではメニュー表示に戻り、コンテンツランキングをクリックしてみましょう。」
ユニクロのURLを入力して検索すると…。
星「サイト内の人気コンテンツ一覧が出てきましたね。」
坂山「出てきました!」
「ユニクロ」サイト内のコンテンツランキング
星「上位コンテンツはログインページやショッピングカートページになっていますね。あとは、7位に期間限定価格商品のページがランクインしています。消費者はやはりディスカウント情報をチェックしているんでしょう。」
坂山「コンテンツランキングを見ることで、そのサイトにどういうニーズがあって訪問しているのかが見えてきますね。」
星「そうなんです。最近のアップデートで前月比ランキングが見られるようになったので、そちらも見てみましょうか。」
前月比降順にしてみると…。
坂山「9月と10月を比べると、コーデュロイフレアパンツやルームウェアといった暖かそうな商品の紹介ページが伸びていますね! ユニクロはECサイトですが、例えばWebメディアで見てみると面白そうですね。」
星「もちろんWebメディアを見ることもできます! 例えばオウンドメディアのコンテンツを作るときの参考にもなるのではないかと思いますね。では、最後に分析結果をまとめてみましょう。」
1位:ユニクロ
・業界1位のユーザー数を集めるサイトである
・コンテンツランキングでは期間限定価格の商品ページが上位に。前月比では冬物商品が人気を集めるなど、商品での集客力もありそう
2位:ZOZOTOWN
・若年層割合はユニクロより大きい
・広告集客は(eMark+で見る限り)割合は大きくなさそう
・「WEAR」からの流入数が多い
3位:ベルメゾンネット
・女性比が上位3サイトの中でもっとも多い
・広告ではcriteoやアフィリエイト、GDNなどを活用
星「こんなところでしょうか! 今回は分析法をお伝えするということでしたので、まんべんなく項目を見ていきました。ただ、分析とは目的があって行うものだと思いますので、業務の目的に合わせて分析手法を使い分けることを意識してみてください。」
坂山「分かりました!これからぜひ仕事に活かしていきたいと思います。では、今回もありがとうございました!」
まとめ
サイト分析編はここまでです!
今回もこんなことまでできるのかという驚きの連続でした。実際にWebサイトを調べようと思えばとても手間がかかると思うのですが、ひとつのツールで完結できるのがとても便利だと感じました。
個人的には「基本指標」を構成比でみることができるのがとても面白かったです。普段ターゲティングを考える機会が多いので、広告施策の改善提案にも使えそうだなとお話しを聴きながら考えておりました。
さて、次回は世の中のトレンドを掴む、検索キーワード調査の方法を教えていただきます! あるキーワードがどれだけ検索されており、その結果どういったコンテンツに流入しているのかを調べます。SEO対策やコンテンツマーケティングに役立つ話になるのではないでしょうか。楽しみです。
それでは次回をお待ちください!
広告代理店の新卒プランナーが、市場分析ツール「eMark+」を使いながら、市場・競合調査の考え方と方法を学んでいく企画がスタートしました。今回は世の中のサイトのユーザー数を概観し、比較する方法を「General Overview」という機能を使って学んでいきます。
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広告代理店の1年目です。日々の業務内外でのキャッチアップを通じて、皆様のお役にたてればとおもっております。いつか頭の中にあるものを表現することを仕事にするため邁進中です。