2020年6月の急上昇サイトは?
まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
順位 | サイト名 | 前月比(%↑) |
1 | LINEマンガ | 173.4 |
2 | 海の元気倶楽部(ニッスイ) | 137.6 |
3 | 三越・伊勢丹オンラインストア | 132.5 |
4 | dトラベル | 106.0 |
5 | 東急カード「TOP&」 | 105.9 |
6 | イオンリテール | 99.2 |
7 | asoview! | 93.1 |
8 | 楽天ポイントモール | 90.4 |
9 | ダイハツ工業 | 87.7 |
10 | aumo | 81.0 |
※eMark+データより。集計上、不適切なサイトを一部除外しています。
1位にはLINEマンガがランクイン
それでは早速、ランキング1位から詳しく見ていきましょう。
■1位:LINE マンガ
1位はLINEが運営する人気の無料マンガサービス「LINEマンガ」でした。こちらでは試し読みできる漫画が毎週更新されるので、無料でどんどん読むことができます。
急上昇の要因はなんでしょうか。コンテンツランキングで確認してみましょう。
「LINE マンガ」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)
1位のURL「/book/viewer」は各マンガの閲覧ページとなっており、Webブラウザでのマンガ閲覧者が訪問数を牽引していることが分かります。
続いてユーザー数推移を見てみましょう。
「LINE マンガ」のユーザー数推移(対象デバイスはPC&スマートフォン、「eMark+」画面より)
ユーザー数は2月から5月まで減少傾向にあり、6月に持ち直したことがわかりました。アプリ利用者がメインであると推測されるLINEマンガですが、Webでの利用者も100〜200万人規模で存在しているようです。
■2位:海の元気倶楽部(ニッスイ)
2位にランクインしたのは、日本水産が提供する健康食品の通販サイト「海の元気倶楽部」でした。
どのようなページに注目が集まったのかコンテンツランキングで確認してみましょう。
「海の元気倶楽部」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
1位と2位のページのUU数が非常に多いことが分かります。1位ページは「イマーク スティックゼリー」の商品ページ、2位のページは「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」の商品ページです。この2つの商品へのアクセスが増えたことがサイトの急上昇の要因だと考えられます。
次に流入元も見ていきます。
「海の元気倶楽部」の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
一般広告と外部サイトからの流入が圧倒的に多いとわかります。これらの内訳を見ると、ディスプレイやアドネットワーク、アフィリエイト、リスティングなどの広告施策による流入が示唆されていました。健康食品は外出が制限されるコロナ禍の状況において注目が高まっていましたが、この流れも受けて広告施策が成果を挙げたのかもしれません。
■3位:三越・伊勢丹オンラインストア
3位にランクインしたのは、三越伊勢丹の公式通販サイト「三越・伊勢丹オンラインストア」でした。
6月はどのようなページに注目が集まったのでしょうか。コンテンツランキングで確認してみましょう。
「三越・伊勢丹オンラインストア」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
トップページやショッピングカートのページが上位にランクインしています。通販以外のページを確認してみましょう。
コンテンツランキング7位のページは「三越伊勢丹のお中元・ギフト」でした。
三越伊勢丹では、6月にお中元オンラインストアでライブコマースを実施していました。ライブコマースとは、タレントやインフルエンサーがライブ動画を配信し、視聴者はリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入できるという新しいeコマースの形です。このお中元のライブコマースは大きな反響を呼び、ライブコマース経由の売上は過去最高を更新したそうです。こうしたライブコマースの視聴者が「三越伊勢丹のお中元・ギフト」のページに流入したと考えられます。
また、17位には「#みんなでマスク~ファッションの力で心に笑顔を~」という特設ページがランクインしていました。
三越伊勢丹は6月に「#みんなでマスク」と題した、チャリティプロジェクトを実施しました。三越伊勢丹が新型コロナウィルスで影響を受けた国内の縫製工場と、40以上のファッションブランドをつないでマスクを生産し、そのすべての収益を日本赤十字社に寄付し、医療現場に感謝と応援の気持ちを贈るというものです。
多くの人の賛同により、6月17日より三越伊勢丹オンラインストアで販売スタートしたマスクはすべて完売したそうです。これらのコンテンツの影響もあって、三越・伊勢丹オンラインストアが急上昇したのではないでしょうか。
旅行サイトが上位に目立つ
6月の急上昇サイトの特徴として、旅行サイトやカードサイトが上位に多くランクインしていたことが言えると思います。それぞれ見ていきましょう。
■4位:dトラベル
3位にランクインしたのは、ドコモが運営する宿泊予約サイト「dトラベル」です。
6月は県境をまたぐ外出自粛が段階的に緩和されました。政府主導の「Go To キャンペーン」も話題となりましたが、これらと急上昇には関連があるのでしょうか。
早速、コンテンツランキングを確認してみましょう。
「dトラベル」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
ほとんどのページが宿泊施設一覧や予約画面でしたが、4位にランクインした「クーポン一覧」に注目してみましょう。こちらは前月比の伸び率が527.8%と非常に高かったページです。
