2020年8月の急上昇キーワードランキングTOP50
この夏、皆さんが関心を寄せていたトピックスは何でしょうか。本記事では、2020年8月に検索回数が急上昇した検索キーワードから、今後ヒットしそうな商品の最新トレンドを分析していきます。
市場分析ツール「Dockpit」を用い、大手ECモールなど総合通販サイトへの検索流入データを抽出し、今夏に注目を集めた商品やキーワードについて、その背景にあるユーザー像や動機について探っていきましょう。
それではまず、2020年8月に急上昇した検索キーワードのランキングTOP50を見てみます。
※Dockpitの「トレンド分析>キーワードトレンド」でサイトカテゴリを「総合 通販」に絞り、2020年8月に前月比で検索数が上昇したキーワードTop50を集計
ランキング全体を通して目立つのは「イソジン」「うがい薬」「マスク」といった、新型コロナウイルスの感染予防に関連するキーワードです。
長期化している感染拡大下において、予防に対する取り組みも多様化してきており、非常に世相を反映しているランキングとなっていると言えるでしょう。 特に、「イソジンうがい薬」は大阪府の吉村知事による発言の影響によって、関心が伸びていたようです。
また、8月末は安倍晋三 元首相の辞意が報道されたタイミングでもあり、元総理への興味関心と、辞任理由である「潰瘍性大腸炎」という病気についても検索する人が増えたようです。
その他にも、佐々木希さん・石田純一さんといったワイドショー等で報道の多かった人物も急上昇ランクの上位に食い込んでいます。サブカルチャーでは、金曜ロードSHOW!で放送された「コクリコ坂から」や、原作担当者の逮捕で話題となった漫画「アクタージュ」が上位に位置する結果となりました。
このように、世間の様々な関心ごとが検索ワードにも反映された8月でした。それでは、ランキングに登場にした急上昇キーワードについて、特に商品・製品に関する需要やそのインサイトを探ってみましょう。
8月に最も関心を集めた製品は「Google Pixel 4a」
8月に急上昇した商品キーワードの中で断トツの上昇率だったのは、Googleのスマートフォン端末である「Pixel 4a」です。Google Pixel 4aは8月20日より販売が開始されており、 昨年発売された同社の「Pixel 4」の廉価版モデルです。
2020年9月末現在も、大手ECモールである価格コムの「SIMフリーのスマートフォン 人気・注目ランキング」で1位にランクインしており人気の高さが窺えます。
Pixel 4aへ関心を寄せるユーザー像は、その掛け合わせキーワードの上位を見ることで推察することができます。以下は、 VALUES の提供する分析ツールである「Dockpit」によって、「4a」と掛け合わせて検索されているキーワードを一覧化したデータです。
8月の「4a」掛け合わせキーワード一覧(「Dockpit」画面より)
まず、GoogleやPixelといった製品名に関する単語を除くと、掛け合わせで最も多いキーワードは「5G」という語句です。これは、20年9月末には5G通信に対応した「Pixel 4a(5G)」という新モデルの発売も控えているためです。
日本国内でも今春より、新しい無線通信システムである5Gの提供が一部エリアで開始されています。システムの今後の普及に合わせ、いま5G対応の4aを買うべきか否か、とタイミングに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
続いて特徴的なのは「楽天」「楽天モバイル」という掛け合わせキーワードです。こちらは、4aと楽天の提供する格安スマホサービスとの併用について、関心が高いことを指しています。
そもそも、Pixel 4a自体が廉価版モデルとして販売されているため、ランニングコストも含めて節約を考えているユーザーが多いことの現れではないでしょうか。コロナ禍における「巣ごもり需要」の影響もあり、端末の変更と合わせて通信費の見直しを図るユーザーもいるでしょう。
新型のスマホ購入と合わせて、格安プランやキャリアへの乗り換え検討をしている層が、こういったキーワードでの検索を増加させていると思われます。
