緊急事態宣言の発令を機にオンライン診療に関する検索者増加
まずは、「オンライン診療」と検索したユーザーが直近2年間でどの程度いるのかを見てみましょう。
検索ユーザー数は2020年4月がピークになっています。これは第一回緊急事態宣言が発令した時期です。時限措置として4月10日にオンライン診療を緩和する事務連絡が厚生労働省より発出され、「オンライン診療を受診するには?」などのコンテンツが多くのメディアで取り上げられたことから2020年4月は急激に増えています。
4月以降は降下していますが、コロナ感染拡大前の前年同月に比べ毎月12~13倍の検索数となっており、コロナを機にネット上で積極的にオンライン診療に関する情報が検索されているようです。
「オンライン診療」検索ユーザー数推移
期間:2019年3月~2021年2月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「オンライン診療」検索ユーザーのデモグラフィック
では、これより直近1年間における「オンライン診療」検索ユーザー層の性別・年齢によるデータを見ていきましょう。
性別で確認したところ、0.9%男性の方で検索数が多い結果となったが、全体としては大きく差が無い結果となった。また、年代別で確認した場合では、40~50代で検索数が多い結果であった。一部医師が危惧している、高齢者に対するオンライン診療ニーズについては、60代、70代でもある一定の検索数があることがわかりました。
「オンライン診療」検索ユーザー属性:性別
期間:2020年3月~2021年2月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「オンライン診療」検索ユーザー属性:性別
期間:2020年3月~2021年2月
デバイス:PCおよびスマートフォン
同時検索上位は『厚生労働省(厚労省)』、『病院一覧』、『初診』など
続いて、「オンライン診療」を検索する際の掛け合わせワードランキングを見てみましょう。
上位には『厚生労働省』、『病院一覧』、『初診』の順にランクインしています。 特に「厚生労働省(厚労省)」「病院一覧」の検索数が多く、その要因としては、オンライン診療規制緩和により医療機関のオンライン診療の導入準備や、医療機関や患者によるオンライン診療導入医療機関一覧の検索などが要因かと考えられます。
※オンライン診療導入を検討している医療機関が、実際にどの様な診療科で導入されているか、また近隣医療機関ではどの程度オンライン診療を導入しているかについて、お問合せをするケースが非常に増えているそうです。
「オンライン診療」検索の掛け合わせワードランキング:TOP20
期間:2020年4月~2021年3月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「オンライン診療×〇〇」で最も検索されたのは「厚生労働省」「初診」「病院一覧」
さらに、キーワード同士のつながりを可視化したワードネットワークを見てみました。ワードネットワークでは、掛け合わせ検索件数が多く関連性が強いワード同士が線で繋がっており、それにより潜在的な興味関心を把握することができます。
その結果、「オンライン診療」検索ユーザーの興味関心は『厚生労働省(厚労省)』『初診』『病院一覧』『コロナ』に分類され、以下のことが考えられます。
厚生労働省(厚労省):医師向け研修会や届け出資料など医師がこれからオンライン診療を行おうとしている
初診:東京や皮膚科など患者がオンライン診療を行う地域や診療科を探している → 皮膚科や耳鼻科、精神科などの医療機関にかかる心理的なハードル*が高い疾患にて初診の検索数が多い事が考えられます
病院一覧:東京・千葉・埼玉などの首都圏や札幌などコロナ感染者数の多い地域でオンライン診療を検索している
コロナ:厚生労働省、初診、病院一覧など幅広い検索されている → 新型コロナウイルスの流行を機にオンライン診療を取り巻く環境が変わった為、厚生労働省、初診等の検索数が増えてきたと考えられます
*心理的なハードル…通院する事が不安、面倒であるなど
「オンライン診療」検索ユーザーのワードネットワーク
期間:2020年4月~2021年3月
デバイス:PCおよびスマホ
7月以降医師患者共に使用するための情報収集の検索多数「オンライン診療」の定着
