コロナウイルスが世界中で流行し始めてから、はやくも1年が経過しました。消費者の生活や意識はコロナの流行とともに変化しています。
たとえば手洗い習慣は、新型コロナウイルスが蔓延してから、より意識的に行われるようになったのではないでしょうか。コロナウイルスによって衛生意識が高まったことで、特にきれい好きの方は、以前よりも一層除菌に対する関心が高まったと思います。
今回は、そんなきれい好きの方がどのようなことに関心があるのかを探るべく、ネット行動ログ分析ツールの「Dockpit(ドックピット)」を使って、「除菌」をキーワードに分析していきます。
コロナ禍で増える「除菌」検索数の推移
まずは、過去2年間の「除菌」検索者のユーザー数推移を見ていきます。
分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2019年3月〜2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
グラフを見ると、コロナウイルスが日本でも流行し始めた2020年2月になってから、「除菌」の検索者数が急激に伸び、最初に緊急事態宣言が発令された2020年4月にピークに到達しています。その後は、急激な検索者数の増加は見られませんが、コロナウイルスが流行する前と比較すると、2倍程度の検索者数で推移しています。
「除菌」検索ユーザーはどんな人?
次に、「除菌」検索ユーザーの属性を見ていきましょう。
こちらは、新型コロナが蔓延した2020年3月以降の、「除菌」検索ユーザーの性別比と年齢比を示したグラフです。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
性別比は男性41.9%、女性58.1%と、女性の比率が高くなっています。また、年代を見ると、特に40代・50代といった世代が、「除菌」をアクティブに検索していることが分かります。これは家庭内の感染を予防するために、主婦層の方などが積極的に「除菌」を検索した結果だと予測できます。
検索ユーザーの居住都道府県の傾向は、どのようになっているでしょうか。こちらは、都道府県ごとの検索量を色分けで表した図です。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
一都三県をはじめ、北海道・愛知・大阪・兵庫・福岡といった、いずれも感染者が多いエリアで検索量が多くなっています。感染者の多い地域ほど、コロナに対する危機感を持っていると言えます。
よく検索される掛け合わせキーワードは?
続いては、「除菌」と併せて、どのようなキーワードが検索されたのかを見ていきましょう。下の表は「除菌」と掛け合わせて検索されたキーワードを、検索ユーザー数の多い順にランキングにしたものです。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
「除菌」と掛け合わせて検索されたキーワードの第1位は「アルコール」でした。除菌の手段として、人々が真っ先に「アルコール」を思い浮かべていると言えます。一方、9位には「ノンアルコール」がランクイン。アルコールに対してアレルギーを持っていたりするなど、アルコールではない方法で除菌を考えている人の検索ニーズと考えられそうです。
続いて、第2位は「コロナ」です。「除菌」と「コロナ」を掛け合わせて検索する人の数は、第1位の「アルコール」に引けを取らず、第3位以降を大きく引き離す結果となっています。この結果は、コロナウイルスという新たな感染症を防止するために、多くの人が様々な生活シーンで「除菌」を心掛けている裏付けとなりそうです。
また、第3位には「スプレー」がランクインしました。「除菌」の方法として服や寝具など、お家で手軽にシュッシュして除菌できることから、スプレータイプを好んでいる人が多いのかもしれません。
さらに、第4位は「マスク」です。コロナウイルス流行当初は、使い捨てのマスクが当たり前でしたが、最近では、洗って繰り返し使えるタイプのマスクが一般的になりつつあります。そんなこともあり、繰り返し使うマスクの「除菌」方法が気になり、検索する人々が多くなっていると考えられます。
そして、第5位は「加湿器」です。一般的にウイルスは乾燥した環境で感染力が高まるとされており、コロナ対策として「加湿器」は非常に売り上げを伸ばしています。そんな中、「加湿器」の手入れを怠ると肺炎になるというニュースが話題となっており、その影響を受け「加湿器」の除菌方法を積極的に検索していると考えられます。
上記以外にも、スマホ・歯ブラシといった日常生活でよく使用するモノや、空気清浄機・UVライトといった除菌グッズのキーワードも、併せて検索されています。 また、アルコールやウェットティッシュ、除菌スプレーの商品名での掛け合わせ検索も、非常に多くされており、各商品の除菌効果を調べようとする動きと推測できます。
次は、属性別マップを見ていきます。こちらの属性別マップでは、縦軸を「年齢」、横軸を「性別」として、「除菌」とともに検索されたキーワードをマッピングしています。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
まず、マップの右下にあたる若年層の女性は「赤ちゃん」や「哺乳瓶」「スポンジ」など子供に関するキーワードが多く検索されています。
最近、日本国内でも拡大し始めている変異種は感染力が強く、子供にも感染しやすいとされており、今後はさらに子供の感染予防に関わるキーワードの検索が増えるかもしれません。
また、「マイオックス」といった聞き馴染みのないキーワードが高齢の男性によって検索されていました。これはMIOX Virus Buster Water (マイオックス ウイルス バスター ウォーター)のことであり、電解水による除菌剤です。アルコールを使わないかたちの除菌方法について気にしている方も多いと考えられます。
閲覧ページの特徴は?
最後に、検索者が流入したサイトを見ていきましょう。流入サイトの上位5サイトはこちらです。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
Amazonと楽天市場などへの流入が非常に多くなっています。
それでは、実際にどのようなページが閲覧されたのか確認していきましょう。下の図は流入ページをランキングにしたものです。
分析ツール:「Dockpit」、調査期間:2020年3月~2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン
「除菌」・「殺菌」・「抗菌」といった言葉の違いを解説したページや、新型コロナウイルスを除菌する方法などを紹介するページの訪問者数が多くなっていました。
まとめ
本稿では、ここまで「除菌」をキーワードに、きれい好きの人の関心の行方を探ってきました。
その結果、きれい好きな人は主婦層に多く、特に日常生活でよく使うものの除菌や、除菌グッズの使用効果に強い関心を寄せていることが分かりました。
また、新型コロナウイルスによって、人々は常に目に見えない敵と戦う日々になりましたが、除菌は人々の感染予防のために非常に重要な役割を果たしています。
コロナ収束の道が未だ見えない中で、今後も「除菌」は重要なキーワードとなるでしょう。
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2020年3月〜2021年2月の検索流入データ
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
2021年4月ヴァリューズに新卒入社。
大学でデータ分析について学びながら、ヴァリューズでインターンとして働いていました。