こちらのページには、地域別に利用可能なクーポンが掲載されています。一部のお得なクーポンは予約上限枚数が設定されており、既に売り切れのものが多い状況。人気が集中していたようです。
流入元を見ると、dトラベルでは自然検索からのセッションが最も多いと分かりました。そこで、どのようなワードで検索されたのか詳しくみていきましょう。
「dトラベル」の自然検索キーワード(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
検索ワードランキングにはdトラベル単体での検索を中心に、「dトラベル クーポン」といったワードもランクインしていました。
今年7月1日、国内各自治体が旅行予約サイトを通して独自に発行する「ふっこう割クーポン」の配布が始まりました。こうした流れを受けてOTAへの訪問者は全体的に増加したと考えられ、dトラベルの急上昇に影響したのではないでしょうか。
■5位:東急カード「TOP&」
5位にランクインしたのは、クレジットカードの「東急カード『TOP&』」でした。こちらのサイトでは、東急カードを発行したりお得な情報を得たりすることができます。急上昇の原因はなんでしょうか。
コンテンツランキングで注目ページを確認してみましょう。
「東急カード『TOP&』」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
1位のページのUU数が圧倒的に多く、前月比の伸び率も非常に高いことが分かります。こちらのページは、東急カードの新規入会申込のページでした。
ではどのような経路でユーザーが訪問したのか見てみましょう。
「東急カード『TOP&』」の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
一般広告からの流入が最も多いことがわかります。内訳によれば、広告の出向先はアフィリエイト・ポイントサイトが多いという結果に。新規入会キャンペーンによるポイント獲得のようなフックでアクセスが増加し、サイト全体の訪問ユーザー数が上昇したと考えられます。
■7位:asoview!
7位にランクインした「asoview!」は、遊びや体験・レジャーのチケットが予約できるサイトです。急上昇の原因はなんでしょうか。
コンテンツランキングで注目ページを確認してみましょう。
「asoview!」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)
コンテンツランキングでは、チケット購入ページやトップページが大半となっていました。レジャー情報を探し、チケット購入や予約を行うユーザーが利用しているようです。
また、アソビュー!の流入元を調べると、自然検索からのセッションが最も多いという結果になりました。その検索ワードの内訳を見ていきます。
「asoview!」の自然検索キーワード(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)
キーワードでは、「日光 観光」や「さくらんぼ狩り」といった観光名所やレジャーの検索が目立ちます。これらのワードから流入を獲得していたのでしょう。実際にYahoo!で「星の王子さまミュージアム」を検索すると、以下のように上位に表示されました。
6月からは県をまたぐ移動の自粛要請が解除され、他県への観光や県外からの観光客受け入れに対する自粛も段階的に緩和されました。これにより観光地に出かけたい人が検索し、上位にヒットするアソビュー!へ流入したと考えられます。
レジャーの予約ができるアソビュー!には、近郊でのライトな遊びを中心としたコンテンツが掲載されています。外出自粛からレジャーに行けなかった反動で訪問者数が増加したと思われますが、旅行というよりは近場での遊びを検討する消費者が多かったのではないでしょうか。
この傾向は週次の検索キーワードデータからも読み取れます。下記の記事で考察していますので、気になる方はそちらもご覧ください。
変化の激しい週次キーワードデータから“旬の”トレンドを読み解く
https://manamina.valuesccg.com/articles/936「検索急上昇ワードをタイムリーにリサーチ。週次キーワードデータの有効な活用法は?」の第二弾。株式会社ヴァリューズの保有するネット行動ログデータのうち、6月15日〜21日の検索急上昇ワードをTableauで可視化し、切り出したデータから見えるトレンドを、マナミナ編集部が株式会社ヴァリューズ副社長・後藤賢治と、データマーケティング局マネジャー・入場紀明にインタビューしました。今回はどんなワードが出現するでしょうか。
まとめ
最後に6月の急上昇サイトと、その増加要因をまとめます。
2位の海の元気倶楽部や5位の東急カードは広告を活用して集客に成功したと言えるでしょう。特に海の元気倶楽部では健康食品の需要増という市場環境を活かし、広告による露出を高めたことが成果を出したと考えられます。
一方で、3位の三越伊勢丹はでライブコマースとマスクを利用したチャリティプロジェクトで集客に成功したと言えるでしょう。eコマースを強化することで「巣ごもり消費」のニーズをうまく捉えたと言えます。
また、その他の上位にはdトラベルやアソビュー!などの旅行サイトも目立ちました。外出自粛の緩和や「ふっこう割クーポン」などがインセンティブとなり、訪問ユーザー数を増加させたと考えられます。
本記事の調査は、ヴァリューズのインターネット行動ログ分析ツール「eMark+」を用いて調査を行いましたが、2020年10月に新ツール「Dockpit(ドックピット)」がリリースされました。急上昇サイト分析機能は無料ですので、より詳細なデータを知りたい方はぜひ見てみてください。
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マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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