続いて、2020年4月から2021年3月の1年間毎でどのような検索ワードの変化があったのかを見ていきましょう。
2020年7月以降:精神科、皮膚科、AGA、花粉症などの診療科検索が増えています。 6月までは医療機関の運営準備に関する検索ワードが目立ちましたが、7月以降は心理的ハードルのあるAGA、カウンセリングや処方のみを希望とした疾患での要望が高く、患者が検索していることが把握できます。
「オンライン診療」検索の季節比較
期間:2020年4月~2021年3月
デバイス:PCおよびスマートフォン
オンライン診療で閲覧されたサイトは「厚生労働省」「特化型情報サイト」「システム」
最後に「オンライン診療」検索後の流入サイトのランキングを調査しました。
トップはオンライン診療に関するガイドラインやガイドブック等、総合的な情報のある厚生労働省でした。
Top10までをみるとオンライン診療に関する情報をまとめたサイトへの流入が多く、また病院検索やオンライン診療システム検索が人気のようです。
1位と5位の『厚生労働省』『MedionLife(メディオンライフ)』はオンライン診療の診療報酬やガイドラインなどを確認する為によく使われるサイトです。
また、2・4・10位の『病院なび』『ドクターズ・ファイル』『オンライン診療.com』は病院検索のできるサイトです。その他『curon(クロン)』『CARADA(カラダ)』はオンライン診療サービスの事業者サイトです。
「オンライン診療」検索ユーザーの流入サイトランキング:TOP10
期間:2020年4月~2021年3月
デバイス:PCおよびスマートフォン
まとめ
今回は「オンライン診療」について調査しました。
「オンライン診療」に関する検索ボリュームの増加、月別の検索ワードからみても新型コロナウイルスを契機にオンライン診療のニーズや認知度が急速に広がっていることがわかります。
オンライン診療が診療報酬算定可能となった2018年以降、少子高齢化が進みつつある日本で高齢者のニーズがあるのだろうか?と危惧する医師の声が挙がっていました。
しかし今回の調査から60~70代以上における検索者数は平均に比べ高いことがわかり、ある一定数以上のニーズが確認できました。
他業界も含めオンライン医療への参入や新規サービスの開始が目立った2020年。
菅首相は2020年4月10日の事務連絡(コロナ化におけるオンライン診療の特例)を恒久化するよう指示しており、オンライン診療の全面解禁に向けた規制改革への期待が高まっています。またオンライン服薬指導への緩和も進み、オンライン診療からオンライン服薬指導まで一気通貫した取り組みは今後も医院のみならず医療業界全体の注目度がさらに高まっていくと思われます。
MRT株式会社 東京大学附属病院の医師たちの互助組織を母体として現役医師が2000年に設立。 「医療を想い、社会に貢献する。」を企業理念とし、24時間365日対応の外勤診療紹介を目的とした、医師やコメディカル向けの人材紹介をはじめとする様々な事業を展開。2014年には東証マザーズに上場。 現在、全国に約70,000名の医師、20,000施設の医療機関とネットワークを形成し、全国の医療機関への非常勤医師の累計紹介件数は140万件 超えで、業界トップクラス。 他に、オンライン健康相談・オンライン診療・往診を一気通貫で行うアプリ「Door.
into 健康医療相談」を提供し、新しい医療サービスを創造し、コロナ禍での社会課題解決にも取り組んでいる。 |
分析概要
全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年3月~2021年2月における検索ユーザーの行動を分析しました。
「Dockpit」は、検索キーワード分析だけでなく、競合サイト分析や消費者のトレンド調査にも役立ちます。
もし宜しければ、無料版もありますので、下記よりご登録ください。
2018年MRT株式会社に新卒入社。オンライン診療サービス新規事業部に所属し、医師患者医療業界の方の声からオンライン診療情報サイトの重要性を感じ「MedionLife」を立ち上げる。リアルな声を大事にした"web上にいきるbookづくり"を目指し日々奮闘中。料理したり植物を育てたりすることがすきです。マナミナ編集部元ライター。