「アディダスマスク」や「ネピアマスク」等の通気性の良いマスク需要
急上昇キーワードをさらに見ていくと、「アディダスマスク」「ネピアマスク」といった特定メーカーのマスク需要が高いことも見て取れます。これら双方のマスクに特徴的なのは、スポーツメーカーである「アディダス」と衛生用紙メーカーである「ネピア」が手掛ける、"通気性の良いマスク"であるという点です。
今夏も多くの猛暑日があった中、新型コロナの影響で外出時はマスクを着用せざるを得ない状況下で、息苦しい思いをした方も多かったはず。そんな中、少しでも「呼吸がしやすい」「汗をかきにくい」ようなマスクに対する関心が高まっていたのは至極当然のように感じますね。
これら2つのキーワードの検索ユーザー層をDockpitで見てみると、単なる「マスク」というキーワードよりも、20~30代のユーザーが少なく、40~50代の年配層が多いことがわかります。
8月の「アディダスマスク」「ネピアマスク」「マスク」の検索ユーザー年齢層(「Dockpit」画面より)
年代が高くなるにつれ、夏場の熱中症などへのリスクが高まることもあってか、通気性の良いマスクを求めている方々が多いようです。
また、急上昇キーワードの中には「マスクスペーサー」というあまり聞きなれない語句も登場しています。こちらは、着用しているマスクの中に空間を作る製品で、マスクによる呼吸の息苦しさや顔の表面温度を下げるような効果があるようです。
通気性の良いマスクと同様に、猛暑の中で需要が伸びた商品だったようですね。
書籍「思考の整理学」は刊行から30年を超えるロングセラー
急上昇キーワードには外山 滋比古さん著の「思考の整理学」という書籍もランクインしています。本書籍は1983年の刊行で、累計発行部数が253万部(2020年9月現在)を超えるロングセラーです。
2020年7月末に著者である外山さんが逝去されたことをきっかけに、再度、販売が伸びている様子です。書店「honto」による週間ストア別ランキング(2020年9月13日~9月19日)においても、「経済・ビジネス書」部門にて3位に入賞となっています。
Dockpitで検索ユーザー像を見てみると、「思考の整理学」へ最も関心を寄せているのは40~50代のミドル層、続いて20代の方が多いことがわかります。
8月の「思考の整理学」の検索ユーザー年齢層(「Dockpit」画面より)
「思考の整理学」は自身の考えをまとめる「思考法」の入門書として、"東大・京大で1番読まれた本"と言われている書籍です。
刊行から30年以上を数える書籍であるため、当時、学生だった40代後半~50代の層が、リバイバル的に関心を寄せているケース・傾向もあるのかもしれません。また同時に、時を超えて現役の大学生などが属する20代のユーザーからも注目されている点から、ロングセラー足り得る魅力のある本であることが窺えます。
まとめ
2020年8月の急上昇キーワードについて、調査結果をあらためて振り返りましょう。
やはり、このコロナ禍の世相を反映した「格安のスマホ端末」や「夏マスク」といった需要が高かったことからも、新しい生活様式によって生まれる需要に寄り添う商品に注目が集まる様相であると言えるでしょう。中期的に見て、ヒット商品の背景には「感染予防」や「在宅需要」といったキーワードが動き続ける状況は続いていきそうです。
本調査が、皆さんのマーケティング業務や市場調査などに役立ちますと光栄です。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年8月の検索流入データ
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
Dockpitの無料版は、以下ボタンよりDockpitサービスサイトに進み、TOPページの「無料登録」ボタンからお手続きください。
国内大手の採用メディア制作部を経てフリーライターとして独立。現在はWebマーケティング、就職・転職、エンタメ(ゲーム・アニメ・書籍)等の各種メディアにて記事制作を担当。「マナミナ」では一人でも多くの読者に楽しく読んでもらえるマーケティングコンテンツを提供していきます。