”検索急上昇ワードをタイムリーにリサーチ。週次キーワードデータの有効な活用法は?”の第二弾をお送りします。今回もヴァリューズの保有するネット行動ログデータから、検索急上昇ワードをTableauで可視化。期間は緊急事態宣言解除後、県をまたいでの移動が解禁となり、東京では休業要請も全面解除となった6月19日を挟んだ6月15日〜21日の週次データを用いて、オンラインでインタビューを行いました。
※第一弾の記事はこちら
「機能性」見事にブランディングした「ユニクロ」
■「エアリズムマスク」の検索が急上昇
後藤:まず、ランキング上位は「ユニクロ」の「エアリズムマスク」でした。梅雨の時期の蒸し暑さもあって、シーズナル商品という点でも検索が伸びたのでしょう。
いくら暑くともウィズコロナのご時世ではマスクをしないわけにもいかないですし、そこにこの機能性マスクというのは話題性が高くて当然かと思いました。
ただ、別の視点からみてもこの「ユニクロ」がすごいなと思ったのは、通常、デザインやセンスで先導するアパレル業界の中で、「ユニクロ」は「機能性」で見事にブランディングできているということですね。
入場:確かに「エアリズム」自体の検索も伸びていますね。
後藤:「エアリズム」「ヒートテック」といった「機能性」で打ち出してきた「ユニクロ」であれば、機能性マスクを作るストーリーとして違和感なく受け入れられますよね。
そういったブランド戦略も垣間見える検索結果の一つでした。
図:「エアリズムマスク」検索データ
図:ユニクロの「エアリズムマスク」
アフターコロナ・ウィズコロナで男女ともに「スキンケア」が気になる?
後藤:化粧品のカテゴリが気になって見てみたのですが、「ライスフォース」や「オルビス」と言ったスキンケアブランドが伸びていました。どちらかと言うと、メイクアップよりもスキンケアに関心が多く寄せられているのかなと感じました。
なぜ化粧品カテゴリを注目したかと言うと、実を言えば僕自身も、コロナの影響でWEB会議などが多くなって自分の”顔”をよくみる機会が増えたからか、素肌が気になることが多くなって。そういった人は多いのではないかなと思ったんです。
入場:確かに。同じコロナ禍でいうと、今は外出自粛も解けて出勤する人たちも増えましたよね。そのせいか、家電カテゴリでパナソニックのメンズシェーバー「ラムダッシュ」も伸びていたんです。これは「ひげ剃り」といった身だしなみに関心が移ったのかなと思いました。テレワークのみで外出せず顔を見せないで済むのであれば、ヒゲもそらなくてもいいかな、これを機に伸ばしてみようかなという人もいたと思うのですけど、経済が動き出して、人の生活もコロナ前のルーティーンに戻ってきているのかなと。
後藤:そうかもしれません。この週のデータだけでなく、他の週でも「スキンケア」関連は伸びていた覚えがあるので、この動きは次の週にかけても続きそうですね。
入場:「スキンケア」から、今後は「メイクアップ」関連も活況を取り戻しそうな予感もします。
図:「ライスフォース」検索データ
図:「ライスフォース」のキャンペーンページ
図:「ラムダッシュ」検索データ
図:「スキンケアシェーバー ラムダッシュ」
「サブスク」がようやく一般ワード化?意味合いも広義に利用
後藤:「サブスク」とか「サブスクリプションとは」といった検索も多くみられました。「サブスク」というワードが世間に出てきて久しいと思っていたのですが、これはどう思います?
入場:サブスクサービスを提供する業界や、我々のような業態であれば認知も早くて当たり前かもしれませんが、もしかすると、最近になってようやく「サブスク」というワードの認知度が上がり、一般化したのかもしれませんね。当たり前のようにテレビで見聞きしたり。だいぶ世間に浸透してきて、そこで「あれ?一体なんだっけ?」と再確認のためにも検索していることが推測できませんか?
後藤:なるほど。確かにテレビで取り上げられたりニュースに出たワードは検索されやすい。
入場:意味やサービスがわかったところで、このコロナ禍で節約志向というのも後押ししているのかもしれませんね。今は色々な業態で「サブスク」を謳っていて、広義に使われているということもあると思います。
後藤:広義に使われて一般化してきた「サブスク」。レイトマジョリティあたりに入ると言えるのかもしれませんね。
サブスクリプションとは?ビジネスモデルや具体的なサービス事例をわかりやすく解説
https://manamina.valuesccg.com/articles/732最近、よく耳にするようになった「サブスクリプション」方式。定期購読に代表される定額で一定期間利用できるサービスです。この記事ではサブスクリプションの定義や、具体的なサービスの事例を紹介していきます。
図:「サブスク」検索データ
コロナ禍は安値だったガソリン価格。今、気にしてる人たちのお出かけ先は?
後藤:「交通・旅行」のカテゴリを見たところ、「ガソリン比較サイト」が伸びていて、やはり人の動きが感じられました。とはいえ、やはり交通手段はこの検索をみると車移動が多数派なのかなとも。「カーシェア」も伸びていますし。
入場:そうですね。ただ「旅行」となるとまだ少し抵抗があるように見られます。旅行サイトの検索よりも「アソビュー」と言った近郊へのお出かけサイトの方が伸びていますし。ちょっとしたお出かけというつながりで言えば、「美容室」に行く人もかなり増えているようですよ。旅行については今後とも様子見といったところではないでしょうか。
図:「ガソリン価格比較サイト」検索データ
図:ガソリン価格比較サイト「gogo.gs」
図:「アソビュー」検索データ
図:お出かけ先、遊び予約サイト「アソビュー!」
まとめ
初回から引き続き毎週にわたりtableauデータをチェック、2度目の対談となった今回。
週次とは言えあまりの検索ワードの移り変わりの早さに、人の行動認知の難しさを感じたという言葉がとても印象的でした。
ふとした軽い疑問をすぐに検索することができる便利なネット社会。それらの膨大な行動ログをいかに活用するか。まずは手軽にトレンドをリサーチできる、このTableauデータのようなツールの貴重さを今回も感じました。
今回特出した検索ワードは次週以降どのように変化していくのか。またどんな新しいワードが出てくるのか、今後の継続調査に注目です。
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。